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第107話 会議! 少女にのしかかるは重役の重荷!? (Aパート)
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「久しぶりだな、かなみ」
「なんで、あんたがここに!?」
かなみは思わず一歩引く。
オフィスビルの前で、かなみはヨロズと鉢合わせした。思わぬ場所で思わぬ人物(?)と会った。偶然とは思えない。
「ここに用があってな。お前とここで会えたのもちょうどいい」
「何がちょうどいいよ」
かなみは反射的に身構えた。
魔法少女と怪人。
かなみとヨロズは敵対関係にある。加えて、ヨロズはかなみを倒すことを生涯の目標とまで言い切っている。それなら今ここで戦うことになってもおかしくない。
「残念だが、今ここで戦うつもりはない」
「え?」
「今日は戦いに来たわけではないと言った、残念だが」
「残念を二回言わなくていいわよ!」
ヨロズに本当に戦意がないことを察して、かなみはツッコミを入れる。
今日は戦いに来たわけではない。他の怪人がこんな事を言っても、嘘かもしれないと警戒するところだけど、ヨロズに限ってそれはないだろうと思って、かなみも弛緩する。
ヨロズは嘘をつかない。何度も戦った間柄だけど、それだけに性格はよく知っている。
奇妙な話、ヨロズの言っていることは信じられる。言動からも戦意はまったく感じられない。
「それじゃ何の用で来たのよ?」
戦い以外の目的となると、かなみにはまったく心当たりがない。
「――あるみに会わせろ」
「はい、どうぞ」
かなみはヨロズへコーヒーを差し出す。
「うむ」
ヨロズはそれだけ返事してコーヒーを一口含む。
「ん、どうした?」
ヨロズは物珍しげに見るかなみへ問う。
「……別に」
「そうか」
かなみは自分の席へ戻る。
『オフィスで待たせておけばいいわ。何だったらコーヒーでも淹れてあげたら?』
あるみに会いに来たヨロズをどうするか、あるみに電話で訊いたらそんな返事がきた。
ヨロズを、怪人をオフィスへあげるなんて。と、最初は思ったものの思い返してみると、いろかやテンホーがやってきたことがあるからこれが初めてにはならなかった。
それに、社長が「いい」と言うんなら。と、釈然がしないけど、かなみはヨロズをオフィスへあげた。
当たり前だけど、既にオフィスにいた翠華、みあ、紫織は大いに驚いた。
「なんであいつを連れてきたのよ?」
みあが訊いてきた。
「社長に会いに来たっていうのよ」
かなみは正直に答えた。
「社長に? なんで?」
「私は知らないわよ。社長は『コーヒーでも淹れてあげたら?』なんて言ってたけど」
「それで、コーヒーまで出したんですね」
紫織は納得する。
「かなみさんが……淹れてくれたコーヒーを、飲めるなんて……!」
翠華は忌々しげにヨロズを見つめる。羨望の眼差しだ。
「妖精達は楽しそうね」
かなみはオフィスを飛び回るリュミィとオプスを見て言う。
ヨロズが引き連れている黒羽の妖精オプスとリュミィは同じ場所、同じ時間に生まれた双子のような妖精で、お互い久しぶりに会えたのが嬉しいのだろう。
(私とヨロズもあんな風に…………いやいや!)
かなみは今思い浮かんだことを即座に打ち消した。
「もしかして、あるみと戦いに来たのかもね」
「「「萌実!?」」」
萌実がオフィスにやってきた。
「萌実、なんであんた?」
「珍しいことがあるから見に来ただけよ」
萌実は仏頂面で答える。
萌実は社長室でほとんど寝ていてオフィスに顔をだすことさえ滅多にない。そんな萌実がヨロズを見にオフィスへやってくるのも十分珍しいことだった。
「それはいいけど、ヨロズにケンカを売るようなことはしないでよ」
かなみは釘を刺す。
以前、萌実はヨロズにケンカを売って返り討ちにあったことがある。そのときの因縁でまたケンカになったらこの狭いオフィスはメチャクチャになってしまいかねない。
「はいはい」
萌実はテキトーな返事を返してくる。とはいえ、これでも萌実にしては聞き分けのいい方だった。
ガタン
そこで、けたたましい音とともにオフィスの扉が開かれて、あるみが入ってくる。
(私達は慣れてるけど、ヨロズはビックリしてないかな!?)
かなみは不安になる。
もし、ヨロズがこれを開戦のゴングだと勘違いしてたら……恐る恐るヨロズの様子を確認した。
ヨロズは意に介さず、むしろ落ち着いてコーヒーを啜っていた。
「いらっしゃい。よくきたわね」
あるみはヨロズを歓迎するように言う。
「今はお前に用があって来た」
「かなみちゃんから聞いてるわ。とりあえず、コーヒーおかわりいる?」
「いただこう」
ヨロズはあっさり返事した。
あるみの接し方も来客というより友人のそれに近かった。
「ちょ、ちょっと、社長」
かなみはあるみを呼ぶ。
「何、呑気にコーヒーおかわりさせてるんですか?」
「かなみちゃんもコーヒー欲しかったの?」
「そうじゃなくてですね……」
「かなみちゃんの分も淹れてあげるから、そこに座ってなさい」
「……え?」
そういうわけでいつの間にか、かなみはヨロズの隣に座らされていた。
「なんでこうなるの……?」
「一緒に席を囲った方がいいわよ」
あるみはそう言って、コーヒーをテーブルに置く。
今応接のソファーには、かなみとヨロズの二人とその対面にあるみが座っている。
「何で私が?」
かなみは不満を含めた疑問を口にしたけど、あるみには逆らえなかった。
隣にヨロズがいる。なんだか落ち着かない。
「それで私に話って何?」
そんなかなみの気も知らないで、あるみはヨロズへ問う。
かなみは息を呑む。
不満を口にしたものの、ヨロズの話に興味はあった。
(まさか社長と戦いたいと言うんじゃないでしょうね?)
しかし、それが一番考えられることだった。
でも、いくらヨロズでもあるみに闘いを挑むのは無謀だと思う。
それでもヨロズだったら言いそうだけど、果たして本当にそのために来たのだろうか。
「これから会議がある」
「かいぎ?」
ヨロズらしからぬ単語が飛び出してきたので、かなみは思わず声を出す。
「会議ねえ。それはどういう会議なの?」
「――支部長会議だ」
「ふうん、支部長会議ねえ」
「社長、知ってるんですか?」
あるみは納得したようなので、かなみは訊く。
「一応、そういう情報は持っているわ」
「さすがだ」
ヨロズは手放しで称賛する。
「それで支部長会議って何なんですか?」
「文字通り、各地方の支部長が一ヶ所に集まって会議することよ」
「各地方の支部長……」
かなみは頭に今まで見てきた支部長を思い浮かべる。
関東支部長カリウス。底が知れず、得体の知れない怪人だった。今は最高役員十二席の一人となった。
九州支部長いろか。幾度となくオフィスへやってきてこれもまた得体がしれない妖艶な怪人だった
四国支部長ヒバシラと中国支部長チューソー。ヘヴルとの戦いでその力強さを見せつけられた。ヘヴルを倒しきれなかったものの、彼らが戦わなかったらヘヴルは倒すことは出来ずに、かなみ達はやられていた。
他にもまだ顔を合わせたことが無いけど同じような怪人が何人も集まるのかと思うと想像するだけでゾッとする光景になった。
「あなたも関東支部長だから召集されているわけね」
「そうだ」
「でも、その支部長会議が私達とどういう関係があるの? このままだと敵に情報を横流ししただけになるのだけど」
「そうよ。支部長会議って、ネガサイド内だけで、私達には関係ない話じゃない」
かなみは言う。
「関係はある」
ヨロズはかなみを呼び指して答える。
「魔法少女カナミ、お前も会議に出席してもらう」
「……え?」
かなみは呆気にとられる。
「いいわよ」
あるみは二つ返事で了承する
「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!?」
「ここが会議に使うホテルだ」
ヨロズが言う。
「大きい……っていうか、なんでこんなところに建ててるのよ?」
かなみは呆れながらコメントする。
かなみとヨロズはリムジンに乗せられて山奥にまでやってきた。ちなみにリムジンはスーシーが用意した。人間の姿をした怪人の運転手付きで。
そんな山奥に似つかわしくない豪華なホテルが一軒建っていた。
「ネガサイドが建てたホテルだからだ」
「やっぱり……」
かなみは頭を抱える。
怪人が建てた怪人の為のホテル。首都圏にもあって、かなみ達もやってきたことがある。
このホテルもその一つなのだろう。
「怪人がいっぱいのホテルなのね」
とてつもなく憂鬱だった。
ここがネガサイドが建てたホテルなら、怪人による怪人の為のホテルで、当然そこに人間はいなく、怪人がいっぱいいるはず。
「四面楚歌……」
そんな言葉が思い浮かぶ。
「立ち止まっても仕方がない。行くぞ」
ヨロズは呼びかける。
「ま、待ちなさいよ」
かなみはそれを追いかける。
そうして勢いのままにホテルへ入る。
「あぁ……」
ホテルに入ると、体温が下がるような感覚に陥る。
ホテルにいるドアマン、フロント、スタッフ達が人間の姿をしているけど、みんな怪人だった。
そういう気配がする。ホテル中からそういう空気が充満しているせいで、気配察知に鈍いかなみでもわかる。
それは強烈な違和感で、重りを背負わされたみたいだ。
「案ずるな」
ヨロズはそんなかなみの気配を察して言う。
「この中で一番強いのはお前だ」
「はあ?」
「仮にここの連中が束になってかかったとしてもお前が強い」
「あんたねえ……」
それで安心させようとしているつもりなのだろうか。
激しく疑問に思った。
「でも、まあ……そうね」
同時に心の中でそれもそうだと同意して落ち着く自分もいた。
かなみとヨロズが並んで怪人のホテルを歩く。
その光景だけで周囲がざわついていることを肌で感じる。
フロントや周囲の客の怪人達からの視線を浴びる。
だけど、それには敵意や殺意、というより、恐れや憧れの方の感情が強いんじゃないかと感じる。まあ、自分はともかく隣にいるのは仮にも関東支部長という怪人の中では上位。人間で言えば一般人と都知事くらいの差はある。
怪人達は自分ではなくヨロズを恐れ、敬い、奉るかのように見ているに違いない。
そう思うことで、かなみはこの場ではあくまで部外者という立ち位置にいると思い込むことにしていた。
「ようこそ、いらっしゃいました」
フロントの紳士な老人が歓迎の言葉を述べる。
「関東支部長ヨロズ様、魔法少女カナミ様」
老人からは敵意ではなく、むしろ敬意すら感じた。
「私のことまで把握してるのね」
「はい。ヨロズ様から貴方様も来訪すると連絡いただいたので」
「最初から私の参加は決まられていたわけね」
「お前が断るはずがないと思っていた」
「断ったでしょ!」
かなみがこうしてやってきているのは、あるみが勝手に決めたからだ。
あるみの決定事項には逆らえない。たとえ、あるみに「嫌だ」と言っても。
そんなわけで、支部長会議への出席を勝手に持ちかけられ、勝手に参加を決められ、あれよあれよと連れてこられた。
かなみとしては文句の一つも二つも言っているところなのだけど、なしのつぶてであった。
「だが、お前はここにやってきた。それが全てだ」
こんな感じに。
「あんたも大概、人の話きかないわよね」
むしろ話がある程度できる方も大概なのだけど、そのあたりはどうにも慣れてきてしまっている。貴子や理英ほどじゃなくても学校であまり話さない同級生よりも会話量が多いせいだろう。
つくづく自分とヨロズは奇妙な関係だと思えてならない。
「それでは二四階のスイートルームへご案内します」
「スイートルーム!?」
かなみは驚く。
見るからにこんな高級そうなホテルのスイートルーム。一体どれだけの宿泊費がかかるのだろうか。想像するだに恐ろしい。
「会議に召集された経費だ」
たじろぐかなみへヨロズは言う。
「経費って……」
「俺は召集されただけだ」
「私は召集されてない!」
「いや、俺が召集した。それに奴は賛同した」
「奴?」
「いずれわかる」
「誰だか、なんとなく想像はつくけど」
かなみがこの会議に参加するとなったら、喜んで賛同しそうな怪人に心当たりは何人かいる。正直嬉しくない。
「それではこちらです」
老人の案内でエレベーターに乗る。
(ここで襲われたら逃げ道はないわね……)
エレベーターの中で、かなみはそんなことを考えてしまう。
閉じた箱のような場所で、怪人達に襲われたらひとたまりもない。
そんなことを考えて肝を冷やしている内に、二四階へ着いた。何事もなくエレベーターは上がっていった為、かなみの不安は杞憂に終わった。
今回は一人だから、その心細さからそんな不安を抱いてしまったのかもしれない。
(大丈夫、大丈夫だから……)
かなみはそう自分に言い聞かせて、老人の後をついていく。
(ヨロズ、堂々としているわね)
隣を歩いているヨロズの佇まいを見て、かなみは思った。
ヨロズは関東支部長として、普段からこういうことに慣れているのだろう。
かなみとしては周りが怪人ばかりの環境にどうしても慣れることができない。それに加えて、高級ホテルという気後れしてしまう場所に息苦しささえ感じてしまう。
(慎重に……平常心で……)
なるべく平常心を保ちつつ、かなみはヨロズと肩を並べて歩く。
「こちらがスイートルームでございます」
老人は部屋の扉を開ける。
「わあ!」
かなみは思わず感嘆の声を漏らす。
スイートルームはおとぎ話のお城に入りこんだのかと錯覚してしまいそうなほど豪華絢爛だった。
中でも天井から吊り下がっているシャンデリアのまばゆい輝きに目を奪われる。
「それではごゆっくりおくつろぎください」
老人はそう言って立ち去る。
「おくつろぎくださいと言われても……」
こんな部屋でどうしたらいいのか、かなみにはわからない。
「うむ」
ヨロズはシャンデリアの部屋の中央に立つ。
「どうしたのよ?」
「別に……この方が落ち着く」
「そ、そうなの……」
かなみには理解できない落ち着き方だった。
リラックスしているというより臨戦態勢に入っているようにも感じる。
いや、怪人のヨロズからしたらそっちの方が自然体なのか。いや、これも支部長会議という戦場に入る直前ゆえの行動なのか。
(まあ、いいか。ヨロズはヨロズ。私は私。)
と、かなみは切り替えてこの部屋でくつろぐことにした。
「うわあああああ!?」
かなみはとりあえずソファーに腰を下ろした。
その瞬間に、悲鳴に近い歓喜の声を上げた。
座った途端に、ブラックホールのように吸い込まれた。心地よい感触とともに落ちていく感覚がある。
(あ、これ、このまま寝ちゃいそう……)
睡魔が押し寄せてきたのか、まぶたが重くなってくる。
このままこの怪人ホテルで眠ってしまうのは危険だ。
危険だとわかっていても、睡魔に抗えず、徐々に追い込まれていく。
(これは罠!?)
そう直感したものの、抜け出すことが出来ない。
あまりにも気持ち良いことと、罠だと思ってはみたけど敵が来る気配を感じないので危機感が欠如していた。
そのため、かなみはいとも簡単にソファーという底なし沼に落ちた感触、というか快感に落ちていく。
「何をしている?」
「はあ!?」
ヨロズがいきなり見下ろして問うてきたので、かなみは奇声を上げる。
「それがお前のくつろぎ方か?」
「え、ええ、そうよ……」
脱力しきっただらしない姿を見られて、かなみは気恥ずかしさがこみ上げつつ答える。
「なるほど」
「な、何がなるほどよ?」
「いや、余分な力が抜けている。そうすることでいざというときに全力を出せるということか」
「あぁ……そういうわけじゃないんだけど……」
ただソファーがあまりにも気持ちよかったのでだらけきっただけなのだけど。
普通の人にそう言われたら、嫌味で言われているのかと思ってしまうのだけど、ヨロズからはそれがまったく感じられない。素直に称賛されているのが余計に気恥ずかしい。
「こういうくつろぎ方はよくないわね……」
かなみはソファーから立つ。
思いっきりハマりこんでいたのに、ヨロズにそう言われただけであっさりと立ち上がることができた。
「ところで会議でいつからなのよ?」
「俺は知らない」
「……え?」
「俺は知らない」
「二度言わなくてもいいわよ! っていうかいつスタートなのか知らなくて大丈夫なの?」
「ホテルから報せが来るという。他の支部長達が揃い次第だそうだ」
「揃い次第……ということは、まだ来ていない支部長がいるのね。今日中に来なかったらどうするのよ?」
「そうなったら明日だな」
「アバウトね……っていうか、明日になったら私は学校があって困るんだけど……」
「支部長達と対峙するよりも明日の学校の心配するとは……さすがだな」
「そういうわけじゃないんだけど……っていうか、対峙って何!? 会議って話し合うだけじゃないの!?」
「支部長達が一同に介して、話し合うだけで済むと?」
「……思わない」
かなみはたじろぐ。
「済めばいいのだがな」
「あんた、本当にそう思ってるの?」
「済めばいいが、済まなければそれも面白いだろう」
「面白くない! 下手したら地獄絵図よ!」
「それの何がいけない?」
「………………」
真顔で問うヨロズに、かなみは言葉を失う。
「はあ」
そして、かなみはため息をつく。
人間の少女の姿をしていて、言葉は通じるものの、ヨロズのこういう考え方を聞くにやはり怪人なのだと思い知らされる。
かなみは再びソファーに座り込む。
先程までの気持ちよさは感じないもののこうしていた方がリラックスできる。
「まあいいわ。それは会議になってみないとわからないから今から心配しても仕方ないわ」
「そういうのを『図太い』というらしい。テンホーから聞いた」
「あんた、あの女から何を聞いてるのよ?」
「あの女は俺のためだと言ってな」
「いや、それが……まあいいわ。言うだけ無駄ね、のれんに腕押しってやつね」
「それは何だ?」
「いくらやっても何の効果もないって意味よ」
「なるほど」
「そういうところは素直ね」
かなみは感心する。
「なんで、あんたがここに!?」
かなみは思わず一歩引く。
オフィスビルの前で、かなみはヨロズと鉢合わせした。思わぬ場所で思わぬ人物(?)と会った。偶然とは思えない。
「ここに用があってな。お前とここで会えたのもちょうどいい」
「何がちょうどいいよ」
かなみは反射的に身構えた。
魔法少女と怪人。
かなみとヨロズは敵対関係にある。加えて、ヨロズはかなみを倒すことを生涯の目標とまで言い切っている。それなら今ここで戦うことになってもおかしくない。
「残念だが、今ここで戦うつもりはない」
「え?」
「今日は戦いに来たわけではないと言った、残念だが」
「残念を二回言わなくていいわよ!」
ヨロズに本当に戦意がないことを察して、かなみはツッコミを入れる。
今日は戦いに来たわけではない。他の怪人がこんな事を言っても、嘘かもしれないと警戒するところだけど、ヨロズに限ってそれはないだろうと思って、かなみも弛緩する。
ヨロズは嘘をつかない。何度も戦った間柄だけど、それだけに性格はよく知っている。
奇妙な話、ヨロズの言っていることは信じられる。言動からも戦意はまったく感じられない。
「それじゃ何の用で来たのよ?」
戦い以外の目的となると、かなみにはまったく心当たりがない。
「――あるみに会わせろ」
「はい、どうぞ」
かなみはヨロズへコーヒーを差し出す。
「うむ」
ヨロズはそれだけ返事してコーヒーを一口含む。
「ん、どうした?」
ヨロズは物珍しげに見るかなみへ問う。
「……別に」
「そうか」
かなみは自分の席へ戻る。
『オフィスで待たせておけばいいわ。何だったらコーヒーでも淹れてあげたら?』
あるみに会いに来たヨロズをどうするか、あるみに電話で訊いたらそんな返事がきた。
ヨロズを、怪人をオフィスへあげるなんて。と、最初は思ったものの思い返してみると、いろかやテンホーがやってきたことがあるからこれが初めてにはならなかった。
それに、社長が「いい」と言うんなら。と、釈然がしないけど、かなみはヨロズをオフィスへあげた。
当たり前だけど、既にオフィスにいた翠華、みあ、紫織は大いに驚いた。
「なんであいつを連れてきたのよ?」
みあが訊いてきた。
「社長に会いに来たっていうのよ」
かなみは正直に答えた。
「社長に? なんで?」
「私は知らないわよ。社長は『コーヒーでも淹れてあげたら?』なんて言ってたけど」
「それで、コーヒーまで出したんですね」
紫織は納得する。
「かなみさんが……淹れてくれたコーヒーを、飲めるなんて……!」
翠華は忌々しげにヨロズを見つめる。羨望の眼差しだ。
「妖精達は楽しそうね」
かなみはオフィスを飛び回るリュミィとオプスを見て言う。
ヨロズが引き連れている黒羽の妖精オプスとリュミィは同じ場所、同じ時間に生まれた双子のような妖精で、お互い久しぶりに会えたのが嬉しいのだろう。
(私とヨロズもあんな風に…………いやいや!)
かなみは今思い浮かんだことを即座に打ち消した。
「もしかして、あるみと戦いに来たのかもね」
「「「萌実!?」」」
萌実がオフィスにやってきた。
「萌実、なんであんた?」
「珍しいことがあるから見に来ただけよ」
萌実は仏頂面で答える。
萌実は社長室でほとんど寝ていてオフィスに顔をだすことさえ滅多にない。そんな萌実がヨロズを見にオフィスへやってくるのも十分珍しいことだった。
「それはいいけど、ヨロズにケンカを売るようなことはしないでよ」
かなみは釘を刺す。
以前、萌実はヨロズにケンカを売って返り討ちにあったことがある。そのときの因縁でまたケンカになったらこの狭いオフィスはメチャクチャになってしまいかねない。
「はいはい」
萌実はテキトーな返事を返してくる。とはいえ、これでも萌実にしては聞き分けのいい方だった。
ガタン
そこで、けたたましい音とともにオフィスの扉が開かれて、あるみが入ってくる。
(私達は慣れてるけど、ヨロズはビックリしてないかな!?)
かなみは不安になる。
もし、ヨロズがこれを開戦のゴングだと勘違いしてたら……恐る恐るヨロズの様子を確認した。
ヨロズは意に介さず、むしろ落ち着いてコーヒーを啜っていた。
「いらっしゃい。よくきたわね」
あるみはヨロズを歓迎するように言う。
「今はお前に用があって来た」
「かなみちゃんから聞いてるわ。とりあえず、コーヒーおかわりいる?」
「いただこう」
ヨロズはあっさり返事した。
あるみの接し方も来客というより友人のそれに近かった。
「ちょ、ちょっと、社長」
かなみはあるみを呼ぶ。
「何、呑気にコーヒーおかわりさせてるんですか?」
「かなみちゃんもコーヒー欲しかったの?」
「そうじゃなくてですね……」
「かなみちゃんの分も淹れてあげるから、そこに座ってなさい」
「……え?」
そういうわけでいつの間にか、かなみはヨロズの隣に座らされていた。
「なんでこうなるの……?」
「一緒に席を囲った方がいいわよ」
あるみはそう言って、コーヒーをテーブルに置く。
今応接のソファーには、かなみとヨロズの二人とその対面にあるみが座っている。
「何で私が?」
かなみは不満を含めた疑問を口にしたけど、あるみには逆らえなかった。
隣にヨロズがいる。なんだか落ち着かない。
「それで私に話って何?」
そんなかなみの気も知らないで、あるみはヨロズへ問う。
かなみは息を呑む。
不満を口にしたものの、ヨロズの話に興味はあった。
(まさか社長と戦いたいと言うんじゃないでしょうね?)
しかし、それが一番考えられることだった。
でも、いくらヨロズでもあるみに闘いを挑むのは無謀だと思う。
それでもヨロズだったら言いそうだけど、果たして本当にそのために来たのだろうか。
「これから会議がある」
「かいぎ?」
ヨロズらしからぬ単語が飛び出してきたので、かなみは思わず声を出す。
「会議ねえ。それはどういう会議なの?」
「――支部長会議だ」
「ふうん、支部長会議ねえ」
「社長、知ってるんですか?」
あるみは納得したようなので、かなみは訊く。
「一応、そういう情報は持っているわ」
「さすがだ」
ヨロズは手放しで称賛する。
「それで支部長会議って何なんですか?」
「文字通り、各地方の支部長が一ヶ所に集まって会議することよ」
「各地方の支部長……」
かなみは頭に今まで見てきた支部長を思い浮かべる。
関東支部長カリウス。底が知れず、得体の知れない怪人だった。今は最高役員十二席の一人となった。
九州支部長いろか。幾度となくオフィスへやってきてこれもまた得体がしれない妖艶な怪人だった
四国支部長ヒバシラと中国支部長チューソー。ヘヴルとの戦いでその力強さを見せつけられた。ヘヴルを倒しきれなかったものの、彼らが戦わなかったらヘヴルは倒すことは出来ずに、かなみ達はやられていた。
他にもまだ顔を合わせたことが無いけど同じような怪人が何人も集まるのかと思うと想像するだけでゾッとする光景になった。
「あなたも関東支部長だから召集されているわけね」
「そうだ」
「でも、その支部長会議が私達とどういう関係があるの? このままだと敵に情報を横流ししただけになるのだけど」
「そうよ。支部長会議って、ネガサイド内だけで、私達には関係ない話じゃない」
かなみは言う。
「関係はある」
ヨロズはかなみを呼び指して答える。
「魔法少女カナミ、お前も会議に出席してもらう」
「……え?」
かなみは呆気にとられる。
「いいわよ」
あるみは二つ返事で了承する
「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!?」
「ここが会議に使うホテルだ」
ヨロズが言う。
「大きい……っていうか、なんでこんなところに建ててるのよ?」
かなみは呆れながらコメントする。
かなみとヨロズはリムジンに乗せられて山奥にまでやってきた。ちなみにリムジンはスーシーが用意した。人間の姿をした怪人の運転手付きで。
そんな山奥に似つかわしくない豪華なホテルが一軒建っていた。
「ネガサイドが建てたホテルだからだ」
「やっぱり……」
かなみは頭を抱える。
怪人が建てた怪人の為のホテル。首都圏にもあって、かなみ達もやってきたことがある。
このホテルもその一つなのだろう。
「怪人がいっぱいのホテルなのね」
とてつもなく憂鬱だった。
ここがネガサイドが建てたホテルなら、怪人による怪人の為のホテルで、当然そこに人間はいなく、怪人がいっぱいいるはず。
「四面楚歌……」
そんな言葉が思い浮かぶ。
「立ち止まっても仕方がない。行くぞ」
ヨロズは呼びかける。
「ま、待ちなさいよ」
かなみはそれを追いかける。
そうして勢いのままにホテルへ入る。
「あぁ……」
ホテルに入ると、体温が下がるような感覚に陥る。
ホテルにいるドアマン、フロント、スタッフ達が人間の姿をしているけど、みんな怪人だった。
そういう気配がする。ホテル中からそういう空気が充満しているせいで、気配察知に鈍いかなみでもわかる。
それは強烈な違和感で、重りを背負わされたみたいだ。
「案ずるな」
ヨロズはそんなかなみの気配を察して言う。
「この中で一番強いのはお前だ」
「はあ?」
「仮にここの連中が束になってかかったとしてもお前が強い」
「あんたねえ……」
それで安心させようとしているつもりなのだろうか。
激しく疑問に思った。
「でも、まあ……そうね」
同時に心の中でそれもそうだと同意して落ち着く自分もいた。
かなみとヨロズが並んで怪人のホテルを歩く。
その光景だけで周囲がざわついていることを肌で感じる。
フロントや周囲の客の怪人達からの視線を浴びる。
だけど、それには敵意や殺意、というより、恐れや憧れの方の感情が強いんじゃないかと感じる。まあ、自分はともかく隣にいるのは仮にも関東支部長という怪人の中では上位。人間で言えば一般人と都知事くらいの差はある。
怪人達は自分ではなくヨロズを恐れ、敬い、奉るかのように見ているに違いない。
そう思うことで、かなみはこの場ではあくまで部外者という立ち位置にいると思い込むことにしていた。
「ようこそ、いらっしゃいました」
フロントの紳士な老人が歓迎の言葉を述べる。
「関東支部長ヨロズ様、魔法少女カナミ様」
老人からは敵意ではなく、むしろ敬意すら感じた。
「私のことまで把握してるのね」
「はい。ヨロズ様から貴方様も来訪すると連絡いただいたので」
「最初から私の参加は決まられていたわけね」
「お前が断るはずがないと思っていた」
「断ったでしょ!」
かなみがこうしてやってきているのは、あるみが勝手に決めたからだ。
あるみの決定事項には逆らえない。たとえ、あるみに「嫌だ」と言っても。
そんなわけで、支部長会議への出席を勝手に持ちかけられ、勝手に参加を決められ、あれよあれよと連れてこられた。
かなみとしては文句の一つも二つも言っているところなのだけど、なしのつぶてであった。
「だが、お前はここにやってきた。それが全てだ」
こんな感じに。
「あんたも大概、人の話きかないわよね」
むしろ話がある程度できる方も大概なのだけど、そのあたりはどうにも慣れてきてしまっている。貴子や理英ほどじゃなくても学校であまり話さない同級生よりも会話量が多いせいだろう。
つくづく自分とヨロズは奇妙な関係だと思えてならない。
「それでは二四階のスイートルームへご案内します」
「スイートルーム!?」
かなみは驚く。
見るからにこんな高級そうなホテルのスイートルーム。一体どれだけの宿泊費がかかるのだろうか。想像するだに恐ろしい。
「会議に召集された経費だ」
たじろぐかなみへヨロズは言う。
「経費って……」
「俺は召集されただけだ」
「私は召集されてない!」
「いや、俺が召集した。それに奴は賛同した」
「奴?」
「いずれわかる」
「誰だか、なんとなく想像はつくけど」
かなみがこの会議に参加するとなったら、喜んで賛同しそうな怪人に心当たりは何人かいる。正直嬉しくない。
「それではこちらです」
老人の案内でエレベーターに乗る。
(ここで襲われたら逃げ道はないわね……)
エレベーターの中で、かなみはそんなことを考えてしまう。
閉じた箱のような場所で、怪人達に襲われたらひとたまりもない。
そんなことを考えて肝を冷やしている内に、二四階へ着いた。何事もなくエレベーターは上がっていった為、かなみの不安は杞憂に終わった。
今回は一人だから、その心細さからそんな不安を抱いてしまったのかもしれない。
(大丈夫、大丈夫だから……)
かなみはそう自分に言い聞かせて、老人の後をついていく。
(ヨロズ、堂々としているわね)
隣を歩いているヨロズの佇まいを見て、かなみは思った。
ヨロズは関東支部長として、普段からこういうことに慣れているのだろう。
かなみとしては周りが怪人ばかりの環境にどうしても慣れることができない。それに加えて、高級ホテルという気後れしてしまう場所に息苦しささえ感じてしまう。
(慎重に……平常心で……)
なるべく平常心を保ちつつ、かなみはヨロズと肩を並べて歩く。
「こちらがスイートルームでございます」
老人は部屋の扉を開ける。
「わあ!」
かなみは思わず感嘆の声を漏らす。
スイートルームはおとぎ話のお城に入りこんだのかと錯覚してしまいそうなほど豪華絢爛だった。
中でも天井から吊り下がっているシャンデリアのまばゆい輝きに目を奪われる。
「それではごゆっくりおくつろぎください」
老人はそう言って立ち去る。
「おくつろぎくださいと言われても……」
こんな部屋でどうしたらいいのか、かなみにはわからない。
「うむ」
ヨロズはシャンデリアの部屋の中央に立つ。
「どうしたのよ?」
「別に……この方が落ち着く」
「そ、そうなの……」
かなみには理解できない落ち着き方だった。
リラックスしているというより臨戦態勢に入っているようにも感じる。
いや、怪人のヨロズからしたらそっちの方が自然体なのか。いや、これも支部長会議という戦場に入る直前ゆえの行動なのか。
(まあ、いいか。ヨロズはヨロズ。私は私。)
と、かなみは切り替えてこの部屋でくつろぐことにした。
「うわあああああ!?」
かなみはとりあえずソファーに腰を下ろした。
その瞬間に、悲鳴に近い歓喜の声を上げた。
座った途端に、ブラックホールのように吸い込まれた。心地よい感触とともに落ちていく感覚がある。
(あ、これ、このまま寝ちゃいそう……)
睡魔が押し寄せてきたのか、まぶたが重くなってくる。
このままこの怪人ホテルで眠ってしまうのは危険だ。
危険だとわかっていても、睡魔に抗えず、徐々に追い込まれていく。
(これは罠!?)
そう直感したものの、抜け出すことが出来ない。
あまりにも気持ち良いことと、罠だと思ってはみたけど敵が来る気配を感じないので危機感が欠如していた。
そのため、かなみはいとも簡単にソファーという底なし沼に落ちた感触、というか快感に落ちていく。
「何をしている?」
「はあ!?」
ヨロズがいきなり見下ろして問うてきたので、かなみは奇声を上げる。
「それがお前のくつろぎ方か?」
「え、ええ、そうよ……」
脱力しきっただらしない姿を見られて、かなみは気恥ずかしさがこみ上げつつ答える。
「なるほど」
「な、何がなるほどよ?」
「いや、余分な力が抜けている。そうすることでいざというときに全力を出せるということか」
「あぁ……そういうわけじゃないんだけど……」
ただソファーがあまりにも気持ちよかったのでだらけきっただけなのだけど。
普通の人にそう言われたら、嫌味で言われているのかと思ってしまうのだけど、ヨロズからはそれがまったく感じられない。素直に称賛されているのが余計に気恥ずかしい。
「こういうくつろぎ方はよくないわね……」
かなみはソファーから立つ。
思いっきりハマりこんでいたのに、ヨロズにそう言われただけであっさりと立ち上がることができた。
「ところで会議でいつからなのよ?」
「俺は知らない」
「……え?」
「俺は知らない」
「二度言わなくてもいいわよ! っていうかいつスタートなのか知らなくて大丈夫なの?」
「ホテルから報せが来るという。他の支部長達が揃い次第だそうだ」
「揃い次第……ということは、まだ来ていない支部長がいるのね。今日中に来なかったらどうするのよ?」
「そうなったら明日だな」
「アバウトね……っていうか、明日になったら私は学校があって困るんだけど……」
「支部長達と対峙するよりも明日の学校の心配するとは……さすがだな」
「そういうわけじゃないんだけど……っていうか、対峙って何!? 会議って話し合うだけじゃないの!?」
「支部長達が一同に介して、話し合うだけで済むと?」
「……思わない」
かなみはたじろぐ。
「済めばいいのだがな」
「あんた、本当にそう思ってるの?」
「済めばいいが、済まなければそれも面白いだろう」
「面白くない! 下手したら地獄絵図よ!」
「それの何がいけない?」
「………………」
真顔で問うヨロズに、かなみは言葉を失う。
「はあ」
そして、かなみはため息をつく。
人間の少女の姿をしていて、言葉は通じるものの、ヨロズのこういう考え方を聞くにやはり怪人なのだと思い知らされる。
かなみは再びソファーに座り込む。
先程までの気持ちよさは感じないもののこうしていた方がリラックスできる。
「まあいいわ。それは会議になってみないとわからないから今から心配しても仕方ないわ」
「そういうのを『図太い』というらしい。テンホーから聞いた」
「あんた、あの女から何を聞いてるのよ?」
「あの女は俺のためだと言ってな」
「いや、それが……まあいいわ。言うだけ無駄ね、のれんに腕押しってやつね」
「それは何だ?」
「いくらやっても何の効果もないって意味よ」
「なるほど」
「そういうところは素直ね」
かなみは感心する。
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