M性に目覚めた若かりしころの思い出

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校内プール裏での、まさかの光景

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プールの裏側まで辿り着いた、男子4人と、女子3人。
と、隠れた場所にいる、わたし。

手前にはプール下の基礎の様なコンクリートの塊、背後には高い石壁、足元に側溝がある狭い路地の様なエリアに、7人が入って行った。
わたしは、彼らからは死角になる場所への移動に成功。慎重にそっと、彼らの様子を眺めていた。

男子4人は、石壁に背を向けながら、横一列に並んでいる。
4人の両サイドに、女子3人のうちの2人が、囲んで立っている。
そして女子の1人は、男子たちの正面に仁王立ちしている。この不良女子は、わたしが女子の中ではきっと校内のトップであろうと予想していた存在である。

距離があったのではっきりとはわからなかったが、男子たちは、ややうつむき加減。動きがやや硬い。
一報の囲んでいる女子たち。こちらの後ろ姿しか見えなかったが、なんとなく男子たちに威圧をかけてそうにも思えた。
やはり、不自然な雰囲気である。

「まさか...、男子たちが、女子たちに、怯えている?」

驚き疑ったが、冷静に考えると人数的には男子が多数。しかも普段、あれだけ威張り散らしている者である。
わたしに対して毎日あれだけ威圧をかけ、わたしも怯えてさんざんお金を巻き上げられた、あの男子4人。

それが、不良女子たちを目の前に、怯えている?
...いささか考え難いものがあった。

ところがである。
そのあとの光景は、わたしの固定観念を吹き飛ばしてしまうほど、衝撃的な展開であったのである。

以下は、わたしが隠れながら見ていた、覚えている限りの映像の全て、である。



女子3人が、横並びに立つ男子4人にじりじりと詰め寄る。
その足取りは、まるで獲物を追い詰める捕食者のような自信に満ち溢れていた。
男子たちは背中を壁に押し付けられるように、じりじりと後退していく。

おそらく、男子たちの視線は、怯えで泳いでいたものであろう。
正面に立つ女子の目は鋭く、男子たちをすべて見透かすような冷たい光を放っていたのであろう。
その視線を一瞬だけでも受け止めた男子の顔はみるみる青ざめ、額には汗がにじみ始めていたであろう。

女子の影が、彼らの小刻みに震える肩を覆い隠した瞬間、場の空気がさらに冷たく張り詰めた。
ついに、正面の女子が右端の男子に対し、頬にビンタを入れたのであった。
パシィィィ
乾ききった音が、わたしの耳にも入ってきた。

殴られて顔をしかめる男子。
正面の女子は、男子のリーゼントの髪を左手で掴んだ。
そのまま男子の顔を起こし上げ、背後の石壁に、リーゼントの頭をすりつけている。

顔を寄せ、何か怒鳴りながらしゃべっている。男子は必死で、謝ってそうだ。

そして、女子はさらに、男子にビンタを数発放っていた。
男子は萎縮してしまっているのか、抵抗して女子に歯向かう気配がない。
ただ、なんとか顔をよけようと、必死に藻掻いていた。

それでも女子は容赦なく、怒号を放ちながら、ビンタを加える。
必死に藻掻く男子。
そこに、無防備状態であった鳩尾のあたりに、女子の拳が入れられた。
ドスッ
鈍い音がここまで聞こえてきそうな錯覚を覚える一撃。
見事に腰が入ったパンチが男子のボディにまともに入ったようで、男子の膝がその場に崩れ落ちた。
腹を押さえてうつ伏せで苦しむ男子に、女子は最後に、とどめとばかりに背中に踵を落とした。

この力の差は、誰が見ても歴然。
言う間でもなく、男子が女子から、屈辱的に打ちのめされてしまった。

残る男子3人も、助けることはせず、突っ立って眺めているのみ。
だれも自分が、この女子に勝てる自信がなかったものと思われる。
女子2人はずっと、彼らに圧をかけ続けていた。

やがて、殴られぶちのめされていた男子が引き起こされ、再び4人が横並びにされた。
そしてそのままそろって膝をつき、頭を下げた。地に額をつけている。
なんと、男子4人が、女子3人に対し、土下座をしているのである。
女子の足元で、完全に屈服し許しを請っている男子、なんとも衝撃的であった。

頭を地面に擦り付けるように深々と下げた男子たち。
その上に代わる代わる乗せられる、女子たちの靴の裏。
彼らの抵抗できない無力さをさらに浮き彫りにしていた。
「情けないわね、本当に。」
よく聞こえはしなかったが、女子たちがこんな言葉を吐いていたように想像できる。
靴の先で男子の額を軽く小突く。
それだけで男子の肩がびくりと震えるのが見て取れた。
靴底の感触が彼らの額を押しつぶし、冷たい地面との間で彼らを押さえ込んでいる。

そのときの女子の表情は、どんなものであったのだろう。
完全に冷徹であると同時に、満足感さえ漂っていたのかもしれない。
また女子たちの声が、わたしの心の中で聞こえてくる。
「これがアンタたちの立場よ、わかる?」
彼女の言葉に、男子たちは何も言えず、ただ額を押し付けられた地面の冷たさを受け入れるしかなかったであろう。

またしばらくすると、こんどは女子3人が総がかりで、男子4人を代わる代わる蹴りはじめた。
女子の怒声の中で、無言で耐える男子たち。




私の心臓は早鐘のように打ち鳴らされ、息をするのも忘れてしまいそうだった。
見慣れたはずの男子たちが完全に屈服し、彼女たちの前で震えている姿。
その光景に、恐怖とも興奮ともつかない感情が体を駆け巡り、頭の中を支配していく。
「なぜ、自分はこんなに息苦しく、熱いのか……?」
意味もわからない高揚感が押し寄せ、体中の血が一気に沸き立つような錯覚を覚える。
視線をそらすことができない。
それどころか、その場にいる男子たちと自分を重ねてしまいそうになる自分に、気付いてしまった。

女子たちはようやく気が収まったようで、なにか言葉を吐き捨てて、男子を置いてその場を立ち去ろうとしている。

「やばい、こっちに来るかも!」

こんどは自分が、彼女たちから殴られてしまうかも?
見つからないよう、そのまま必死に逃げ去った。

幸い見つかることもなく、置いていた鞄を持ち、そそくさと帰路についたのであった。
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