まほカン

jukaito

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第115話 義侠! 忘れられない少女の面影を少女に見る (Bパート)

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「ここだ」
 巨漢に部屋へ案内される。
「ここは……?」
 紫織は息を呑む。
 そこはレースや様々なインテリアに彩られていて、洋館というよりお城のお姫様の部屋を連想される部屋になっていた。
(みあさんの部屋に近い雰囲気ですけど、おもちゃとか生活感がないから、なんていいますか……)
 紫織はその感じの違いを上手く言葉に出来なかった。
「写真の女性と結婚した時に迎え入れるために用意した部屋だ」
 巨漢が言う。
「え!?」
「お嬢ちゃんにゆっくりしていってもらうにはこの部屋が一番いいって、組長《オヤジ》が言った」
「でも、そんな部屋を私なんかが使っていいんでしょうか……?」
 一瞥しただけ気後れしてしまう。
 どう考えても自分に相応しくない部屋だった。
「遠慮することはない。君みたいなお嬢ちゃんが使った方がいい」
「はあ……」
「多少荒らしても、うちの組には掃除屋がいるから気にすることはない」
「掃除屋……?」
 やくざが言うとなんだか別の意味に聞こえるような気がするのは何でだろう。
「そういうわけでゆっくりしていきな」
 そう言って巨漢は部屋を出る。
「………………」
 一人残った紫織は途方に暮れて、その場に立ち尽くす。
「はああああ、やっと話せるわあああああ!!」
 紫織のカバンに付いていた羊型のマスコット・アリィが思いっきり話し始める。
「ちょ、ちょっとアリィがここで話したら?」
 こんなところを誰かに聞かれたらまずい。
 マスコットは普段カバンやランドセルについていて、ぬいぐるみのように沈黙を保っている。
「大丈夫でしょ、周りに人はいないみたいだし、私、人の気配には敏感だし」
「そうなんですね」
 アリィにそう言われたことで、一安心する。
「さて、それじゃそこに座りなさいよ」
「え、でも……」
 アリィが指した椅子に座るのを、紫織は躊躇った。
 明らかに高価そうな装飾に気後れしてしまう。
「あいつは自由に使っていいって言ってたじゃない」
「それはそうなんですけど……」
「相手がいくらやくざといっても、無関係の危害を加えるようなことはないと思うわよ。例外はあると思うけど」
「そ、その例外が怖いんですけど……」
「まあ、その心配もないんじゃないの。あの組長さんも大男さんも紳士的だったし」
「……そうですね」
 紫織は恐る恐る椅子に腰を下ろしてみる。
「でも、このあとどうしましょう……?」
 紫織は困って、アリィに訊いてみる。
「どうもしないんじゃない? そのうち大人しく帰してくれるんじゃない」
「そうだといいんですけど……なんだか良くないことが起こるような気がして」
「良くないこと? あんたも心配性ね、まあ心配になる気持ちもわかるけどね。やくざの組合に行ったら、やくざのカチコミにあって、連れ去られてお姫様みたいな部屋に案内されて、これ以上のトラブルに巻き込まれることなんてそうそうないと思うけど、トラブルってそういうときに限って連続して起こるものなのよね。特に魔法少女や怪人なんてトラブルを呼び寄せる舞台装置みたいなものだから、まあまたトラブルが起きる。ああここまで言っておいてなんだけどこれ以上のトラブルがまた起きる気がしてきたわ。これ以上よ、これ以上。むしろここからが本番っていうか――」
「ちょっと! アリィ、ちょっと待って!」
 紫織はアリィの会話を制止する。
 アリィはスイッチが入ると放っておくとずっと喋り続けるのだ。しかも、内容は延々と小言を繰り返すことが多い。
「わかりましたから、お説教はあとにして、今はここからどうやって抜け出すか、一緒に考えてくれませんか?」
「そうね……」
 アリィはクルッと一回転して部屋の様子を見渡してみる。
「どうにもならないわね、なるようになるしかないわ」
「そ、そんな……!」
「無責任な言い方っていうけどね、これでもちゃんと考えてから言ってるのよ。やくざの本拠地なんだから無理に出ようとする方がかえって危険だわ。向こうはあんたを丁重に扱おうとしてるし、下手に暴れたら向こうもそれなりに対処しなくちゃならないわ。下手したら鉄砲とか出てきて撃ったら、魔法使わないあんたなんてイチコロよ。そうなったら、私が困るのよね? そういうわけで大人しく」
「……アリィが大人しくしてください」
 紫織は苦言を呈する。
「フン、大丈夫よ、このことは社長にも伝わっているから」
「社長が?」
「私達は社長のマスコットだから、感覚も共有しているのよ。この部屋だって見てるし、社長は『住んでみたい』なんて言ってるくらいよ」
「そうなんですか」
「意外?」
「そうですね。社長にお姫様趣味があるなんて思いませんでした、あ……!」
 紫織は失言に気づく。
 アリィが聞いたことは、あるみにも聞こえている。
「社長はそのくらいことは気にしないわよ」
「はあ……ごめんなさい」
「私に言っても仕方ないわよ。あ、それと、社長は自分の代わりに翠華をよこすみたいよ」
「翠華さんが?」
 紫織は翠華が来ることを意外に思った。



 翠華はウシィの案内で洋館の前にまでやってきた。
「ここまで来たけど、どうすればいいのかしら?」
 あるみの言にのせられて、やってきたものの、どうやって紫織を助け出すか、いい考えがここにくるまでに思いつかなかった。
 門を遠目から確認してみる。
 厳かな門構えに加えて、監視カメラまである。迂闊に近づくことさえできない。
「魔法を使えばどうにかなりそうだけど、普通の人相手に魔法を使うわけにはいかないから……」
「ウシシ、それが今回は特例でな」
「特例?」
「ウシシ、条件を二つ守れば魔法を使っていいことだ。ウシシ、魔法を使ってるってバレないことと普通の人を傷つけないことだ」
「その二つを守れば魔法を使っていいってことなのね?」
「ウシシ、そうだ」
「それなら……」
 なんとかなる。翠華はコインを取り出して、さっそく変身しようか、という時だった。
「お嬢ちゃん、ですか」
「え!?」
 突然、背後から声をかけられて翠華は飛び上がりかけた。
「だ、誰ですか!?」
 翠華が振り向くと、やせっぽちの男が飄々と立っていた。
「あっしは本町組のカゲといいます」
「本町組? カゲ?」
 本町組といえば、会社、というか、あるみと懇意にしているやくざの組。
 つまり、この状況だと味方といっていい存在。だけど、いつの間にか背後をとっていた怪しげな雰囲気に警戒心が解けない。
「警戒するのは当たり前です。あっしは人の後ろに立つのが性分なもんで」
「か、変わった性分ですね……」
 正直怪人なのではないかと思ってしまう物言いに感じた。
 しかし、不思議なことにカゲからは魔力を感じない。
「お嬢ちゃんにもそういった風に警戒されてましたぜ」
「お嬢ちゃん? 紫織ちゃんのことですか?」
「そうですそうです。やっぱりあんたは関係者でしたか」
「紫織ちゃんの先輩の翠華です」
「翠華さんでしたか。よろしくお願いします」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
 お互いに一礼する。
「さて、翠華お嬢さんの目的は紫織お嬢ちゃんの奪還でしょうか?」
「はい。奪還っていうのはちょっと大げさだけど」
「すいやせん。言葉の綾で大げさに言ってしまいました。何にせよ、あっしは紫織ちゃんがいるところまで忍び込むつもりですが、ついてきますか?」
「え、し、忍び込む?」
 翠華は困り果てる。
 魔法無しで紫織を助け出すには、忍び込むというのは手っ取り早い方法に思えた。失敗してバレたときのリスクを考えなければ、だけど。
「あっしが潜入しやすいルートを知ってるんであとをついていけばいいです」
「そ、そう……ちょっとまってください」
 翠華はウシィへ耳打ちする。
「忍び込むって、私はどうしたらいいの?」
「ウシシ、そいつはお嬢が判断することだぜ」
「わ、私が?」
「ウシシ、社長はそういうことも含めてお嬢に任せたんだぜ」
「そ、そんな……」
 翠華は改めて任されたことを後悔する。
「やくざのお屋敷に忍び込むなんて、……しかも魔法無しで」
 難問であることは間違いない。
 しかし、これを乗り越えれたら、かなみの尊敬を得られる。
『やくざのお屋敷に忍び込んで、紫織ちゃんを助け出すなんて、やっぱり翠華さんは凄いです』
 そんなかなみの尊敬の声を脳内で再生される。
 そんなことを言われるのであったら、なんとしてでもやり遂げラなければならない。
「わかりました。案内お願いします」
 翠華は決意して、カゲに申し出る。
「承知いたしやした。いい覚悟の目でやんす」
 カゲは感心したようにそう言って、背中を向ける。
「こっちです」
 カゲの案内で、門を回る。
「この屋敷は裏の山につながっていましてね。裏門もそちらの方にあって、そっちの方が警戒が薄いんですよ」
「へ、へえ……」
 どうして、そんなことを知っているのだろうか、と翠華は疑問に思った。
「そして、その裏門の塀の方はもっと警戒が薄いんですぜ」
「塀?」
 翠華はカゲが指した方を見る。
 それは人が通れるようにできてない壁――塀だった。
「そりゃ、こんな塀があるんだから警戒なんて必要ないわよね」
「それだけ連中は警戒してないってことですぜ。逆にそこが狙い目ってことですぜ」
「狙い目ってどうするんですか?」
「このハシゴを使うんです!」
 カゲはハシゴを塀へとたてる。
「ど、どこから出したんですか!? そのハシゴ!?」
「ちょっとそこから調達してきたんです」
「ちょっと? そこから?」
 翠華はカゲが魔法のようにハシゴを取り出したせいで混乱する。
「細かいことは抜きにしてください」
「こ、細かいことなんでしょうか?」
「ささ、グズグズしているとバレちまいますからね!」
 カゲはササッとハシゴを駆け上がって、塀を飛び越える。
「あ、あの人……何者?」
「ウシシ、ある意味怪人より怪人らしいな」
「でも、やっぱり魔力を感じないからただの人なのよね」
「ウシシ、そういうこった。そういう人間もたまにはいる」
「……たまにはね」
 非常識だと思ったけど、深く考えてもわからないのだと翠華は諦めた。
「お嬢さん、早く来なさいよ」
 塀を上がったカゲが促す。
「は、はい」
 翠華はハシゴを駆け上がる。
「中々の身のこなしですな」
「……どうも」
「その調子なら問題なくついてこれそうですな。ささ、こっちです」
 カゲは塀から飛び降りて、着地する。
 物音一つしない見事なものだった。
(……私にもできるかしら?)
 不安になりながらも、翠華は飛び降りる。

タン

 物音一つ立ってしまった。
 さすがにカゲのように無音とまではいかなかった。
「………………」
「ついてきてください」
 翠華が気まずそうにしていると、カゲは気にすること無く促してくる。
(上出来って、言ってるのかしら……?)
 カゲは背中からそう語っているように翠華は感じた。



 カゲの先導で、翠華は難なく洋館へ忍び込めた。
「この時間、この扉は空いてるですよ」
 なんでそんなことまで知ってるのか、疑問に思うこともあったけど、それをあえて口にすることで足を引っ張ることに繋がりそうで訊けなかった。
 洋館の廊下を歩いていても組員の一人とも遭遇すること無く歩を進めていた。
「お嬢ちゃんならあの部屋にお通しされているはず」
「あの部屋?」
「側室用に誂えた部屋です」
「そ、側室!?」
「声が大きいです」
 翠華は驚きの声を上げ、カゲは指を立てる。
「あ、す、すみません……」
「驚くのは無理はないことです。側室といっても、お嬢ちゃんをそれに迎え入れるつもりはないでしょうよ」
「そ、それはそうですよ! 紫織ちゃんに結婚は早すぎます! それにやくざの側室なんて!」
「声が大きいです」
 カゲは促されて、翠華は慌てて深呼吸して落ち着かせる。
「でも、どうして紫織ちゃんがそんな部屋に? それにどうしてあなたがそれを知ってるんですか?」
 翠華はことのついでに、忍び込む前から抱いていた疑問を口にする。
「なあに、あっしはこちらの組の内情に詳しくてですね。それで検討がついてるだけです」
「内情?」
「詳しく話してるヒマはないですから、今はそういうことで納得してください」
「……はい」
 翠華は短く答え、同時に心中で納得する。
 今は紫織を助け出すことが何よりも先決だと気持ちを切り替える。
「この部屋です」
 カゲは立ち止まり、その扉を指す。
「本当にこの部屋に?」
「確認してみますか」

コンコン

 カゲはそう言って、扉をノックする。
「……はい?」
 紫織の不安げな声が返ってくる。
「お任せします」
 カゲは扉の前を譲る。
 中に入って、紫織を助け出すのは翠華の役目です、そう言っているようだった。
「はい」
 言われなくても、翠華の役目だと快諾する。
「紫織ちゃん、翠華よ」
「……すい、か、さん?」
 確認する声が返ってくる。
「助けに来たわ」
「本当ですか? 本当に翠華さんが……?」
「入るわ」
 翠華は扉を開けて、部屋に入る。
「……翠華さん」
「紫織ちゃん」
 翠華は部屋の端の椅子に座している紫織へ歩み寄る。
「本当に助けに来てくれたんですね?」
「……え、えぇ」
「翠華さん、どうしたんですか?」
 やや呆気にとられた翠華を紫織は不審に思って訊く。
「あ、い、いえ……紫織ちゃんがそこに座ってるのがあまりにも似合ってて、本当にお姫様なんじゃないかって思っちゃって……」
「……え?」
「あ、ごめんなさい……変なこと言っちゃって……」
「だ、大丈夫です、いつものことですから」
「そ、そう? いつものことね……」
「…………………」
 翠華はその返答に違和感を抱きつつも、紫織は気まずそうに黙っている。
「とにかくすぐにここから抜け出しましょう」
「抜け出す……魔法ですか?」
「いえ、魔法は使っちゃダメだから、使わないように出るのよ」
「え、そんなことできるんですか?」
「私も無茶ぶりだと思ったんだけど、カゲさんって人のおかげでここまで来られたわ」
「カゲさん? カゲさんってあのカゲさんですか?」
「そう、あっしでやんす」
「キャッ!?」
 突然、背後からした声に紫織は椅子から飛び上がりそうな勢いで驚く。
「失礼。人の後ろに回るのが習性でしてね」
「それもビックリですけど、それ以前にいつの間に入ってきたんですか?」
 翠華が訊く。
「まあ、それも習性ですから」
「どんな習性ですか……」
 翠華は呆れる。
「カゲさん、私を助けに来てくれたんですか?」
「そうなんです。組長《オヤジ》も大層心配していやすぜ」
「組長さん……」
「今頃反撃するために準備を整えているところです」
「え、反撃?」
「反撃ってどういうことですか?」
 それは翠華も初耳だった。
「本町組は今日、隣町組のカチコミを受けました。その借りをすぐに返さなければ組のメンツは保てやしませんからねえ」
「メンツ、ですか……」
「お嬢ちゃんには理解できない感情ですな。あっしらはそんな理解できない感情で動いてるんですよ」
「……そうですね、私にはわかりません」
「紫織ちゃん……」
 紫織が苦しそうにそう答えるものだから、翠華は心配になる。
「まあ、お嬢ちゃんとお嬢さんには関係ない話でっせ。さっさとここから抜け出せば問題ありませんから」
「関係ない話……あの、本当に関係ない話なんでしょうか?」
 紫織が訊く。
「それはどういう意味ですか?」
「あ、いえ……こうしてさらわれて、カゲさんや翠華さんがこうして動いてくれて……それなのに、私が無関係といっていいんでしょうか?」
「……お嬢ちゃん、そいつは抱え込みすぎでっせ。お嬢ちゃんは巻き込まれただけでやすから」
「で、ですが……」
「こっちの組長《オヤジ》も向こうの組長《オヤジ》もお嬢ちゃんがいなくても争いあってます。ガキの頃から、昔っからですよ」
「一人の女性をとりあってですか……」
「一人の女性?」
 翠華は首を傾げる。
「そうなんですよ。その人はある日突然姿を消してしまいやしてね」
「あの、それで本町組の組長さんはその人と結婚したわけじゃないんですよね?」
「そんなことはありませんぜ。あの人はいくら探しても見つからなかったもんだから、親の決めた人と仕方なく添い遂げやしたんです」
「それじゃ、隣町組の組長さんは完璧に誤解していたわけですね。私も組長の孫娘だと勘違いしていましたし」
「そんな面倒事に巻き込まれるなんて、災難だったわね、紫織ちゃん」
「……こういうことは、かなみさんの質《たち》だと思うんですけど」
「え?」
「あ?」
 余計なことを言ってしまった、と紫織は口を抑える。
「……い、今のは、かなみさんには内緒にしてください」
「あはは、そうね。かなみさん、きっと苦笑いするだけだと思うけど」
 かなみが怒ったりしないだろうか、と紫織は不安に思ったものの、翠華はそんなことはないと諭す。
「フフ、そんな顔が浮かびます」
 思わず二人の笑みがこぼれる。
「ささ、話はあとでゆっくりするとして、早くここから抜け出しましょう」
「あ、そうですね。すみません」
 翠華は謝る。
「グズグズしていると、あいつがカンづいてやってきます」
「あいつ?」
「――もうカンづいてる」
「「えぇ!?」」
 突然翠華の背後からした声に二人揃って飛び上がって驚く。
「に、ニンジャさん!?
「ニンジャって、あの忍者!?」
「左様。忍ぶ者と書いて忍者であり、ニンジャの名で通っている」
「にんじゃであり、にんじゃでとおっている??」
 翠華は首を傾げる。
「と、とにかく、ニンジャさんですよ翠華さん」
「忍者か。やはりお前さんが真っ先にカンづきやしたか!」
 カゲはナイフを手にとる。
「カゲの男か。貴様とも長年の腐れ縁だな」
「今日こそ決着をつけるでやんす」
 ニンジャは手裏剣を投げ、カゲがナイフを投げて応じる。

キィン!

 手裏剣とナイフがぶつかって火花が飛び散る。
「お嬢ちゃん、お嬢さん、ここはあっしに任せて先に脱出してください」
「え、脱出!?」
「そんな、私達だけで脱出なんて……」
 翠華は躊躇った。
 ここまで人に見つからずにこれたのは、カゲのおかげであって、そのカゲ無しでの脱出は危険しか思い浮かばない。
「グズグズしてないで早くしてください。あっしはニンジャの相手だけで精一杯でやすから!」
 そう言いつつ、ニンジャとカゲは切り合いを演じ始める。

キィン! キィン! キィン! キィン!

「「………………」」
 二人は呆気にとられていた。
「お嬢さん、早く!」
 そんな中でもカゲは翠華達に脱出を促す。
「紫織ちゃん、こうなったら早く脱出しましょう」
 こんなところでグズグズしていられないと翠華は気持ちを切り替える。
「え、えぇ……」
 紫織はまだ踏ん切りがつていない。
「早く!」
「あ、あぁ!?」
 翠華は紫織の手を引いて、部屋を出る。

キィン! キィン! キィン! キィン!

 二人が部屋を出た後も激しい金属音が鳴り響いていた。
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