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第二部 戸惑いと、甘やかされる帰路
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王女を無事オルドレイ国に引き渡した後は、すみやかに王都に戻るだけ。
そして、現在進行形でグレンシスを先頭に、任務を終えた騎士達は、王都へと向かっている。
そう。大部分を端折って、王城に経過報告をするなら、それだけなのだ。
ちなみにティアといえば、行きと同じように馬車に乗り、ゴトゴト揺られているだけ。そして、時折、騎士達と休息を挟み、日暮れと共に宿や要塞を借りて休む。
そう。大部分を端折って、娼館に経過報告をするなら、それだけなのだ。
──けれど、実際のところ、そんな単純なものではない。
ティアは、帰りの馬車の中で、とても困っていた。
困り果てて、途方に暮れていた。
なぜなら、有り余る幸せを、どうしていいのかわからず、ただただ持て余しているからで……。
王都を出立した時は、まだ初夏の季節であったけれど、一ヶ月も経てば日差しは強くなる。
青く澄んだ空には、真っ白な入道雲がヤカンの口から溢れた湯気のように沸いている。
そのまま視線を下にすれば、まばゆい陽光が、街道に等間隔で植えられたポプラの木の葉に反射して、キラキラと輝いている。
本格的な夏の到来。いや、もうめっきり夏である。
そして、じりじりと照り付ける太陽の日差しは、イケメンであろうが、馬車であろうが、草木であろうが、平等に容赦なく降り注いている。
「………暑い」
ティアは、汗ばんだ身体を冷ますように、パダパタと胸元を仰いだ。
けれど、むっとする車内の中でそんなことをしても意味はない。
逆に、無駄に動いたせいで、ティアは更に汗ばむ結果となった。ポタリと額から汗が滴る。
ティアは少し悩んで、窓に手を伸ばした。
実はこの馬車の窓は立て付けが悪くて、なかなか開いてくれない。
そしてカーテンがないので、窓と格闘するのを外から騎士達に見られるのが、とても恥ずかしかったりする。
それでも、暑さには勝てなかった。
ティアは、うんうんと唸りながら、窓の取っ手に力を込める。そして、どうにかこうにか半分ほど開けることに成功した。
途端に、木々の葉の爽やかな匂いと、ほのかに甘い花の香りが車内を満たす。
そして馬車が軽快に走っているおかげで、心地よい風が車内に入り、ティアの額に浮いた汗をあっという間に乾かしてくれた。
「……ふぅ」
額に、うなじに、そして胸元に爽やかな風を感じて、ティアはそのまま、窓枠に顎を乗っけて、息を吐く。
けれど、それは心地よさからくるものが半分。残りは、それ以外の気持ちから。
アジェーリアを隣国オルドレイに引き渡す旅は、往復で一か月半を予定していた。その配分は、往路が一か月で、復路が半月。
往路は何だかんだあったけれど、とても短く感じた。
けれど復路の半月は、なぜか、とても長く感じてしまう。
嫌なことや辛い時間を過ごしていれば、時間の経過は遅く感じてしまうもの。
けれど、ティアは何一つ苦痛を感じていない。ただ、困っているだけで。
そして、この気持ちを持て余してしまうことに、ほとほと疲れ果てていたりもする。
──カクン。
馬車が小さく跳ねて、ティアは慌てて身を起こした。
多分、車輪が小石を踏んづけてしまったようだ。
小さいそれでも、車内ではびっくりするくらいの衝撃となる。
でもそれは、仕方がない。この馬車は、騎士や兵士たちが遠征の移動や、訓練に使う時のもの。丈夫さだけが取り柄のこれは、お世辞にも乗り心地が良いとは言えない。
けれどそれを補うかのように、座席には素朴な柄のパッチワークで作られたクッションが2つと、肌触りの良いアイボリー色の膝掛けが隅に置かれている。
これらは帰路に付いてすぐに、グレンシスが近くの村に休息がてら立ち寄った際にティアに与えたもの。
グレンシスにしてみれば、快適に過ごして欲しいという気遣いであったけれど、ティアにとったら、天変地異の前触れでしかない。
誰かの役に立ちたい。そして、笑顔を見ることができたらもう十分。
そんな謙虚な生き方をしてきたティアにとって、誰かに優しくされることには慣れてはいなかったりする。
まして、理解不能な優しさは、どうしたって素直に受け取れない。
クッションの一つを抱えたティアは、そのまま、身体を横に倒す。すぐさま、ぱふんっともう一つのクッションがティアを受け止める。
柔らかく、ひんやりとする感触を頬に感じでティアは、ほぅっと息を漏らした。
熱気がこもる車内でも、こんなふうに不快感なく肌触りが良いと思えるのは、きっとグレンシスが上質なものを選んでくれたから。
───自分なんかの為に……。
ティアは、ここ最近のグレンシスの行動を思い出して、抱えていたクッションに力を入れる。
ぎゅーっとしすぎて、クッションは歪な形になってしまったけれど、ティアの気持ちのほうがそれより、ひっちかめっちかだった。
なにせグレンシスは、もう、ティアを無視したりなんかしない。嫌な顔もしない。話しかけるなというオーラなど欠片も出さない。
それどころか、ティアに何くれと世話を焼こうとするし、微笑みさえ向けてくる。
「……嬉しいって思っていいのかなぁ。でも……」
───与えられる優しさに甘受してばかりではいけない。きちんと弁えないと。
そうしないと後で、自分が辛くなる。
ティアは、更にクッションを抱え込む腕に力を込めた。
物言わぬクッションは、ティアの腕の中で大人しくしているけれど、あまり嬉しそうではない。
そして、ティアも嬉しさを素直に出せなくて、しかめっ面をしている。
このグレンシスの奇怪な行動は、いわば、神様が気まぐれによこしたご馳走のようなもの。
だけれども、出された料理を完食したあげく、皿まで舐めるような、はしたない真似などできようか。
それに、きっとグレンシスは機嫌が良いだけなのだ。
アジェーリアを無事にオルドレイ国に送り届けることができて。
そして、3年前の出来事に終止符を打つことができて、胸のつかえが取れたのだろう。
だから、自分に優しくしてくれるだけ。
でも、この旅が終われば全部おしまいなのだ。
グレンシスは、エリート騎士だ。王城に戻れば、忙しい日々に戻るのだろう。
そうすれば、もう会うことなんて、ない。命の恩人の正体を知った今、ティアを探す必要だって消えてしまったのだから。
だから自分は、グレンシスと別れた後は、いつもの日々に戻れるように、そろそろ身体も心も慣らさないといけない。
なのに、なのに、だ。
グレンシスは、優しさの大盤振る舞いをする。
その優しさが、どれだけえげつないものか、きっと本人は気付いていないのだろう。
「……まったく、イケメンなんてクソ喰らえだ」
グレンシスが聞いたら絶句しそうな暴言を吐いて、ティアはぎゅっと目を瞑った。
カタカタと馬車が小刻みに揺れる。
すっかり慣れてしまったそれは、ティアにとって子守唄のようなもの。しかも、窓を開けたせいで、車内は大変快適な状態。
そしてティアはやることが、ない。
アジェーリアが嫁いでしまった今、話し相手すらいない。
そんなわけで、ティアは馬車の揺れに合わせて、うつらうつらし始め──そのままゆっくりと瞼が落ちていった。
「ティア、起きろ。休憩するぞ」
「───………はっ」
うたた寝をしていたティアは、グレンシスの声で目を覚ます。
ティアの居眠りにすっかり慣れたグレンシスは、もう呆れた顔をすることもない。
対してティアは、寝起きにイケメンのアップをおみまいされることに慣れるわけはない。
ビンタよりも強烈な目覚めに、毎度あたふたしてしまうのだ。
そして今更遅いとわかりつつ、手櫛で髪を整えたり、スカートの皺を無駄に音を立てて払ってしまう始末。
グレンシスは、そんなティアを見て、柔らかく目を細める。
その表情はどこまでも優しい。目に映る少女が愛しくて愛しくてたまらないといった感じに。
もうそれは、ティアの口の端に付いている涎すら、指先で拭いそうなほどだった。
そして、現在進行形でグレンシスを先頭に、任務を終えた騎士達は、王都へと向かっている。
そう。大部分を端折って、王城に経過報告をするなら、それだけなのだ。
ちなみにティアといえば、行きと同じように馬車に乗り、ゴトゴト揺られているだけ。そして、時折、騎士達と休息を挟み、日暮れと共に宿や要塞を借りて休む。
そう。大部分を端折って、娼館に経過報告をするなら、それだけなのだ。
──けれど、実際のところ、そんな単純なものではない。
ティアは、帰りの馬車の中で、とても困っていた。
困り果てて、途方に暮れていた。
なぜなら、有り余る幸せを、どうしていいのかわからず、ただただ持て余しているからで……。
王都を出立した時は、まだ初夏の季節であったけれど、一ヶ月も経てば日差しは強くなる。
青く澄んだ空には、真っ白な入道雲がヤカンの口から溢れた湯気のように沸いている。
そのまま視線を下にすれば、まばゆい陽光が、街道に等間隔で植えられたポプラの木の葉に反射して、キラキラと輝いている。
本格的な夏の到来。いや、もうめっきり夏である。
そして、じりじりと照り付ける太陽の日差しは、イケメンであろうが、馬車であろうが、草木であろうが、平等に容赦なく降り注いている。
「………暑い」
ティアは、汗ばんだ身体を冷ますように、パダパタと胸元を仰いだ。
けれど、むっとする車内の中でそんなことをしても意味はない。
逆に、無駄に動いたせいで、ティアは更に汗ばむ結果となった。ポタリと額から汗が滴る。
ティアは少し悩んで、窓に手を伸ばした。
実はこの馬車の窓は立て付けが悪くて、なかなか開いてくれない。
そしてカーテンがないので、窓と格闘するのを外から騎士達に見られるのが、とても恥ずかしかったりする。
それでも、暑さには勝てなかった。
ティアは、うんうんと唸りながら、窓の取っ手に力を込める。そして、どうにかこうにか半分ほど開けることに成功した。
途端に、木々の葉の爽やかな匂いと、ほのかに甘い花の香りが車内を満たす。
そして馬車が軽快に走っているおかげで、心地よい風が車内に入り、ティアの額に浮いた汗をあっという間に乾かしてくれた。
「……ふぅ」
額に、うなじに、そして胸元に爽やかな風を感じて、ティアはそのまま、窓枠に顎を乗っけて、息を吐く。
けれど、それは心地よさからくるものが半分。残りは、それ以外の気持ちから。
アジェーリアを隣国オルドレイに引き渡す旅は、往復で一か月半を予定していた。その配分は、往路が一か月で、復路が半月。
往路は何だかんだあったけれど、とても短く感じた。
けれど復路の半月は、なぜか、とても長く感じてしまう。
嫌なことや辛い時間を過ごしていれば、時間の経過は遅く感じてしまうもの。
けれど、ティアは何一つ苦痛を感じていない。ただ、困っているだけで。
そして、この気持ちを持て余してしまうことに、ほとほと疲れ果てていたりもする。
──カクン。
馬車が小さく跳ねて、ティアは慌てて身を起こした。
多分、車輪が小石を踏んづけてしまったようだ。
小さいそれでも、車内ではびっくりするくらいの衝撃となる。
でもそれは、仕方がない。この馬車は、騎士や兵士たちが遠征の移動や、訓練に使う時のもの。丈夫さだけが取り柄のこれは、お世辞にも乗り心地が良いとは言えない。
けれどそれを補うかのように、座席には素朴な柄のパッチワークで作られたクッションが2つと、肌触りの良いアイボリー色の膝掛けが隅に置かれている。
これらは帰路に付いてすぐに、グレンシスが近くの村に休息がてら立ち寄った際にティアに与えたもの。
グレンシスにしてみれば、快適に過ごして欲しいという気遣いであったけれど、ティアにとったら、天変地異の前触れでしかない。
誰かの役に立ちたい。そして、笑顔を見ることができたらもう十分。
そんな謙虚な生き方をしてきたティアにとって、誰かに優しくされることには慣れてはいなかったりする。
まして、理解不能な優しさは、どうしたって素直に受け取れない。
クッションの一つを抱えたティアは、そのまま、身体を横に倒す。すぐさま、ぱふんっともう一つのクッションがティアを受け止める。
柔らかく、ひんやりとする感触を頬に感じでティアは、ほぅっと息を漏らした。
熱気がこもる車内でも、こんなふうに不快感なく肌触りが良いと思えるのは、きっとグレンシスが上質なものを選んでくれたから。
───自分なんかの為に……。
ティアは、ここ最近のグレンシスの行動を思い出して、抱えていたクッションに力を入れる。
ぎゅーっとしすぎて、クッションは歪な形になってしまったけれど、ティアの気持ちのほうがそれより、ひっちかめっちかだった。
なにせグレンシスは、もう、ティアを無視したりなんかしない。嫌な顔もしない。話しかけるなというオーラなど欠片も出さない。
それどころか、ティアに何くれと世話を焼こうとするし、微笑みさえ向けてくる。
「……嬉しいって思っていいのかなぁ。でも……」
───与えられる優しさに甘受してばかりではいけない。きちんと弁えないと。
そうしないと後で、自分が辛くなる。
ティアは、更にクッションを抱え込む腕に力を込めた。
物言わぬクッションは、ティアの腕の中で大人しくしているけれど、あまり嬉しそうではない。
そして、ティアも嬉しさを素直に出せなくて、しかめっ面をしている。
このグレンシスの奇怪な行動は、いわば、神様が気まぐれによこしたご馳走のようなもの。
だけれども、出された料理を完食したあげく、皿まで舐めるような、はしたない真似などできようか。
それに、きっとグレンシスは機嫌が良いだけなのだ。
アジェーリアを無事にオルドレイ国に送り届けることができて。
そして、3年前の出来事に終止符を打つことができて、胸のつかえが取れたのだろう。
だから、自分に優しくしてくれるだけ。
でも、この旅が終われば全部おしまいなのだ。
グレンシスは、エリート騎士だ。王城に戻れば、忙しい日々に戻るのだろう。
そうすれば、もう会うことなんて、ない。命の恩人の正体を知った今、ティアを探す必要だって消えてしまったのだから。
だから自分は、グレンシスと別れた後は、いつもの日々に戻れるように、そろそろ身体も心も慣らさないといけない。
なのに、なのに、だ。
グレンシスは、優しさの大盤振る舞いをする。
その優しさが、どれだけえげつないものか、きっと本人は気付いていないのだろう。
「……まったく、イケメンなんてクソ喰らえだ」
グレンシスが聞いたら絶句しそうな暴言を吐いて、ティアはぎゅっと目を瞑った。
カタカタと馬車が小刻みに揺れる。
すっかり慣れてしまったそれは、ティアにとって子守唄のようなもの。しかも、窓を開けたせいで、車内は大変快適な状態。
そしてティアはやることが、ない。
アジェーリアが嫁いでしまった今、話し相手すらいない。
そんなわけで、ティアは馬車の揺れに合わせて、うつらうつらし始め──そのままゆっくりと瞼が落ちていった。
「ティア、起きろ。休憩するぞ」
「───………はっ」
うたた寝をしていたティアは、グレンシスの声で目を覚ます。
ティアの居眠りにすっかり慣れたグレンシスは、もう呆れた顔をすることもない。
対してティアは、寝起きにイケメンのアップをおみまいされることに慣れるわけはない。
ビンタよりも強烈な目覚めに、毎度あたふたしてしまうのだ。
そして今更遅いとわかりつつ、手櫛で髪を整えたり、スカートの皺を無駄に音を立てて払ってしまう始末。
グレンシスは、そんなティアを見て、柔らかく目を細める。
その表情はどこまでも優しい。目に映る少女が愛しくて愛しくてたまらないといった感じに。
もうそれは、ティアの口の端に付いている涎すら、指先で拭いそうなほどだった。
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