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第二部 陛下の命令
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混乱の渦中にいるティアとユザーナが浮上するまでしばしの時間を要するので、ここで、今回の事の詳細を説明することに。
以前も伝えたけれど、一通の国王陛下からの書簡から始まったこの出来事には、様々事情が複雑に絡み合っている。
でも、まず国王陛下が本気でティアが持つ移し身の術を軍事利用したいのであれば、本人に伺いを立てる必要などない。
問答無用で連れ去っても、良いことだったのだ。
なのに、わざわざ書簡を用意して、ティアに伺いを立てた。
それはひとえに、国王陛下が一個人として、ティアに会いたかったから。
ぶっちゃけて言えば、ティアとユザーナにドッキリを仕掛けたかったから。
さて、国王陛下の書簡に書いてあったのは、要約すると以下の通りだった。
【愛娘のアジェーリアとディモルトの挙式が無事に済み、かつ外交が以前より滑らかに進み始めたのは、供として同行したティアの功績でもある。だから、直々に礼を言いたい】
説明しなくても良いかもしれないが、以前、バザロフがティアに伝えた通りの内容だった。
まぁ、今考えてみればバザロフが、国益の為にティアが利用されるなど許すはずもない。
ティアに考える時間すら与える間もなく、持っている全ての権力と武力を持って、どこか遠くへ逃がすだろう。
それにバザロフと国王陛下ことヴァージルは旧知の仲でもある。だからバザロフは長年の信頼の下、ティアの身に危険がないことを確認してからこの書簡を受け取ったのだ。
突然だが、ユザーナとバザロフは犬猿の仲ではあるが、ヴァージル国王陛下からすれば、ユザーナはもっとも信頼できる家臣の一人であり、莫逆の友でもある。
そしてユザーナがティアの母親と知り合った経緯も、ティアが娼館で生まれ、未だにそこにいる理由も知っている。
ヴァージルは一国の主としてではなく子を持つ親の立場として、とてももどかしい思いを抱えていた。
とはいえユザーナは恐ろしい程に頑固者だった。
どんな説得を受けても、頑なにティアに会うことはしなかった。
そんな中、今だから話せることだが、実はオルドレイ国に嫁いだアジェ―リアは、ティアの為にもう一つ保険を掛けて、こんな手紙を王妃である母親に送っていた。
『初めての友達であるティアと、これからずっとずっとずぅーっと、堂々と文通ができる仲になりたいわー』と。
オルドレイ国のしきたりに則って耳飾りを贈り、長年仕えてくれた騎士にその後を託したとはいえ、やはり心配だったのだろう。おそらく後者の方で。
だからアジェーリアは末っ子の特権を使い、無茶ぶりに近いおねだりをした。
対してヴァージルは国王陛下ではあるが、その仮面を脱ぎ捨てれば、バザロフが呆れてしまうほどの親バカである。そして愛妻家でもある。
愛する妻と、末っ子の愛娘からのお願いとあれば、何が何でも叶えてあげたくなるのが親の心情で男の気概。
なにより、この十数年に及ぶ、親友のじれったい状況に終止符を打つ機会でもあった。
だからヴァージルは、グレンシスとバザロフにティア宛ての書簡を託した。
ユザーナに気付かれては元も子もないので、表向きの理由と、ティアの移し身の術に興味を持った、という体で。
その結果、まんまとティアはこの城に来た。そして、ユザーナと無事(?)対面を果たすことができたのだ。
さてでは、グレンシスとバザロフが、なぜこの一件を大変厄介で面倒な内容と思ったのか。
これもまた、騎士としての立場ではなく、個人的な理由から。
グレンシスはティアがロハン邸で療養している時に、バザロフからティアの過去も術のことも全て聞いていた。もちろん父親が誰であるかも。
なので、二人はティアの父親がユザーナであることは知っている。
知っているゆえに厄介だったのだ。
バザロフからすれば、長年の夢であるティアと共にバージンロードを歩くという夢が叶わない可能性がでてくるから。
そしてティアのことを想うグレンシスからすれば、ウィリスタリア国一、気難しいといわれており、かつバザロフと犬猿の仲であるユザーナと関わる機会が増えるだろうから。
ちなみにグレンシスは、バザロフから一目置かれる存在であることは、周知の事実。
なので、バザロフを除いた騎士の中でもっともユザーナから冷たい対応をされるのはグレンシスだったりもする。
そんな状態で、奇跡的にもティアを妻に娶ることになったら、重箱の隅を楊枝でほじくるような理由で反対されるかもしれない。
もっというなら東洋の表現で仁王像に挟まれて生きていくということ。そして正面には、この国のドンがいて……。
グレンシスは、もちろんそんなことくらいでティアへの想いを諦めるような弱虫ではない。
ないけれど、せめてせめて少しくらいティアとの関係を進めてから、この難題に挑みたかったというのも本音である。
ちなみにマダムローズは、ティアの父親が誰か知っている。
そして裏社会の女帝であるマダムローズは、ユザーナと多少交流がある。
が、良い印象を持っているわけではない。控えめに言って、意気地なし野郎と嫌っていたりする。
だからバザロフは、書簡をティアの母親代わりのマダムローズに届けるのことがとても気が進まなかったりもしたのだ。
「こんなもん持って来やがってっ」と、とばっちりを喰らうのは願い下げだったのだ。
という、そんな個人的な感情を捨て置いても、過去一度も父親の事を聞くことも、恋しいと思うこともなかったティアに、突然本当の父が現れたとしたら……。
ティアは混乱を極めるだろう。
当の本人が望んでもいないのに、無理矢理対面させるのは、できればグレンシスもバザロフも避けたかった。
だから内心【今かよ!?】と苦々しく思っていたのだ。
最後にもう一つ。ヴァージル国王陛下は、とても意地が悪かった。
ユザーナに気付かれては元も子もないので、このドッキリ計画をティアに話すのを強く2人に口止めしたのだ。
だからバザロフもグレンシスも、ティアに遠回しな説明しかできなかったのだ。
そういうわけで、ティアは移し身の術を軍事利用されると勝手に思い込み、その結果、悲観し無駄な覚悟を決めてここへ赴いてしまった……というわけであった。
「───……いい加減、戻ってこいユザーナ」
はるか遠くに意識を飛ばしているユザーナに声を掛けたのは国王陛下だった。
自分に向けてのものではなかったが、同じく迷宮に放り込まれたような気持ちでいたティアは、そこで意識を元に戻す。
そしてユザーナとティアは同時に国王陛下に視線を向ける。
「こんな場所ではゆっくり話も出来ぬだろう。もう中庭に茶の席が用意されている頃だ。そこで、積もる話をして来い。これは命令だ」
分かりやすくいえば、陛下の命令とは、親子水入らずでお茶を飲め。ということ。
もちろん、この国で最も偉い立場の人間からの命令は、断ることはできるわけがない。
ユザーナは、渋々ながら頷く。
そして、こんな煌びやかな謁見の間にいるのは、落ち着かなくて仕方がない。という理由で、ティアもこくりと頷いた。
次いで、ティアは国王陛下にぺこりと頭を下げ、出口へと身体の向きを変えようとした。が、
「ああ、あと言っておくがな、ティア」
「はい」
ついで、という感じで軽い口調で声を掛けられ、ティアは再び国王陛下に身体ごと向きを戻す。
「私にとってお前は、ユザーナの生き別れの娘で、アジェの友でしかない」
「?そうですか」
脈絡もなく何を言い出すんだと、ティアは首を傾げた。
そんなティアを見て、国王陛下はなぜか鼻で笑う。とても、わざとらしく。
「得体の知れない術など、私には興味もないし、今後、お前の術を必要とすることもない」
「……」
問答無用で呼びつけておいて、なかなかの暴言を吐いてくれる国王陛下に、ティアは無言でいる。
でも、口から出る言葉と、胸に抱えている感情がいつも同じであるとは限らないことも、ティアはちゃんと知っている。
それに、この国王陛下は、アジェーリアの父親なのだ。
優しい嘘を平然と吐ける人間だということだって、ちゃんとわかっている。
だからティアは、国王陛下ではなくアジェーリアの父親として玉座に居る男を見る。ほんの少し口元に弧を描いて。
「こんな小娘の力など、だれが求めるものか───だから安心して、親子の溝を埋めてこい」
「はい。よろしくお願いいたします」
下の句を無視して、上の句だけに返事をしたティアに、ヴァージルは国王陛下の顔に戻り鷹揚に頷いた。
以前も伝えたけれど、一通の国王陛下からの書簡から始まったこの出来事には、様々事情が複雑に絡み合っている。
でも、まず国王陛下が本気でティアが持つ移し身の術を軍事利用したいのであれば、本人に伺いを立てる必要などない。
問答無用で連れ去っても、良いことだったのだ。
なのに、わざわざ書簡を用意して、ティアに伺いを立てた。
それはひとえに、国王陛下が一個人として、ティアに会いたかったから。
ぶっちゃけて言えば、ティアとユザーナにドッキリを仕掛けたかったから。
さて、国王陛下の書簡に書いてあったのは、要約すると以下の通りだった。
【愛娘のアジェーリアとディモルトの挙式が無事に済み、かつ外交が以前より滑らかに進み始めたのは、供として同行したティアの功績でもある。だから、直々に礼を言いたい】
説明しなくても良いかもしれないが、以前、バザロフがティアに伝えた通りの内容だった。
まぁ、今考えてみればバザロフが、国益の為にティアが利用されるなど許すはずもない。
ティアに考える時間すら与える間もなく、持っている全ての権力と武力を持って、どこか遠くへ逃がすだろう。
それにバザロフと国王陛下ことヴァージルは旧知の仲でもある。だからバザロフは長年の信頼の下、ティアの身に危険がないことを確認してからこの書簡を受け取ったのだ。
突然だが、ユザーナとバザロフは犬猿の仲ではあるが、ヴァージル国王陛下からすれば、ユザーナはもっとも信頼できる家臣の一人であり、莫逆の友でもある。
そしてユザーナがティアの母親と知り合った経緯も、ティアが娼館で生まれ、未だにそこにいる理由も知っている。
ヴァージルは一国の主としてではなく子を持つ親の立場として、とてももどかしい思いを抱えていた。
とはいえユザーナは恐ろしい程に頑固者だった。
どんな説得を受けても、頑なにティアに会うことはしなかった。
そんな中、今だから話せることだが、実はオルドレイ国に嫁いだアジェ―リアは、ティアの為にもう一つ保険を掛けて、こんな手紙を王妃である母親に送っていた。
『初めての友達であるティアと、これからずっとずっとずぅーっと、堂々と文通ができる仲になりたいわー』と。
オルドレイ国のしきたりに則って耳飾りを贈り、長年仕えてくれた騎士にその後を託したとはいえ、やはり心配だったのだろう。おそらく後者の方で。
だからアジェーリアは末っ子の特権を使い、無茶ぶりに近いおねだりをした。
対してヴァージルは国王陛下ではあるが、その仮面を脱ぎ捨てれば、バザロフが呆れてしまうほどの親バカである。そして愛妻家でもある。
愛する妻と、末っ子の愛娘からのお願いとあれば、何が何でも叶えてあげたくなるのが親の心情で男の気概。
なにより、この十数年に及ぶ、親友のじれったい状況に終止符を打つ機会でもあった。
だからヴァージルは、グレンシスとバザロフにティア宛ての書簡を託した。
ユザーナに気付かれては元も子もないので、表向きの理由と、ティアの移し身の術に興味を持った、という体で。
その結果、まんまとティアはこの城に来た。そして、ユザーナと無事(?)対面を果たすことができたのだ。
さてでは、グレンシスとバザロフが、なぜこの一件を大変厄介で面倒な内容と思ったのか。
これもまた、騎士としての立場ではなく、個人的な理由から。
グレンシスはティアがロハン邸で療養している時に、バザロフからティアの過去も術のことも全て聞いていた。もちろん父親が誰であるかも。
なので、二人はティアの父親がユザーナであることは知っている。
知っているゆえに厄介だったのだ。
バザロフからすれば、長年の夢であるティアと共にバージンロードを歩くという夢が叶わない可能性がでてくるから。
そしてティアのことを想うグレンシスからすれば、ウィリスタリア国一、気難しいといわれており、かつバザロフと犬猿の仲であるユザーナと関わる機会が増えるだろうから。
ちなみにグレンシスは、バザロフから一目置かれる存在であることは、周知の事実。
なので、バザロフを除いた騎士の中でもっともユザーナから冷たい対応をされるのはグレンシスだったりもする。
そんな状態で、奇跡的にもティアを妻に娶ることになったら、重箱の隅を楊枝でほじくるような理由で反対されるかもしれない。
もっというなら東洋の表現で仁王像に挟まれて生きていくということ。そして正面には、この国のドンがいて……。
グレンシスは、もちろんそんなことくらいでティアへの想いを諦めるような弱虫ではない。
ないけれど、せめてせめて少しくらいティアとの関係を進めてから、この難題に挑みたかったというのも本音である。
ちなみにマダムローズは、ティアの父親が誰か知っている。
そして裏社会の女帝であるマダムローズは、ユザーナと多少交流がある。
が、良い印象を持っているわけではない。控えめに言って、意気地なし野郎と嫌っていたりする。
だからバザロフは、書簡をティアの母親代わりのマダムローズに届けるのことがとても気が進まなかったりもしたのだ。
「こんなもん持って来やがってっ」と、とばっちりを喰らうのは願い下げだったのだ。
という、そんな個人的な感情を捨て置いても、過去一度も父親の事を聞くことも、恋しいと思うこともなかったティアに、突然本当の父が現れたとしたら……。
ティアは混乱を極めるだろう。
当の本人が望んでもいないのに、無理矢理対面させるのは、できればグレンシスもバザロフも避けたかった。
だから内心【今かよ!?】と苦々しく思っていたのだ。
最後にもう一つ。ヴァージル国王陛下は、とても意地が悪かった。
ユザーナに気付かれては元も子もないので、このドッキリ計画をティアに話すのを強く2人に口止めしたのだ。
だからバザロフもグレンシスも、ティアに遠回しな説明しかできなかったのだ。
そういうわけで、ティアは移し身の術を軍事利用されると勝手に思い込み、その結果、悲観し無駄な覚悟を決めてここへ赴いてしまった……というわけであった。
「───……いい加減、戻ってこいユザーナ」
はるか遠くに意識を飛ばしているユザーナに声を掛けたのは国王陛下だった。
自分に向けてのものではなかったが、同じく迷宮に放り込まれたような気持ちでいたティアは、そこで意識を元に戻す。
そしてユザーナとティアは同時に国王陛下に視線を向ける。
「こんな場所ではゆっくり話も出来ぬだろう。もう中庭に茶の席が用意されている頃だ。そこで、積もる話をして来い。これは命令だ」
分かりやすくいえば、陛下の命令とは、親子水入らずでお茶を飲め。ということ。
もちろん、この国で最も偉い立場の人間からの命令は、断ることはできるわけがない。
ユザーナは、渋々ながら頷く。
そして、こんな煌びやかな謁見の間にいるのは、落ち着かなくて仕方がない。という理由で、ティアもこくりと頷いた。
次いで、ティアは国王陛下にぺこりと頭を下げ、出口へと身体の向きを変えようとした。が、
「ああ、あと言っておくがな、ティア」
「はい」
ついで、という感じで軽い口調で声を掛けられ、ティアは再び国王陛下に身体ごと向きを戻す。
「私にとってお前は、ユザーナの生き別れの娘で、アジェの友でしかない」
「?そうですか」
脈絡もなく何を言い出すんだと、ティアは首を傾げた。
そんなティアを見て、国王陛下はなぜか鼻で笑う。とても、わざとらしく。
「得体の知れない術など、私には興味もないし、今後、お前の術を必要とすることもない」
「……」
問答無用で呼びつけておいて、なかなかの暴言を吐いてくれる国王陛下に、ティアは無言でいる。
でも、口から出る言葉と、胸に抱えている感情がいつも同じであるとは限らないことも、ティアはちゃんと知っている。
それに、この国王陛下は、アジェーリアの父親なのだ。
優しい嘘を平然と吐ける人間だということだって、ちゃんとわかっている。
だからティアは、国王陛下ではなくアジェーリアの父親として玉座に居る男を見る。ほんの少し口元に弧を描いて。
「こんな小娘の力など、だれが求めるものか───だから安心して、親子の溝を埋めてこい」
「はい。よろしくお願いいたします」
下の句を無視して、上の句だけに返事をしたティアに、ヴァージルは国王陛下の顔に戻り鷹揚に頷いた。
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