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第一部 俺様騎士と悟りの少女
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ティアは扉を開ける。
引き留めたい気持ちは強くあるけれど、バザロフはティアに対して嘘をつかない。
だから、バザロフが忙しいのは本当のことなのだろう。
物わかりの良いティアは、自分のワガママでバザロフを困らせたいとは思っていない。
「本日は、表から帰られますか?」
「いや、裏からだ。今日は護衛付きなもんでな。目立たない方が良いだろう」
「かしこまりました」
メゾン・プレザンの入り口は、表向きは一つだけしかない。
けれど、マダムローズが認めた最上位の客に限っては、裏口から帰ることもできる。
二間続きの部屋を使えるバザロフも、もちろんその上客の一人。
ただバザロフは、その日の気分というか、状況に応じて出入り口を使い分けるので、その都度、確認する必要がある。
「……では、そこまでお見送りさせてください」
ティアの口調は、寂しさの中に、少し甘えるものが混ざっていた。
バザロフは、不定期にここへ訪れる。
今は雨期の終わり。そろそろ初夏へと季節は向かう。
長雨は、バザロフに疼くような古傷の痛みを与えるが、ティアには嬉しい訪れを与えてくれる。
逆に言えば雨期が過ぎれば、バザロフは娼館に足を向ける回数が減ってしまうのだ。
だからこそティアは、今日は少しでも長くバザロフと一緒に居たかった。
「ああ、共に行こう」
すべてわかっていると言いたげに目を細めて頷いたバザロフは、ティアに剣を渡す。
ティアはそれをうやうやしく受け取る。そして並んで廊下へ出た。
ティアと並んで歩いているバザロフは、普段の歩幅にならないよう慎重に歩みを進める。
なにせ隣にいるティアはとても小さい。必然的に歩幅も狭いので、うっかりするとティアを走らせてしまうことになるから。
しかも、バザロフの剣は、一般的な騎士が持つ剣より長く重い。
それを抱えているティアには、小走りであっても、とても酷なことだろう。
そんな理由から、ほんの少しだけぎこちなく歩くバザロフは、人知れず溜息を付く。
王城が厄介事を抱えているのは間違いない。けれど、それよりバザロフにはもっと深刻な悩みがあった。
娘盛りになったティアだけれども、結婚願望が欠片もないのだ。
バージンロードのエスコートは是が非でも自分が、と常日頃から強く望んでいるバザロフとしては、これは由々しき問題だったりする。
「ティア、最近……どうだ?」
「はい。変わらず過ごしています」
「……そうか」
つっけんどんと思えるほど淡々と答えたティアに、バザロフはやれやれと肩をすくめる。
けれど再び口を開いた。
うぉっほん、うぉっほん、とわざとらしい咳ばらいを何度かしてから。
「その……最近入ったロムは……そのどうだ?」
「そうですね。まだまだ、迷子になることはありますが、3回に1回は自力で戻ってくるようになったので、探しに行く手間が減って助かります」
「いや……そうではなく……」
「なんでしょうか?」
「……いや、なんでもない」
小動物を思わせるティアのくりくりとした瞳にじっと見つめられて、バザロフは視線をあらぬ方向に泳がせる。
けれど、その表情は、やれやれといわんばかりの露骨なもの。
面と向かってティアに、いい加減、恋の一つでもしてみろとか、お見合いでもしてみろなどとは口が裂けても言うことができない。
バザロフは怖がられる側の存在ではあるが、一応、人間だ。
だから怖いものだって、多少はある。
それは、ティアにウザがられること。ティアに嫌われること。ティアに『黙れ、くそジジイ』と罵られること。
鬼神と謳われたバザロフであったが、どうにもこうにもティアには弱いのだ。
***
反対にティアは、バザロフが遠回しに身を固めろと言っているのは、痛いほどわかっていた。
けれど、ティアは全力でそれに気付かないフリをしている。
一年前にバザロフがマダムローズに切々とティアの結婚相手について語っているのを耳にしてからは特に。
ティアに結婚願望がないのは、自分の生い立ちが影響している。
5歳の時に母親が死んで、身寄りがないこと。娼館の娘であること。そして移し身の術が使えること。
その全てがティアを結婚から遠ざけている理由だ。
バザロフはずっとティアに、色々と便宜を図ってくれている。自分の娘のように大切に思ってくれているのもわかっている。
きっと、結婚できない理由を並べ立てたら、権力と腕力でティアの憂いも迷いも取り払ってくれるだろう。
でも、ティアはそれが一番困る。
もう結婚をしないと決めたのだ。
決めたことを覆すのは、ティアはとても苦手なことだった。
自分の人生を左右することなら、特に。
だからティアはバザロフが諦めてくれることを必死に祈っている。
それは狡いことかもしれないが、一番お互いが傷付かないことだとも思っている。
そんなふうにティアが言葉にできない思いを胸の中で呟きながら歩いていれば、あっという間に二人は裏口へと到着した。
「どうぞお気を付けてお帰りください」
バザロフとティアの姿を視界に収めた途端、バトラーが恭しく裏口の扉を開ける。
「では、ティア。またな」
「……はい。バザロフさま」
ティアはバザロフに剣を渡す。
それを片手で受け取ったバザロフは、ティアの頭をくしゃりと撫でて裏庭に足を向けた。
倍の歩幅で歩き出したバザロフをぼんやりと見送ってていたティアだけれど───
「………あ」
短い言葉を吐いた後、、ティアはものの見事に固まった。
裏庭と呼んでいいのかわからない貧相な庭に、一台の馬車があった。
そして、それとは別に一頭の馬と一人の騎士がいたから。
その騎士は、夜の森のような艶のある深緑色の髪だった。
そして意志の強そうな眉。整いすぎた目鼻立ち。控えめに言って、まばゆい程に美しい青年だった。3年前よりも更に。
バザロフよりこぶし2つ分低いけれど、それでも長身の部類に入る。無駄のない筋肉で覆われた体は、まるで彫刻のように美しかった。
───嘘みたい。また…会えるなんて。
ティアは心の中で呟いた。
3年ぶりの再会の場所は、ティアがもっとも望んでいない娼館だった。
けれど騎士は娼婦目当てではなく、父親代わりのバザロフの護衛でティアの目の前に現れたのだ。
こんな再会、想像すらしていなかった。
嬉しい。嬉しいっ。嬉しい!!
ティアの口元がほんの少しだけ弧を描く。
その瞬間、騎士と目が合った。
一瞬だけ見つめられたその瞳は、水のようなひんやりとしていて、それでいて潔い美しさを持つ色だった。
トクンとティアの心の臓が跳ねた。
緊張しすぎて、うまく息ができない。頭がくらくらする。
それでもティアはありったけの勇気をかき集めて、小さく会釈をした。
ギジギジと音がしそうな程、ぎこちなく。
だがティアの姿をしっかり視界に収めたはずの騎士は、会釈を返すこともなく、完璧な所作でティアに背を向けた。
ふわりと舞うマントは、あの日と同じ艶やかな深紅。
国中……いや、世界中探しても、こんなに美しい姿の騎士はいないだろう。
けれど、それを見つめるティアの頬は引きつっていた。
騎士はあろうことか、ティアに背を向ける直前、眉間に皺を寄せたのだ。
まるで汚いものを見るかのように。
騎士はティアのことを覚えていなかったのだ。
精一杯の勇気が砕け散った。そして、惨めだった。無様だった。
つんと鼻の奥が痛くなる。
でもティアは泣く代わりに、精一杯の虚勢を口にした。
「……なによ。お高くとまりやがって。いけすかないヤツ」
「あのティアが、あんな顔をするとは……な」
一方、馬車の中でその一部始終を見ていたバザロフは、人知れずほくそ笑んだ。
その笑みは、あたかも起死回生の奇襲が成功したかのようだった。
引き留めたい気持ちは強くあるけれど、バザロフはティアに対して嘘をつかない。
だから、バザロフが忙しいのは本当のことなのだろう。
物わかりの良いティアは、自分のワガママでバザロフを困らせたいとは思っていない。
「本日は、表から帰られますか?」
「いや、裏からだ。今日は護衛付きなもんでな。目立たない方が良いだろう」
「かしこまりました」
メゾン・プレザンの入り口は、表向きは一つだけしかない。
けれど、マダムローズが認めた最上位の客に限っては、裏口から帰ることもできる。
二間続きの部屋を使えるバザロフも、もちろんその上客の一人。
ただバザロフは、その日の気分というか、状況に応じて出入り口を使い分けるので、その都度、確認する必要がある。
「……では、そこまでお見送りさせてください」
ティアの口調は、寂しさの中に、少し甘えるものが混ざっていた。
バザロフは、不定期にここへ訪れる。
今は雨期の終わり。そろそろ初夏へと季節は向かう。
長雨は、バザロフに疼くような古傷の痛みを与えるが、ティアには嬉しい訪れを与えてくれる。
逆に言えば雨期が過ぎれば、バザロフは娼館に足を向ける回数が減ってしまうのだ。
だからこそティアは、今日は少しでも長くバザロフと一緒に居たかった。
「ああ、共に行こう」
すべてわかっていると言いたげに目を細めて頷いたバザロフは、ティアに剣を渡す。
ティアはそれをうやうやしく受け取る。そして並んで廊下へ出た。
ティアと並んで歩いているバザロフは、普段の歩幅にならないよう慎重に歩みを進める。
なにせ隣にいるティアはとても小さい。必然的に歩幅も狭いので、うっかりするとティアを走らせてしまうことになるから。
しかも、バザロフの剣は、一般的な騎士が持つ剣より長く重い。
それを抱えているティアには、小走りであっても、とても酷なことだろう。
そんな理由から、ほんの少しだけぎこちなく歩くバザロフは、人知れず溜息を付く。
王城が厄介事を抱えているのは間違いない。けれど、それよりバザロフにはもっと深刻な悩みがあった。
娘盛りになったティアだけれども、結婚願望が欠片もないのだ。
バージンロードのエスコートは是が非でも自分が、と常日頃から強く望んでいるバザロフとしては、これは由々しき問題だったりする。
「ティア、最近……どうだ?」
「はい。変わらず過ごしています」
「……そうか」
つっけんどんと思えるほど淡々と答えたティアに、バザロフはやれやれと肩をすくめる。
けれど再び口を開いた。
うぉっほん、うぉっほん、とわざとらしい咳ばらいを何度かしてから。
「その……最近入ったロムは……そのどうだ?」
「そうですね。まだまだ、迷子になることはありますが、3回に1回は自力で戻ってくるようになったので、探しに行く手間が減って助かります」
「いや……そうではなく……」
「なんでしょうか?」
「……いや、なんでもない」
小動物を思わせるティアのくりくりとした瞳にじっと見つめられて、バザロフは視線をあらぬ方向に泳がせる。
けれど、その表情は、やれやれといわんばかりの露骨なもの。
面と向かってティアに、いい加減、恋の一つでもしてみろとか、お見合いでもしてみろなどとは口が裂けても言うことができない。
バザロフは怖がられる側の存在ではあるが、一応、人間だ。
だから怖いものだって、多少はある。
それは、ティアにウザがられること。ティアに嫌われること。ティアに『黙れ、くそジジイ』と罵られること。
鬼神と謳われたバザロフであったが、どうにもこうにもティアには弱いのだ。
***
反対にティアは、バザロフが遠回しに身を固めろと言っているのは、痛いほどわかっていた。
けれど、ティアは全力でそれに気付かないフリをしている。
一年前にバザロフがマダムローズに切々とティアの結婚相手について語っているのを耳にしてからは特に。
ティアに結婚願望がないのは、自分の生い立ちが影響している。
5歳の時に母親が死んで、身寄りがないこと。娼館の娘であること。そして移し身の術が使えること。
その全てがティアを結婚から遠ざけている理由だ。
バザロフはずっとティアに、色々と便宜を図ってくれている。自分の娘のように大切に思ってくれているのもわかっている。
きっと、結婚できない理由を並べ立てたら、権力と腕力でティアの憂いも迷いも取り払ってくれるだろう。
でも、ティアはそれが一番困る。
もう結婚をしないと決めたのだ。
決めたことを覆すのは、ティアはとても苦手なことだった。
自分の人生を左右することなら、特に。
だからティアはバザロフが諦めてくれることを必死に祈っている。
それは狡いことかもしれないが、一番お互いが傷付かないことだとも思っている。
そんなふうにティアが言葉にできない思いを胸の中で呟きながら歩いていれば、あっという間に二人は裏口へと到着した。
「どうぞお気を付けてお帰りください」
バザロフとティアの姿を視界に収めた途端、バトラーが恭しく裏口の扉を開ける。
「では、ティア。またな」
「……はい。バザロフさま」
ティアはバザロフに剣を渡す。
それを片手で受け取ったバザロフは、ティアの頭をくしゃりと撫でて裏庭に足を向けた。
倍の歩幅で歩き出したバザロフをぼんやりと見送ってていたティアだけれど───
「………あ」
短い言葉を吐いた後、、ティアはものの見事に固まった。
裏庭と呼んでいいのかわからない貧相な庭に、一台の馬車があった。
そして、それとは別に一頭の馬と一人の騎士がいたから。
その騎士は、夜の森のような艶のある深緑色の髪だった。
そして意志の強そうな眉。整いすぎた目鼻立ち。控えめに言って、まばゆい程に美しい青年だった。3年前よりも更に。
バザロフよりこぶし2つ分低いけれど、それでも長身の部類に入る。無駄のない筋肉で覆われた体は、まるで彫刻のように美しかった。
───嘘みたい。また…会えるなんて。
ティアは心の中で呟いた。
3年ぶりの再会の場所は、ティアがもっとも望んでいない娼館だった。
けれど騎士は娼婦目当てではなく、父親代わりのバザロフの護衛でティアの目の前に現れたのだ。
こんな再会、想像すらしていなかった。
嬉しい。嬉しいっ。嬉しい!!
ティアの口元がほんの少しだけ弧を描く。
その瞬間、騎士と目が合った。
一瞬だけ見つめられたその瞳は、水のようなひんやりとしていて、それでいて潔い美しさを持つ色だった。
トクンとティアの心の臓が跳ねた。
緊張しすぎて、うまく息ができない。頭がくらくらする。
それでもティアはありったけの勇気をかき集めて、小さく会釈をした。
ギジギジと音がしそうな程、ぎこちなく。
だがティアの姿をしっかり視界に収めたはずの騎士は、会釈を返すこともなく、完璧な所作でティアに背を向けた。
ふわりと舞うマントは、あの日と同じ艶やかな深紅。
国中……いや、世界中探しても、こんなに美しい姿の騎士はいないだろう。
けれど、それを見つめるティアの頬は引きつっていた。
騎士はあろうことか、ティアに背を向ける直前、眉間に皺を寄せたのだ。
まるで汚いものを見るかのように。
騎士はティアのことを覚えていなかったのだ。
精一杯の勇気が砕け散った。そして、惨めだった。無様だった。
つんと鼻の奥が痛くなる。
でもティアは泣く代わりに、精一杯の虚勢を口にした。
「……なによ。お高くとまりやがって。いけすかないヤツ」
「あのティアが、あんな顔をするとは……な」
一方、馬車の中でその一部始終を見ていたバザロフは、人知れずほくそ笑んだ。
その笑みは、あたかも起死回生の奇襲が成功したかのようだった。
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