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第一部 ワガママ王女との対面
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「ティア……そうしていたら、また寝るぞ。ブランケットを離せ」
呆れに困惑さも追加されたグレンシスの声に、ティアはのろのろと顔を上げる。
娼館と違って、煌々と明るいグレンシスの姿を見て、誰のせいでと心の中でぼやいてみる。
けれど、口に出すことはしない。
意地でもグレンシスを褒めることは言いたくない。理由はわからないけれど。
それにグレンシスは、きっとそんなありきたりな誉め言葉など、嫌という程貰っているだろう。
その他大勢のように扱われるのは、とても嫌だ。……これもまた理由はわからないけれど。
ティアは、心の中でうじうじと呟く。
けれど、急かすグレンシスの視線を感じて、追い立てられるようにソファから立ち上がる。
「……お待たせしました」
「行くぞ」
鷹揚に頷いたグレンシスは、ティアと並んで廊下を歩き始めた。
グレンシスは、いつも通りの歩幅で廊下を歩く。
反対に隣を歩くティアは、普段の倍のスピードで歩く。
もはやこの騎士様にゆっくり歩いてとお願いするのは、無理なことだとティアは諦めていた。
それに、最悪グレンシスを見失っても、この屋敷は娼館と違ってわかりやすい構造だ。
だから、迷子になることはないだろう。
最悪、廊下で一晩過ごせばいいだけのこと。
最後は淑女としては問題思考だけれど、ティアは少しだけ余裕を持って歩くことができている。
そんな中、一人のメイドが大きな籠を持って、グレンシスとティアに出くわしてしまった。
先ほど玄関ホールにいた最年長のメイドだった。髪に白いものが混じっている。
メイドは、あっと小さく声を上げ、すぐに籠を床に置き、一礼する。
ただ、その瞬間、僅かに顔をしかめたのを、ティアは見逃さなかった。
「あの、これってもしかして客間に持っていくんですか?」
「へ?………あ、いえ。………そ、そうですが」
「じゃあ、私が持っていきます」
リネンが入った見るからに重そうな籠を、ティアは何のてらいもなく両手で抱えて持ち上げた。
すかさずグレンシスが眉を寄せる。
「ティア、ここは私の屋敷だ。勝手なことをされては困る。籠を離しなさい」
「嫌です」
「ティア」
語尾を強めて自分を嗜めるグレンシスを綺麗に無視して、ティアは籠を抱えたまま、しゃがんで老女に近いメイドと視線を合わせる。
「腰、痛むんですよね?……お大事にしてください」
本当なら移し身の術を使いたいところだが、こんなところでいきなり披露をしてしまえば、メイドは驚いて余計に腰を痛めてしまうかもしれない。
それに、グレンシスの前で術を使うことにも抵抗がある。
ティアは少し悩んで、メイドに労わる言葉を掛けるだけにした。
「あ、ありがとうございます」
目を白黒させながら礼の言葉を紡ぐメイドに小さく頭を下げると、ティアは首をひねってグレンシスを見上げた。
「騎士様さま、お部屋に案内してください」
きっぱりと言い切られ、グレンシスは息を呑む。
その僅かな間に、ティアは籠を抱えて、ぽてぽてと歩き出してしまった。
「おいっ、そっちじゃないっ」
慌てて声を掛けたグレンシスだけれど、振り返ったティアを見て、心の中でくそっと悪態を付いた。
グレンシスは辺境伯爵の次男坊。
一応貴族の人間であり、ウィリスタリア国の騎士の模範となるべきエリート騎士でもあった。
そんなグレンシスは、幼いころから、女性は守るべきものと教育を受けていた。
そして騎士となってからは更に。
つまり、グレンシスは自分よりはるかに小さい少女に荷を持たせることが、とても苦痛だったのだ。
それが例え、押し付けられた厄介ごとの一つであっても。
「……ちっ」
グレンシスの舌打ちは、幸いなことに歩くことに専念しているティアの耳には届かなかった。
そして、しばし悩んだ後、結局グレンシスは騎士道精神に基づいて、女性への奉仕を選ぶことにした。
「それを貸せ」
ほぼ強引に籠を奪われたティアは、ただ驚いて瞬きを繰り返すことしかできなかった。
屋敷のご主人様が、リネンの入った籠を持って歩いている。
これは、とてもとてもとてもとても珍しい光景だった。
はっきり言って、前代未聞の光景だった。
グレンシスも、ティアも気付いていなかったが、運悪くメイドの一人がその光景を見てしまった。
そうなった経緯がわからないメイドはこう解釈した。
『わざわざ自分の手でリネンを運んでさし上げるなんて……よっぽど、ご主人様は、あのお嬢さんが気に入ったのね』と。
───この勘違いがその後、グレンシスの人生において、吉と出るか凶と出るかは、もう少し先の事。
「着いたぞ」
片手で籠を抱えて、反対の手で扉を開けたグレンシスは顎でティアに入室を促した。
グレンシスがティアに用意した客間は、ベージュピンクの壁紙を基調とした、女性向けの可愛らしい部屋だった。
部屋の調度品は猫足の家具で揃えており、ベッドカバーは淡いピンク地に山吹色の小花が散っている。
そして何故か枕元には、熊のぬいぐるみが置いてある。
家具と壁紙はともかく、ベッドカバーとぬいぐるみは大急ぎでメイドが用意したことにグレンシスは気付いたけれど、あえて口には出さない。
「とても使用感がありますね。それに造りが随分と単純なんですね」
「……っ」
取りようによっては嫌味にも聞こえるティアの言葉に、グレンシスは何が言いたいんだと詰問しようとした。
けれど、ティアの眼には嘲りなど欠片もなかった。
もう既にグレンシスには興味がないようで、物珍し気に部屋を見渡している。
まるで、初めてピクニックに出かけて、湖畔を目にした子供のようにを翡翠色の瞳をキラキラと輝かせながら。
「……誉め言葉として受け取っておく」
唸るようにそう言ったグレンシスの言葉は、残念ながらティアの元には届かなかった。
人の話を聞け。そうグレンシスは再び呟きながら、2歩、ティアの元に近づく。
「よく気付いたな」
「へ?」
きょとんとしたティアの表情から、自分の説明が不足していたことをグレンシスは気付く。
「マーサの腰の事だ」
「あー…」
ティアはポリポリと頬をかきながら視線を逸らした。
移し身の術を使うティアは、人の痛みに敏感だった。
けれど、バザロフがグレンシスにそれを伝えていないので、ティアは言葉を濁す。
隠すことではないかもしれないが、過去に自分を救ったのがこんな小娘だと知ったら、この人はどう思うのだろう……。
ティアはそんな不安がよぎってしまう。
それに、嫌われていることは十分わかった。だからこれ以上、嫌な顔を見るのは御免こうむりたい。
などという気持ちを口に出すわけにもいかず、ティアは部屋の壁紙の一か所に視線を固定する。
「使用人には不便がないようしていたが、俺は気付くことができなかった」
小娘ごときに自分の不備を指摘され、グレンシスは少しだけ悔しさを滲ませる。
けれど、それはほんの僅か。残りの感情は、別のものだった。
「さて、王女が出立するのは10日後だ。こうなってしまったら、仕方がない。それまでここを自分の部屋だと思って過ごしてくれ。あ、侍女をつけるか?」
一変して柔らかい口調になったグレンシスの言葉に、ティアはグレンシスの方へ顔を戻して目を丸くする。
けれど、すぐに首を横に振った。
「私はお姫さまでもなければ、貴族の令嬢でもないです。身の回りのことは自分でします。それに私のお仕事は、王女様の輿入れのお供をすることです。騎士様にお客様扱いされることではありません」
「……なるほど。わかった」
いちいち、こまっしゃれたことを言うなと小言が飛んでくると思いきや、グレンシスはあっさりとティアの主張を受け入れた。
呆れに困惑さも追加されたグレンシスの声に、ティアはのろのろと顔を上げる。
娼館と違って、煌々と明るいグレンシスの姿を見て、誰のせいでと心の中でぼやいてみる。
けれど、口に出すことはしない。
意地でもグレンシスを褒めることは言いたくない。理由はわからないけれど。
それにグレンシスは、きっとそんなありきたりな誉め言葉など、嫌という程貰っているだろう。
その他大勢のように扱われるのは、とても嫌だ。……これもまた理由はわからないけれど。
ティアは、心の中でうじうじと呟く。
けれど、急かすグレンシスの視線を感じて、追い立てられるようにソファから立ち上がる。
「……お待たせしました」
「行くぞ」
鷹揚に頷いたグレンシスは、ティアと並んで廊下を歩き始めた。
グレンシスは、いつも通りの歩幅で廊下を歩く。
反対に隣を歩くティアは、普段の倍のスピードで歩く。
もはやこの騎士様にゆっくり歩いてとお願いするのは、無理なことだとティアは諦めていた。
それに、最悪グレンシスを見失っても、この屋敷は娼館と違ってわかりやすい構造だ。
だから、迷子になることはないだろう。
最悪、廊下で一晩過ごせばいいだけのこと。
最後は淑女としては問題思考だけれど、ティアは少しだけ余裕を持って歩くことができている。
そんな中、一人のメイドが大きな籠を持って、グレンシスとティアに出くわしてしまった。
先ほど玄関ホールにいた最年長のメイドだった。髪に白いものが混じっている。
メイドは、あっと小さく声を上げ、すぐに籠を床に置き、一礼する。
ただ、その瞬間、僅かに顔をしかめたのを、ティアは見逃さなかった。
「あの、これってもしかして客間に持っていくんですか?」
「へ?………あ、いえ。………そ、そうですが」
「じゃあ、私が持っていきます」
リネンが入った見るからに重そうな籠を、ティアは何のてらいもなく両手で抱えて持ち上げた。
すかさずグレンシスが眉を寄せる。
「ティア、ここは私の屋敷だ。勝手なことをされては困る。籠を離しなさい」
「嫌です」
「ティア」
語尾を強めて自分を嗜めるグレンシスを綺麗に無視して、ティアは籠を抱えたまま、しゃがんで老女に近いメイドと視線を合わせる。
「腰、痛むんですよね?……お大事にしてください」
本当なら移し身の術を使いたいところだが、こんなところでいきなり披露をしてしまえば、メイドは驚いて余計に腰を痛めてしまうかもしれない。
それに、グレンシスの前で術を使うことにも抵抗がある。
ティアは少し悩んで、メイドに労わる言葉を掛けるだけにした。
「あ、ありがとうございます」
目を白黒させながら礼の言葉を紡ぐメイドに小さく頭を下げると、ティアは首をひねってグレンシスを見上げた。
「騎士様さま、お部屋に案内してください」
きっぱりと言い切られ、グレンシスは息を呑む。
その僅かな間に、ティアは籠を抱えて、ぽてぽてと歩き出してしまった。
「おいっ、そっちじゃないっ」
慌てて声を掛けたグレンシスだけれど、振り返ったティアを見て、心の中でくそっと悪態を付いた。
グレンシスは辺境伯爵の次男坊。
一応貴族の人間であり、ウィリスタリア国の騎士の模範となるべきエリート騎士でもあった。
そんなグレンシスは、幼いころから、女性は守るべきものと教育を受けていた。
そして騎士となってからは更に。
つまり、グレンシスは自分よりはるかに小さい少女に荷を持たせることが、とても苦痛だったのだ。
それが例え、押し付けられた厄介ごとの一つであっても。
「……ちっ」
グレンシスの舌打ちは、幸いなことに歩くことに専念しているティアの耳には届かなかった。
そして、しばし悩んだ後、結局グレンシスは騎士道精神に基づいて、女性への奉仕を選ぶことにした。
「それを貸せ」
ほぼ強引に籠を奪われたティアは、ただ驚いて瞬きを繰り返すことしかできなかった。
屋敷のご主人様が、リネンの入った籠を持って歩いている。
これは、とてもとてもとてもとても珍しい光景だった。
はっきり言って、前代未聞の光景だった。
グレンシスも、ティアも気付いていなかったが、運悪くメイドの一人がその光景を見てしまった。
そうなった経緯がわからないメイドはこう解釈した。
『わざわざ自分の手でリネンを運んでさし上げるなんて……よっぽど、ご主人様は、あのお嬢さんが気に入ったのね』と。
───この勘違いがその後、グレンシスの人生において、吉と出るか凶と出るかは、もう少し先の事。
「着いたぞ」
片手で籠を抱えて、反対の手で扉を開けたグレンシスは顎でティアに入室を促した。
グレンシスがティアに用意した客間は、ベージュピンクの壁紙を基調とした、女性向けの可愛らしい部屋だった。
部屋の調度品は猫足の家具で揃えており、ベッドカバーは淡いピンク地に山吹色の小花が散っている。
そして何故か枕元には、熊のぬいぐるみが置いてある。
家具と壁紙はともかく、ベッドカバーとぬいぐるみは大急ぎでメイドが用意したことにグレンシスは気付いたけれど、あえて口には出さない。
「とても使用感がありますね。それに造りが随分と単純なんですね」
「……っ」
取りようによっては嫌味にも聞こえるティアの言葉に、グレンシスは何が言いたいんだと詰問しようとした。
けれど、ティアの眼には嘲りなど欠片もなかった。
もう既にグレンシスには興味がないようで、物珍し気に部屋を見渡している。
まるで、初めてピクニックに出かけて、湖畔を目にした子供のようにを翡翠色の瞳をキラキラと輝かせながら。
「……誉め言葉として受け取っておく」
唸るようにそう言ったグレンシスの言葉は、残念ながらティアの元には届かなかった。
人の話を聞け。そうグレンシスは再び呟きながら、2歩、ティアの元に近づく。
「よく気付いたな」
「へ?」
きょとんとしたティアの表情から、自分の説明が不足していたことをグレンシスは気付く。
「マーサの腰の事だ」
「あー…」
ティアはポリポリと頬をかきながら視線を逸らした。
移し身の術を使うティアは、人の痛みに敏感だった。
けれど、バザロフがグレンシスにそれを伝えていないので、ティアは言葉を濁す。
隠すことではないかもしれないが、過去に自分を救ったのがこんな小娘だと知ったら、この人はどう思うのだろう……。
ティアはそんな不安がよぎってしまう。
それに、嫌われていることは十分わかった。だからこれ以上、嫌な顔を見るのは御免こうむりたい。
などという気持ちを口に出すわけにもいかず、ティアは部屋の壁紙の一か所に視線を固定する。
「使用人には不便がないようしていたが、俺は気付くことができなかった」
小娘ごときに自分の不備を指摘され、グレンシスは少しだけ悔しさを滲ませる。
けれど、それはほんの僅か。残りの感情は、別のものだった。
「さて、王女が出立するのは10日後だ。こうなってしまったら、仕方がない。それまでここを自分の部屋だと思って過ごしてくれ。あ、侍女をつけるか?」
一変して柔らかい口調になったグレンシスの言葉に、ティアはグレンシスの方へ顔を戻して目を丸くする。
けれど、すぐに首を横に振った。
「私はお姫さまでもなければ、貴族の令嬢でもないです。身の回りのことは自分でします。それに私のお仕事は、王女様の輿入れのお供をすることです。騎士様にお客様扱いされることではありません」
「……なるほど。わかった」
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