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第26話
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こたつの中には魔物が住んでいる。
あるいはこたつ自体が魔物なのかもしれない。
クリスマスから三が日が終わるまで連勤続きだった俺の身体は疲労困憊。
連勤が終わったことからの安堵感から、昨日の夜は完全にハメを外してしまった。
朝、目を覚ませばこたつの中。
部屋の照明も点けっぱなしで、テレビでは有名スポーツ選手とベテランお笑い芸人が楽しそうに野球のようなものをしている。
卓の上にはビールの空き缶と開いたお菓子やおつまみの袋が散乱。
夕飯を食べたあと、少し物足りなさを感じた俺は、反対側ですぅすぅと寝息を立てて眠っている茶髪のJKと晩酌をした。もちろん未成年のロコにはジュースを。
お酒に興味があるらしく、俺がビールを飲むのを羨ましそうに眺めていた。
その姿はまるで人間の食べ物を欲しがる犬のようで、ついあげたくなってしまい危険だった。
あと2・3年したら俺のおごりで飲みに連れて行ってやる。その時を楽しみにしてるよ。
風邪を引くから起こした方がいいんだろうけど、鼻をピクピクさせて幸せそうな寝顔をしているロコを起こすのはちょっとな。もう少しこのままにしておこう。
こたつの魔力から脱出すると、気だるい身体と頭を起こすべくお風呂場へ。
※
「初詣?」
「そっ。お互いの今年一年の健康と平和を神様にお願いしに」
オーブンで焼いたばかりの朝食のお餅を食べていると、ロコがそう言ってきた。
初詣.........その嫌な言葉の響きに思わず。
「......断る」
「え~! なんで~?」
「今日は家でダラダラするって前から決めてたんだ。俺はその予定を実行する」
適当に理由をつけて、話しを行かない方向に持っていく。
「うわー。最低な理由だね。しかもおじさん臭い」
「何とでも言え。それに俺は今年で四捨五入したら30のおじさんだからな」
誰になんと言われようと、俺はもう初詣には行かないと決めたんだ。
お金を払って神に祈って、大切な人を奪われるとか.........最悪過ぎて反吐が出る。
「近所の神社だから空いてるよ」
「人の多さの問題じゃなくて」
「どうしてもダメ?」
「ダメだ」
「もし初詣に付き合ってくれたら今日の夕飯、剣真の大好きなハンバーグ作ってあげるって言っても?」
「子供じゃねぇんだから。食べ物で釣られるとでも思って――」
「あとマッサージも追加でって言ったら?」
餅を持ち上げようとした俺の箸がピタッと止まった。今何と?
「この前は肩だけだったけど、今回は全身やってあげるよ~。どうする~?」
両手の指を顔の前でうねうねと怪しく動かしてアピールしている。
このJK、チャラい見た目とは裏腹に肩揉みのスキルが半端ではない。
話しの流れで一度やってもらったのだが......あまりのテクニシャンぶりに昇天しかけたほど。
力は決して強くはない。だが、まるで針の糸でも通すかのように絶妙に気持ちの良いポイントを刺激する。
あれが今度は全身で体感できると思うと、俺の鉄の意思にもヒビが入ってしまう。
「JKに全身マッサージされるなんて、こんなチャンス二度とないかもよ~? 一緒に初詣に行くのが私へのお年玉ってことにしてさ、ね?」
そうだ。俺はまだロコにお年玉をあげていない。お年玉をあげてマッサージが返ってくるなんて、最高のハイリターンじゃないか。
身体も年末年始の激務のせいで悲鳴をあげているので、ご褒美をやらないといけないしな。
「......しょうがねぇな。そこまで言うなら......一緒に行ってやってもいいぞ」
「さすが剣真! そういう剣真のた...話せば分かるところ、お姉ちゃん好きだな」
瞳をきらきらさせて言っても、単純と言いかけたのバレバレだから。
餅に黄な粉をまぶして美味しそうに頬張っている、目の前のJKに今年も良いように操られて、俺は情けない。
でも嫌いじゃないなんだよな、この感覚。
あるいはこたつ自体が魔物なのかもしれない。
クリスマスから三が日が終わるまで連勤続きだった俺の身体は疲労困憊。
連勤が終わったことからの安堵感から、昨日の夜は完全にハメを外してしまった。
朝、目を覚ませばこたつの中。
部屋の照明も点けっぱなしで、テレビでは有名スポーツ選手とベテランお笑い芸人が楽しそうに野球のようなものをしている。
卓の上にはビールの空き缶と開いたお菓子やおつまみの袋が散乱。
夕飯を食べたあと、少し物足りなさを感じた俺は、反対側ですぅすぅと寝息を立てて眠っている茶髪のJKと晩酌をした。もちろん未成年のロコにはジュースを。
お酒に興味があるらしく、俺がビールを飲むのを羨ましそうに眺めていた。
その姿はまるで人間の食べ物を欲しがる犬のようで、ついあげたくなってしまい危険だった。
あと2・3年したら俺のおごりで飲みに連れて行ってやる。その時を楽しみにしてるよ。
風邪を引くから起こした方がいいんだろうけど、鼻をピクピクさせて幸せそうな寝顔をしているロコを起こすのはちょっとな。もう少しこのままにしておこう。
こたつの魔力から脱出すると、気だるい身体と頭を起こすべくお風呂場へ。
※
「初詣?」
「そっ。お互いの今年一年の健康と平和を神様にお願いしに」
オーブンで焼いたばかりの朝食のお餅を食べていると、ロコがそう言ってきた。
初詣.........その嫌な言葉の響きに思わず。
「......断る」
「え~! なんで~?」
「今日は家でダラダラするって前から決めてたんだ。俺はその予定を実行する」
適当に理由をつけて、話しを行かない方向に持っていく。
「うわー。最低な理由だね。しかもおじさん臭い」
「何とでも言え。それに俺は今年で四捨五入したら30のおじさんだからな」
誰になんと言われようと、俺はもう初詣には行かないと決めたんだ。
お金を払って神に祈って、大切な人を奪われるとか.........最悪過ぎて反吐が出る。
「近所の神社だから空いてるよ」
「人の多さの問題じゃなくて」
「どうしてもダメ?」
「ダメだ」
「もし初詣に付き合ってくれたら今日の夕飯、剣真の大好きなハンバーグ作ってあげるって言っても?」
「子供じゃねぇんだから。食べ物で釣られるとでも思って――」
「あとマッサージも追加でって言ったら?」
餅を持ち上げようとした俺の箸がピタッと止まった。今何と?
「この前は肩だけだったけど、今回は全身やってあげるよ~。どうする~?」
両手の指を顔の前でうねうねと怪しく動かしてアピールしている。
このJK、チャラい見た目とは裏腹に肩揉みのスキルが半端ではない。
話しの流れで一度やってもらったのだが......あまりのテクニシャンぶりに昇天しかけたほど。
力は決して強くはない。だが、まるで針の糸でも通すかのように絶妙に気持ちの良いポイントを刺激する。
あれが今度は全身で体感できると思うと、俺の鉄の意思にもヒビが入ってしまう。
「JKに全身マッサージされるなんて、こんなチャンス二度とないかもよ~? 一緒に初詣に行くのが私へのお年玉ってことにしてさ、ね?」
そうだ。俺はまだロコにお年玉をあげていない。お年玉をあげてマッサージが返ってくるなんて、最高のハイリターンじゃないか。
身体も年末年始の激務のせいで悲鳴をあげているので、ご褒美をやらないといけないしな。
「......しょうがねぇな。そこまで言うなら......一緒に行ってやってもいいぞ」
「さすが剣真! そういう剣真のた...話せば分かるところ、お姉ちゃん好きだな」
瞳をきらきらさせて言っても、単純と言いかけたのバレバレだから。
餅に黄な粉をまぶして美味しそうに頬張っている、目の前のJKに今年も良いように操られて、俺は情けない。
でも嫌いじゃないなんだよな、この感覚。
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