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第一章:憂鬱なる入門
配属は三軍
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河川敷での直美との闘いから1週間後、純一たち4人は、指定された場所に来ている。
しっかり目の女子が、入口から純一たちを連れて来た。
「総長、副総長、桐南高校のやつらが来ました。」
少し奥まった仕切りから声がする。
「。。。入れろ」
女子は純一たちに、言った。
「きちんと、挨拶して来いよな。」
おそるおそる、中に足を伸ばす。
そこには、真ん中にどっしりと直美が座り、足を組んでこちらを睨んでいる。
その脇に、副総長の沙紀も、座って構えている。
今日はしっかりと、鬼女の特攻服で決めていた。
直美は、紅葉商業高の1年。沙紀は直美と同じ歳で、社会人として働いていた。
いかにも武闘派的な2人、どうやって知り合ったのかは知らないが、鬼女ではガッチリと協力しているようだ。
2人から揃って睨みつけられ、純一は今まで感じたことがない、すごい重圧を感じる。
二つも年下の2人の女子を前に、純一たちはすっかりおそれてしまい、震えが激しくなった。
直美たちとなにかの話をしていた途中だったのであろうか、周囲に鬼女の女子が数人いて、一斉にこちらを睨みはじめる。
戸惑っていると、沙紀が怒鳴り出す。
「なにぼさっとしてんだよ、さっさと横に並べっ!」
あわてて横一列に並ぶ。
しばし、沈黙の中で、座った年下女子2人から睨まれつづける、年上男子4人。
4人の背中に、緊張が走る。
直美がこっちを見ながら、立ち上がる。男たちの前に立ち、右端から4人に、ビンタをくれはじめる
バシィィ!
乾いた強烈な音が響きわたる。
直美の右手を左頬で受けた男たちはみな、次々と右側にぶっ飛んでいく。
純一も最後にビンタを受ける。
視界が一瞬で、身体は1メートル以上ぶっ飛んでしまい、あやうく意識まで遠のきそうになる。
直美は無言で背を向け、席に戻る。
男子たちはふたたび、横一列をとりなおす。
沙紀が口を開く。
「ほら、まずはひとりひとりきちんと、総長に挨拶しな。」
「...はい。」
4人は自分の名前と、学校名、学年を話す。
周囲から声が聞こえてくる。
「なに、あいつら全員、高校3年なの?へぇ~」
「なっさけないねぇ。男が4人揃って、あんなにびくびくしちゃってさ。」
聞こえているが、聞こえていないふりをする。
さらに沙紀が話す。
「お前らを今日から鬼女のメンバーに入れてやる。チームのルールを説明してやるから、よく聞けよ。」
沙紀によると、鬼女のルールはおおよそ以下のとおりであった。
1. 総長は直美、副総長は沙紀が、就任している。
2. 階級制をしいており、一軍と二軍があり、他メンバーはそれぞれ割り振られている。
3. 階級割り振りに、年齢や先輩後輩は、関係ない。
4. 階級割り振りの決定権は、総長にある。
5. 下位階級の者は、上位階級に対し、挨拶・敬語を欠かさず、どんな命令も絶対に従わねばならない。
6. 脱会するには、総長の許可が必要。
7. 18歳の3月終わりには、どんな者も、鬼女から卒業となる。
8. シンナー厳禁。
9. 彼氏厳禁。
純一たちは黙って聞いていた。
直美を前にしてはなにを言うこともできず、ルールには黙って従うしかない。
緊張しながら聞いていたが、最後の沙紀のひとこと。
「あぁ、お前らの場合、特別に9番だけは、許してやるよ。」
周囲から微笑が漏れ、ほんの少しだけ空気が和らいだ。
説明が終わり、沙紀がそのまま口を開く。
「じゃぁ、お前たち、今日から鬼女の、三軍メンバーだ。いいな?」
三軍?
二軍までしか聞いてなかったが...?
「三軍は、お前らのために新しく作ったんだよ。難しいことはない、二軍の下だよ。」
「...。」
「おいっ、返事は!」
「あ、...はい、わかりました。」
沙紀からドスが利いた脅しを受け、びびった4人はあわてて返事をした。
要は三軍は、二軍以上のメンバーには、一切逆らえないということであった。
メンバーは全員女子。つまり、三軍の男子4人は、どの女子に対しても、すべて従わなければならない、ということである。
女子のほとんどは年下、さらに中学生まで含まれているが、純一たちは、彼女たちの言いなりになってしまうのだ。
「二軍のユイナが、お前らの躾け係だから、しっかり躾けてもらえよ。じゃぁ、散れっ。」
沙紀から出て行くように言われ、そそくさと去る純一たち。
重たい空気の中、緊張で汗ばんでいたが、やや安堵の表情を浮かべている。
「よかったねぇ、新規加入おめでとう、三軍さん。」
紗耶香が純一に声をかける。紗耶香は一軍に属しているようだ。
そして、冷たく言葉をつづける。
「ほらっ、わたしに挨拶は?」
「...はい、紗耶香さん、これからよろしくおねがいします。」
同級生女子に、敬語で頭を下げて、挨拶しなければならないとは。
「おいっ、三軍どもよぉ。」
さきほどの女子が寄って来た。彼女が、躾け係のユイナであった。
「早速お前らをこれから、しっかり躾けてやるからよ。こっちに来い!」
「...はい、おねがいします。」
4人はユイナの後を付いて行く。
ユイナは二軍のリーダー格でもあるようだ。青洲中学の3年生で、同中学の不良女子たちを束ねる存在でもある。強くなるため、直美に憧れ、鬼女に入門してきたという。
中学生女子にまで、頭を下げなければならないとは。
しっかり目の女子が、入口から純一たちを連れて来た。
「総長、副総長、桐南高校のやつらが来ました。」
少し奥まった仕切りから声がする。
「。。。入れろ」
女子は純一たちに、言った。
「きちんと、挨拶して来いよな。」
おそるおそる、中に足を伸ばす。
そこには、真ん中にどっしりと直美が座り、足を組んでこちらを睨んでいる。
その脇に、副総長の沙紀も、座って構えている。
今日はしっかりと、鬼女の特攻服で決めていた。
直美は、紅葉商業高の1年。沙紀は直美と同じ歳で、社会人として働いていた。
いかにも武闘派的な2人、どうやって知り合ったのかは知らないが、鬼女ではガッチリと協力しているようだ。
2人から揃って睨みつけられ、純一は今まで感じたことがない、すごい重圧を感じる。
二つも年下の2人の女子を前に、純一たちはすっかりおそれてしまい、震えが激しくなった。
直美たちとなにかの話をしていた途中だったのであろうか、周囲に鬼女の女子が数人いて、一斉にこちらを睨みはじめる。
戸惑っていると、沙紀が怒鳴り出す。
「なにぼさっとしてんだよ、さっさと横に並べっ!」
あわてて横一列に並ぶ。
しばし、沈黙の中で、座った年下女子2人から睨まれつづける、年上男子4人。
4人の背中に、緊張が走る。
直美がこっちを見ながら、立ち上がる。男たちの前に立ち、右端から4人に、ビンタをくれはじめる
バシィィ!
乾いた強烈な音が響きわたる。
直美の右手を左頬で受けた男たちはみな、次々と右側にぶっ飛んでいく。
純一も最後にビンタを受ける。
視界が一瞬で、身体は1メートル以上ぶっ飛んでしまい、あやうく意識まで遠のきそうになる。
直美は無言で背を向け、席に戻る。
男子たちはふたたび、横一列をとりなおす。
沙紀が口を開く。
「ほら、まずはひとりひとりきちんと、総長に挨拶しな。」
「...はい。」
4人は自分の名前と、学校名、学年を話す。
周囲から声が聞こえてくる。
「なに、あいつら全員、高校3年なの?へぇ~」
「なっさけないねぇ。男が4人揃って、あんなにびくびくしちゃってさ。」
聞こえているが、聞こえていないふりをする。
さらに沙紀が話す。
「お前らを今日から鬼女のメンバーに入れてやる。チームのルールを説明してやるから、よく聞けよ。」
沙紀によると、鬼女のルールはおおよそ以下のとおりであった。
1. 総長は直美、副総長は沙紀が、就任している。
2. 階級制をしいており、一軍と二軍があり、他メンバーはそれぞれ割り振られている。
3. 階級割り振りに、年齢や先輩後輩は、関係ない。
4. 階級割り振りの決定権は、総長にある。
5. 下位階級の者は、上位階級に対し、挨拶・敬語を欠かさず、どんな命令も絶対に従わねばならない。
6. 脱会するには、総長の許可が必要。
7. 18歳の3月終わりには、どんな者も、鬼女から卒業となる。
8. シンナー厳禁。
9. 彼氏厳禁。
純一たちは黙って聞いていた。
直美を前にしてはなにを言うこともできず、ルールには黙って従うしかない。
緊張しながら聞いていたが、最後の沙紀のひとこと。
「あぁ、お前らの場合、特別に9番だけは、許してやるよ。」
周囲から微笑が漏れ、ほんの少しだけ空気が和らいだ。
説明が終わり、沙紀がそのまま口を開く。
「じゃぁ、お前たち、今日から鬼女の、三軍メンバーだ。いいな?」
三軍?
二軍までしか聞いてなかったが...?
「三軍は、お前らのために新しく作ったんだよ。難しいことはない、二軍の下だよ。」
「...。」
「おいっ、返事は!」
「あ、...はい、わかりました。」
沙紀からドスが利いた脅しを受け、びびった4人はあわてて返事をした。
要は三軍は、二軍以上のメンバーには、一切逆らえないということであった。
メンバーは全員女子。つまり、三軍の男子4人は、どの女子に対しても、すべて従わなければならない、ということである。
女子のほとんどは年下、さらに中学生まで含まれているが、純一たちは、彼女たちの言いなりになってしまうのだ。
「二軍のユイナが、お前らの躾け係だから、しっかり躾けてもらえよ。じゃぁ、散れっ。」
沙紀から出て行くように言われ、そそくさと去る純一たち。
重たい空気の中、緊張で汗ばんでいたが、やや安堵の表情を浮かべている。
「よかったねぇ、新規加入おめでとう、三軍さん。」
紗耶香が純一に声をかける。紗耶香は一軍に属しているようだ。
そして、冷たく言葉をつづける。
「ほらっ、わたしに挨拶は?」
「...はい、紗耶香さん、これからよろしくおねがいします。」
同級生女子に、敬語で頭を下げて、挨拶しなければならないとは。
「おいっ、三軍どもよぉ。」
さきほどの女子が寄って来た。彼女が、躾け係のユイナであった。
「早速お前らをこれから、しっかり躾けてやるからよ。こっちに来い!」
「...はい、おねがいします。」
4人はユイナの後を付いて行く。
ユイナは二軍のリーダー格でもあるようだ。青洲中学の3年生で、同中学の不良女子たちを束ねる存在でもある。強くなるため、直美に憧れ、鬼女に入門してきたという。
中学生女子にまで、頭を下げなければならないとは。
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