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第108話 炎上! 狂乱の遊戯盤に駒の少女は進む (Cパート)
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バァン! バァン! バァン! バァン!
極星から幾多のビームが放たれる。
カナミは魔法弾で応戦しつつ、さばききれない分はかわしていく。
そうして二十一階を逃げ回って、いつの間にかカリウスやメンコ姫とはぐれていた。
しかし、それを気にしている余裕はない。
バァン! バァン! バァン! バァン!
ビームの手数はカナミのそれよりも多い。
ただ威力はそれほどでない。逃げ回ることはできる。
このまままともに戦うこと無く、逃げ回ってホテルから脱出を。
「行き止まり!?」
カナミは行き止まりにぶち当たる。
このホテルの階は迷路のように入り組んでいるような感覚がする。
ここは怪人のホテル。まっとうに人間の客を歓迎するつくりになっていない。
(追い詰められた、どうしたら!?)
バァン! バァン! バァン! バァン!
ビームが飛んでくる。
敵は迷う時間を与えてくれない。
「ジャンバリック・ファンミリア!!」
戦って、道を切り開くしか無い。
カナミは鈴を飛ばして、ビームを撃ち落とす。
「それでは、これはどうか? テンリフラクションビーム!」
極星は十本の指から十本のビームが放たれる。
「それだったら!」
十本だけのビームなら鈴で撃ち落とすことができる。
バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!
鈴の魔法弾がと指のビームが激突する。かに見えた。
ビームが屈折して、魔法弾を避けて、かなみへ向かう。
「あぎゃッ!?」
反射的にいくつかかわしたけど、一発当たってしまう。
「ビームが曲がった……!」
「曲がるビームを見たことなかったかな。これも我の特技のようなものだ」
「普通見たことないわよ」
「では、見物していくといい! テンリフラクションビーム!」
再び十本の指から十本のビームを撃ち放つ。
バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!
そのうち、五本のビームが曲がってカナミへ襲い掛かってくる。
「曲がってくるってわかってるんなら!」
対処できる。
かなみは鈴の魔法弾で曲がってきたビームへ撃つ。
バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!
もう一度曲がってくる。
「――!」
しかし、それでもかわせないわけじゃない。
と、カナミはすんでのところでかわしてみせる。
バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!
しかし、そこへ残り五本のビームが曲がってカナミへ襲い掛かってくる。
「私を守って!」と防衛本能が鈴へ飛ばした指示によって、魔法弾がビームを落とす。
しかし、ビーム曲がってくる。
右から左から前から上から下から、そして――
「ガハッ!?」
後ろから飛んできたビームに背中を撃たれる。
「曲がりすぎよ!」
「これもルールを守るための戦法だ」
「戦法?」
カナミが問いかけると、極星の輝きが増したように感じる。
それは、その気になればフロアごと消し飛ばすことなど造作もなくできる、と口以上に物語っている。
(そうか、あのカリウスが作ったルールで、強い攻撃ができないからこんな攻撃で……!)
カリウスが仕掛けた十二席の座を与えるゲームのルールの一つ。「ホテルがフロアごと倒壊するような損害を与えた場合、失格」とする。
ビームを撃たれたものの、ダメージはそれほどではない。
カリウスのルールに助けられたような気がする。癪だけど。
「っていうかこんなビーム撃てるんだったら、私をよけてカリウスだけを撃てばよかったんじゃないの!?」
カナミは指摘する。
この曲がるビームだったら、カリウスの前にカナミが立っていようが関係無い。
曲がって、カリウスを撃つことができるはず。
「気づいたか」
「そりゃ気づくわよ!!」
「あの男も気づいていた。だから君をからかった」
「からかった?」
「我もそれにのってみた」
「なんで!?」
「決まっている。その方が面白いからだ。我の行動原理などそんなものだ」
言葉は通じる。
なのに、会話は交わらない。
この感覚、カリウスやヨロズと話している時と同じだ。
根本から考え方が違う。
極星もそんな怪人の一人だ。
「――ひょっとしたら味方かもしれないと思ってた」
この怪人ばかりのホテルで、化け物といっていい支部長達に取り囲まれた状況の中で、頼りになるかと思った存在。それが極星だった。
だけど、カナミは勘違いに気づく。
「それは勘違いだな」
「ええ、そうね」
極星の言に、カナミは同意する。
「あなたは私の敵よ!」
キィン! キィン! キィン!
メンコ姫の棍棒とチェーソーのチェーンソーがぶつかり合う度にけたたましい金属音が響き渡り、振動でホテルが揺れる。
キィン! キィン! キィン!
しかし、その打撃音は打楽器のような美しい音色を奏でいた。
タッ!
二つの音が発する衝撃波で、メンコ姫は吹き飛ばされる。否、衝撃を殺して、華麗に宙を舞う。
先程会議室で見せた舞のように。
そして、チューソーの追撃もステップを刻んで交わす。
ブォォン!
そして、反撃に棍棒を繰り出す。
並の怪人なら一撃で粉砕されるほどの強烈な勢いを、チューソーもさすが支部長、といった面持ちで軽々と腕のチェーンソーで受けきる。
「ふむ、中々やるようだな」
「伊達に東北支部長に推挙されたわけではない」
「推挙……そういったもので支部長になったのか?」
「ああ、そうだ! 御座敷もワラジもオラが支部長に相応しいといってくれた!」
「そうか、東北は腑抜け揃いか」
「腑抜けだと!?」
メンコ姫は怒気をチューソーへ叩きつける。
「オラの配下の侮辱は許さんぞ!」
「お前の配下への侮辱か。違うな俺が侮辱しているのは――お前だ」
チューソーはメンコ姫へ指を刺して言う。
「オラだと!?」
「配下への侮辱はそれを統括する上への侮辱と同じ。部下の侮辱を許すお前の不甲斐なさが招いたことだ」
「そうか、オラが招いたことか! ならその侮辱を払うために、オラはおめえを倒さねえといかんな!」
「それは不可能というものだ」
キィン! キィン! キィン!
再び棍棒とチェーンソーがぶつかり合う。
「――!」
しかし、メンコ姫の足が止まる。
パカ!
巨大棍棒の持ち手から先が切れていた。
「いつの間に!?」
これは間違いなくチューソーの仕業だった。
しかし、メンコ姫は棍棒が切られていたことに気づかなかった。
その芸当に驚いている一瞬のうちにチューソーはメンコ姫を指差してこう言う。
「切ったのはもう一つある。気づかなかったのか東北支部長?」
「なッ!?」
パカ!
メンコ姫の般若の面が縦一文字に真っ二つに割れて落ちる。
「俺が面と棍棒を切っていたことに気づかなかった。それが俺とお前の差だ」
「くッ!」
メンコ姫はチューソーが言っていることが事実であることを受け入れて、悔しさに歯噛みする。
「次はその顔をズタズタに切り刻んでやろう」
「そうはさせない!」
メンコ姫は声を上げると同時に、メンコ姫の身体から湧いて出た魔力が棍棒を形成する。それによって、切られる前と寸分違わぬ巨大棍棒がメンコ姫の手に顕現する。
「面と『雷様』を切ったくらいでオラに勝ったと思うなよ!」
巨大棍棒『雷様』から雷が迸り、彼女が渾身の力を込めて振るう。
「豪雷仙波!!」
落雷のごとき、雷と衝撃波がチューソーへと駆け抜ける。
ズガァァァァァァァァァン!!
ドガッ! バシュウッ! ドガッ! バシュウッ!
炎の海と化した二十五階で、ヨロズとヒバシラの殴り合いが繰り広げられていた。
ヒバシラの燃える拳がヨロズの顔面を捉えると、ヨロズは一歩も退かず反撃ざまに剛腕をヒバシラの顔面にぶち当てる。
「グゥッ!」
「ゴバァッ!」
そんな応酬が十以上続いている。
天井や床、壁が次々と炎によって焼け落ちていく。
「ハハハハハハハハハハッ!!」
ヒバシラは愉快げに哄笑する。
それとともに、身体の火がバチバチと燃え散る。
「ここまでやるとはなぁッ! 生まれたてで経験足りてねえと思ったがぁッ!? そんなことはなかったかぁッ!?」
「俺は魔法少女カナミと戦ってきた! ヘヴルとも戦った! 一の戦いは千の刻に勝る経験となる!」
「そいつはそうだなぁッ!? だが、俺は万の刻を生きる四国支部長だ!」
「それだけ生きて支部長止まりか」
「ククク、ハハハハハハハハハハッ!!!!」
ヒバシラは一層激しい哄笑する。
「おもしれえやつだぁッ! 気に入ったぜ、その減らず口は親譲りか。どうあれ、灰すら残さず焼き尽くしてやるぜ!」
「それができるならな!」
そう言ったヨロズの周囲をオプスが飛び回っていた。
「ん、なんだ。その羽虫はぁッ!?」
「羽虫ではない。オプス――俺の力だ」
『おうよ!
オプスは威勢よく答える。』
「力だと、そんな吹けば飛ぶようなチンケな羽虫がぁッ!?」
「ならば、そのチンケな羽虫の力を思い知るといい。オプス、お前の力を見せつけてやれ!」
『ガッテンだ!』
オプスは黒い光となり、ヨロズの背中へと収束する。
黒い蝙蝠の羽。それがオプスの力の顕現だった。
「そうなったら、こっちも手加減はできねえからなあッ!!」
ヒバシラの身体の火勢が増す。これまでゲームのルールで失格にならないよう、火の力を抑えていた。そんなことしていたらヨロズは倒せないとヒバシラを判断したのだ。
「いくぞ、オプス! あの火に打ち勝った時、俺達はもっと強くなる!」
『ああ、お前とどこまでも高く上ってやるぜ!』
身体の内側から響いてくるオプスの声に、ヨロズは笑みを浮かべる。
バァン! バァン! バァン! バァン!
極星の十本の指から放たれる十本のビームは予想外の屈折を起こしているせいで、カナミは苦戦していた。
鈴の魔法弾で撃ち落とそうにも思わぬところで、曲がってくるせいで撃ち落とすことができず、ビームはカナミへと襲いかかってくる。
「グッ!?」
カナミはそれをかわしきれずに受け続けてしまう。
カナミがビームでよろめいているうちに、すぐ次の十本のビームがやってくる。
そうしてまたビームを受ける
バァン!
「あう!?」
これで十発目。
幸いなことにビーム自体に威力がそれほどないため、大したダメージにはなっていない。しかし、ダメージの蓄積というものはバカにできない。このままビームを受け続けたらどんどん不利になっていく。
「テンリフラクションビーム!」
指からビームが発射される。
「――!」
これで何度目のビーム発射なのか、もう数えていないけど、だんだんとビームの速度に慣れてきた。
曲がってきたビームが、どこで曲がるか、どんな角度で襲いかかってくる。
身体で覚えた感覚とカンだった。
それにダメージを受けるごとに感覚が研ぎ澄まされて、ビームの軌跡が鮮明に見えるようになってきた。
「全部避けた、か」
極星は驚きも焦りもなく言ってくる。
「テンリフラクションビーム!」
再び十本のビームを撃ち込んでくる。
カナミはそれも全部避けて見せる。
バァン!
それどころか、極星に魔法弾を撃ち込んでみせる。
これまでビームに気を取られ、かわすことばかりに集中していたけど、とうとう反撃をできるだけにカナミはビームを見極めて動けるようになった。
「………………」
極星は沈黙する。
魔法弾が命中したもののダメージはない。ただ、そのカナミの変化を観察するようにじっくりと見る。
「……なるほど」
そして、開口する。
「君の噂は以前から聞き及んでいた」
「へ、へえ、どういう噂なのか気になるけど……」
きっとろくでもないものだろう、とカナミは思った。
「人間でありながら、十二席にあと一歩まで手が届いた、とか、十二席の座を狙い十二席を倒そうとする危険人物、とか」
「あの、それはデタラメなんだけど……特に十二席の座を狙うとか……むしろ、こっちが狙われたことがあるっていうか……」
嬢王と邂逅したときの苦い経験を思い出す。
あれは、格が違いすぎて戦いにすらならなかった。あの場にもし、あるみが駆けつけなかったら、と思うと恐ろしすぎて寒気が走る。
「こうして実際、相対してよくわかった。――正直十二席を狙うほどの実力はない」
「……そうね」
それは、カナミも認めている事実だった。
それだけに、実際に言われても動じることはない。
「だが、危険度でいえば、噂は事実であるという他ない」
「他にあるでしょ!? 何危険度って!?」
思わずツッコミを入れる。
「………………」
再び極星は沈黙する。
魔法弾でのダメージは受けていない。そのくらいはカナミにもわかる。
ただ、この状況を見据えており、どう動くか思考している。そういう気配がする。そして、そういう敵は強くてまずい。
「十二席どころか支部長を脅かすほどの実力はない。だが、それは現時点での話でしかない」
「どういう意味よ?」
「――君はまだまだ発展途上ということだ」
そう言った極星の凄みが増す。
「今こうして戦っていて、わずかな時間にも成長している。そういうモノが一番の危険だ。戦って勝てるかどうか一切読めない。我は勝てない敵とは戦わない主義だ」
「じゃあ、私と戦ってるのは勝てる敵だから?」
「そういうことだ。それも今の話に過ぎないが」
極星は言っていることは事実であるものの、今度は侮られている印象を受けてしまう。それとともに悔しさがこみ上げてくる。
そんなことを言ってくる奴に見返してやりたい。たとえ、勝てない相手でも。
「この先どうなるかはわからないが」
極星はより強く光り輝く。
「わからないこそ、加減するのは得策ではないと判断する」
「――!」
カナミはその一言に緊張する。
今までの様子見でしかない。それにゲームに失格にならないようにビームの威力を抑えていた。
それはもうしない、ゲームに失格になってでも戦う。という宣言にも聞こえた。
「リュミィ!」
カナミは妖精へ呼びかける。
『はい!』
リュミィがカナミの頭上を元気よく飛び回る。
「あなたの力が必要な敵よ。お願い、力を貸して!」
『まかせて!』
リュミィは快く応えてくれる。
「フェアリーフェザー!」
リュミィは光となって、カナミの背中の羽となる。
「光の妖精か。我の目には美しく見えるな」
「褒めても出るのは砲弾だけよ! 神殺砲!!」
カナミはステッキを砲台へと変化させる。
「アームガンビーム!」
極星は手からこれまでとは比べ物にならない巨大ビームを撃ち込んでくる。
「ボーナスキャノン!!」
カナミは対抗して、砲弾を撃ち込む。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
二十五階でヨロズの拳とヒバシラの炎がぶつかり合い、二十一階でカナミの神殺砲と極星のアームガンビームがぶつかり合い、ホテルは激しく揺れていた。
そんな二つの激突がちょうど等しく感じられる二十三階をカリウスは歩いていた。
「大した余裕ね」
カリウスの背後からいろかが現れる。
「そうかな。これでも慌てふためている方なのだけどね」
「私にその首をとられないかと?」
「そういうことだ」
バァン!
銃声が轟く。
ホテルが大振動で揺れる中でも聞くものには鮮明に響く銃声だった。
プシャアアアアアッ!!
いろかの赤い液体が胸から噴射する。
「フッ、いい趣味をしている」
カリウスは笑って、銃をしまう。
「トマトジュースなんだけど、結構心臓に悪いって評判なのよ」
「九州支部長はそんな余興を出しているのか」
「そうよ。私は楽しくて愉快なことが好きだから」
「それには同意だよ」
「――だから、このゲームも楽しく派手にしていきたいのよ」
「それにも同意だよ」
カリウスは指をパチンと鳴らす。
バァァァァァァァァァン!!
二十三階でそこかしこから爆発が起きる。
「ハハハハハハ!」
いろかは笑い、爆発の中で舞う。
「ふむ、これは愉快だ」
爆発の炎がカリウスへと襲いかかって、あっという間に火ダルマになる。
「チャッチな幻だ」
燃えている中、カリウスは平然と立ち上がる。
「これも九州の部下には好評なのだけどね。本当に燃えていると錯覚してショック死する怪人もいるくらいよ」
「なるほど。たしかにそれはわかる」
カチカチカチカチ
次の瞬間、炎は氷へと瞬く間に変化する。
「氷漬けの十二席様の出来上がりね」
いろかは上機嫌に言う。
「――それは一瞬の芸術に過ぎない」
パリパリパリーン
氷が歩いて、カリウスは悠然と佇む。
「一瞬であるからこそ芸術ともいうが」
「そうね。あなたは一瞬で消えるほど芸術的ではないわね」
「自覚してるよ。だが、その点、君は芸術的だ」
カリウスがそう言うと、どこからか現れた杭がいろかへ飛び、突き刺していく。
突き刺されたいろかは十字架を象ったように磔となる。
「確かにこれは芸術的ね」
いろかは自分が磔になったにも関わらず笑みを浮かべて自分をそう評する。
「自画自賛かい?」
「そうね。自分に自信が無ければこんな格好なんてしないわよ」
「そのセリフは実に怪人らしい」
カリウスは銃口を磔になったいろかへ向ける。
「これでチェックメイトだ」
突きつけられたいろかはニヤリと笑う。
「そうね、チェックメイトね。――あたなが」
グサリ!
突如現れた黒い腕がカリウスの背後から胸を貫いた。
極星から幾多のビームが放たれる。
カナミは魔法弾で応戦しつつ、さばききれない分はかわしていく。
そうして二十一階を逃げ回って、いつの間にかカリウスやメンコ姫とはぐれていた。
しかし、それを気にしている余裕はない。
バァン! バァン! バァン! バァン!
ビームの手数はカナミのそれよりも多い。
ただ威力はそれほどでない。逃げ回ることはできる。
このまままともに戦うこと無く、逃げ回ってホテルから脱出を。
「行き止まり!?」
カナミは行き止まりにぶち当たる。
このホテルの階は迷路のように入り組んでいるような感覚がする。
ここは怪人のホテル。まっとうに人間の客を歓迎するつくりになっていない。
(追い詰められた、どうしたら!?)
バァン! バァン! バァン! バァン!
ビームが飛んでくる。
敵は迷う時間を与えてくれない。
「ジャンバリック・ファンミリア!!」
戦って、道を切り開くしか無い。
カナミは鈴を飛ばして、ビームを撃ち落とす。
「それでは、これはどうか? テンリフラクションビーム!」
極星は十本の指から十本のビームが放たれる。
「それだったら!」
十本だけのビームなら鈴で撃ち落とすことができる。
バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!
鈴の魔法弾がと指のビームが激突する。かに見えた。
ビームが屈折して、魔法弾を避けて、かなみへ向かう。
「あぎゃッ!?」
反射的にいくつかかわしたけど、一発当たってしまう。
「ビームが曲がった……!」
「曲がるビームを見たことなかったかな。これも我の特技のようなものだ」
「普通見たことないわよ」
「では、見物していくといい! テンリフラクションビーム!」
再び十本の指から十本のビームを撃ち放つ。
バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!
そのうち、五本のビームが曲がってカナミへ襲い掛かってくる。
「曲がってくるってわかってるんなら!」
対処できる。
かなみは鈴の魔法弾で曲がってきたビームへ撃つ。
バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!
もう一度曲がってくる。
「――!」
しかし、それでもかわせないわけじゃない。
と、カナミはすんでのところでかわしてみせる。
バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!
しかし、そこへ残り五本のビームが曲がってカナミへ襲い掛かってくる。
「私を守って!」と防衛本能が鈴へ飛ばした指示によって、魔法弾がビームを落とす。
しかし、ビーム曲がってくる。
右から左から前から上から下から、そして――
「ガハッ!?」
後ろから飛んできたビームに背中を撃たれる。
「曲がりすぎよ!」
「これもルールを守るための戦法だ」
「戦法?」
カナミが問いかけると、極星の輝きが増したように感じる。
それは、その気になればフロアごと消し飛ばすことなど造作もなくできる、と口以上に物語っている。
(そうか、あのカリウスが作ったルールで、強い攻撃ができないからこんな攻撃で……!)
カリウスが仕掛けた十二席の座を与えるゲームのルールの一つ。「ホテルがフロアごと倒壊するような損害を与えた場合、失格」とする。
ビームを撃たれたものの、ダメージはそれほどではない。
カリウスのルールに助けられたような気がする。癪だけど。
「っていうかこんなビーム撃てるんだったら、私をよけてカリウスだけを撃てばよかったんじゃないの!?」
カナミは指摘する。
この曲がるビームだったら、カリウスの前にカナミが立っていようが関係無い。
曲がって、カリウスを撃つことができるはず。
「気づいたか」
「そりゃ気づくわよ!!」
「あの男も気づいていた。だから君をからかった」
「からかった?」
「我もそれにのってみた」
「なんで!?」
「決まっている。その方が面白いからだ。我の行動原理などそんなものだ」
言葉は通じる。
なのに、会話は交わらない。
この感覚、カリウスやヨロズと話している時と同じだ。
根本から考え方が違う。
極星もそんな怪人の一人だ。
「――ひょっとしたら味方かもしれないと思ってた」
この怪人ばかりのホテルで、化け物といっていい支部長達に取り囲まれた状況の中で、頼りになるかと思った存在。それが極星だった。
だけど、カナミは勘違いに気づく。
「それは勘違いだな」
「ええ、そうね」
極星の言に、カナミは同意する。
「あなたは私の敵よ!」
キィン! キィン! キィン!
メンコ姫の棍棒とチェーソーのチェーンソーがぶつかり合う度にけたたましい金属音が響き渡り、振動でホテルが揺れる。
キィン! キィン! キィン!
しかし、その打撃音は打楽器のような美しい音色を奏でいた。
タッ!
二つの音が発する衝撃波で、メンコ姫は吹き飛ばされる。否、衝撃を殺して、華麗に宙を舞う。
先程会議室で見せた舞のように。
そして、チューソーの追撃もステップを刻んで交わす。
ブォォン!
そして、反撃に棍棒を繰り出す。
並の怪人なら一撃で粉砕されるほどの強烈な勢いを、チューソーもさすが支部長、といった面持ちで軽々と腕のチェーンソーで受けきる。
「ふむ、中々やるようだな」
「伊達に東北支部長に推挙されたわけではない」
「推挙……そういったもので支部長になったのか?」
「ああ、そうだ! 御座敷もワラジもオラが支部長に相応しいといってくれた!」
「そうか、東北は腑抜け揃いか」
「腑抜けだと!?」
メンコ姫は怒気をチューソーへ叩きつける。
「オラの配下の侮辱は許さんぞ!」
「お前の配下への侮辱か。違うな俺が侮辱しているのは――お前だ」
チューソーはメンコ姫へ指を刺して言う。
「オラだと!?」
「配下への侮辱はそれを統括する上への侮辱と同じ。部下の侮辱を許すお前の不甲斐なさが招いたことだ」
「そうか、オラが招いたことか! ならその侮辱を払うために、オラはおめえを倒さねえといかんな!」
「それは不可能というものだ」
キィン! キィン! キィン!
再び棍棒とチェーンソーがぶつかり合う。
「――!」
しかし、メンコ姫の足が止まる。
パカ!
巨大棍棒の持ち手から先が切れていた。
「いつの間に!?」
これは間違いなくチューソーの仕業だった。
しかし、メンコ姫は棍棒が切られていたことに気づかなかった。
その芸当に驚いている一瞬のうちにチューソーはメンコ姫を指差してこう言う。
「切ったのはもう一つある。気づかなかったのか東北支部長?」
「なッ!?」
パカ!
メンコ姫の般若の面が縦一文字に真っ二つに割れて落ちる。
「俺が面と棍棒を切っていたことに気づかなかった。それが俺とお前の差だ」
「くッ!」
メンコ姫はチューソーが言っていることが事実であることを受け入れて、悔しさに歯噛みする。
「次はその顔をズタズタに切り刻んでやろう」
「そうはさせない!」
メンコ姫は声を上げると同時に、メンコ姫の身体から湧いて出た魔力が棍棒を形成する。それによって、切られる前と寸分違わぬ巨大棍棒がメンコ姫の手に顕現する。
「面と『雷様』を切ったくらいでオラに勝ったと思うなよ!」
巨大棍棒『雷様』から雷が迸り、彼女が渾身の力を込めて振るう。
「豪雷仙波!!」
落雷のごとき、雷と衝撃波がチューソーへと駆け抜ける。
ズガァァァァァァァァァン!!
ドガッ! バシュウッ! ドガッ! バシュウッ!
炎の海と化した二十五階で、ヨロズとヒバシラの殴り合いが繰り広げられていた。
ヒバシラの燃える拳がヨロズの顔面を捉えると、ヨロズは一歩も退かず反撃ざまに剛腕をヒバシラの顔面にぶち当てる。
「グゥッ!」
「ゴバァッ!」
そんな応酬が十以上続いている。
天井や床、壁が次々と炎によって焼け落ちていく。
「ハハハハハハハハハハッ!!」
ヒバシラは愉快げに哄笑する。
それとともに、身体の火がバチバチと燃え散る。
「ここまでやるとはなぁッ! 生まれたてで経験足りてねえと思ったがぁッ!? そんなことはなかったかぁッ!?」
「俺は魔法少女カナミと戦ってきた! ヘヴルとも戦った! 一の戦いは千の刻に勝る経験となる!」
「そいつはそうだなぁッ!? だが、俺は万の刻を生きる四国支部長だ!」
「それだけ生きて支部長止まりか」
「ククク、ハハハハハハハハハハッ!!!!」
ヒバシラは一層激しい哄笑する。
「おもしれえやつだぁッ! 気に入ったぜ、その減らず口は親譲りか。どうあれ、灰すら残さず焼き尽くしてやるぜ!」
「それができるならな!」
そう言ったヨロズの周囲をオプスが飛び回っていた。
「ん、なんだ。その羽虫はぁッ!?」
「羽虫ではない。オプス――俺の力だ」
『おうよ!
オプスは威勢よく答える。』
「力だと、そんな吹けば飛ぶようなチンケな羽虫がぁッ!?」
「ならば、そのチンケな羽虫の力を思い知るといい。オプス、お前の力を見せつけてやれ!」
『ガッテンだ!』
オプスは黒い光となり、ヨロズの背中へと収束する。
黒い蝙蝠の羽。それがオプスの力の顕現だった。
「そうなったら、こっちも手加減はできねえからなあッ!!」
ヒバシラの身体の火勢が増す。これまでゲームのルールで失格にならないよう、火の力を抑えていた。そんなことしていたらヨロズは倒せないとヒバシラを判断したのだ。
「いくぞ、オプス! あの火に打ち勝った時、俺達はもっと強くなる!」
『ああ、お前とどこまでも高く上ってやるぜ!』
身体の内側から響いてくるオプスの声に、ヨロズは笑みを浮かべる。
バァン! バァン! バァン! バァン!
極星の十本の指から放たれる十本のビームは予想外の屈折を起こしているせいで、カナミは苦戦していた。
鈴の魔法弾で撃ち落とそうにも思わぬところで、曲がってくるせいで撃ち落とすことができず、ビームはカナミへと襲いかかってくる。
「グッ!?」
カナミはそれをかわしきれずに受け続けてしまう。
カナミがビームでよろめいているうちに、すぐ次の十本のビームがやってくる。
そうしてまたビームを受ける
バァン!
「あう!?」
これで十発目。
幸いなことにビーム自体に威力がそれほどないため、大したダメージにはなっていない。しかし、ダメージの蓄積というものはバカにできない。このままビームを受け続けたらどんどん不利になっていく。
「テンリフラクションビーム!」
指からビームが発射される。
「――!」
これで何度目のビーム発射なのか、もう数えていないけど、だんだんとビームの速度に慣れてきた。
曲がってきたビームが、どこで曲がるか、どんな角度で襲いかかってくる。
身体で覚えた感覚とカンだった。
それにダメージを受けるごとに感覚が研ぎ澄まされて、ビームの軌跡が鮮明に見えるようになってきた。
「全部避けた、か」
極星は驚きも焦りもなく言ってくる。
「テンリフラクションビーム!」
再び十本のビームを撃ち込んでくる。
カナミはそれも全部避けて見せる。
バァン!
それどころか、極星に魔法弾を撃ち込んでみせる。
これまでビームに気を取られ、かわすことばかりに集中していたけど、とうとう反撃をできるだけにカナミはビームを見極めて動けるようになった。
「………………」
極星は沈黙する。
魔法弾が命中したもののダメージはない。ただ、そのカナミの変化を観察するようにじっくりと見る。
「……なるほど」
そして、開口する。
「君の噂は以前から聞き及んでいた」
「へ、へえ、どういう噂なのか気になるけど……」
きっとろくでもないものだろう、とカナミは思った。
「人間でありながら、十二席にあと一歩まで手が届いた、とか、十二席の座を狙い十二席を倒そうとする危険人物、とか」
「あの、それはデタラメなんだけど……特に十二席の座を狙うとか……むしろ、こっちが狙われたことがあるっていうか……」
嬢王と邂逅したときの苦い経験を思い出す。
あれは、格が違いすぎて戦いにすらならなかった。あの場にもし、あるみが駆けつけなかったら、と思うと恐ろしすぎて寒気が走る。
「こうして実際、相対してよくわかった。――正直十二席を狙うほどの実力はない」
「……そうね」
それは、カナミも認めている事実だった。
それだけに、実際に言われても動じることはない。
「だが、危険度でいえば、噂は事実であるという他ない」
「他にあるでしょ!? 何危険度って!?」
思わずツッコミを入れる。
「………………」
再び極星は沈黙する。
魔法弾でのダメージは受けていない。そのくらいはカナミにもわかる。
ただ、この状況を見据えており、どう動くか思考している。そういう気配がする。そして、そういう敵は強くてまずい。
「十二席どころか支部長を脅かすほどの実力はない。だが、それは現時点での話でしかない」
「どういう意味よ?」
「――君はまだまだ発展途上ということだ」
そう言った極星の凄みが増す。
「今こうして戦っていて、わずかな時間にも成長している。そういうモノが一番の危険だ。戦って勝てるかどうか一切読めない。我は勝てない敵とは戦わない主義だ」
「じゃあ、私と戦ってるのは勝てる敵だから?」
「そういうことだ。それも今の話に過ぎないが」
極星は言っていることは事実であるものの、今度は侮られている印象を受けてしまう。それとともに悔しさがこみ上げてくる。
そんなことを言ってくる奴に見返してやりたい。たとえ、勝てない相手でも。
「この先どうなるかはわからないが」
極星はより強く光り輝く。
「わからないこそ、加減するのは得策ではないと判断する」
「――!」
カナミはその一言に緊張する。
今までの様子見でしかない。それにゲームに失格にならないようにビームの威力を抑えていた。
それはもうしない、ゲームに失格になってでも戦う。という宣言にも聞こえた。
「リュミィ!」
カナミは妖精へ呼びかける。
『はい!』
リュミィがカナミの頭上を元気よく飛び回る。
「あなたの力が必要な敵よ。お願い、力を貸して!」
『まかせて!』
リュミィは快く応えてくれる。
「フェアリーフェザー!」
リュミィは光となって、カナミの背中の羽となる。
「光の妖精か。我の目には美しく見えるな」
「褒めても出るのは砲弾だけよ! 神殺砲!!」
カナミはステッキを砲台へと変化させる。
「アームガンビーム!」
極星は手からこれまでとは比べ物にならない巨大ビームを撃ち込んでくる。
「ボーナスキャノン!!」
カナミは対抗して、砲弾を撃ち込む。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
二十五階でヨロズの拳とヒバシラの炎がぶつかり合い、二十一階でカナミの神殺砲と極星のアームガンビームがぶつかり合い、ホテルは激しく揺れていた。
そんな二つの激突がちょうど等しく感じられる二十三階をカリウスは歩いていた。
「大した余裕ね」
カリウスの背後からいろかが現れる。
「そうかな。これでも慌てふためている方なのだけどね」
「私にその首をとられないかと?」
「そういうことだ」
バァン!
銃声が轟く。
ホテルが大振動で揺れる中でも聞くものには鮮明に響く銃声だった。
プシャアアアアアッ!!
いろかの赤い液体が胸から噴射する。
「フッ、いい趣味をしている」
カリウスは笑って、銃をしまう。
「トマトジュースなんだけど、結構心臓に悪いって評判なのよ」
「九州支部長はそんな余興を出しているのか」
「そうよ。私は楽しくて愉快なことが好きだから」
「それには同意だよ」
「――だから、このゲームも楽しく派手にしていきたいのよ」
「それにも同意だよ」
カリウスは指をパチンと鳴らす。
バァァァァァァァァァン!!
二十三階でそこかしこから爆発が起きる。
「ハハハハハハ!」
いろかは笑い、爆発の中で舞う。
「ふむ、これは愉快だ」
爆発の炎がカリウスへと襲いかかって、あっという間に火ダルマになる。
「チャッチな幻だ」
燃えている中、カリウスは平然と立ち上がる。
「これも九州の部下には好評なのだけどね。本当に燃えていると錯覚してショック死する怪人もいるくらいよ」
「なるほど。たしかにそれはわかる」
カチカチカチカチ
次の瞬間、炎は氷へと瞬く間に変化する。
「氷漬けの十二席様の出来上がりね」
いろかは上機嫌に言う。
「――それは一瞬の芸術に過ぎない」
パリパリパリーン
氷が歩いて、カリウスは悠然と佇む。
「一瞬であるからこそ芸術ともいうが」
「そうね。あなたは一瞬で消えるほど芸術的ではないわね」
「自覚してるよ。だが、その点、君は芸術的だ」
カリウスがそう言うと、どこからか現れた杭がいろかへ飛び、突き刺していく。
突き刺されたいろかは十字架を象ったように磔となる。
「確かにこれは芸術的ね」
いろかは自分が磔になったにも関わらず笑みを浮かべて自分をそう評する。
「自画自賛かい?」
「そうね。自分に自信が無ければこんな格好なんてしないわよ」
「そのセリフは実に怪人らしい」
カリウスは銃口を磔になったいろかへ向ける。
「これでチェックメイトだ」
突きつけられたいろかはニヤリと笑う。
「そうね、チェックメイトね。――あたなが」
グサリ!
突如現れた黒い腕がカリウスの背後から胸を貫いた。
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