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第二部 贅沢な10日間
12
しおりを挟む ティアは頭を下げたま、じっとその姿勢でいる。
カーテンを開け放たれた窓から陽の光が差し込み、メダリオン柄の絨毯に格子状の影を作る。そして自分の影のすぐ傍に、まったく動かない大きな人影が一つ。
ティアは両手を組み合わせながら、その人影に視線を固定している。今、とても怖くて、顔を上げることができないでいる。
瞬きを数えること18回。
腰を折り続ける姿勢に、ティアがほんの少しだけ苦痛を感じ始めた頃、
「……ふざけるな」
グレンシスがポツリと呟いた。
決して大声を上げたわけでもないのに、しんとした部屋にやけに大きく響いた。
そしてその声音は、これまで聞いたことがない程、怒りを滲ませた声だった。
ティアは息を呑む。と同時に、これまでピクリとも動かなかった大きな影が突然動いた。
「ふざけるなっ。そんな理由で、俺が諦めるかと思ったのか!?馬鹿にするな!」
───ダンッ。
弾かれたように顔を上げた瞬間、自分の顔の真横に衝撃が走った。
咄嗟にそこに視線を移せばグレンシスの手があった。
慌てて反対を向けは、すぐさま同じようにされてしまい、ティアは壁に追い詰められた形になってしまった。
「いいか、よく聞け。俺はお前が好きだ。責任感から、こんなことを口にしているわけでもないし、ましてや、気の迷いなんかじゃないっ。お前がどこで生まれ育っても、不思議な術を使う人間でも、そんなもの個性の一つにしか過ぎない。そんな理由で諦められるわけがないだろうっ。だいたい、お前は───」
グレンシスは壁に両手を付き、ティアをそこに抱え入れたまま、荒ぶる感情を投げつけていた。
けれど、ここで突然言葉を止めた。
なぜなら、突如としてティアが消えてしまったから。
ぎょっとして視線を下に移せば、雨の中、路地裏で蹲る仔猫のように震え、怯えてきったティアがいた。
「っす、すまない。また、怖がらせてしまったな」
「……いえ」
ティアは嘘を付いた。
ものすごく怖かった。これまで怒った彼も、不機嫌な彼もたくさん見てきたけれど、それらが全て生温く感じるほどの恐怖だった。
そして、ティアの怯えきった表情は、グレンシスの頭に冷水をぶっ掛けるくらいのインパクトを与えることができた。
たちまちグレンシスは、冷静さを取り乱す。次いで、もう何度目かわからない激しい後悔に襲われた。
「……本当に悪かった。……俺はどうやら、堪え性のない人間のようだな」
「……」
自嘲気味に笑うグレンシスを見て、ティアは唖然とした。
ついさっきまで感じでいた怯えてとか、恐怖が一目散に消えて、ただただ驚いた。
───嘘?!今頃、気づいた!?
てっきり自覚しての行動だと思っていたティアは、あまりの出来事にまじまじとグレンシスを見つめてしまう。
もちろん、ティアは今思っていることを、何一つ口に出してはいない。
ただ目は口ほどにものを言うと諺がある通り、グレンシスに伝わってしまっていたようだ。
「……お前、しっかり顔に出てるぞ」
グレンシスは苦い顔をしながら、ティアの鼻を軽くつまんだ。
バレたか。
ティアはバツが悪い表情を隠すことなく、視線をあらぬ方向に泳がした。そして少しだけ拗ねた表情を作った。
そんな軽いじゃれ合いをしても、ぎこちない空気になるような間柄ではなくなってしまった。お互いが、お互いのことを好きなのだから。
グレンシスが軽く笑って、ティアの鼻から手を離す。次いで、立ち上がりティアの隣に腰を下ろす。
2人とも壁に背を預けて同じ方向を見る。
ティアは、片側に足を流して横座りをして、グレンシスはあぐらを組んで。とても行儀が悪い。
でもさっきまでの怒涛のような空気はもう消えて、今は開館直後のメゾン・プレザンのように、嵐が去った後の静寂がある。
そんな中、最初に口を開いたのは、グレンシスだった。なぜかポケットに手を入れながら。
「ティア、手を貸せ」
「え?は、…はい」
てっきり長椅子に移動するのかと思い、ティアは素直にグレンシスに手を突き出した。
でも、ティアの手のひらに載せられたものは、大きな手ではく別の物だった。
「……これは?」
「やる。王女の耳飾りでも入れておけ」
ティアの手のひらにあるのは、桃色の宝石箱。
見た目も桃のようにころんとした丸い形で可愛らしい。そして縁には、アジェーリアと最後に乗った馬車と同じような金のリーフ模様の装飾が施されている。
「気に入ったか?」
「はい。とっても」
ティアは宝石箱をぎゅっと握りしめながら、素直に頷いた。
本当に嬉しかった。
アジェーリアから貰った友の証である片方だけの耳飾りは、すぐにティアの宝物になった。
帰路の馬車の中でも、ロハン邸でお世話になっている時でも何度も鞄から取り出して眺めるほどに。
───気付いていてくれていたんだ。
ティアは高価な物を贈られたことより、グレンシスの心遣いの方が嬉しかった。
ぐらりとティアの心の天秤が揺らぐ。
でもそれは、やっぱり揺らいだだけ。傾くことはなかった。
「グレンさま」
「ん?どうした、ティア」
「ワガママを言わせてください」
ティアはわざと明るい口調でいった。
反対にグレンシスは、ティアが次に何をいうのかわかっているのだろう。
死刑宣告を受けたかのように、青ざめた。
けれどティアは、思いとどまることはしない。サクランボ色の唇を動かす。
「メゾン・プレザンに帰らせてください」
ティアの言葉にグレンシスは切なそうに眉を寄せる。しかし、それは一瞬の間。
「ティア、お前がそれを望むなら、叶えよう」
顔を横に向ければ、今にも泣きそうに微笑むグレンシスがいた。
今まで見た中で、一番胸を締め付けられるほどの綺麗な微笑みだった。
ティアが先日、この屋敷の庭で置いていかれそうになった時、ほんの少しだけで良いから、自分に気持ちを向けて欲しいと願ったことは偽りではなかった。
振り返ってくれて嬉しかったことも。
自分の欠点を指摘されたのに、優しい言葉を掛けてくれて泣きたくなったことも。
それはちゃんと伝えるべきこと。ティアは、そう思った。
「私は一生誰とも結婚をしません。でも一生分の恋をあなたにできて私は幸せでした。ありがとうございます、グレンさま。こんな私を好きになってくれて」
今日、ここで終わりにする。でも、この全部をなかったことにはしたくなかった。
だからティアは、さよならの替わりに「ありがとう」と言った。
そして宝石箱を膝に置き、グレンシスの手をそっと握りしめる。暖かくて、大きな手。剣だこのある美しい手。
この手に触れるのも、触れられるのも、今日で最後。
そう思ったら、ティアは気付けばその手を持ち上げ、指先に唇を押し当てていた。
グレンシスが反対の手で、ティアの髪に触れる。そして2.3回、手櫛で髪を梳き、そのまま自身の胸にティアを引き寄せた。
「……でもなぁ、ティア。俺はそんなワガママ、聞きたくなんかなかったよ」
真っ暗な温もりの中、そんな言葉が耳朶を刺す。
ティアは何も言わなかった。
「ありがとう」は、もう言ったし、「ごめんなさい」は絶対に言いたくないから。
同じようにグレンシスも何も言わなかった。
ただ無言でティアの頬を手の甲で撫でる。次いでその手は、翡翠色の瞳を覆った。
対してティアは、従順に目を閉じる。そうすればどうなるのか知っていて。
「……ティア、好きだ」
吐息混じりにグレンシスはそう囁き、ティアの唇にそっと自分の唇を重ねた。
唇を重ねる直前のグレンシスのその眼差しは、愛しき人を想う哀しさに満ちていた。
ティアがロハン邸に居たのは10日。
それを長いと思うか、短いと思うかは、人それぞれ。
だけれども、夢のような時間に終わりを告げたことは間違いない。
カーテンを開け放たれた窓から陽の光が差し込み、メダリオン柄の絨毯に格子状の影を作る。そして自分の影のすぐ傍に、まったく動かない大きな人影が一つ。
ティアは両手を組み合わせながら、その人影に視線を固定している。今、とても怖くて、顔を上げることができないでいる。
瞬きを数えること18回。
腰を折り続ける姿勢に、ティアがほんの少しだけ苦痛を感じ始めた頃、
「……ふざけるな」
グレンシスがポツリと呟いた。
決して大声を上げたわけでもないのに、しんとした部屋にやけに大きく響いた。
そしてその声音は、これまで聞いたことがない程、怒りを滲ませた声だった。
ティアは息を呑む。と同時に、これまでピクリとも動かなかった大きな影が突然動いた。
「ふざけるなっ。そんな理由で、俺が諦めるかと思ったのか!?馬鹿にするな!」
───ダンッ。
弾かれたように顔を上げた瞬間、自分の顔の真横に衝撃が走った。
咄嗟にそこに視線を移せばグレンシスの手があった。
慌てて反対を向けは、すぐさま同じようにされてしまい、ティアは壁に追い詰められた形になってしまった。
「いいか、よく聞け。俺はお前が好きだ。責任感から、こんなことを口にしているわけでもないし、ましてや、気の迷いなんかじゃないっ。お前がどこで生まれ育っても、不思議な術を使う人間でも、そんなもの個性の一つにしか過ぎない。そんな理由で諦められるわけがないだろうっ。だいたい、お前は───」
グレンシスは壁に両手を付き、ティアをそこに抱え入れたまま、荒ぶる感情を投げつけていた。
けれど、ここで突然言葉を止めた。
なぜなら、突如としてティアが消えてしまったから。
ぎょっとして視線を下に移せば、雨の中、路地裏で蹲る仔猫のように震え、怯えてきったティアがいた。
「っす、すまない。また、怖がらせてしまったな」
「……いえ」
ティアは嘘を付いた。
ものすごく怖かった。これまで怒った彼も、不機嫌な彼もたくさん見てきたけれど、それらが全て生温く感じるほどの恐怖だった。
そして、ティアの怯えきった表情は、グレンシスの頭に冷水をぶっ掛けるくらいのインパクトを与えることができた。
たちまちグレンシスは、冷静さを取り乱す。次いで、もう何度目かわからない激しい後悔に襲われた。
「……本当に悪かった。……俺はどうやら、堪え性のない人間のようだな」
「……」
自嘲気味に笑うグレンシスを見て、ティアは唖然とした。
ついさっきまで感じでいた怯えてとか、恐怖が一目散に消えて、ただただ驚いた。
───嘘?!今頃、気づいた!?
てっきり自覚しての行動だと思っていたティアは、あまりの出来事にまじまじとグレンシスを見つめてしまう。
もちろん、ティアは今思っていることを、何一つ口に出してはいない。
ただ目は口ほどにものを言うと諺がある通り、グレンシスに伝わってしまっていたようだ。
「……お前、しっかり顔に出てるぞ」
グレンシスは苦い顔をしながら、ティアの鼻を軽くつまんだ。
バレたか。
ティアはバツが悪い表情を隠すことなく、視線をあらぬ方向に泳がした。そして少しだけ拗ねた表情を作った。
そんな軽いじゃれ合いをしても、ぎこちない空気になるような間柄ではなくなってしまった。お互いが、お互いのことを好きなのだから。
グレンシスが軽く笑って、ティアの鼻から手を離す。次いで、立ち上がりティアの隣に腰を下ろす。
2人とも壁に背を預けて同じ方向を見る。
ティアは、片側に足を流して横座りをして、グレンシスはあぐらを組んで。とても行儀が悪い。
でもさっきまでの怒涛のような空気はもう消えて、今は開館直後のメゾン・プレザンのように、嵐が去った後の静寂がある。
そんな中、最初に口を開いたのは、グレンシスだった。なぜかポケットに手を入れながら。
「ティア、手を貸せ」
「え?は、…はい」
てっきり長椅子に移動するのかと思い、ティアは素直にグレンシスに手を突き出した。
でも、ティアの手のひらに載せられたものは、大きな手ではく別の物だった。
「……これは?」
「やる。王女の耳飾りでも入れておけ」
ティアの手のひらにあるのは、桃色の宝石箱。
見た目も桃のようにころんとした丸い形で可愛らしい。そして縁には、アジェーリアと最後に乗った馬車と同じような金のリーフ模様の装飾が施されている。
「気に入ったか?」
「はい。とっても」
ティアは宝石箱をぎゅっと握りしめながら、素直に頷いた。
本当に嬉しかった。
アジェーリアから貰った友の証である片方だけの耳飾りは、すぐにティアの宝物になった。
帰路の馬車の中でも、ロハン邸でお世話になっている時でも何度も鞄から取り出して眺めるほどに。
───気付いていてくれていたんだ。
ティアは高価な物を贈られたことより、グレンシスの心遣いの方が嬉しかった。
ぐらりとティアの心の天秤が揺らぐ。
でもそれは、やっぱり揺らいだだけ。傾くことはなかった。
「グレンさま」
「ん?どうした、ティア」
「ワガママを言わせてください」
ティアはわざと明るい口調でいった。
反対にグレンシスは、ティアが次に何をいうのかわかっているのだろう。
死刑宣告を受けたかのように、青ざめた。
けれどティアは、思いとどまることはしない。サクランボ色の唇を動かす。
「メゾン・プレザンに帰らせてください」
ティアの言葉にグレンシスは切なそうに眉を寄せる。しかし、それは一瞬の間。
「ティア、お前がそれを望むなら、叶えよう」
顔を横に向ければ、今にも泣きそうに微笑むグレンシスがいた。
今まで見た中で、一番胸を締め付けられるほどの綺麗な微笑みだった。
ティアが先日、この屋敷の庭で置いていかれそうになった時、ほんの少しだけで良いから、自分に気持ちを向けて欲しいと願ったことは偽りではなかった。
振り返ってくれて嬉しかったことも。
自分の欠点を指摘されたのに、優しい言葉を掛けてくれて泣きたくなったことも。
それはちゃんと伝えるべきこと。ティアは、そう思った。
「私は一生誰とも結婚をしません。でも一生分の恋をあなたにできて私は幸せでした。ありがとうございます、グレンさま。こんな私を好きになってくれて」
今日、ここで終わりにする。でも、この全部をなかったことにはしたくなかった。
だからティアは、さよならの替わりに「ありがとう」と言った。
そして宝石箱を膝に置き、グレンシスの手をそっと握りしめる。暖かくて、大きな手。剣だこのある美しい手。
この手に触れるのも、触れられるのも、今日で最後。
そう思ったら、ティアは気付けばその手を持ち上げ、指先に唇を押し当てていた。
グレンシスが反対の手で、ティアの髪に触れる。そして2.3回、手櫛で髪を梳き、そのまま自身の胸にティアを引き寄せた。
「……でもなぁ、ティア。俺はそんなワガママ、聞きたくなんかなかったよ」
真っ暗な温もりの中、そんな言葉が耳朶を刺す。
ティアは何も言わなかった。
「ありがとう」は、もう言ったし、「ごめんなさい」は絶対に言いたくないから。
同じようにグレンシスも何も言わなかった。
ただ無言でティアの頬を手の甲で撫でる。次いでその手は、翡翠色の瞳を覆った。
対してティアは、従順に目を閉じる。そうすればどうなるのか知っていて。
「……ティア、好きだ」
吐息混じりにグレンシスはそう囁き、ティアの唇にそっと自分の唇を重ねた。
唇を重ねる直前のグレンシスのその眼差しは、愛しき人を想う哀しさに満ちていた。
ティアがロハン邸に居たのは10日。
それを長いと思うか、短いと思うかは、人それぞれ。
だけれども、夢のような時間に終わりを告げたことは間違いない。
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