3 / 17
第一章:憂鬱なる入門
崩壊されたプライド
しおりを挟む
河川敷にて、対峙するふたり。
純一は軽く屈伸して準備し、直美の方に目をやる。すると、目を見張るものがあった。
いちだんと気迫を漲らせた表情。上着を脱いで現れた、直美の上腕。そしてそこに、肩から胸にかけた、すさまじいくらいの筋肉のかたまりが見える。隆々と形の良い身体つきは、女といえど、かなり鍛え上げられている様子がわかる。
---この女、やっぱかなり、やばそう。
不安が広がるが、ひくことはできず、強がった純一が直美に声をかける。
「おいよぉ、やめてほしけりゃ、いま頼めばゆるしてやるぜ」
「はぁ~、聞いた?いまこいつ、なんて言った?」
直美と沙紀は、手を叩いて大笑いを始める。
「せんぱぁ~い、いまなんて、おっしゃったんですかぁ~?」
---完全に舐められた態度...。もう一切、容赦はしない。
先手必勝とばかりに、純一の方から手を出し、直美の胸倉をつかみに行こうとする。
その瞬間、直美の左カウンターが、見事に純一の顔面にヒット。
まったく見えない早業。この一発で、勝負がほぼ決まったようなものであった。
ぐらつく純一に対し、もう一発、ガードが甘くなったボディに、右フックを浴びせる。
苦しがる純一は前かがみとなり、そこを慈悲なく、機敏な動きで純一の首根っこを掴みながら、顔面に強烈な直美の飛び膝蹴りが入る。
純一は意識が一瞬なくなり、自分の膝が自分の身体を支えられなくなっているのが、わかった。
後ろに逃れようとしたが、いとも簡単に捕まってしまった。
もがいてる間に投げ捨てられて倒され、体制を整えられ、気が付くと直美が馬乗り状態となっていた。
身体の重心をしっかり抑えられ、体幹に力が入らない。
---もう、どうしようもない。
無防備状態の純一に、直美は上から容赦なく、拳を浴びせる。
血管が浮き上がる腕から振り下ろされる直美のパンチは、一撃一撃が重く強烈であった。
---いままで浴びた中で、最も強い、痛い、苦しい。。。
顔が腫れあがり、鼻と口から血が湧き出る。直美に対し、恐怖の念を抱いた。
「ほら、せんぱぁ~い、まだやりますかぁ?」
直美の挑発に対し、歯向かっていける胆力は、とうに失われていた。20秒ももたず、純一は直美に秒殺されてしまっていた。
「直美ぃ、それじゃちょっと、やり過ぎじゃない?」
「そうだね。でもなんか、むかついてさ。」
直美は余裕の表情。
「ほぉら、せんぱい、最後にこれをプレゼントしちゃいますねぇ。」
最後に一発、腹筋に力を込めた強めの拳が飛んでくる。
「ぐぅおぉぉ...」
完敗で終わった。
悶え苦しむ純一を尻目に、直美は立ち上がり、女子たちの方に向かいハイタッチを交わしている。
「おつかれさまぁ~。」
「いぇ~い。」
一方、純一はひとりで立ち上がれず、仲間からの介抱を受けながら、やっと上半身を起こす。
再び近寄ってきた直美が、純一を見下ろしながら、口を開ける。
「ほら、降参なんだろ。ちゃんと土下座して、きちんと終わらせろよ。」
「...。」
女に対して土下座をすることは、男としてプライドは総崩れである。しかし、多くの男が直美の前に敗れ、土下座をさせられてきたのである。純一も同様、直美の足元に跪き、首を垂れる。
「参りました。すみませんでした。許してください。」
土下座して許しを請う、純一。
直美はその上から、純一の後ろ首に靴のままの左足を乗せる。足裏でぐりぐりと、力を込めて、純一の額を地面にすりつける。その様子を、沙紀が携帯を取り出し、写真を撮っている。
なにも抵抗はできない。抵抗することでこれ以上殴られることを恐れた。
純一の仲間たちも、ショックで言葉がない。完全に震え上がっているようだ。あれだけ強く威勢のよかった純一が、直美を前に、こうも簡単に惨めな目にあわされてしまっている。自分がこうなるのを恐れ、目を合わさないよう、黙っているしかなかった。
沙紀が純一に向かって、話している。
「お前、負けたらこいつらと一緒に、うちのチームに入るって言ってたよな?」
「...。」
---たしかに言った。
「お前の連絡先を、ここに書け!」
ペンとメモを放り投げてよこし、こんどは紗耶香に向かってしゃべる。
「紗耶香、お前、こいつの同期なんだろ。こいつの連絡先はわかるか?」
「はい、中学時代のつてをだどれば、たぶんわかると思います。」
「たぶんじゃねぇよ、おい!ちゃんと調べとけ。」
「...はい。」
「こいつからここにウソ書かれちゃ、逃げられちまうだろ。ちゃんと防戦を張っておくんだよ。」
「はい、わかりました。」
年下の沙紀の命令に対し、紗耶香は従順に対応している。
沙紀は純一が書いたメモを拾い上げた。
「あとで連絡入れさせるから、そこに都合合わせて、きちんと来るんだぞ。いいな!」
言い残して、直美を先頭に、女子たちは去っていった。
紗耶香から連絡先にメールが届いたのは、翌日の夜。そこに、日付と場所が指定されていた。
また、着ていた特攻服も持って来るようにと、書かれてあった。
純一は軽く屈伸して準備し、直美の方に目をやる。すると、目を見張るものがあった。
いちだんと気迫を漲らせた表情。上着を脱いで現れた、直美の上腕。そしてそこに、肩から胸にかけた、すさまじいくらいの筋肉のかたまりが見える。隆々と形の良い身体つきは、女といえど、かなり鍛え上げられている様子がわかる。
---この女、やっぱかなり、やばそう。
不安が広がるが、ひくことはできず、強がった純一が直美に声をかける。
「おいよぉ、やめてほしけりゃ、いま頼めばゆるしてやるぜ」
「はぁ~、聞いた?いまこいつ、なんて言った?」
直美と沙紀は、手を叩いて大笑いを始める。
「せんぱぁ~い、いまなんて、おっしゃったんですかぁ~?」
---完全に舐められた態度...。もう一切、容赦はしない。
先手必勝とばかりに、純一の方から手を出し、直美の胸倉をつかみに行こうとする。
その瞬間、直美の左カウンターが、見事に純一の顔面にヒット。
まったく見えない早業。この一発で、勝負がほぼ決まったようなものであった。
ぐらつく純一に対し、もう一発、ガードが甘くなったボディに、右フックを浴びせる。
苦しがる純一は前かがみとなり、そこを慈悲なく、機敏な動きで純一の首根っこを掴みながら、顔面に強烈な直美の飛び膝蹴りが入る。
純一は意識が一瞬なくなり、自分の膝が自分の身体を支えられなくなっているのが、わかった。
後ろに逃れようとしたが、いとも簡単に捕まってしまった。
もがいてる間に投げ捨てられて倒され、体制を整えられ、気が付くと直美が馬乗り状態となっていた。
身体の重心をしっかり抑えられ、体幹に力が入らない。
---もう、どうしようもない。
無防備状態の純一に、直美は上から容赦なく、拳を浴びせる。
血管が浮き上がる腕から振り下ろされる直美のパンチは、一撃一撃が重く強烈であった。
---いままで浴びた中で、最も強い、痛い、苦しい。。。
顔が腫れあがり、鼻と口から血が湧き出る。直美に対し、恐怖の念を抱いた。
「ほら、せんぱぁ~い、まだやりますかぁ?」
直美の挑発に対し、歯向かっていける胆力は、とうに失われていた。20秒ももたず、純一は直美に秒殺されてしまっていた。
「直美ぃ、それじゃちょっと、やり過ぎじゃない?」
「そうだね。でもなんか、むかついてさ。」
直美は余裕の表情。
「ほぉら、せんぱい、最後にこれをプレゼントしちゃいますねぇ。」
最後に一発、腹筋に力を込めた強めの拳が飛んでくる。
「ぐぅおぉぉ...」
完敗で終わった。
悶え苦しむ純一を尻目に、直美は立ち上がり、女子たちの方に向かいハイタッチを交わしている。
「おつかれさまぁ~。」
「いぇ~い。」
一方、純一はひとりで立ち上がれず、仲間からの介抱を受けながら、やっと上半身を起こす。
再び近寄ってきた直美が、純一を見下ろしながら、口を開ける。
「ほら、降参なんだろ。ちゃんと土下座して、きちんと終わらせろよ。」
「...。」
女に対して土下座をすることは、男としてプライドは総崩れである。しかし、多くの男が直美の前に敗れ、土下座をさせられてきたのである。純一も同様、直美の足元に跪き、首を垂れる。
「参りました。すみませんでした。許してください。」
土下座して許しを請う、純一。
直美はその上から、純一の後ろ首に靴のままの左足を乗せる。足裏でぐりぐりと、力を込めて、純一の額を地面にすりつける。その様子を、沙紀が携帯を取り出し、写真を撮っている。
なにも抵抗はできない。抵抗することでこれ以上殴られることを恐れた。
純一の仲間たちも、ショックで言葉がない。完全に震え上がっているようだ。あれだけ強く威勢のよかった純一が、直美を前に、こうも簡単に惨めな目にあわされてしまっている。自分がこうなるのを恐れ、目を合わさないよう、黙っているしかなかった。
沙紀が純一に向かって、話している。
「お前、負けたらこいつらと一緒に、うちのチームに入るって言ってたよな?」
「...。」
---たしかに言った。
「お前の連絡先を、ここに書け!」
ペンとメモを放り投げてよこし、こんどは紗耶香に向かってしゃべる。
「紗耶香、お前、こいつの同期なんだろ。こいつの連絡先はわかるか?」
「はい、中学時代のつてをだどれば、たぶんわかると思います。」
「たぶんじゃねぇよ、おい!ちゃんと調べとけ。」
「...はい。」
「こいつからここにウソ書かれちゃ、逃げられちまうだろ。ちゃんと防戦を張っておくんだよ。」
「はい、わかりました。」
年下の沙紀の命令に対し、紗耶香は従順に対応している。
沙紀は純一が書いたメモを拾い上げた。
「あとで連絡入れさせるから、そこに都合合わせて、きちんと来るんだぞ。いいな!」
言い残して、直美を先頭に、女子たちは去っていった。
紗耶香から連絡先にメールが届いたのは、翌日の夜。そこに、日付と場所が指定されていた。
また、着ていた特攻服も持って来るようにと、書かれてあった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
M性に目覚めた若かりしころの思い出
kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、それをはじめて自覚した中学時代の体験になります。歳を重ねた者の、人生の回顧録のひとつとして、読んでいただけましたら幸いです。
一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。



体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

アレンジ可シチュボ等のフリー台本集77選
上津英
大衆娯楽
シチュエーションボイス等のフリー台本集です。女性向けで書いていますが、男性向けでの使用も可です。
一人用の短い恋愛系中心。
【利用規約】
・一人称・語尾・方言・男女逆転などのアレンジはご自由に。
・シチュボ以外にもASMR・ボイスドラマ・朗読・配信・声劇にどうぞお使いください。
・個人の使用報告は不要ですが、クレジットの表記はお願い致します。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる