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第67話 特休! 少女の気まぐれ休日 (Aパート)
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日曜日。
それは大抵の人には休みの日として待ち望まれている休日である。
しかし、借金を返済するために連日連夜働かなければならないかなみにとっては勤務日の一日に過ぎない。
「おはようございます」
今日も株式会社魔法少女のオフィスビルに出社する。
「ん……?」
そこで違和感に気づく。
オフィスに誰もいないのであった。
土日に他の娘達がいないのは、休日なのだから珍しいことじゃない。しかし、鯖戸やあるみまでいないのは妙だった。
「二人とも外回りかしら? それにしては連絡がないわね……」
いつもどちらかがいるか二人ともいない時は連絡が来ているはずなのに。
「ふわあああ」
萌実があくびしながらオフィスにやってくる。
「なんだ、来てたんだ」
「そりゃ仕事だから」
「仕事? 二人ともいないのに」
「やっぱりいないのね」
「どうしても外せない仕事があるからって言ってたわよ。――あぁ」
萌実はなんだか納得したようにニヤリと笑う。
「な、なに、なんなの?」
「ははん」
「気味の悪い顔で笑わないで! どういうことなのかって訊いてるの!」
「いや、察しが悪い社員ね」
萌実はやれやれといった面持ちで言う。
かなみはますますイライラする。
「……一体何なのよ、もう!」
かなみは鯖戸へ電話を掛ける。
『ああ、かなみ君か』
「ああ、じゃなくて! 今日はどうしたのよ!? 社長もいなくてオフィスがもぬけの殻じゃない!」
『そういえば君には言ってなかったね。今日は僕とあるみの二人とも外回りするから休日にするって』
「聞いてませんよ!! 私、もうオフィスに着いちゃいましたよ!!」
『ああ、そうか。それじゃ、頼める仕事を用意して』
「結構です! 休みます!!」
かなみは通話を切る。
「ククククク……」
萌実は腹を抱えて笑っている。
日曜でその上、休日なのに出勤しているかなみはさぞ滑稽に見えただろう。
「私のせいじゃないわよ! ちゃんと連絡しないと部長や社長が悪いのよ!!」
「ねえ、休日出勤ってどんな気分!?」
「最悪よ!!」
かなみは猛烈に反論する。
「アハハハハハハハ!!」
萌実は大笑いする。
「んで、なんでついてくるわけ?」
オフィスを出たかなみは振り返る。
「別に~面白そうだからに決まってるじゃない」
萌実はニヤニヤと笑いながら答える。
一体何を企んでいるのかわからないけど、よからぬことを考えているのは間違いない。
「それで今日はどうするのよ? どうせ決めてないんでしょ」
「決めてるわよ」
正直言うと何も決まっていなかった。
何しろ、ついさっきまで朝から夜まで仕事の予定だったので、突然降ってわいてきた休日にどうしていいのかわからない。
「あんたさ、どうせいつも仕事ばっかしてるからどうしたらいいかわからないでしょ? 嫌ね、貧乏暇なしで」
萌実は嘲笑する。
「そ、そんなことないわよ。こういうときはみあちゃんの家で遊んだりしてるもん!」
かなみはみあに電話を掛ける。
『かなみ、なんか用?』
「みあちゃん、今から遊べる?」
『あ~無理ね。今親父と遊園地に来てるから』
「ええ、いきなりどうしたの?」
『いきなり、親父が来て遊園地行くって言い出して引っ張り出された』
「よかったわね」
『というわけで、今日は無理。また今度』
そう言ってみあの電話が切れる。
ヒュルリ、と、風が寂しげに吹いたような気がした。
「仲間外れね」
「うるさい! みあちゃんがダメでも、翠華さんなら」
かなみは翠華へ電話をかける。
「翠華さん、今日家にお邪魔しても大丈夫ですか?」
『か、かなみさん、どうしたの、いきなり!?』
「今日、休日だったんですけど予定が無くて、あの……ダメですか?」
『だ、ダメじゃないけど、今日……今日だけは無理なの!』
「えぇ、どうしてですか!? もしかして彼氏とデートですか!?」
『あ、いえ、そうじゃなくて!』
「それは失礼しました! すぐに切りますね!!」
『違うの、かなみさん! 話を!!』
ここでかなみは通話を切る。
翠華が何かを言いかけているようだったけど、彼氏とのデートで急を要しているようだったから早く切った。
「はあ~~」
かなみはため息をつく。
「そりゃ、みんな休日は予定あるわよね~♪」
「もう! 今日に限って!」
「それでどうするの? このまま家に帰ってダラダラゴロゴロするの?」
萌実に言われなければそれもいいと思った。
仕事がないのだから一日中部屋でゴロゴロするのは楽で楽しい。
ただ、萌実の言う通りになるのは癪でたまらない。それにせっかくの休日なんだし、という気持ちもある。
「そんなわけないでしょ! 私だってショッピングぐらいするわよ!」
「お金無いのに?」
「今のかなみの財布の中身は……」
「マニィ、余計なことは言わないで! とにかく行くわよ!」
そうして、何食わぬ顔で萌実はかなみについていくのであった。
かなみがやってきたのは、ショッピングモール。
お金がないので、もっぱらウインドウショッピングだった。
「うーん、このアクセいいわね」
「これなら買えないこともないけど」
「でも、出費は抑えないとね」
そんなかなみとマニィのやり取りが何度もかわされた。
「退屈ね……」
萌実がぼやく。
「だったら、ついてこなくてもいいのに」
なんだって、萌実はついてくるのか。
まあ、仕掛けてこないのであれば道連れについてくるぐらいならいいけど。
「次は服を見ていきましょ」
「あんた、服なんて買えるの?」
「だから見ていくだけよ」
「そういえば、あんた制服以外の服なんて持ってたの?」
「持ってるわよ! ……一着ぐらい」
「えぇ、なんだって?」
「なんでもないわよ!」
「かなみ、何してるんだ?」
「え?」
声のした方を見ると、貴子と理英がいた。
「かなみ、今日用事があるって言ってたけど」
「あ、うん……なくなったの」
そこで昨日ショッピングモールで遊ばないか誘われていたことを思い出す。例のごとく、土日は仕事が入っていたので。
それがこうして突然休日になったかなみとバッタリと会うことになったのだ。
「ところで、かなみ、その娘は?」
貴子はかなみは萌実のことを指して訊く。
「あ、その娘は……」
「学校じゃ見ない顔ね」
理英が訊く。
「当然よ、学校なんて行ったことないもの」
「学校に行ったことない?」
「ああ、うん変わった子なのよ。百地萌実っていうのよ」
「ま、よろしくね」
萌実は意外にも友好的に返す。
「確かに変わっている感じはするな。お前の友達」
「はあ? こいつが友達?」
萌実は貴子を見つめる。かなみの友達だと思われたことがよほど心外だったのだろう。
「そんなわけないでしょ、こんな奴と」
「こんな奴!? 私だってね、あんたなんかと友達だって思われたくないわよ!!」
「あら、珍しく意見があったわね? むかつくけど!」
「私だってむかついてるのよ!」
かなみと萌実は睨み合う。
「ま、まあまあ、喧嘩するほど仲がいいってことよね?」
理英がそう言うと、彼女達の視線の矛先がそちらへ向かう。
「喧嘩するほど仲が悪いのよ。仲が良かったら喧嘩なんてしないのよ」
萌実は睨みながら言う。
「ご、ごめんなさい」
理英は怯んで謝る。
「理英は悪くないのよ。悪いのはこいつの性格の悪さだから」
「そうね。それは否定しないわ」
萌実は不機嫌顔で返す。
かなみと萌実。いがみ合う二人を前にして、貴子と理英は弱り果てる。
「なあなあ、そんなに言うんだったら勝負したらどうだ?」
貴子が提案する。
「「勝負?」」
二人は揃って疑問の声を上げる。
そういうときだけは息が合う。
「そ、あっちのゲーセンでさ」
ショッピングモールの隅にあるゲームセンターを指差す。
二人は二つ返事であっさり了承して、ゲームセンターに向かった。
理英は「変なところで息が合ってる……」とぼやいた。
「よし、三本勝負でいこうか」
「いいわよ、一本目は何?」
萌実が訊く。
「レースゲーム」
「レースか……」
かなみはゲームあまりしないからレースゲームに苦手意識があった。
「何、弱気になってんの?」
萌実は挑発する。
「そんなことないわよ!」
かなみはそれに対して負けん気をむき出しにする。
「よし、それじゃ勝負ね」
かなみと萌実は隣同士のシートについて同時にコインを入れる。
(うぅ……百円……)
一プレイ百円の投入口に、かなみは財布から取り出して泣く泣く百円玉を入れる。
そこから車種の選択。かなみはこのゲームは初めてだから適当に車種を選択する。
そこからあっという間にレース会場が映し出されて、カウントダウンが始まる。
3! 2! 1! スタート!!
かなみは思いっきりアクセルを踏みしめる。
スタートダッシュはかなみの方に軍配が上がり、一位に着いた。
「このくそ!!」
萌実は意地になって追い抜こうとする。
かなみは追い抜かれまいとアクセルを踏みしめる。
奇跡的にもランダムで選択された今のコースは、直線ばかりでカーブもそこまで急ではない初心者向けだったので走りやすい。おまけにかなみが選択した車種もクセが少なく曲がりやすいおかげで中々追い抜かれない。
(あれ? このまま行けば勝てるんじゃないかしら?)
コースの三分の二が終わった頃、そんな欲気が出てき始めた。
「甘い!!」
萌実は猛ダッシュをかけて、かなみの車の後部へぶつかる。
「あ、ちょ!?」
後部にぶつけられて、バランスを崩してクラッシュする。
「あー、なにすんのよ!?」
「ふん、勝ちゃいいのよ」
萌実は得意げにそう言って、そのままゴールした。
「この勝負、萌実の勝ちだ」
「う~!」
貴子はそう言うと、かなみはハンドルにもたれかかってうなだれる。
「他愛もないわね」
フフン、と萌実は鼻で笑う。
「こんの……あんな突撃してくるなんて……!」
「これがテクニックってやつよ」
「もう一回!」
かなみは人差し指を立てて、再戦を要求する。
「おいおい、二回戦は別のゲームだぞ」
「ん~! 何のゲームよ!?」
「これだ!!」
貴子はガンシューティングゲームの筐体を指す。
次々と襲い掛かってくるマシーンを銃で撃ち倒していく、という単純なゲームである。
「こいつのスコアが高い方が勝ちだ」
「ふうん、これは私の楽勝ね」
萌実は銃を持って、余裕の勝利宣言をする。
「う……!」
しかし、これはかなみも認めざるを得ないところであった。何しろ、萌実の魔法少女の武器は二挺拳銃なのだから。
「そんなことないわよ。勝負はやってみないとわからないわよ!!」
かなみは負けじと銃を構える。
「二人とも気合が入ってるわね」
「見ものだな」
かなみと萌実は百円玉を投入してゲームをスタートさせる。
バァン! バァン! バァン!
開幕と同時に萌実の凄まじい連射で敵のマシーンを撃ち落としていく。
「凄いわ!」
理英は思わず感嘆する。
「いや、かなみも負けてない」
貴子がそう言ったように、かなみも萌実に負けじとマシーンを落としてスコアを伸ばしていく。
「かなみ、そっちの金のドラムを撃つんだ!」
「え!?」
かなみは言われるまま、画面の端にあった金のドラムを撃ち抜く。
「スコアが一気に伸びたわ!!」
「そいつはボーナスなんだ。これでスコアは並んだぞ!」
「余計なことを……!」
ボーナスを得たことで、かなみと萌実のスコアはほぼ同点で並んだ。
そして、ボスが出現する。
ボスは巨大なマシーンで、まず足を破壊する。その次は腕。最後に頭を破壊してようやく撃破という仕様であった。
「結構歯ごたえあるじゃない!」
萌実はニヤリと笑う。
「ああ、このゲームのボスは最後に一発、止めを刺した方にスコアが入るんだ」
「まるで友情破壊ね」
理英はぼやく。
「フン、友情? こいつとなんてあるわけないじゃない?」
「ごもっとも!」
かなみは同意して、ボスを撃ち続ける。
足、腕と順調に破壊して、最後に頭になった。
「とう!」
最後の一発を撃ち込んだのは、かなみだった。
「やったー!!」
「チィ」
飛び上がって喜ぶかなみと舌打ちをする萌実の二人は対照的だった。
「これで一勝一敗だな」
「次は何の勝負なの?」
理英が訊く。
「三回戦はホッケーだ!」
そういうわけで、エアホッケーで戦うことになった。
このゲームは一対一で戦って、先に五ポイント先取した方が勝利となっている。
「初めてやるわね」
萌実はぼやく。
「私は何度かやったことあるわ」
かなみはこの勝負、初めて自分が有利に戦えると思った。
「それじゃ、三回戦だ! 試合開始!!」
かなみと萌実は同時にコインを投入する
筐体から円盤が射出される。
カァン! カァン! カァン! カァン!
小気味いい衝突音とともに、円盤が壁を反射して萌実のゴールに入る。
「あぁ!?」
「フフン、どうよ!」
「なるほどね……そうやって、点をとるわけね」
萌実はルールとやり方を憶える。
「てい!」
萌実は円盤を撃ち出す。
「あぁ!?」
凄まじい速度の壁の反射で一気にかなみのゴールへ入る。これで一対一。
「簡単じゃないのよ」
「次は簡単にいかないわよ!」
そこからかなみと萌実の激しいラリーの応酬が始まった。
カァン! カァン! カァン! カァン!
円盤の音が絶え間なく鳴り響く。
二人とも魔法少女として身体能力を強化していないけど、怪人との戦いの経験によって反射神経は恐ろしいほど鍛えられていた。あくまで普通の人間として、だけど。
それでも、ホッケーですさまじい速度でラリーの応酬するほどのレベルであった。
「おお! すげえ!!」
「見応えあるわねえ」
貴子と理英も拳を握って、観戦する。
それだけ、この戦いは見応えがある。
カァン!!
長い応酬の末、かなみのゴールに入る。
これで四対四。次のポイントが入った方が勝利だ。
「「「おおぉぉぉぉぉ」」」
貴子と理英の背後に歓声が上がる。
「これどっちが勝つんだ!?」
「黄色い子じゃね!」
「いや、ピンクい方だろ!」
「さあ、賭けた賭けた!!」
なんだか後ろのギャラリーが、恐ろしく盛り上がっている。
しかし、当のかなみと萌実はそんな歓声が耳に入らないぐらい集中している。
(あと一点……次の一点で勝負が決まる……!)
萌実は円盤を持って、念じるようにフィールドに置く。
(絶対に負けられないわ!)
どんなコースから来ても対応できるように、かなみは構える。
カァン! カァン! カァン! カァン!
そして、凄まじいラリーの応酬がまた始まる。
「「「おおぉぉぉぉぉ」」」
一回撃ち返す度に歓声が上がる。
絶え間ない撃ち合いにすっかり魅せられていた。
しかし、今回は互いにマッチポイントということで、先程までと集中力は段違いであった。
カァン! カァン! カァン! カァン!
ラリーの応酬は数分にも及んだ。
「「「………………」」」
あれだけ騒いでたギャラリーも歓声を止め、固唾をのんで勝負の行方を見守ることに切り替えた。
(負けられない! 負けられないわ!!)
かなみと萌実の意地のぶつかり合いが円盤の衝突音となって反響する。
「……あ!」
萌実は思わず声を上げる。
数分に及ぶラリーの最中、とうとう打ち損なって円盤が力無くかなみの方へ転がっていく。
「よーし!!」
千載一遇のチャンスと言わんばかりに、かなみは渾身の一撃を撃ち込む。
カァン!
見事、萌実のゴールに入って、勝利の五点目がかなみへ入る。
「やったー!!」
かなみは飛び上がって喜ぶ。
勝負が終わって、すぐにかなみの腹の虫が鳴りだしたので近くのハンバーガーショップに入った。
「私、お小遣いが今月ピンチなの……」
かなみは恥ずかしながらそう言うと、意外なことに萌実が払うと申し出た。
「あんたが勝ったんだから、ひもじい想いしてないと許せないわ」
そんなことを言って、一番基本のハンバーガーとフライドポテト、コーラの三点セットを買ってくれた。
「……ありがとう」
かなみは呆気にとられつつも、お礼を言う。
「フン!」
萌実は不機嫌に言いながら自分も同じセットを注文する。
「いや、いい勝負だったな、手に汗握ったぜ」
「いつの間にか、ギャラリーも出て来て、軽い祭りになったわね」
理英は苦笑しながら言う。
「ああ、あれそういうことだったの」
勝負がついた途端、集中力が切れたのか、かなみは「なに、この歓声!?」と大いに驚いた。
いたたまれなくなって、かなみは萌実を連れて無理矢理出て行った。
「そんなに凄いことをしたわけじゃないのにね」
萌実は素直に言う。
魔法少女として常日頃戦っている萌実からしたら、あれぐらいの戦いは日常といっていいのだろう。
「……ただ、次は負けないから」
一瞬だけかなみを睨んで本気で言う。
「……こっちこそ!」
かなみは睨み返す。
その睨み合いはさながら火花を散らすようだ。
「うんうん、いいライバル関係だな」
「本当に仲が悪いように見えるけど」
どちらの見方が正しいのだろうか。
「ああ、ハンバーガー、おいしい……」
かなみはハンバーガーを頬張る。
萌実から与えられた経緯はともかくハンバーガーは単純に美味しかった。
口直しにつまむ塩味の効いたフライドポテトに、甘くて刺激的な炭酸コーラの組み合わせも最高だった。
「こんなものがね、そんなにおいしいものなの……?」
萌実は疑問に挟みつつ、ハンバーガーを頬張る。
「……あんた、普段何食べてるの?」
かなみは不意に気になって訊く。
「別に……あんたに話すことじゃないわ」
萌実はそっぽ向いて答える。
「……何なの、その態度」
かなみはぼやく。
それは大抵の人には休みの日として待ち望まれている休日である。
しかし、借金を返済するために連日連夜働かなければならないかなみにとっては勤務日の一日に過ぎない。
「おはようございます」
今日も株式会社魔法少女のオフィスビルに出社する。
「ん……?」
そこで違和感に気づく。
オフィスに誰もいないのであった。
土日に他の娘達がいないのは、休日なのだから珍しいことじゃない。しかし、鯖戸やあるみまでいないのは妙だった。
「二人とも外回りかしら? それにしては連絡がないわね……」
いつもどちらかがいるか二人ともいない時は連絡が来ているはずなのに。
「ふわあああ」
萌実があくびしながらオフィスにやってくる。
「なんだ、来てたんだ」
「そりゃ仕事だから」
「仕事? 二人ともいないのに」
「やっぱりいないのね」
「どうしても外せない仕事があるからって言ってたわよ。――あぁ」
萌実はなんだか納得したようにニヤリと笑う。
「な、なに、なんなの?」
「ははん」
「気味の悪い顔で笑わないで! どういうことなのかって訊いてるの!」
「いや、察しが悪い社員ね」
萌実はやれやれといった面持ちで言う。
かなみはますますイライラする。
「……一体何なのよ、もう!」
かなみは鯖戸へ電話を掛ける。
『ああ、かなみ君か』
「ああ、じゃなくて! 今日はどうしたのよ!? 社長もいなくてオフィスがもぬけの殻じゃない!」
『そういえば君には言ってなかったね。今日は僕とあるみの二人とも外回りするから休日にするって』
「聞いてませんよ!! 私、もうオフィスに着いちゃいましたよ!!」
『ああ、そうか。それじゃ、頼める仕事を用意して』
「結構です! 休みます!!」
かなみは通話を切る。
「ククククク……」
萌実は腹を抱えて笑っている。
日曜でその上、休日なのに出勤しているかなみはさぞ滑稽に見えただろう。
「私のせいじゃないわよ! ちゃんと連絡しないと部長や社長が悪いのよ!!」
「ねえ、休日出勤ってどんな気分!?」
「最悪よ!!」
かなみは猛烈に反論する。
「アハハハハハハハ!!」
萌実は大笑いする。
「んで、なんでついてくるわけ?」
オフィスを出たかなみは振り返る。
「別に~面白そうだからに決まってるじゃない」
萌実はニヤニヤと笑いながら答える。
一体何を企んでいるのかわからないけど、よからぬことを考えているのは間違いない。
「それで今日はどうするのよ? どうせ決めてないんでしょ」
「決めてるわよ」
正直言うと何も決まっていなかった。
何しろ、ついさっきまで朝から夜まで仕事の予定だったので、突然降ってわいてきた休日にどうしていいのかわからない。
「あんたさ、どうせいつも仕事ばっかしてるからどうしたらいいかわからないでしょ? 嫌ね、貧乏暇なしで」
萌実は嘲笑する。
「そ、そんなことないわよ。こういうときはみあちゃんの家で遊んだりしてるもん!」
かなみはみあに電話を掛ける。
『かなみ、なんか用?』
「みあちゃん、今から遊べる?」
『あ~無理ね。今親父と遊園地に来てるから』
「ええ、いきなりどうしたの?」
『いきなり、親父が来て遊園地行くって言い出して引っ張り出された』
「よかったわね」
『というわけで、今日は無理。また今度』
そう言ってみあの電話が切れる。
ヒュルリ、と、風が寂しげに吹いたような気がした。
「仲間外れね」
「うるさい! みあちゃんがダメでも、翠華さんなら」
かなみは翠華へ電話をかける。
「翠華さん、今日家にお邪魔しても大丈夫ですか?」
『か、かなみさん、どうしたの、いきなり!?』
「今日、休日だったんですけど予定が無くて、あの……ダメですか?」
『だ、ダメじゃないけど、今日……今日だけは無理なの!』
「えぇ、どうしてですか!? もしかして彼氏とデートですか!?」
『あ、いえ、そうじゃなくて!』
「それは失礼しました! すぐに切りますね!!」
『違うの、かなみさん! 話を!!』
ここでかなみは通話を切る。
翠華が何かを言いかけているようだったけど、彼氏とのデートで急を要しているようだったから早く切った。
「はあ~~」
かなみはため息をつく。
「そりゃ、みんな休日は予定あるわよね~♪」
「もう! 今日に限って!」
「それでどうするの? このまま家に帰ってダラダラゴロゴロするの?」
萌実に言われなければそれもいいと思った。
仕事がないのだから一日中部屋でゴロゴロするのは楽で楽しい。
ただ、萌実の言う通りになるのは癪でたまらない。それにせっかくの休日なんだし、という気持ちもある。
「そんなわけないでしょ! 私だってショッピングぐらいするわよ!」
「お金無いのに?」
「今のかなみの財布の中身は……」
「マニィ、余計なことは言わないで! とにかく行くわよ!」
そうして、何食わぬ顔で萌実はかなみについていくのであった。
かなみがやってきたのは、ショッピングモール。
お金がないので、もっぱらウインドウショッピングだった。
「うーん、このアクセいいわね」
「これなら買えないこともないけど」
「でも、出費は抑えないとね」
そんなかなみとマニィのやり取りが何度もかわされた。
「退屈ね……」
萌実がぼやく。
「だったら、ついてこなくてもいいのに」
なんだって、萌実はついてくるのか。
まあ、仕掛けてこないのであれば道連れについてくるぐらいならいいけど。
「次は服を見ていきましょ」
「あんた、服なんて買えるの?」
「だから見ていくだけよ」
「そういえば、あんた制服以外の服なんて持ってたの?」
「持ってるわよ! ……一着ぐらい」
「えぇ、なんだって?」
「なんでもないわよ!」
「かなみ、何してるんだ?」
「え?」
声のした方を見ると、貴子と理英がいた。
「かなみ、今日用事があるって言ってたけど」
「あ、うん……なくなったの」
そこで昨日ショッピングモールで遊ばないか誘われていたことを思い出す。例のごとく、土日は仕事が入っていたので。
それがこうして突然休日になったかなみとバッタリと会うことになったのだ。
「ところで、かなみ、その娘は?」
貴子はかなみは萌実のことを指して訊く。
「あ、その娘は……」
「学校じゃ見ない顔ね」
理英が訊く。
「当然よ、学校なんて行ったことないもの」
「学校に行ったことない?」
「ああ、うん変わった子なのよ。百地萌実っていうのよ」
「ま、よろしくね」
萌実は意外にも友好的に返す。
「確かに変わっている感じはするな。お前の友達」
「はあ? こいつが友達?」
萌実は貴子を見つめる。かなみの友達だと思われたことがよほど心外だったのだろう。
「そんなわけないでしょ、こんな奴と」
「こんな奴!? 私だってね、あんたなんかと友達だって思われたくないわよ!!」
「あら、珍しく意見があったわね? むかつくけど!」
「私だってむかついてるのよ!」
かなみと萌実は睨み合う。
「ま、まあまあ、喧嘩するほど仲がいいってことよね?」
理英がそう言うと、彼女達の視線の矛先がそちらへ向かう。
「喧嘩するほど仲が悪いのよ。仲が良かったら喧嘩なんてしないのよ」
萌実は睨みながら言う。
「ご、ごめんなさい」
理英は怯んで謝る。
「理英は悪くないのよ。悪いのはこいつの性格の悪さだから」
「そうね。それは否定しないわ」
萌実は不機嫌顔で返す。
かなみと萌実。いがみ合う二人を前にして、貴子と理英は弱り果てる。
「なあなあ、そんなに言うんだったら勝負したらどうだ?」
貴子が提案する。
「「勝負?」」
二人は揃って疑問の声を上げる。
そういうときだけは息が合う。
「そ、あっちのゲーセンでさ」
ショッピングモールの隅にあるゲームセンターを指差す。
二人は二つ返事であっさり了承して、ゲームセンターに向かった。
理英は「変なところで息が合ってる……」とぼやいた。
「よし、三本勝負でいこうか」
「いいわよ、一本目は何?」
萌実が訊く。
「レースゲーム」
「レースか……」
かなみはゲームあまりしないからレースゲームに苦手意識があった。
「何、弱気になってんの?」
萌実は挑発する。
「そんなことないわよ!」
かなみはそれに対して負けん気をむき出しにする。
「よし、それじゃ勝負ね」
かなみと萌実は隣同士のシートについて同時にコインを入れる。
(うぅ……百円……)
一プレイ百円の投入口に、かなみは財布から取り出して泣く泣く百円玉を入れる。
そこから車種の選択。かなみはこのゲームは初めてだから適当に車種を選択する。
そこからあっという間にレース会場が映し出されて、カウントダウンが始まる。
3! 2! 1! スタート!!
かなみは思いっきりアクセルを踏みしめる。
スタートダッシュはかなみの方に軍配が上がり、一位に着いた。
「このくそ!!」
萌実は意地になって追い抜こうとする。
かなみは追い抜かれまいとアクセルを踏みしめる。
奇跡的にもランダムで選択された今のコースは、直線ばかりでカーブもそこまで急ではない初心者向けだったので走りやすい。おまけにかなみが選択した車種もクセが少なく曲がりやすいおかげで中々追い抜かれない。
(あれ? このまま行けば勝てるんじゃないかしら?)
コースの三分の二が終わった頃、そんな欲気が出てき始めた。
「甘い!!」
萌実は猛ダッシュをかけて、かなみの車の後部へぶつかる。
「あ、ちょ!?」
後部にぶつけられて、バランスを崩してクラッシュする。
「あー、なにすんのよ!?」
「ふん、勝ちゃいいのよ」
萌実は得意げにそう言って、そのままゴールした。
「この勝負、萌実の勝ちだ」
「う~!」
貴子はそう言うと、かなみはハンドルにもたれかかってうなだれる。
「他愛もないわね」
フフン、と萌実は鼻で笑う。
「こんの……あんな突撃してくるなんて……!」
「これがテクニックってやつよ」
「もう一回!」
かなみは人差し指を立てて、再戦を要求する。
「おいおい、二回戦は別のゲームだぞ」
「ん~! 何のゲームよ!?」
「これだ!!」
貴子はガンシューティングゲームの筐体を指す。
次々と襲い掛かってくるマシーンを銃で撃ち倒していく、という単純なゲームである。
「こいつのスコアが高い方が勝ちだ」
「ふうん、これは私の楽勝ね」
萌実は銃を持って、余裕の勝利宣言をする。
「う……!」
しかし、これはかなみも認めざるを得ないところであった。何しろ、萌実の魔法少女の武器は二挺拳銃なのだから。
「そんなことないわよ。勝負はやってみないとわからないわよ!!」
かなみは負けじと銃を構える。
「二人とも気合が入ってるわね」
「見ものだな」
かなみと萌実は百円玉を投入してゲームをスタートさせる。
バァン! バァン! バァン!
開幕と同時に萌実の凄まじい連射で敵のマシーンを撃ち落としていく。
「凄いわ!」
理英は思わず感嘆する。
「いや、かなみも負けてない」
貴子がそう言ったように、かなみも萌実に負けじとマシーンを落としてスコアを伸ばしていく。
「かなみ、そっちの金のドラムを撃つんだ!」
「え!?」
かなみは言われるまま、画面の端にあった金のドラムを撃ち抜く。
「スコアが一気に伸びたわ!!」
「そいつはボーナスなんだ。これでスコアは並んだぞ!」
「余計なことを……!」
ボーナスを得たことで、かなみと萌実のスコアはほぼ同点で並んだ。
そして、ボスが出現する。
ボスは巨大なマシーンで、まず足を破壊する。その次は腕。最後に頭を破壊してようやく撃破という仕様であった。
「結構歯ごたえあるじゃない!」
萌実はニヤリと笑う。
「ああ、このゲームのボスは最後に一発、止めを刺した方にスコアが入るんだ」
「まるで友情破壊ね」
理英はぼやく。
「フン、友情? こいつとなんてあるわけないじゃない?」
「ごもっとも!」
かなみは同意して、ボスを撃ち続ける。
足、腕と順調に破壊して、最後に頭になった。
「とう!」
最後の一発を撃ち込んだのは、かなみだった。
「やったー!!」
「チィ」
飛び上がって喜ぶかなみと舌打ちをする萌実の二人は対照的だった。
「これで一勝一敗だな」
「次は何の勝負なの?」
理英が訊く。
「三回戦はホッケーだ!」
そういうわけで、エアホッケーで戦うことになった。
このゲームは一対一で戦って、先に五ポイント先取した方が勝利となっている。
「初めてやるわね」
萌実はぼやく。
「私は何度かやったことあるわ」
かなみはこの勝負、初めて自分が有利に戦えると思った。
「それじゃ、三回戦だ! 試合開始!!」
かなみと萌実は同時にコインを投入する
筐体から円盤が射出される。
カァン! カァン! カァン! カァン!
小気味いい衝突音とともに、円盤が壁を反射して萌実のゴールに入る。
「あぁ!?」
「フフン、どうよ!」
「なるほどね……そうやって、点をとるわけね」
萌実はルールとやり方を憶える。
「てい!」
萌実は円盤を撃ち出す。
「あぁ!?」
凄まじい速度の壁の反射で一気にかなみのゴールへ入る。これで一対一。
「簡単じゃないのよ」
「次は簡単にいかないわよ!」
そこからかなみと萌実の激しいラリーの応酬が始まった。
カァン! カァン! カァン! カァン!
円盤の音が絶え間なく鳴り響く。
二人とも魔法少女として身体能力を強化していないけど、怪人との戦いの経験によって反射神経は恐ろしいほど鍛えられていた。あくまで普通の人間として、だけど。
それでも、ホッケーですさまじい速度でラリーの応酬するほどのレベルであった。
「おお! すげえ!!」
「見応えあるわねえ」
貴子と理英も拳を握って、観戦する。
それだけ、この戦いは見応えがある。
カァン!!
長い応酬の末、かなみのゴールに入る。
これで四対四。次のポイントが入った方が勝利だ。
「「「おおぉぉぉぉぉ」」」
貴子と理英の背後に歓声が上がる。
「これどっちが勝つんだ!?」
「黄色い子じゃね!」
「いや、ピンクい方だろ!」
「さあ、賭けた賭けた!!」
なんだか後ろのギャラリーが、恐ろしく盛り上がっている。
しかし、当のかなみと萌実はそんな歓声が耳に入らないぐらい集中している。
(あと一点……次の一点で勝負が決まる……!)
萌実は円盤を持って、念じるようにフィールドに置く。
(絶対に負けられないわ!)
どんなコースから来ても対応できるように、かなみは構える。
カァン! カァン! カァン! カァン!
そして、凄まじいラリーの応酬がまた始まる。
「「「おおぉぉぉぉぉ」」」
一回撃ち返す度に歓声が上がる。
絶え間ない撃ち合いにすっかり魅せられていた。
しかし、今回は互いにマッチポイントということで、先程までと集中力は段違いであった。
カァン! カァン! カァン! カァン!
ラリーの応酬は数分にも及んだ。
「「「………………」」」
あれだけ騒いでたギャラリーも歓声を止め、固唾をのんで勝負の行方を見守ることに切り替えた。
(負けられない! 負けられないわ!!)
かなみと萌実の意地のぶつかり合いが円盤の衝突音となって反響する。
「……あ!」
萌実は思わず声を上げる。
数分に及ぶラリーの最中、とうとう打ち損なって円盤が力無くかなみの方へ転がっていく。
「よーし!!」
千載一遇のチャンスと言わんばかりに、かなみは渾身の一撃を撃ち込む。
カァン!
見事、萌実のゴールに入って、勝利の五点目がかなみへ入る。
「やったー!!」
かなみは飛び上がって喜ぶ。
勝負が終わって、すぐにかなみの腹の虫が鳴りだしたので近くのハンバーガーショップに入った。
「私、お小遣いが今月ピンチなの……」
かなみは恥ずかしながらそう言うと、意外なことに萌実が払うと申し出た。
「あんたが勝ったんだから、ひもじい想いしてないと許せないわ」
そんなことを言って、一番基本のハンバーガーとフライドポテト、コーラの三点セットを買ってくれた。
「……ありがとう」
かなみは呆気にとられつつも、お礼を言う。
「フン!」
萌実は不機嫌に言いながら自分も同じセットを注文する。
「いや、いい勝負だったな、手に汗握ったぜ」
「いつの間にか、ギャラリーも出て来て、軽い祭りになったわね」
理英は苦笑しながら言う。
「ああ、あれそういうことだったの」
勝負がついた途端、集中力が切れたのか、かなみは「なに、この歓声!?」と大いに驚いた。
いたたまれなくなって、かなみは萌実を連れて無理矢理出て行った。
「そんなに凄いことをしたわけじゃないのにね」
萌実は素直に言う。
魔法少女として常日頃戦っている萌実からしたら、あれぐらいの戦いは日常といっていいのだろう。
「……ただ、次は負けないから」
一瞬だけかなみを睨んで本気で言う。
「……こっちこそ!」
かなみは睨み返す。
その睨み合いはさながら火花を散らすようだ。
「うんうん、いいライバル関係だな」
「本当に仲が悪いように見えるけど」
どちらの見方が正しいのだろうか。
「ああ、ハンバーガー、おいしい……」
かなみはハンバーガーを頬張る。
萌実から与えられた経緯はともかくハンバーガーは単純に美味しかった。
口直しにつまむ塩味の効いたフライドポテトに、甘くて刺激的な炭酸コーラの組み合わせも最高だった。
「こんなものがね、そんなにおいしいものなの……?」
萌実は疑問に挟みつつ、ハンバーガーを頬張る。
「……あんた、普段何食べてるの?」
かなみは不意に気になって訊く。
「別に……あんたに話すことじゃないわ」
萌実はそっぽ向いて答える。
「……何なの、その態度」
かなみはぼやく。
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