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クロノス編
力を示し者
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俺達は急いで帰路に着く事になった。
ステンパスが開発した簡易ゲートを潜り、バザールの路地へ。
「どうなってんだ!?」
「さぁ、分からんな。だが、奴等の目的は俺達だろう」
ハッターを先頭に俺達は路地を駆け抜ける。
ガルドルが攻め込んできたのはつい先程だが、何処まで被害が広がっているのかわからない。
「クッソ!!どうなってんだよ!!」
「慌てるな、友輝」
「とりあえず早くしよう!!」
「当たり前だ!!」
俺達が路地を抜けると、そこは既に戦場だった。
子供女関係なく騎士は蹂躙していく。
その光景をガルドルは嗤いながら見物していた。
その光景を見た俺は、頭の中で何かが弾けた。
「宜しくやってくれてんじゃねえかよ!!!ガルドル!!!!」
俺は一直線にガルドルへ走り、拳を顔面に叩き込んだ。
エレメントが作用したのか、赤い炎が俺の拳を包んでいる。
「ほぅ、随分と早かったな。報告ではテクノワールドにいると聞いていたが」
「な、漏れていたのか」
「あぁ。わざと見逃し今回の駆逐戦を開始したのだ。それであれば貴様等も嫌でも姿を見せると思ってな」
「テメェ、本当に人間か?この光景を見て、何も思わねえのか!!」
「思わないな、残念ながら。人の魂は当の昔に捨て去ったわ!!」
「なら、容赦はしねえぞ!!」
ドライバーを腰に巻き、トリガーを引く。
そしてそのまま変身し、拳を振り抜いた。
だが、その一撃は簡単に防がれてしまった。
「なっ・・・!」
「変身、いや着装ができるのが貴様等だけだと思ったか?」
ガルドルもまた、トリガーを抜いた。
『Bat!』
「着装」
『BatARM!!』
エネルギーが拡散し、吹っ飛ばされてしまう。
そしてガルドルの姿が変わった。
いや、着ていた鎧の形が変化している。
「元はと言えばそのシステムの原型は我々が与えられる鎧をベースに作られた物だ。何処の誰が盗み出したか知らんが、それは我々の所有物だ!!」
「どういう事だ・・・!!」
「ふっ、これから死ぬ人間にこれ以上語る必要はない!!精々早い段階で絶望しないことだけを考えるんだな!!」
ガルドルは剣を振り翳した。
それを受け止めようとしたが、重すぎる。
受け止めきれず、身体が反り返ってしまう。
「クッ・・・!」
俺は炎で守りを固めるが、それも斬り裂かれてしまった。
ガルドルの一撃は今迄以上に重い。
これが、六騎聖の実力・・・ではない。
まだ本気を出していない。
「友輝、頭を下げろ!!」
俺はしゃがみ込むと、ハッターが変身し俺を飛び越して攻撃した。
鍔迫り合いとなり、ハッターとガルドルは正面で受け止める。
「こうしてまた剣を交える事になるとは!こうも運命というものは我々の邪魔をする!!」
「・・・それ以上喋るな!!」
ハッターは弾き飛ばし、そのまま攻撃を仕掛けるがそれすらダメージを物ともしていない。
「これが私の本当の実力だ!!我は壁となりし者、味方の為であれば矢の雨の盾にもなろう!!」
「それしちゃ蝙蝠ってのは合ってねえよ、な!」
被せるように蹴りを加えるが、簡単に防がれてしまった。
そして翼を閃かせ、宙に浮く。
一撃を振り翳し、俺達の身体はまた大きく跳んだ。
「強いな、こりゃ」
「それだけ連中は強さを持っている、という事だ」
「なら、新しい武器を試す!」
俺はドライバーの前に手を翳した。
そして象ったのはエレメントブレード。
「行くぞ!」
ブレードで攻撃をするが、ガルドルは簡単に防ぐ。
だが、その隙間を狙うかのように杖でハッターが攻撃した。
それもダメージを負わせられない。
「硬すぎんだろ、あれ!」
「それ以上無駄だとまだ理解できんのか?」
翼を動かし、風圧で身動きが取れない。
その間にガルドルはまた俺達に攻撃を仕掛ける。
「グァァァ!!」
「グハッ!!」
俺達も限界が近い。
あれだけの一撃の後だ、まだダメージと疲労が残っていた。
「これで終幕だ!」
ガルドルはバットエレメントトリガーの引鉄を引いた。
そしてエネルギーが剣を中心に広がっていく。
振り下ろした刃は俺達へと迫った。
今度こそ終わりだ、と思った。
その時、『壁』が俺達を守っていた。
「大丈夫か?」
俺達とガルドルの間に、一人の男がいる。
その顔を見たエリーは驚いた表情をしていた。
「何で、あなたが・・・」
「その声はエリーか。いや、予知夢でここが襲撃されるのはわかっていたんでな。数日前から滞在していたのさ」
「なら声をかけてくださいよ!大師父!」
そう呼んだ男はそうだな、と答え『壁』で斬撃を掻き消した。
「さて、ここまでは予知通りだ。そしてここからは予知していない部分になる。まずは自己紹介、私はマジックワールドの『ローズシュヴァリエ』大師父であるグリーエンスだ。以後お見知りおきを」
自己紹介をするグリーエンスは俺の前に立った。
彼は笑いながら俺達に回復する魔法を掛け、立ち上がらせた。
「これが私の予言の中で必ず必要になる、と示されたものだ」
彼の手にはエレメントトリガーが。
そして、それは『シャイン』のエレメントトリガー。
「これ!!」
「探そうとしていたのだろう?まぁ、君はマジックワールドに入れないから彼女が探すのだが、私が持ってきておいた。これを使えば未来が変わるのかもしれない」
「・・・未来を、変える」
「そうだ。今の現状ではお前は消滅してしまうが、これがあればその未来を変えられる。さて、どうする?送り神の目的は果たせんぞ?」
「・・・分かってるさ」
俺はグリーエンスからシャインのエレメントトリガーを受け取った。
これが、俺の新しい力だ。
「変換だ!」
エレメントドライバーからブレイズを抜く。
魂を込め、トリガーを引いた。
『Shine!』
トリガーをドライバーにセットする。
そしてトリガーを倒す。
『Shine!ENERGYOUT!』
俺の姿が変化した。
それは変換のように、エレメントが書き換えられる。
姿を見せたのは、日輪の鎧。
「行くぞ、ガルドル。これで決着だ」
「ならば掛かってくるがいい。貴様の出鼻を挫こう!」
エレメントブレードとガルドルの翼が激突する。
ダメージは与えていない。
だが、道が開ける。
「クッ・・・!」
「バットでは光を遮る事まではできないか!」
そのまま俺は畳み掛ける。
バットトリガーにはシャイントリガーは毒みたいなものだ。
このまま押し切る!
「調子に、乗るなァァァ!!!」
バットの翼が全展開し、そのままガルドルの身体が宙に浮く。
俺と距離を取る策に出たが、それは計算済みだ。
「言ったろ、これで決着だって!」
トリガーを腰のスロットに装填し、起動。
ブレイズトリガーもエレメントブレードに装填する。
『Shine!FULLCHAGEBREAK!!』
『BLAZE!FULLCHARGESLASH!!』
2つのエレメントが作用する。
そして光と炎が融合した斬撃がガルドルへと迫った。
反撃をしようとしたガルドルを渾身の一撃は吹き飛ばした。
地に落ちたガルドルは変身が解除され、その場で倒れてしまう。
「よっ、しゃ!!」
流石に新しいトリガーを使ったのもあり、俺は膝から崩れ落ちる。
その分、倒した時の感覚は滾らせてくれる。
「これが、送り神に選ばれた人間の力か・・・」
「当たり前だ!こんな所で足を止める訳には行かねえんだよ!」
「そのようだな・・・」
「早く兵士達の動きを止めろ!」
「いや、自ずと消える」
ハッターとマリーは騎士達が姿を消した事を確認した。
どうやらガルドルが倒れた事によって存在を保てなくなったようだ。
「天野友輝、これでお前は完全に我々の敵となった。これから貴様には他の六騎聖が目の前に現れるぞ。それでも、戦うか?」
「それが俺の役割ならそれを全うするだけだ。どんなに辛い道でも、俺は諦めずに進みたい」
「そう、か。やはり日輪のような男だな」
ガルドルは何かを悟ったような表情をしている。
俺はガルドルの身体を起こす。
ガルドルは驚いた表情をしていた。
「なんのつもりだ?!」
「お前も同じだろ。まさかこのまま何もないってのはないと思うぞ」
「俺の命を救う、というのか?」
「そうとまでは言わねえよ。生きるか死ぬかはお前で決めろ。だけど、人間ってのは死のうとした瞬間だけ救おうとするもんさ」
「・・・お前もそうだったのか?」
「いんや。俺の場合はさ、誰にも告げずに死んだよ。そういうので死ねない方が辛いからな」
「・・・そうか。ならば、私は」
「おいおい!!」
俺がガルドルを救おうとした時、目の前の時空が裂ける。
そして声の主が俺達の目の前に姿を見せた。
「リーリアス!」
「まさか、王様を裏切るのに生きようとしてんのか?」
「友輝!早くガルドルと共に後ろに下がれ!そいつも六騎聖だ!!」
俺は直ぐ様ハッターの背中に隠れた。
そしてすぐ目の前にグリーエンスとエリーも壁となる。
「全くよぉ、そういうのは無しだろ?騎士ってんならよ、スパッと死んでくれよ!!」
「っ・・・!!巫山戯んな!!」
「それがたりめーだろうが!!!」
リーリアスは自身のトリガーを取り出す。
『BAD!!』
「罪のトリガー・・・!!まさか、お前が適合者だったのか」
「そーだよ、久しいよなぁ先生!!あん時の借り、ここで返すぜ!!」
『BAD!ARM!!』
ガルドルと同じく鎧が伸び、全身を包み込んだ。
ガルドルのバットトリガーと違うのはより禍々しく存在感を出している事だ。
俺は変身する力が残ってない。
ここは三人に任せるしか・・・。
「退けよ!!」
その瞬間、三人の身体が地面に叩きつけられた。
何が起きたんだ・・・?
「はっ、聖人ヅラしてっから意味ねえと踏んだがやっぱ隠してやがったな。それは俺のトリガーの能力!罪の重さを身体に重力として乗せる!動けねえ程とは、かなりの罪の重さだな!」
これはかなりヤバイな・・・。
「友輝、私を捨てて三人を連れて逃げろ。お前のシャインは我々が持つ『ブラックエレメント』と相性が相対としている。お前ならあの能力を受けずに動ける筈だ」
「・・・なら」
俺は立ち上がり、ドライバーを腰に巻く。
それならやる事は一つ。
ただ、目の前の敵を倒すだけだ。
「変身!」
俺は変身し、リーリアスの前に立つ。
「はっ!学習能力が無い奴だな!!」
リーリアスの能力が発動する。
だが、ガルドルの言う通り能力が無効化されている。
これなら動ける!
俺はリーリアスの顔面に一撃叩き込んだ。
「・・・そうか!シャイン、日輪か!!なる程、それなら罪のエレメントを無効にしたのは頷けんな!!自殺者の割には良いトリガーを持ってんじゃねえか!!」
リーリアスは嗤いながら俺の目の前に立つ。
戦える、が全力は無理だ。
だがやらなかったら俺がやられるだけだ。
「来い!!」
「言われなくともな!!」
リーリアスが動き出す。
俺も身構える、がその間に『何か』が物凄い速度で横切った。
リーリアスは撥ね飛ばされる。
「チッ!何だぁ!!」
「悪ぃなぁ、横槍入れちまって」
そこに立っていたのは、俺と同じくドライバーを腰に巻き姿を変えている人間。
しかもリーリアスの能力を受けていない。
「さぁて、俺の餌になっておくれや」
「アドベンチャーワールドの獣か・・・!まぁいい、ここは一旦退かせてもらうぜ。何方にせよ、そこの死に損ないの報告もせんといかねえからな」
リーリアスはそう言うと、自分が抜けてきた裂け目の中に入っていった。
俺は一息吐くと、気が抜けたのか姿を元に戻してしまった。
「ふーん。俺と同じドライバー持ちか」
獣の姿をした人間は姿を戻す。
俺と同年代程の男だ。
「俺は回胴勲だ。お前は?」
「天野友輝、だ」
「おっ、なら迷い人か!よろしくな!」
勲はそう言い、俺の肩を組む。
随分と馴れ馴れしいな、と思ってしまう。
「助かったぞ、勲」
「どーも、ハッターさん。今回はヤバかったな」
「君が来てくれたお陰だ。感謝している」
「ステンパスから聞いて飛んできたぞ。そんで・・・」
倒れているガルドルに俺達波目線を向けた。
「ま、取り敢えず治療だな」
勲はそう言い、俺は首を縦に振った。
そして、大通りから見える城を俺は睨んだ。
こんな大事になるような事、彼処にいる奴はやろうとしたんだ。
なら、ならば俺はそれに立ち向かう、と心に決める。
ミッドキングダムに戻ったリーリアスはあの男との出来事を思い出した。
「あれが・・・。随分と骨太じゃねえか」
そう呟きながら彼は謁見の間に入る。
そしてそこには自身の首魁である、ダーニアンが座っていた。
「どうであった?リーリアス」
「ガルドルは抜けるようだぜ?それよりも、あの天野とかいう餓鬼。随分と面白い人材じゃねえか」
「リーリアス、貴様・・・」
六騎聖の一人が剣を抜き、リーリアスの喉元へと突き立てた。
「貴様の任務はバザールの調査だけであった筈だ。よもや、戦闘を行った訳ではないであろうな?」
「そう言われなくても少し小突いた程度だっての」
「まぁ良い。ヴァルディア、剣を降ろせ」
ヴァルディア、と呼ばれた騎士は命令に従う。
ダーニアンは不敵な笑みを浮かべ、リーリアスに指示を出す。
「そこまでして戦いたいのであれば、貴様の受け持っているエリアに誘い込めば良かろう。幸い、あの戦いで横槍を入れた男はアドベンチャーワールドに住まう者だ。ならば、それを利用すれば良い」
「・・・それもそうだな。よし、それじゃそれで行きますよ。そんで確実に仕留めてやりますって」
「期待しているぞ、リーリアス」
リーリアスは準備を行う為に外へ出る。
ヴァルディアはふぅ、と溜め息を吐く。
「ヴァルディア。貴殿には別任務を与える」
「はっ」
他の六騎聖もまた、動き出そうとしている。
これにより、友輝達とキングダムによる戦争が始まろうとしていたのだった。
ステンパスが開発した簡易ゲートを潜り、バザールの路地へ。
「どうなってんだ!?」
「さぁ、分からんな。だが、奴等の目的は俺達だろう」
ハッターを先頭に俺達は路地を駆け抜ける。
ガルドルが攻め込んできたのはつい先程だが、何処まで被害が広がっているのかわからない。
「クッソ!!どうなってんだよ!!」
「慌てるな、友輝」
「とりあえず早くしよう!!」
「当たり前だ!!」
俺達が路地を抜けると、そこは既に戦場だった。
子供女関係なく騎士は蹂躙していく。
その光景をガルドルは嗤いながら見物していた。
その光景を見た俺は、頭の中で何かが弾けた。
「宜しくやってくれてんじゃねえかよ!!!ガルドル!!!!」
俺は一直線にガルドルへ走り、拳を顔面に叩き込んだ。
エレメントが作用したのか、赤い炎が俺の拳を包んでいる。
「ほぅ、随分と早かったな。報告ではテクノワールドにいると聞いていたが」
「な、漏れていたのか」
「あぁ。わざと見逃し今回の駆逐戦を開始したのだ。それであれば貴様等も嫌でも姿を見せると思ってな」
「テメェ、本当に人間か?この光景を見て、何も思わねえのか!!」
「思わないな、残念ながら。人の魂は当の昔に捨て去ったわ!!」
「なら、容赦はしねえぞ!!」
ドライバーを腰に巻き、トリガーを引く。
そしてそのまま変身し、拳を振り抜いた。
だが、その一撃は簡単に防がれてしまった。
「なっ・・・!」
「変身、いや着装ができるのが貴様等だけだと思ったか?」
ガルドルもまた、トリガーを抜いた。
『Bat!』
「着装」
『BatARM!!』
エネルギーが拡散し、吹っ飛ばされてしまう。
そしてガルドルの姿が変わった。
いや、着ていた鎧の形が変化している。
「元はと言えばそのシステムの原型は我々が与えられる鎧をベースに作られた物だ。何処の誰が盗み出したか知らんが、それは我々の所有物だ!!」
「どういう事だ・・・!!」
「ふっ、これから死ぬ人間にこれ以上語る必要はない!!精々早い段階で絶望しないことだけを考えるんだな!!」
ガルドルは剣を振り翳した。
それを受け止めようとしたが、重すぎる。
受け止めきれず、身体が反り返ってしまう。
「クッ・・・!」
俺は炎で守りを固めるが、それも斬り裂かれてしまった。
ガルドルの一撃は今迄以上に重い。
これが、六騎聖の実力・・・ではない。
まだ本気を出していない。
「友輝、頭を下げろ!!」
俺はしゃがみ込むと、ハッターが変身し俺を飛び越して攻撃した。
鍔迫り合いとなり、ハッターとガルドルは正面で受け止める。
「こうしてまた剣を交える事になるとは!こうも運命というものは我々の邪魔をする!!」
「・・・それ以上喋るな!!」
ハッターは弾き飛ばし、そのまま攻撃を仕掛けるがそれすらダメージを物ともしていない。
「これが私の本当の実力だ!!我は壁となりし者、味方の為であれば矢の雨の盾にもなろう!!」
「それしちゃ蝙蝠ってのは合ってねえよ、な!」
被せるように蹴りを加えるが、簡単に防がれてしまった。
そして翼を閃かせ、宙に浮く。
一撃を振り翳し、俺達の身体はまた大きく跳んだ。
「強いな、こりゃ」
「それだけ連中は強さを持っている、という事だ」
「なら、新しい武器を試す!」
俺はドライバーの前に手を翳した。
そして象ったのはエレメントブレード。
「行くぞ!」
ブレードで攻撃をするが、ガルドルは簡単に防ぐ。
だが、その隙間を狙うかのように杖でハッターが攻撃した。
それもダメージを負わせられない。
「硬すぎんだろ、あれ!」
「それ以上無駄だとまだ理解できんのか?」
翼を動かし、風圧で身動きが取れない。
その間にガルドルはまた俺達に攻撃を仕掛ける。
「グァァァ!!」
「グハッ!!」
俺達も限界が近い。
あれだけの一撃の後だ、まだダメージと疲労が残っていた。
「これで終幕だ!」
ガルドルはバットエレメントトリガーの引鉄を引いた。
そしてエネルギーが剣を中心に広がっていく。
振り下ろした刃は俺達へと迫った。
今度こそ終わりだ、と思った。
その時、『壁』が俺達を守っていた。
「大丈夫か?」
俺達とガルドルの間に、一人の男がいる。
その顔を見たエリーは驚いた表情をしていた。
「何で、あなたが・・・」
「その声はエリーか。いや、予知夢でここが襲撃されるのはわかっていたんでな。数日前から滞在していたのさ」
「なら声をかけてくださいよ!大師父!」
そう呼んだ男はそうだな、と答え『壁』で斬撃を掻き消した。
「さて、ここまでは予知通りだ。そしてここからは予知していない部分になる。まずは自己紹介、私はマジックワールドの『ローズシュヴァリエ』大師父であるグリーエンスだ。以後お見知りおきを」
自己紹介をするグリーエンスは俺の前に立った。
彼は笑いながら俺達に回復する魔法を掛け、立ち上がらせた。
「これが私の予言の中で必ず必要になる、と示されたものだ」
彼の手にはエレメントトリガーが。
そして、それは『シャイン』のエレメントトリガー。
「これ!!」
「探そうとしていたのだろう?まぁ、君はマジックワールドに入れないから彼女が探すのだが、私が持ってきておいた。これを使えば未来が変わるのかもしれない」
「・・・未来を、変える」
「そうだ。今の現状ではお前は消滅してしまうが、これがあればその未来を変えられる。さて、どうする?送り神の目的は果たせんぞ?」
「・・・分かってるさ」
俺はグリーエンスからシャインのエレメントトリガーを受け取った。
これが、俺の新しい力だ。
「変換だ!」
エレメントドライバーからブレイズを抜く。
魂を込め、トリガーを引いた。
『Shine!』
トリガーをドライバーにセットする。
そしてトリガーを倒す。
『Shine!ENERGYOUT!』
俺の姿が変化した。
それは変換のように、エレメントが書き換えられる。
姿を見せたのは、日輪の鎧。
「行くぞ、ガルドル。これで決着だ」
「ならば掛かってくるがいい。貴様の出鼻を挫こう!」
エレメントブレードとガルドルの翼が激突する。
ダメージは与えていない。
だが、道が開ける。
「クッ・・・!」
「バットでは光を遮る事まではできないか!」
そのまま俺は畳み掛ける。
バットトリガーにはシャイントリガーは毒みたいなものだ。
このまま押し切る!
「調子に、乗るなァァァ!!!」
バットの翼が全展開し、そのままガルドルの身体が宙に浮く。
俺と距離を取る策に出たが、それは計算済みだ。
「言ったろ、これで決着だって!」
トリガーを腰のスロットに装填し、起動。
ブレイズトリガーもエレメントブレードに装填する。
『Shine!FULLCHAGEBREAK!!』
『BLAZE!FULLCHARGESLASH!!』
2つのエレメントが作用する。
そして光と炎が融合した斬撃がガルドルへと迫った。
反撃をしようとしたガルドルを渾身の一撃は吹き飛ばした。
地に落ちたガルドルは変身が解除され、その場で倒れてしまう。
「よっ、しゃ!!」
流石に新しいトリガーを使ったのもあり、俺は膝から崩れ落ちる。
その分、倒した時の感覚は滾らせてくれる。
「これが、送り神に選ばれた人間の力か・・・」
「当たり前だ!こんな所で足を止める訳には行かねえんだよ!」
「そのようだな・・・」
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「いや、自ずと消える」
ハッターとマリーは騎士達が姿を消した事を確認した。
どうやらガルドルが倒れた事によって存在を保てなくなったようだ。
「天野友輝、これでお前は完全に我々の敵となった。これから貴様には他の六騎聖が目の前に現れるぞ。それでも、戦うか?」
「それが俺の役割ならそれを全うするだけだ。どんなに辛い道でも、俺は諦めずに進みたい」
「そう、か。やはり日輪のような男だな」
ガルドルは何かを悟ったような表情をしている。
俺はガルドルの身体を起こす。
ガルドルは驚いた表情をしていた。
「なんのつもりだ?!」
「お前も同じだろ。まさかこのまま何もないってのはないと思うぞ」
「俺の命を救う、というのか?」
「そうとまでは言わねえよ。生きるか死ぬかはお前で決めろ。だけど、人間ってのは死のうとした瞬間だけ救おうとするもんさ」
「・・・お前もそうだったのか?」
「いんや。俺の場合はさ、誰にも告げずに死んだよ。そういうので死ねない方が辛いからな」
「・・・そうか。ならば、私は」
「おいおい!!」
俺がガルドルを救おうとした時、目の前の時空が裂ける。
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「リーリアス!」
「まさか、王様を裏切るのに生きようとしてんのか?」
「友輝!早くガルドルと共に後ろに下がれ!そいつも六騎聖だ!!」
俺は直ぐ様ハッターの背中に隠れた。
そしてすぐ目の前にグリーエンスとエリーも壁となる。
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「っ・・・!!巫山戯んな!!」
「それがたりめーだろうが!!!」
リーリアスは自身のトリガーを取り出す。
『BAD!!』
「罪のトリガー・・・!!まさか、お前が適合者だったのか」
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『BAD!ARM!!』
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ガルドルのバットトリガーと違うのはより禍々しく存在感を出している事だ。
俺は変身する力が残ってない。
ここは三人に任せるしか・・・。
「退けよ!!」
その瞬間、三人の身体が地面に叩きつけられた。
何が起きたんだ・・・?
「はっ、聖人ヅラしてっから意味ねえと踏んだがやっぱ隠してやがったな。それは俺のトリガーの能力!罪の重さを身体に重力として乗せる!動けねえ程とは、かなりの罪の重さだな!」
これはかなりヤバイな・・・。
「友輝、私を捨てて三人を連れて逃げろ。お前のシャインは我々が持つ『ブラックエレメント』と相性が相対としている。お前ならあの能力を受けずに動ける筈だ」
「・・・なら」
俺は立ち上がり、ドライバーを腰に巻く。
それならやる事は一つ。
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「変身!」
俺は変身し、リーリアスの前に立つ。
「はっ!学習能力が無い奴だな!!」
リーリアスの能力が発動する。
だが、ガルドルの言う通り能力が無効化されている。
これなら動ける!
俺はリーリアスの顔面に一撃叩き込んだ。
「・・・そうか!シャイン、日輪か!!なる程、それなら罪のエレメントを無効にしたのは頷けんな!!自殺者の割には良いトリガーを持ってんじゃねえか!!」
リーリアスは嗤いながら俺の目の前に立つ。
戦える、が全力は無理だ。
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「来い!!」
「言われなくともな!!」
リーリアスが動き出す。
俺も身構える、がその間に『何か』が物凄い速度で横切った。
リーリアスは撥ね飛ばされる。
「チッ!何だぁ!!」
「悪ぃなぁ、横槍入れちまって」
そこに立っていたのは、俺と同じくドライバーを腰に巻き姿を変えている人間。
しかもリーリアスの能力を受けていない。
「さぁて、俺の餌になっておくれや」
「アドベンチャーワールドの獣か・・・!まぁいい、ここは一旦退かせてもらうぜ。何方にせよ、そこの死に損ないの報告もせんといかねえからな」
リーリアスはそう言うと、自分が抜けてきた裂け目の中に入っていった。
俺は一息吐くと、気が抜けたのか姿を元に戻してしまった。
「ふーん。俺と同じドライバー持ちか」
獣の姿をした人間は姿を戻す。
俺と同年代程の男だ。
「俺は回胴勲だ。お前は?」
「天野友輝、だ」
「おっ、なら迷い人か!よろしくな!」
勲はそう言い、俺の肩を組む。
随分と馴れ馴れしいな、と思ってしまう。
「助かったぞ、勲」
「どーも、ハッターさん。今回はヤバかったな」
「君が来てくれたお陰だ。感謝している」
「ステンパスから聞いて飛んできたぞ。そんで・・・」
倒れているガルドルに俺達波目線を向けた。
「ま、取り敢えず治療だな」
勲はそう言い、俺は首を縦に振った。
そして、大通りから見える城を俺は睨んだ。
こんな大事になるような事、彼処にいる奴はやろうとしたんだ。
なら、ならば俺はそれに立ち向かう、と心に決める。
ミッドキングダムに戻ったリーリアスはあの男との出来事を思い出した。
「あれが・・・。随分と骨太じゃねえか」
そう呟きながら彼は謁見の間に入る。
そしてそこには自身の首魁である、ダーニアンが座っていた。
「どうであった?リーリアス」
「ガルドルは抜けるようだぜ?それよりも、あの天野とかいう餓鬼。随分と面白い人材じゃねえか」
「リーリアス、貴様・・・」
六騎聖の一人が剣を抜き、リーリアスの喉元へと突き立てた。
「貴様の任務はバザールの調査だけであった筈だ。よもや、戦闘を行った訳ではないであろうな?」
「そう言われなくても少し小突いた程度だっての」
「まぁ良い。ヴァルディア、剣を降ろせ」
ヴァルディア、と呼ばれた騎士は命令に従う。
ダーニアンは不敵な笑みを浮かべ、リーリアスに指示を出す。
「そこまでして戦いたいのであれば、貴様の受け持っているエリアに誘い込めば良かろう。幸い、あの戦いで横槍を入れた男はアドベンチャーワールドに住まう者だ。ならば、それを利用すれば良い」
「・・・それもそうだな。よし、それじゃそれで行きますよ。そんで確実に仕留めてやりますって」
「期待しているぞ、リーリアス」
リーリアスは準備を行う為に外へ出る。
ヴァルディアはふぅ、と溜め息を吐く。
「ヴァルディア。貴殿には別任務を与える」
「はっ」
他の六騎聖もまた、動き出そうとしている。
これにより、友輝達とキングダムによる戦争が始まろうとしていたのだった。
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この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
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