まほカン

jukaito

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第105話 現身! 再現される少女の面影は際限のない幻想 (Cパート)

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カキィィィィン!

 ドッペルゲンガーも同じようにステッキから刃を引き抜いてこれを受ける。
「力が弱くなってない?」
 ドッペルゲンガーの問いかけに、カナミは歯噛みする。
 ドッペルゲンガーの能力。
 それは人間そっくりに変身するだけじゃなく、変身した人間の生気や魔力を奪い取る。
 そうして、ドッペルゲンガーは本物を始末して本物へ成り代わる。

キィン!

 刃の鍔迫り合いに、カナミは力負けする。
 ドッペルゲンガーの能力のせいで、カナミは魔力を奪い取られて、力が抜けてしまったからだ。
「力が、抜ける……!」
「私が本物だから!」
「偽者でしょ、だから本物から力を奪わないとやっていけないんでしょ!」
「癇に障ることをおおおおおッ!!」
 ドッペルゲンガーは激昂する。
 そこからさらに力任せでカナミを押しのける。
「ぐ!」
「カナミさん!」
 スイカは、カナミの元へ駆け寄る。
「大丈夫です」
「カナミさん、ここは私に任せて!」
「でも、スイカさんが!」
「私なら大丈夫!」
 スイカはそう言って、ドッペルゲンガーへ接近する。

キィン! キィン! キィン!

 スイカのレイピアの突きが、ドッペルゲンガーに襲いかかる。
 ドッペルゲンガーはステッキで防御するものの、手数も速度もスイカが上で圧されてくる。
「強いですね、スイカさん!」
「ええ、そうよ。私は強くなった!」

キィィィィィィィン!!

 レイピアでステッキを弾き飛ばした。
「クッ……!」
 そして、ドッペルゲンガーの喉元へレイピアを突きつける。
「これで終わりよ!」
 スイカは宣言する。
「何のために……」
「え……?」
「――何のために、強くなったんですか?」
 ドッペルゲンガーは、スイカへ問いかける。
 カナミの顔、カナミの声で。
 ドッペルゲンガーだと、偽者だとわかりきっているはずなのに、拭いきれない躊躇いを生ませる、本物への演技だった。
「何のために……! 何のために!!」
 ガタガタとレイピアが揺れる。
「そんなの決まってるじゃない!!」
 しかし、スイカは激昂し、レイピアを突く。
「スイカさん!!」
 ドッペルゲンガーは訴えかける。
「く……ッ!」
 その声に、剣先が鈍らせる。
 わかっている。理屈ではわかっている。
 彼女が本物のカナミではなく、偽者のドッペルゲンガーで、自分を陥れるためにそんな演技をしているだけだ、と。
 わかっているのに、そんな風にされると、その姿を傷つけるわけにはいかない。
 どうしてもそう思ってしまう。そうなったらもうダメだ。
(私には出来ない……ッ!!)

カキィィィィン!

 ドッペルゲンガーはステッキでレイピアを弾き飛ばす。
「あ……!」
「形勢逆転、ですね」
 ドッペルゲンガーはニコリと笑って、魔法弾を撃ち出す。

バァン!!

「きゃあ!?」
 魔法弾が直撃して、スイカは吹っ飛ぶ。
「よくもスイカさんを!」
 カナミはその様子を見て、ドッペルゲンガーへ飛び込む。
「あんたが私に本物を明け渡さないから悪いのよ!」
「盗人猛々しいってあんたのことを言うのね!」

カキィィィィン!

 カナミとドッペルゲンガーの刃がぶつかり合う。
「――!」
 退いたのはドッペルゲンガーの方だった。
「あんたの、どこからそんな力を!?」
 ドッペルゲンガーはカナミへ疑問を投げかける。
「そんなのあんたに答える義理はないわ!!」
 カナミは怒気とともに投げ返す。
「くッ!」
 ドッペルゲンガーは能力を発動させて、カナミの魔力を吸い尽くそうとする。
 もう既にかなりの魔力を奪い取っている。普通の人間ならもう十人以上の生命分の魔力量を奪い取っている。にも関わらず、カナミは平然と立っている。
 明らかに規格外で、どっちか怪人なのかわからない。
 ドッペルゲンガーは焦った。
 これだけの力を持った人間の本物の座を奪い取ろうとしたのは間違いだったんじゃないか、と。
「ぐ!!」
 ドッペルゲンガーは歯を食いしばる。
 だからこそ、奪い取る価値があり、奪い取らなければならないのだ。
 ドッペルゲンガーは偽者。
 本物の座を奪い取ることこそが本能が定めた使命なのだ。
「負けるわけにはいかない!」
「それはこっちの台詞よ!」
 カナミは怒りを、ドッペルゲンガーは使命を、互いに想いを叩きつける。
「「仕込みステッキ・ピンゾロの半!!」」
 二人の声が重なって、互いの刃が振るわれる。

バシャァァァァァン!!

 斬撃音とともに一人倒れる。
「カナミさん!?」
 スイカが叫んで、駆け寄る。
「大丈夫です、少しかすりましたが」
 カナミは笑って答える。
 倒れたのはドッペルゲンガーの方だった。
「それよりも、私の方が本物だってよくわかりましたね」
「当たり前じゃないの。それにカナミさんが絶対に勝つって信じていたから」
「スイカさん……ありがとうございます」
「それより、かすったところは大丈夫? 手当てしないと」
「これくらい大丈夫ですよ」
「我慢はダメよ」
 スイカはオフィスに備えてあった救急箱から包帯を取り出す。
「あ……」
 カナミが傷を追った右肩を見る。
(カナミさんの肩!? 私が触るなんて!?)
 今さらに冷静になって、赤面する。
「か、カナミさん、ほほ、包帯を、まくわよ」
「え、ええ、お願いします」
 スイカのただならぬ雰囲気に、カナミはたじろぐ。
(大丈夫……落ち着いて……! カナミさんに負担をかけないように……! ちゃんと! 巻いて!)
 スイカは心の中で念じつつ包帯を巻いた。
 その念の甲斐もあって、カナミの右肩にちゃんと包帯を巻くことが出来た。
「これでよし!」
「ありがとうございます、スイカさん!」
「このくらい、お礼を言われるほどのことじゃないわ」
「いえいえ、スイカさんがいてくれて助かりました。それと……私のせいでケガまでしてしまって……」
「こ、これは……私が不甲斐ないせいで! カナミさんのせいじゃないわ、気にしないで!」
「スイカさんはいつも優しいですね」
 カナミは笑って言う。
 それを見て、スイカは晴れ晴れとした気分になる。
「あの……スイカさん、一つ聞いていいですか?」
 カナミは神妙な面持ちで訊く。
「いいわよ、何でも聞いて!」
「スイカさんは何のためにそこまで強くなったんですか?」
「……え?」
 その瞬間、スイカは「何でも聞いて」と言ったことを後悔した。
「さっき、スイカさんが言ってたことが気になりまして」

『何のために、強くなったんですか?』
『何のために……! 何のために!! そんなの決まってるじゃない!!』

「あぁ……」
 スイカは確かにそう言ったことを憶えている。そして、その答えも。
「教えてほしいな。なんて、思うんですけど」
 はにかんだカナミはとても魅力的に映った。
――その笑顔を守るために強くなった。
 それがスイカの心からの答えだった。
 それを声に出してはっきりと答えられたならよかった。
「そ、その……ぇ、ぁ、をぉ……」
 声はたどたどしく、かすれてロクに言葉を紡げない。
「あの……よく聞こえないんですが……」
「――!」
 スイカの顔が真っ赤になる。
 恥ずかしかった。カナミにそんなことを言わせてしまうなんて情けない。
 自分を叱り飛ばしたい。できれば、この場から逃げ出したい。
 しかし、今は向き合わなければならない時だった。今カナミはこんなにも自分へ興味と関心を向けてくれている。
「それは――!」
 スイカはなけなしの勇気を振り絞って答えようとした。
「あんた達、何やってんの?」
 不意にみあの声がする。
「み、みみ、みあちゃん!?」
 スイカは明らかに狼狽する。
「ど、どうして!?」
「どうしても何も普通にオフィスへ来たばっかなんだけど、何が起きたのよ?」
 みあは訊く。
「それは……怪人が襲ってきて」
「怪人? こいつのこと?」
 みあは倒れているカナミの姿をしたドッペルゲンガーを指す。
「カナミそっくりね。こいつが噂に聞くドッペルゲンガーってやつ?」
「そうなのよ! 私にそっくりに化けて、スイカさんを騙し討ちしたのよ!!」
「……騙されてしまって、ごめんなさいね」
 スイカは謝る。
「ふうん。どんな風に騙されたの?」
「え!? そ、それは……!?」
 スイカは返答に困る。
「スイカさんは悪くないわよ。私に化けたこいつが悪いんだから!」
「………………」
 カナミが擁護してくれる。
 そう言われて、スイカはますます申し訳なくなってくる。
「ふん、まあいいわ。それよりこのオフィスどうするの?」
 みあにそう言われて、三人は散らかったオフィスを見回す。
「……あぁ、社長や部長にこのことが知られたら……」
 カナミは青ざめる。
「いや、もう手遅れだよ」
 マニィが言う。
 マスコット達とあるみは感覚を共有している。マスコットのマニィを通して、あるみも事態を把握しているということだ。
「まあ、情状酌量の余地くらいはあるかもしれないよ」
「そんな無責任な!」
「だ、大丈夫よカナミさん! 私もわけを話すから!」
 スイカはカナミを元気づけようとする。
「それじゃそのわけを話してもらおうかしら?」
「「わあ!?」」
 不意に背後からあるみが現れてびっくりさせられる。
「急に出てこないでください! びっくりしますから!」
「びっくりさせたくて急に出てくるんだから無茶言わないで」
「どっちが無茶なのか……」
 カナミは呆れる。
「それより、このオフィスの件だけど……」
 カナミとスイカはビクッと震える。
 判決を下される被告人のような気分だ。
「やってしまったものは仕方ないわ。みんなで片付けましょう」
 それを聞いて、カナミとスイカは一安心する。みあは「えー、なんであたしも?」と不満を漏らしていたけど。



「みあちゃんには悪いことしちゃいましたね」
 帰りの夜道で、かなみは翠華へ言う。
「そうね」
 結局、後片付けに数時間かかってしまい、それだけで今日の仕事は終わってしまった。
 それでもドッペルゲンガーを捕らえてることが出来たのだから収穫はあったと、あるみは言う。
『この怪人の処遇は後日決めましょう』
 そう言って、備品室に追いやった。
 千歳の糸による拘束はないもののマスコットの見張りがあるから下手に動けないだろう。
「そういえば、オフィスの結界は解けてしまっていたんですよね」
「千歳さんが修行に出かけていったときに解除してしまったのよね」
 それをあるみから聞かされた時には、翠華は落胆した。
 結界があるものだとばかり思っていたから、ドッペルゲンガーが本物だと錯覚した。
『それはすぐに教えてほしかったです』
 翠華は思わず、あるみへ文句を言った。
 翠華がそんな文句を言うのが珍しかったので、かなみは内心驚いていた。
『結界が無くなっていることくらいすぐ気づくと思ったから』
 あるみの言い分はそれだった。
 みあは「まあそうね」と同意した。かなみの方はなんとなく結界が無くなっているんじゃないかと思っていたくらいだ。
「たしかに結界があったらドッペルゲンガーかどうかわかったんですけどね」
 かなみは苦笑する。
「でも、かなみさんの本物と偽者の区別くらいつくようにしないといけないから」
「翠華さん、凄い観察眼ですね」
「え、そ、そう!?」
 翠華はかなみの反応に、自分のことが気味悪がられているんじゃないかと狼狽する。
「ドッペルゲンガーも翠華さんに変身すればよかったのに」
「え、そ、そ、それはどうして?」
「私には翠華さんが本物か偽者かの区別はつけられませんからすぐにやられちゃいますし、翠華さんのチカラなら私もかないませんし」
「そ、そんなことないわよ!」
 本物か偽者か区別をつけられなくて誘惑にのりかけてしまった。
 なんて恥ずかしくて、かなみに言えない。
「もし、ドッペルゲンガーが私に変身してたら、もっと楽に倒せてたわよ。かなみさんだから手強かったというか……」
「そ、それは複雑ですね……」
 褒められているのだか、文句を言われているのか。
 多分前者の方が大きいのかな、とかなみは思った。翠華としては最大限の褒め言葉のつもりだった。
「ここが私の家です」
 翠華はそこで立ち止まる。
「素敵な家ですね」
 かなみは素直にそう言った。
「それじゃ、わざわざ送ってくれてありがとうね」
「いえいえ、迷惑をかけてしまったのでこれくらいさせてください! それに翠華さんとお話できて楽しかったですし」
「かなみさん……!」
 それは翠華が言いたかった台詞だ。
 いつもならオフィスを出てすぐ別れてしまう。それに比べたら、今夜はじっくり話せた。
 とても充実した時間だった。できればもっともっと続いて欲しかった。
 でも、家に着いてしまったから今夜はここまで。名残惜しくてたまらないけど。
「おかえり、翠華!」
 愛華が家の前から出てきた。
「え?」
「お、おお、お姉ちゃん!?」
「お姉ちゃん?」
 かなみと愛華はこれが初対面だった。
「翠華のお姉ちゃんの愛華まなかよ。よろしくね、かなみちゃん!」
「え、は、はい、よろしくお願いします! 私のこと、知ってるんですか?」
 かなみは愛華に訊く。
「翠華からよく話を聞いてるのよ。翠華はね、いっ~つもかなみちゃんの話ばっかりするから!」
「そ、そんなにしてないよ!」
 翠華は顔を真っ赤にする。
 このおしゃべりな姉を黙らせないと顔が茹で上がってしまう。
「翠華さん、私の話をよくしてるんですね?」
「あ~!! してないしてない!!」
「翠華は照れてるのよ。おかげであなたがすぐ、かなみちゃんだってわかったよ」
「そうなんですね」
 不幸中の幸いか、かなみは嬉しそうにしている。
(かなみさん、家で私がかなみさんの話ばかりしてるおかしな人だと思ってないかしら? そうなったら、私もうダメ……! どうか、私のことを嫌わないで!)
「翠華さんにはいつもお世話になってます」
「そうなんだね。うちの妹は出来る子だからお姉ちゃんも鼻が高いわ」
(お姉ちゃん、黙ってて!)
「翠華さんにお姉さんがいるというのは話に聞いていましたけど、こんなに素敵なお姉さんがいたんですね。翠華さんが羨ましいです」
「ほお、素直な良い子ね。これは翠華も話したくなるわけね」
 愛華はニヤニヤとした笑みを浮かべて、翠華を見る。
 翠華としてはその笑みに対して、色々と文句を言ってやりたいけど頭がゆでタコみたいになっているせいで舌も上手く回らない。
「ねえ、かなみちゃん。今日はウチに泊まっていかない?」
「え?」
「えぇッ!?」
 愛華がとんでもないことを提案してくれる。
「泊まって、って? いいんですか?」
「ええ、色々聞きたいことがあるしね。親に連絡いるかしら?」
「あ、それなら大丈夫です」
 かなみはあっさり答える。
「そう、だったら――」
「ダメエェェェェェェェェェェェェェッッ!!!」
 翠華は声を張り上げて拒否する。
「え、翠華さん?」
「か、かなみさんは今日疲れてるし、お母さんが待ってるし!」
「何言ってるんですか、翠華さん。母さん放任主義だから許可しますよ、翠華さんだって知ってるんじゃないですか」
「かなみさん!!」
「は、はい!!」
 名前を強く言われて、思わず返事する。
「ねえ、かなみさん、今日のところは帰りましょう! ほら、今日は疲れているから。……でも送ってくれたことは本当に嬉しかった」
 翠華は激しく言ったと次の瞬間に、宥めかすかのように優しく言う。
 そんな激しい変化に、かなみはあっけにとられてしまった。
「翠華さん……わかりました」
 かなみはそう答えることしか出来なかった。
「……今日は私も楽しかったです。さようなら」
 そう言って、かなみは去っていく。
「………………」
 その背中を見て、翠華は後悔でうずくまった。
「翠華、気持ちはわかるわ。思っていることと真逆のことを言ってしまうこと、お姉ちゃんにも経験あるからわかるよ」
 この姉はしたり顔で何を言っているのか。
「お姉ちゃんなんて…・・知らない!」
「翠華、すねないで」
「フン!」
 翠華はそのまま愛華のことを無視して家に入っていった。
 そして、お風呂に入って、部屋に戻って、もう寝ようかとベッドに着いた時、携帯の着信音が鳴った。
 かなみからメールがきていた。
『今日はありがとうございました。翠華さんと一緒に帰れて楽しかったです。泊まれなかったのは残念ですが、いつか翠華さん家に泊まってみたいです!! 本当にいつかでいいので泊まらせてください!!』
 翠華はこのメールを何度も読み返した。
「本当にいつかでいいので泊まらせて……」
 もし、かなみがこの家にやってきたならどうなるか。
 想像するだけで楽しくて眠れなくなってしまう。
「もし、かなみさんと一緒にこの部屋にいたら……」
 翠華はかなみの人形が複数おいてあることに気づく。
「あ~! かなみさんが来るなら片付けなくちゃ!! こんなのたくさん持ってるのがバレたらドン引きされる!!」
「ウシシ、お嬢の想像力は豊かで楽しいな」
「もう!」
 ウシィは呑気なことを言うものだから、翠華はむくれた。
「……翠華、とても楽しそうね」
 そんな翠華の盛大な一人言は廊下にいた愛華にダダ漏れだった。
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