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第二部 ティアの知らない過去と未来
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深く頭を下げて5つ数えた後、ティアは顔を上げた。そして、ユザーナと目が合った。
ユザーナは、無表情でティアを見つめていた。
とはいえ不機嫌や不愉快というわけではなさそうだ。ただ、微笑んでいないだけ。
でも、ティアは自分が表情の乏しい人間であることはわかっている。そしてその父親なら、愛想が無いのも、これまたしかり。
納得いく結論に達したティアは、ここでようやく目の前のテーブルに視線を移す。
まったくもって気付いていなかったけれど、そこにはお茶会らしく三段のケーキスタンドがある。
下からサンドウィッチ、温料理、デザートと行儀よく並べてある。そして、別の皿にはスコーン。それからジャムにクリーム、チョコレート。
ぶっちゃけティアの夕食より多い量だ。ちなみに梨はない。
さすがに完食するのは無理だ。
でも、せっかくアジェーリアの父親が用意してくれた席だ。何も手に付けずに帰るのは少々失礼だろう。
ティアはほんの少しだけ悩む。
女性が見たら、きゃあきゃあと声を上げて喜び、『こんなに食べたら太っちゃう』と言いつつしっかり完食するお茶会も、ティアにとったら苦痛と紙一重の状態。
一先ずティアは、冷めてしまったお茶を一口飲む。
茶葉の匂いと花々の匂いが相まって、得も言われぬ優しい気持ちになる。
メゾン・プレザンの大掃除が終わった後に飲むお茶の味にとても似ている。
そんなことを考えながら、ティアはゆっくりとお茶を飲む。
お茶会の作法までは存じ上げないので、やっぱりお茶を飲んだら帰ろうと思いながら。
そして、目の前にいるユザーナが、今、何を考えているかなど気にもしないで。
対してユザーナは、とても歯がゆかった。
身を飾るものなど何一つないのに、それが当たり前で、あまつさえ、幸せなどと言うなんて、と。
一応ティアは、ドレスと呼ばれるものをちゃんと身に付けているし、髪も、ドレスと同じ薄紫色のリボンでハーフアップに結ってある。
アジェーリアの身代わりの件を除けば、過去最大級のおめかしである。
とはいえユザーナは、ウィスタリア国の宰相だ。
地位としては、国王陛下の次。言い返ると、この国で2番目に権力がある人間だ。
そしてそれに伴う収入も、財産もたらふくある。
その娘の身なりとすれば、いささかみすぼらしいのかもしれない。
かなり強引であったが、無事再会できた娘の小さな手は少し荒れていて、爪も短く切り揃えている。一度も磨いたことがないようだ。いや、爪を磨くという行為すら知らないのかもしれない。
それに胸元にも手首にも白い肌を飾る光物がない。
となれば、ユザーナは幸せと言ったティアが不憫でならなかった。
だから、どこぞのエリート騎士と同様に、一足飛びでこんなことを口にしてしまった。
「ティア今更だが、私は君と一緒に暮らしたいと思っている」
「え?」
「私は本当はずっと、そうしたいと思っていた」
「は?」
『じゃあ、そういうことで』と退席するタイミングを計っていたティアは、唐突に切り出したユザーナの言葉に目を丸くしてしまった。
「ティア、君は自分の母親を捨てた私を憎んでいるか?」
「いや、だから憎んでいませんよ」
ついつい目の前の男がお偉い地位を持つ人間だということを忘れて、ティアは雑な返事をしてしまう。
「なら、問題ないだろう。ティア、一緒に暮らそう」
「いや、それは……ちょっと……あの……なんていうか、その……」
ティアはユザーナから視線を逸らして、もごもごと意味不明な言葉を紡ぐ。
はっきり拒絶できないが、上手に話を逸らすことも濁すこともできないでいる。
その姿はユザーナにとって、どうやら別の意味にとれたようだった。
ユザーナはおもむろに懐に手を入れたかと思えば、四つ折りにした紙を取り出した。
「見てくれ」
それはユザーナが長い間肌身離さず持ち歩いていたと思わせるほど、くたびれたものだった。
ティアは、ぼろぼろになったそれを差し出され、おっかなびっくりしながら受け取る。次いで、そぉっと中を開いてみる。軽く息を呑んだ。
その紙は───ユザーナとメリエムの結婚誓約書だったから。しかも、国王陛下のサイン入りときたものだ。
「本当は式の際に書くものなのだが、私は待ちきれなくてメリエムに先にこれを書いてもらっていたんだ。だから君は、正式な私の娘だ。誰にも誹謗中傷など受けさせない。絶対に」
ぎゅっと拳を握りしめながら、そう言ったユザーナに、ティアは変な顔になった。
ユザーナがこれを見せた理由はなんとなくわかる。
多分、ユザーナは自分が認知されていない子供だと気にしているとでも思ったのだろう。
だが、ティアはそんな世間一般の常識に囚われる人間ではない。
それに、ティアは他人から誹謗中傷を受けることなど怖くない。
なにせ、基本的に怪我人以外の他人に興味を持たないのだから、悪口や陰口など虫の鳴き声と同じ感覚でしかない。
万人に好かれたいと思ったこともないし、人の目など気にしたこともない。
大切なものが何か知っているから、それ以外に嫌われたとてどうでも良い。
と、思っているのに、何だか自分の予想の範疇を超えることが起きてしまっている。こんな未来を誰が想像できたであろうか。
ティアは望まぬ展開に、内心、うげっと呻いてしまった。
もしユザーナが、自分の母親であるメリエムの面影を求めて、一緒に住もうと言ってくれたのなら、ティアはきっぱり断れることができた。
けれど、自分を見つめるユザーナの眼差しは、バザロフが自分に向けるものと同じ類のもの。少々……いや、こっちのほうがかなり強いけれど。
だから、ティアは困った。
ロムに結婚を迫られた時は、苛立って。
グレンシスに求婚されたときは、戸惑って。
でも、ユザーナからの申し出には、嫌だ冗談じゃないと無下に断ることができないのが、とても困ってしまう。
しかも昔、母親と同じゴールドピンクの髪が良かったと駄々をこねる自分に、母親は『ママは、あなたの髪色に少しでもブラウンが入っていて嬉しいのに』と言われたことすら思い出して、ティアは頭を抱えたくなる。
とはいえユザーナは、ティアにとって正真正銘の父親なのだ。まして、自分は未婚の小娘。
親子が一緒に住むのは至極当然。
だからユザーナの申し出に、頷くべきなのだ。
でも、ティアは嫌だった。居たい場所がどこなのかちゃんとわかっているし、見えるかどうかは置いといて、自分はもう18歳だ。
正直言って、べったりと親子ごっこをする年齢ではない。
できれば、つかず離れずの関係で、ゆっくりと距離を埋めていきたいのが本音だったりもする。
だが、上手い言葉が見つからない。
何か言おうとすれば、喉の奥に何かがつっかえたように詰まってしまって、唇がわななくだけ。
「……ティア、頼む」
ユザーナは今にも泣きそうな張り詰めた顔で、ティアに懇願する。
その視線に耐え切れず、ティアは視線をあらぬ方向に動かす。そして、とある一点で止まった。
そこに心配そうに自分を見つめるグレンシスの姿が目に映ったから。
咄嗟に、唇を動かす。『助けて』と。
すると、突然、グレンシスが自分の視界から消えた。
───そんな殺生なっ。
よもやあの騎士は面倒事を嫌ってここから逃げたのかとすら思った。そして、ティアは心の中で悲鳴を上げた。
だが、そうではなかった。
「失礼します」
空気を一閃するような凄みのある声が耳朶を刺す。
一瞬、誰の声かわからなかった。
そして、その声の持ち主が誰かわかったと同時に、ティアの身体がふわりと浮いた。
ティアはもうこの流れを何度も経験しているので、今更、暴れることはない。大人しくその太くたくましい腕に収納される。
ティアを抱き上げたその人も、これが当たり前といった感じでティアに視線を向けない。
ただただ真っすぐユザーナの方を向き、再び口を開く。
「恐れながら宰相殿、ティアは先日怪我を負って、まだ傷が癒えておりませぬ故、この辺りで失礼させていただきます」
慇懃な言葉遣いの中に、有無を言わせない鋭さを秘めたグレンシスの口調にティアはぞわりと背筋に冷たいものが走った。
でもティアは、その声を聴いて心の底から安堵した。泣きたくなるほどに。
ユザーナは、無表情でティアを見つめていた。
とはいえ不機嫌や不愉快というわけではなさそうだ。ただ、微笑んでいないだけ。
でも、ティアは自分が表情の乏しい人間であることはわかっている。そしてその父親なら、愛想が無いのも、これまたしかり。
納得いく結論に達したティアは、ここでようやく目の前のテーブルに視線を移す。
まったくもって気付いていなかったけれど、そこにはお茶会らしく三段のケーキスタンドがある。
下からサンドウィッチ、温料理、デザートと行儀よく並べてある。そして、別の皿にはスコーン。それからジャムにクリーム、チョコレート。
ぶっちゃけティアの夕食より多い量だ。ちなみに梨はない。
さすがに完食するのは無理だ。
でも、せっかくアジェーリアの父親が用意してくれた席だ。何も手に付けずに帰るのは少々失礼だろう。
ティアはほんの少しだけ悩む。
女性が見たら、きゃあきゃあと声を上げて喜び、『こんなに食べたら太っちゃう』と言いつつしっかり完食するお茶会も、ティアにとったら苦痛と紙一重の状態。
一先ずティアは、冷めてしまったお茶を一口飲む。
茶葉の匂いと花々の匂いが相まって、得も言われぬ優しい気持ちになる。
メゾン・プレザンの大掃除が終わった後に飲むお茶の味にとても似ている。
そんなことを考えながら、ティアはゆっくりとお茶を飲む。
お茶会の作法までは存じ上げないので、やっぱりお茶を飲んだら帰ろうと思いながら。
そして、目の前にいるユザーナが、今、何を考えているかなど気にもしないで。
対してユザーナは、とても歯がゆかった。
身を飾るものなど何一つないのに、それが当たり前で、あまつさえ、幸せなどと言うなんて、と。
一応ティアは、ドレスと呼ばれるものをちゃんと身に付けているし、髪も、ドレスと同じ薄紫色のリボンでハーフアップに結ってある。
アジェーリアの身代わりの件を除けば、過去最大級のおめかしである。
とはいえユザーナは、ウィスタリア国の宰相だ。
地位としては、国王陛下の次。言い返ると、この国で2番目に権力がある人間だ。
そしてそれに伴う収入も、財産もたらふくある。
その娘の身なりとすれば、いささかみすぼらしいのかもしれない。
かなり強引であったが、無事再会できた娘の小さな手は少し荒れていて、爪も短く切り揃えている。一度も磨いたことがないようだ。いや、爪を磨くという行為すら知らないのかもしれない。
それに胸元にも手首にも白い肌を飾る光物がない。
となれば、ユザーナは幸せと言ったティアが不憫でならなかった。
だから、どこぞのエリート騎士と同様に、一足飛びでこんなことを口にしてしまった。
「ティア今更だが、私は君と一緒に暮らしたいと思っている」
「え?」
「私は本当はずっと、そうしたいと思っていた」
「は?」
『じゃあ、そういうことで』と退席するタイミングを計っていたティアは、唐突に切り出したユザーナの言葉に目を丸くしてしまった。
「ティア、君は自分の母親を捨てた私を憎んでいるか?」
「いや、だから憎んでいませんよ」
ついつい目の前の男がお偉い地位を持つ人間だということを忘れて、ティアは雑な返事をしてしまう。
「なら、問題ないだろう。ティア、一緒に暮らそう」
「いや、それは……ちょっと……あの……なんていうか、その……」
ティアはユザーナから視線を逸らして、もごもごと意味不明な言葉を紡ぐ。
はっきり拒絶できないが、上手に話を逸らすことも濁すこともできないでいる。
その姿はユザーナにとって、どうやら別の意味にとれたようだった。
ユザーナはおもむろに懐に手を入れたかと思えば、四つ折りにした紙を取り出した。
「見てくれ」
それはユザーナが長い間肌身離さず持ち歩いていたと思わせるほど、くたびれたものだった。
ティアは、ぼろぼろになったそれを差し出され、おっかなびっくりしながら受け取る。次いで、そぉっと中を開いてみる。軽く息を呑んだ。
その紙は───ユザーナとメリエムの結婚誓約書だったから。しかも、国王陛下のサイン入りときたものだ。
「本当は式の際に書くものなのだが、私は待ちきれなくてメリエムに先にこれを書いてもらっていたんだ。だから君は、正式な私の娘だ。誰にも誹謗中傷など受けさせない。絶対に」
ぎゅっと拳を握りしめながら、そう言ったユザーナに、ティアは変な顔になった。
ユザーナがこれを見せた理由はなんとなくわかる。
多分、ユザーナは自分が認知されていない子供だと気にしているとでも思ったのだろう。
だが、ティアはそんな世間一般の常識に囚われる人間ではない。
それに、ティアは他人から誹謗中傷を受けることなど怖くない。
なにせ、基本的に怪我人以外の他人に興味を持たないのだから、悪口や陰口など虫の鳴き声と同じ感覚でしかない。
万人に好かれたいと思ったこともないし、人の目など気にしたこともない。
大切なものが何か知っているから、それ以外に嫌われたとてどうでも良い。
と、思っているのに、何だか自分の予想の範疇を超えることが起きてしまっている。こんな未来を誰が想像できたであろうか。
ティアは望まぬ展開に、内心、うげっと呻いてしまった。
もしユザーナが、自分の母親であるメリエムの面影を求めて、一緒に住もうと言ってくれたのなら、ティアはきっぱり断れることができた。
けれど、自分を見つめるユザーナの眼差しは、バザロフが自分に向けるものと同じ類のもの。少々……いや、こっちのほうがかなり強いけれど。
だから、ティアは困った。
ロムに結婚を迫られた時は、苛立って。
グレンシスに求婚されたときは、戸惑って。
でも、ユザーナからの申し出には、嫌だ冗談じゃないと無下に断ることができないのが、とても困ってしまう。
しかも昔、母親と同じゴールドピンクの髪が良かったと駄々をこねる自分に、母親は『ママは、あなたの髪色に少しでもブラウンが入っていて嬉しいのに』と言われたことすら思い出して、ティアは頭を抱えたくなる。
とはいえユザーナは、ティアにとって正真正銘の父親なのだ。まして、自分は未婚の小娘。
親子が一緒に住むのは至極当然。
だからユザーナの申し出に、頷くべきなのだ。
でも、ティアは嫌だった。居たい場所がどこなのかちゃんとわかっているし、見えるかどうかは置いといて、自分はもう18歳だ。
正直言って、べったりと親子ごっこをする年齢ではない。
できれば、つかず離れずの関係で、ゆっくりと距離を埋めていきたいのが本音だったりもする。
だが、上手い言葉が見つからない。
何か言おうとすれば、喉の奥に何かがつっかえたように詰まってしまって、唇がわななくだけ。
「……ティア、頼む」
ユザーナは今にも泣きそうな張り詰めた顔で、ティアに懇願する。
その視線に耐え切れず、ティアは視線をあらぬ方向に動かす。そして、とある一点で止まった。
そこに心配そうに自分を見つめるグレンシスの姿が目に映ったから。
咄嗟に、唇を動かす。『助けて』と。
すると、突然、グレンシスが自分の視界から消えた。
───そんな殺生なっ。
よもやあの騎士は面倒事を嫌ってここから逃げたのかとすら思った。そして、ティアは心の中で悲鳴を上げた。
だが、そうではなかった。
「失礼します」
空気を一閃するような凄みのある声が耳朶を刺す。
一瞬、誰の声かわからなかった。
そして、その声の持ち主が誰かわかったと同時に、ティアの身体がふわりと浮いた。
ティアはもうこの流れを何度も経験しているので、今更、暴れることはない。大人しくその太くたくましい腕に収納される。
ティアを抱き上げたその人も、これが当たり前といった感じでティアに視線を向けない。
ただただ真っすぐユザーナの方を向き、再び口を開く。
「恐れながら宰相殿、ティアは先日怪我を負って、まだ傷が癒えておりませぬ故、この辺りで失礼させていただきます」
慇懃な言葉遣いの中に、有無を言わせない鋭さを秘めたグレンシスの口調にティアはぞわりと背筋に冷たいものが走った。
でもティアは、その声を聴いて心の底から安堵した。泣きたくなるほどに。
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