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第一部 王女様のお輿入れ
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グレンシスは、この状況を打破する為に御者席に向かっていた。
そしてすぐに、御者と入れ替わってしまった反逆者の姿を視界に納める。
2名いた。一人は馬を御することに専念し、もう一人はその護衛のようだ。剣を向け近づくグレンシスをけん制している。
けれど、グレンシスはそれに怯むことなく剣を振り上げ、御者に……ではなく、馬車と馬を繋ぐハーネスの部分を切り落とした。
御者に刃を向けなかったのは、なけなしの良心が、まだグレンシスの中に残っていたからだ。
ただ、運の悪いことに王女が乗る馬車の馬は、王宮で用意した選りすぐりの脚の強い馬でもあった。
ハーネスを切断した馬は、どこかに走り去ってしまった。
だが、二頭立ての馬車であったのが災いして、一頭になってしまった馬車でも速度は落ちても止まることはない。
───こうなったら御者を引きずり降ろして、自分が馬車を御するしかないか。
素早く判断を下したグレンシスは、馬車に飛び移ろうとした。
が、そう思った途端、思わぬ方向から刃が飛んできた。
咄嗟にグレンシスは、馬の手綱を手に戻してそれを避ける。
そして体制を整えて、剣を構えた瞬間、再び刃が飛んできた。
今度はちゃんと剣筋を読めていたので、的確に自分の剣で受けとめる。
キンッと、拮抗した刃の音が弾き、再び、激しくぶつかり合う。
けれど御者に徹している反逆者は、目的地に向かい一心不乱に馬を御している。
「……ちっ、往生際の悪いっ」
グレンシスは、騎士にあるまじき言葉を吐く。
そうしていながらも、剣を持つ手は動き続けている。
御者を護衛している者はかなりの手練れだったのだ。
これだけのスピードで移動しながらも、まるでしっかりと地に足がついたような動きで、的確にグレンシスの急所を狙ってくる。
しかも飛び道具まで使うときたものだ。厄介なこと、この上ない。
グレンシスだって、かなりの剣の使い手だ。
だが、この反逆者達の息の根を止めずに仕留めるのは、かなり面倒なこと。
これでは真っ向から対峙しても、無駄に時間を要してしまうだけだった。
それに、この反逆者達は、対抗するよりも逃げることに重きを置いているようだ。それは、この馬車の目的地はかなり近いということ。
きっとこの先に、残りの反逆者達が待ち構えているのかもしれない。
そこまで考えてグレンシスは、すぐに思考を切り替えた。
今は、反逆者を捉えることが優先ではない。
馬車に居る二人の身の安全が何より大事だ。
グレンシスは、速度を少し緩め、馬車の扉の前に移動した。
***
一方、へばりつくように窓から外の様子を伺っていてたティアは、再びグレンシスが窓に映り、ほっとする。
ついさっき、馬車がものすごく揺れたのだ。
それは、前方──御者席付近で何かがあったということ。
ただ何があったのかはわからない。
そして、こんな状況だと、悪いことしか考えられない。
もしかして、グレンシスの身に何かあったのかと、ティアは縁起でもないことを考えてしまったのだ。
焦るティアに、アジェーリアは心配するなと声をかけたが、ティアの耳には全く届いていなかった。
奈落の底へ突き落されるかのような激しい恐怖を感じていた。
「騎士様っ」
再び、グレンシスを視界に納めることができて、ティアは感情が高ぶり、思わず声を上げる。
その声が届いたのか、グレンシスはティアに視線を向けた。
けれどそれは一瞬のこと。グレンシスは、すぐに扉を開けようと手を伸ばす。
馬上しながら、それをするのはかなり器用なことだ。
ところが、ガチャガチャと音がするだけで、何かが邪魔をして片手で開けることに難儀しているようだった。舌打ちしているのが、ティアの目にしっかりと映る。
思わず粗野なグレンシスもまたカッコいいとティアは思ってしまうけれど、今はそれに気持ちを向けるべきじゃない。
アシストのつもりでティアも内側から開けようとするが、やっぱり扉は何かに引っかかって開くことができなかった。
状況は一刻も争う緊急事態。
そして、グレンシスはご存知の通り、気の長い性格ではなかった。
「───離れていろっ」
唇だけを動かして、グレンシスはティアとアジェーリアに訴える。
そして返事を待たずに、長い足を鐙から外し、勢いよく扉に向かって蹴り上げようとした。
咄嗟にティアは、アジェーリアの身体を抱き込んだ。
グレンシスのあの勢いでは、馬車の扉を粉砕しかねない。
移し身の術を使うことに抵抗は一切ないけれど、アジェーリアに痛い思いをさせたくはない。
───ガシンっ
耳をつんざくほどの大音量の後、夜露をはらんだ風が車内に入り込む。
グレンシスの蹴り方が上手かったのか、それとも蝶番が優秀だったのかはわからないけれど、扉はなんとか馬車にくっついてくれている。
今にも外れてしまいそうだけれど。
舞い上がった髪を押さえながらティアが、扉の方に視線を向ければ、グレンシスが馬で並走していた。
ただ、見る限り騎士はグレンシス一人しかいない。
背後からは剣と剣がぶつかり合う音が未だに続いている。
「早くっ」
こちらに来いと、グレンシスは手を伸ばしている。
その焦燥とした様子を見るに、きっとこの馬車に反逆者がまだいるのだろう。もしかして、その先にも。
そんな中、グレンシスが自分とアジェーリア、二人を抱えて軍勢をつっ切るのは至難の業だ。
なら、こうするしかない。
ティアはすぐに決断した。
「アジェーリアさま、ご無礼をお許しください」
ティアは未だ着席しているアジェーリアの腕を引っ張り、腰を浮かせることに成功すると、そのまま身体を反転させその背後に回る。そしてアジェーリアの背を渾身の力で突き飛ばした。
反対にアジェーリアは、ティアのことを自前の護身術でひっくり返る、どんくさい小娘だと侮っていたのだろう。
まんまと背後をとられ、あっさりと馬車の外に放りだされてしまった。
けれどすぐに、無事、グレンシスの腕の中に王女は収納される。
それを見届けてティアがほっとしたは、つかの間だった。
今度は扉から身を乗り出し、グレンシスに向かって声を張り上げる。
「騎士様さま、ちょっと邪魔だから離れていてください」
「あ゛ぁ!?」
当然のようにティアをも受け止めようとしていたグレンシスは、騎士として如何なものかと思う唸り声をあげた。
身の毛がよだつそれを聞いたティアは、無視を決め込み、前方だけに意識を向ける。
そうすれば、すぐにティアが求めているもの───良い感じに育った木の枝が視界に入った。
ティアは、戸惑うことなく馬車から身を投げ出し枝を両手で掴む。
次いで馬車が走り去るのを確認して、勢いよく枝から飛び降りた。
これまで見てきた通り、ティアは引きこもりだけれど、決して運動音痴ではない。
そして、長年マダムローズの伝令係をしているおかげで、迷路のようなメゾン・プレザンを、誰よりも素早く移動できる特技がある。
それは、館の構造を誰よりも理解しているからというのもあるけれど、窓から窓。窓から屋根といった感じで、ティアだけに使える裏道があるから。
だから身軽なティアなら、軽業師のように馬車から木の枝に飛び移り、そのまま着地するのなど容易なことだった。
……ピンヒールさえ、履いていなければ。
そしてすぐに、御者と入れ替わってしまった反逆者の姿を視界に納める。
2名いた。一人は馬を御することに専念し、もう一人はその護衛のようだ。剣を向け近づくグレンシスをけん制している。
けれど、グレンシスはそれに怯むことなく剣を振り上げ、御者に……ではなく、馬車と馬を繋ぐハーネスの部分を切り落とした。
御者に刃を向けなかったのは、なけなしの良心が、まだグレンシスの中に残っていたからだ。
ただ、運の悪いことに王女が乗る馬車の馬は、王宮で用意した選りすぐりの脚の強い馬でもあった。
ハーネスを切断した馬は、どこかに走り去ってしまった。
だが、二頭立ての馬車であったのが災いして、一頭になってしまった馬車でも速度は落ちても止まることはない。
───こうなったら御者を引きずり降ろして、自分が馬車を御するしかないか。
素早く判断を下したグレンシスは、馬車に飛び移ろうとした。
が、そう思った途端、思わぬ方向から刃が飛んできた。
咄嗟にグレンシスは、馬の手綱を手に戻してそれを避ける。
そして体制を整えて、剣を構えた瞬間、再び刃が飛んできた。
今度はちゃんと剣筋を読めていたので、的確に自分の剣で受けとめる。
キンッと、拮抗した刃の音が弾き、再び、激しくぶつかり合う。
けれど御者に徹している反逆者は、目的地に向かい一心不乱に馬を御している。
「……ちっ、往生際の悪いっ」
グレンシスは、騎士にあるまじき言葉を吐く。
そうしていながらも、剣を持つ手は動き続けている。
御者を護衛している者はかなりの手練れだったのだ。
これだけのスピードで移動しながらも、まるでしっかりと地に足がついたような動きで、的確にグレンシスの急所を狙ってくる。
しかも飛び道具まで使うときたものだ。厄介なこと、この上ない。
グレンシスだって、かなりの剣の使い手だ。
だが、この反逆者達の息の根を止めずに仕留めるのは、かなり面倒なこと。
これでは真っ向から対峙しても、無駄に時間を要してしまうだけだった。
それに、この反逆者達は、対抗するよりも逃げることに重きを置いているようだ。それは、この馬車の目的地はかなり近いということ。
きっとこの先に、残りの反逆者達が待ち構えているのかもしれない。
そこまで考えてグレンシスは、すぐに思考を切り替えた。
今は、反逆者を捉えることが優先ではない。
馬車に居る二人の身の安全が何より大事だ。
グレンシスは、速度を少し緩め、馬車の扉の前に移動した。
***
一方、へばりつくように窓から外の様子を伺っていてたティアは、再びグレンシスが窓に映り、ほっとする。
ついさっき、馬車がものすごく揺れたのだ。
それは、前方──御者席付近で何かがあったということ。
ただ何があったのかはわからない。
そして、こんな状況だと、悪いことしか考えられない。
もしかして、グレンシスの身に何かあったのかと、ティアは縁起でもないことを考えてしまったのだ。
焦るティアに、アジェーリアは心配するなと声をかけたが、ティアの耳には全く届いていなかった。
奈落の底へ突き落されるかのような激しい恐怖を感じていた。
「騎士様っ」
再び、グレンシスを視界に納めることができて、ティアは感情が高ぶり、思わず声を上げる。
その声が届いたのか、グレンシスはティアに視線を向けた。
けれどそれは一瞬のこと。グレンシスは、すぐに扉を開けようと手を伸ばす。
馬上しながら、それをするのはかなり器用なことだ。
ところが、ガチャガチャと音がするだけで、何かが邪魔をして片手で開けることに難儀しているようだった。舌打ちしているのが、ティアの目にしっかりと映る。
思わず粗野なグレンシスもまたカッコいいとティアは思ってしまうけれど、今はそれに気持ちを向けるべきじゃない。
アシストのつもりでティアも内側から開けようとするが、やっぱり扉は何かに引っかかって開くことができなかった。
状況は一刻も争う緊急事態。
そして、グレンシスはご存知の通り、気の長い性格ではなかった。
「───離れていろっ」
唇だけを動かして、グレンシスはティアとアジェーリアに訴える。
そして返事を待たずに、長い足を鐙から外し、勢いよく扉に向かって蹴り上げようとした。
咄嗟にティアは、アジェーリアの身体を抱き込んだ。
グレンシスのあの勢いでは、馬車の扉を粉砕しかねない。
移し身の術を使うことに抵抗は一切ないけれど、アジェーリアに痛い思いをさせたくはない。
───ガシンっ
耳をつんざくほどの大音量の後、夜露をはらんだ風が車内に入り込む。
グレンシスの蹴り方が上手かったのか、それとも蝶番が優秀だったのかはわからないけれど、扉はなんとか馬車にくっついてくれている。
今にも外れてしまいそうだけれど。
舞い上がった髪を押さえながらティアが、扉の方に視線を向ければ、グレンシスが馬で並走していた。
ただ、見る限り騎士はグレンシス一人しかいない。
背後からは剣と剣がぶつかり合う音が未だに続いている。
「早くっ」
こちらに来いと、グレンシスは手を伸ばしている。
その焦燥とした様子を見るに、きっとこの馬車に反逆者がまだいるのだろう。もしかして、その先にも。
そんな中、グレンシスが自分とアジェーリア、二人を抱えて軍勢をつっ切るのは至難の業だ。
なら、こうするしかない。
ティアはすぐに決断した。
「アジェーリアさま、ご無礼をお許しください」
ティアは未だ着席しているアジェーリアの腕を引っ張り、腰を浮かせることに成功すると、そのまま身体を反転させその背後に回る。そしてアジェーリアの背を渾身の力で突き飛ばした。
反対にアジェーリアは、ティアのことを自前の護身術でひっくり返る、どんくさい小娘だと侮っていたのだろう。
まんまと背後をとられ、あっさりと馬車の外に放りだされてしまった。
けれどすぐに、無事、グレンシスの腕の中に王女は収納される。
それを見届けてティアがほっとしたは、つかの間だった。
今度は扉から身を乗り出し、グレンシスに向かって声を張り上げる。
「騎士様さま、ちょっと邪魔だから離れていてください」
「あ゛ぁ!?」
当然のようにティアをも受け止めようとしていたグレンシスは、騎士として如何なものかと思う唸り声をあげた。
身の毛がよだつそれを聞いたティアは、無視を決め込み、前方だけに意識を向ける。
そうすれば、すぐにティアが求めているもの───良い感じに育った木の枝が視界に入った。
ティアは、戸惑うことなく馬車から身を投げ出し枝を両手で掴む。
次いで馬車が走り去るのを確認して、勢いよく枝から飛び降りた。
これまで見てきた通り、ティアは引きこもりだけれど、決して運動音痴ではない。
そして、長年マダムローズの伝令係をしているおかげで、迷路のようなメゾン・プレザンを、誰よりも素早く移動できる特技がある。
それは、館の構造を誰よりも理解しているからというのもあるけれど、窓から窓。窓から屋根といった感じで、ティアだけに使える裏道があるから。
だから身軽なティアなら、軽業師のように馬車から木の枝に飛び移り、そのまま着地するのなど容易なことだった。
……ピンヒールさえ、履いていなければ。
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