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41.その後・カイト
しおりを挟む「それじゃぁお願い。よろしくねぇ」
最後に明るく声をかけて智ちゃんを送り出しドアを閉めた。
「行ったか」
「まぁ何とか。あとは智ちゃんと亮介くん次第だねぇ」
「良いんじゃないの。オレたちが出来るのはここまでだし」
「そうだねぇ。あとは智ちゃん次第、素直になれよぉぉぉ」
「……ドアに向かって祈ってどうすんのさ」
ケンスケに笑われたけど祈りたいじゃんか。オレたちがフォローできるのはここまで。あとはホントに智ちゃん次第、素直になって欲しいな。
「それじゃあ今日中に大掃除と正月料理終わらせますか! ケンスケはリビングとあとどこだっけ? オレは台所掃除してから正月料理の続きするねぇ」
「おうっ。明日も出かける用事あるしな。エンジンかけて頑張るか」
その後オレたちは大掃除とかを頑張った。新婚だし出来ればふたりだけでイチャイチャしたかったけどお世話になってる智ちゃんの為だもの、出来ることはしようってケンスケと約束したんだ。智ちゃんには幸せになって欲しいよ、マジで。
ケンスケとギクシャクしたときに智ちゃんちに行くのはワンクッション置く為だ。その九割がオレの勝手な焼きもちだからさ、冷静になるために智ちゃんちにお邪魔してるってのが常。ケンスケと離れて頭冷やしてってかんじかな。それはケンスケも分かってるし智ちゃんも分かってる。智ちゃんはオレより年下だけどそこらへんは凄いと思う。年齢は違うけど良い友人だな、頼りになる友人だなって思うんだ。
そんな智ちゃんだからこそ幸せになって欲しい。信一くんから教えてもらうまで智ちゃんの過去は知らなかったけど、そんな話を聞いたらますます幸せになって欲しいって思うじゃん。それはケンスケも一緒。智ちゃんはオレとケンスケが付き合い始めた頃と同じように考えてるようだけど、恋愛に、人を好きになるってことに、男とか同性とかって関係ないんだってもう一度気がついて欲しい。知識としてじゃなく実感として。
「信一くんから貰った資金の残りはあとどれくらい?」
「残念ながらマイナス。年末は食材が高いよ。あとさぁ、クリスマスのアルコール代がねぇ……。それを考えなかったらまだ少し余裕あるかなぁ」
「シャンパンとワイン代はウチ持ちで良いんじゃないか。残った分はカイトの手間賃かな。智くんに手伝ってもらったとは言え毎週毎週疲れただろう。お疲れさん」
「智ちゃんの……って言うか智ママのためだしねぇ。ケンスケもそう思ってるっしょ?」
「そうだな……。何かあるとカイトが世話になるしな」
「あはは。それは今後も変わらないからヨロシクぅぅぅ」
とりあえず明日亮介くんちに持って行く分の料理は完成。予算とか時間とかの関係で正月料理と普段のおかずとのコラボレーションになっちゃったけど、そこはまあご愛嬌ってことで納得してもらわないと。オレとケンスケの分は作った分プラス予約したおせちだ。市販のものはあまり好きじゃないけどまあ仕方ないよね。来年は是非智ちゃんと一緒におせちを作りたいって思う。そのためにも亮介くん頑張れ~♪
「そう言えばさ、亮介くん宛に小さい手提げ袋を用意してたよな。メッセージカードってのは聞いてたけど他にも入ってるんだろう、何入れたん?」
「それは亮介くんのためになるものさぁ。ケンスケにも内緒」
上手くいってアレを使えるようになるかは分からないんだよね。だから『智ちゃんと仲良くなれた場合のみ開封して』って書いたんだ。破局したままじゃアレはシャレにならないからさ。マジで亮介くんがそのメッセージに従ってくれることを祈る。でないとオレの人格が疑われる可能性あるもん。
「ぉおーい、この中の物で処分する物があるんじゃないかぁ?」
寝室からケンスケが叫んでる。ここに引っ越すときに捨てずに持ってきた物の中で必要ない物とかって結構あるんだよね。大半はいらないものだけど、その判断はやっぱりオレだ。ちゃんと確認してくれるケンスケが愛しい。
同性同士だから今の日本じゃ本当の結婚は出来ないけど、養子縁組は出来るんだ。来年オレはケンスケの戸籍に入る予定。そしたらオレは渡辺海斗じゃなく関口海斗になるんだ。そうなったとき、やっぱりオレは智ちゃんにお祝いして欲しいと思う。笑顔で。
亮介くんから聞いて、オレも一度は見てみたいと思ったんだ、智ちゃんの屈託なく笑う笑顔を。亮介くんが一目で好きなったと言うその笑顔は、オレはまだ一度も見たことが無いから。そんなに素敵な笑顔なら一度は見たいと思うじゃん。ケンスケと戸籍上でも家族になったとき、オレは智ちゃんのそんな笑顔にお祝いされたいと思ったんだ。それはきっとケンスケも同じだと思う。まあささやかな願いだね。
「今行くよぉ」
そう答えながらオレは智ちゃんの笑顔を想像した。
ねぇ智ちゃん、オレたちは他人だけど友人で仲間なんだ。だからオレたちは智ちゃんが幸せになって欲しいと思ってるんだ。幸せの形はいろいろあるけど、やっぱり智ちゃんは一番好きな人と一緒にいるのが良いと思うよ。それはオレとケンスケや信一くん、コウちゃんもだけど、タケルもきっとそう思ってると思うんだ。だからそれに気がついて欲しいな。
一番我慢した智ちゃんが自分から幸せを願ったとき、それはきっと智ちゃんのもとに落ちてくると思うから。だからそう願って欲しいや。
な~んていろいろ言ったけど、今月のオレたちの頑張りを無にしないでくれよ。資金も智ちゃんの手伝いもあったとは言え、毎週メニューを考えて買い物して作るってのは大変だったんだからさ。マジで大変だったんだよぉ。
だからねぇ、智ちゃん……。
最後に明るく声をかけて智ちゃんを送り出しドアを閉めた。
「行ったか」
「まぁ何とか。あとは智ちゃんと亮介くん次第だねぇ」
「良いんじゃないの。オレたちが出来るのはここまでだし」
「そうだねぇ。あとは智ちゃん次第、素直になれよぉぉぉ」
「……ドアに向かって祈ってどうすんのさ」
ケンスケに笑われたけど祈りたいじゃんか。オレたちがフォローできるのはここまで。あとはホントに智ちゃん次第、素直になって欲しいな。
「それじゃあ今日中に大掃除と正月料理終わらせますか! ケンスケはリビングとあとどこだっけ? オレは台所掃除してから正月料理の続きするねぇ」
「おうっ。明日も出かける用事あるしな。エンジンかけて頑張るか」
その後オレたちは大掃除とかを頑張った。新婚だし出来ればふたりだけでイチャイチャしたかったけどお世話になってる智ちゃんの為だもの、出来ることはしようってケンスケと約束したんだ。智ちゃんには幸せになって欲しいよ、マジで。
ケンスケとギクシャクしたときに智ちゃんちに行くのはワンクッション置く為だ。その九割がオレの勝手な焼きもちだからさ、冷静になるために智ちゃんちにお邪魔してるってのが常。ケンスケと離れて頭冷やしてってかんじかな。それはケンスケも分かってるし智ちゃんも分かってる。智ちゃんはオレより年下だけどそこらへんは凄いと思う。年齢は違うけど良い友人だな、頼りになる友人だなって思うんだ。
そんな智ちゃんだからこそ幸せになって欲しい。信一くんから教えてもらうまで智ちゃんの過去は知らなかったけど、そんな話を聞いたらますます幸せになって欲しいって思うじゃん。それはケンスケも一緒。智ちゃんはオレとケンスケが付き合い始めた頃と同じように考えてるようだけど、恋愛に、人を好きになるってことに、男とか同性とかって関係ないんだってもう一度気がついて欲しい。知識としてじゃなく実感として。
「信一くんから貰った資金の残りはあとどれくらい?」
「残念ながらマイナス。年末は食材が高いよ。あとさぁ、クリスマスのアルコール代がねぇ……。それを考えなかったらまだ少し余裕あるかなぁ」
「シャンパンとワイン代はウチ持ちで良いんじゃないか。残った分はカイトの手間賃かな。智くんに手伝ってもらったとは言え毎週毎週疲れただろう。お疲れさん」
「智ちゃんの……って言うか智ママのためだしねぇ。ケンスケもそう思ってるっしょ?」
「そうだな……。何かあるとカイトが世話になるしな」
「あはは。それは今後も変わらないからヨロシクぅぅぅ」
とりあえず明日亮介くんちに持って行く分の料理は完成。予算とか時間とかの関係で正月料理と普段のおかずとのコラボレーションになっちゃったけど、そこはまあご愛嬌ってことで納得してもらわないと。オレとケンスケの分は作った分プラス予約したおせちだ。市販のものはあまり好きじゃないけどまあ仕方ないよね。来年は是非智ちゃんと一緒におせちを作りたいって思う。そのためにも亮介くん頑張れ~♪
「そう言えばさ、亮介くん宛に小さい手提げ袋を用意してたよな。メッセージカードってのは聞いてたけど他にも入ってるんだろう、何入れたん?」
「それは亮介くんのためになるものさぁ。ケンスケにも内緒」
上手くいってアレを使えるようになるかは分からないんだよね。だから『智ちゃんと仲良くなれた場合のみ開封して』って書いたんだ。破局したままじゃアレはシャレにならないからさ。マジで亮介くんがそのメッセージに従ってくれることを祈る。でないとオレの人格が疑われる可能性あるもん。
「ぉおーい、この中の物で処分する物があるんじゃないかぁ?」
寝室からケンスケが叫んでる。ここに引っ越すときに捨てずに持ってきた物の中で必要ない物とかって結構あるんだよね。大半はいらないものだけど、その判断はやっぱりオレだ。ちゃんと確認してくれるケンスケが愛しい。
同性同士だから今の日本じゃ本当の結婚は出来ないけど、養子縁組は出来るんだ。来年オレはケンスケの戸籍に入る予定。そしたらオレは渡辺海斗じゃなく関口海斗になるんだ。そうなったとき、やっぱりオレは智ちゃんにお祝いして欲しいと思う。笑顔で。
亮介くんから聞いて、オレも一度は見てみたいと思ったんだ、智ちゃんの屈託なく笑う笑顔を。亮介くんが一目で好きなったと言うその笑顔は、オレはまだ一度も見たことが無いから。そんなに素敵な笑顔なら一度は見たいと思うじゃん。ケンスケと戸籍上でも家族になったとき、オレは智ちゃんのそんな笑顔にお祝いされたいと思ったんだ。それはきっとケンスケも同じだと思う。まあささやかな願いだね。
「今行くよぉ」
そう答えながらオレは智ちゃんの笑顔を想像した。
ねぇ智ちゃん、オレたちは他人だけど友人で仲間なんだ。だからオレたちは智ちゃんが幸せになって欲しいと思ってるんだ。幸せの形はいろいろあるけど、やっぱり智ちゃんは一番好きな人と一緒にいるのが良いと思うよ。それはオレとケンスケや信一くん、コウちゃんもだけど、タケルもきっとそう思ってると思うんだ。だからそれに気がついて欲しいな。
一番我慢した智ちゃんが自分から幸せを願ったとき、それはきっと智ちゃんのもとに落ちてくると思うから。だからそう願って欲しいや。
な~んていろいろ言ったけど、今月のオレたちの頑張りを無にしないでくれよ。資金も智ちゃんの手伝いもあったとは言え、毎週メニューを考えて買い物して作るってのは大変だったんだからさ。マジで大変だったんだよぉ。
だからねぇ、智ちゃん……。
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