オービタルエリス

jukaito

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第4章 ケラウノスパイデス・オラージュ

第83話 ブランフェール制圧

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「状況はどうなってる?」

 ザイアスはマントを翻してブリッジに戻ってくる。

「あの少年がやりやがったぜ。収容所の所長を倒して制圧までしちまいやがった」
「ほう!」

 ザイアスはニヤリと笑う。

「所長を討ち取られたことで、収容所の衛兵達は沈黙しています。火星人の脱出もやりやすいかと思います」
「思ってた以上にやりやがったな! ああいう奴はなんかしてくれるもんを持ってると思ってたが!」
「よっしゃ、キャプテン! うちらも早く収容所へいこうや!」

 イクミは勢いよく手を上げる。

「すごく馴染んでますね……」

 何食わぬ顔でオペレーターに加わっているイクミは部外者とは思えない程馴染んでいた。そのことにリィータは自分の居場所を奪われるのではと危機感を募らせる。





「ゴロン所長も、ギムエル長官も敗れましたか」

 ファウナは敗戦の報告を重く聞き入れた。

「はい。収容していた火星人の反乱によるもので。彼等の抵抗が予想以上に強く」
「言い訳は聞きたくありませんね」
「………………」

 そう言い返されて、近衛兵は沈黙する。

「ギムエル長官も単独で海賊船に挑みましたが、海賊に敗北致しました」
「あれだけのケラウノスを放てる者がいるなら、長官が敗れるのも無理はない」
「問題はそれを止めることが出来なかった私の責任ですね」

 ファウナは深刻な顔をして、思案する。

「姫様! あ、いえ、領主様!」

 報告にやってきたガグズはつい習慣で言い間違えるが、すぐに訂正する。

「なんですか?」

 しかし、ファウナは気にした素振りも無く答える。

「アルシャール閣下が到着しました!」
「アルシャール……」

 ファウナは顔を上げると、そこには猛々しい偉丈夫のアルシャールが立っていた。

「オーギス・アルシャール総軍部司令、推参いたしました!」
「よく来てくれました」

 火急のときに、すぐに駆けつけてきたアルシャールがとても頼もしく見えた。

「領主からの勅命であるなら、すぐにかけつけるのが信条です」
「フフ、頼もしいですね。
――ですが、事態は急を要しています」

「存じています」

 アルシャールは城に駆け付けるまでに部下から報告を受け、事情は察していた。

「このアルシャール、一命を賭して国の侵略者と戦い、撃退しましょう」
「その言葉、信じさせてもらいます」
「つきましては、クリュメゾン総軍の指揮を任せてもらいます」
「それは当然のことです。ディバルド団長!」
「はい、ここに」

 ディバルドは敬礼する。

「近衛騎士団を率いてアルシャール司令の総軍とともに敵を叩きなさい」
「ですが、それではファウナ様の護衛が手薄になってしまいます」
「よいのです! 我が国への侵略者を排除できるのであれば、この身をいくら危険にさらしても構いません!!」

 ファウナは有無を言わさぬ迫力でディバルドに命じる。
 領主の身を側にいて守るのが近衛騎士団の役目。それを攻撃の一齣に加えるなど自分達の存在意義を揺るがす事態に、騎士団は揺れていた。
 領主の身と領主の命令。
 どちらが大事であるか……彼らには判断がつかなかった。

「それに私は我が身可愛さに城に籠るつもりはありません」
「――!」
「……騎士諸君」

 ディバルドは厳かな口調で告げる。

「我等近衛騎士団、ファウナ・テウスパール様とともに討って出る!」

 この号令に、はじめは雷に打たれたかのように騎士達は呆然とするが、すぐに歓声を上げる。

「「「オオォォォォッ!! 我等、クリュメゾン領主ファウナ様とともにぃぃぃッ!!」」」

 その様子を見て、ファウナは満足そうに言う。
「みなの働きに期待します」

「「「ハハッ!」」」


 騎士達はファウナに敬礼し、城の広場から出撃の準備の為、走り去っていく。

「それでは私もこれで」

 アルシャールも一礼する。

「アルシャール、あなたにも期待していますよ」
「フフ、光栄です。領主陛下」

 それでアルシャールは一飛びして去る。

「ディバルド」
「はい」
「いざとなれば、私の身の安全よりも敵の排除を優先してください」
「お言葉ですが、そのような『いざ』はおとずれないと思います」
「そうですが……そうですね……」

 ファウナはそこまで行って一瞬ふらつく。

「ファウナ様!」
「いえ、大丈夫です」

 ファウナは手で制する。

「出撃が整うまで少し時間があります。お休みになられるべきです」

 ファウナは兄の死から新領主を拝命してから、四十八時間以上嵐のように目まぐるしい事態の対応におわれて、ろくに休息がとれていない。
 疲労が現れてもまったく不自然ではなく、むしろ限界に達していてもおかしくなかった。

「いえ、そういうわけにはいきません」
「ですが、疲労で十全な指揮を果たせないようでは勝てる戦争も負けてしまいます」
「う……」

 ファウナは頭を抱える。

「わかりました……では、出撃の準備は任せます。一時間ほど休息をとらせていただきます」
「かしこまりした」

 ディバルドのふるまいは執事らしかったが、彼の鍛え抜かれた体躯を見て彼を執事と思う者はいないだろう。
 だが、領主になったばかりのファウナにとって長年使えている彼の存在はこの上なく頼もしく、アルシャールと力を合わせれば必ずこの事態を切り抜けてくれるだろう。
 ファウナはそう思い、自室に入る。

「ガグズ」
「はい」
「出撃の準備を整えるぞ。機動要塞【バシレイオン】でな」
「了解です!」

 ディバルドとガグズは募る騎士団と共に準備を整えていく。





「怪しい女の人……?」
「はい、見ませんでしたか?」

 ミリアがダイチ達と合流してくるなり、訊いてくる。

「いや、見てねえが……」
「そうですか」
「あんた、一緒じゃなかったの?」

 エリスは訊く。

「それが……いつの間にか姿を消してしまいましてて」
「なんですって、あんたちゃんと見てなかったのね」
「申し訳ありません」

 ミリアは素直に謝る。
 あまりにも素直だったので、エリスも毒気が抜かれる。

「ま、あんたが見失うぐらいだから只者じゃないわよね」
「なあ、エリス? その女の人ってなんだ?」
「イクミに調べさせればいいわ」
「……それで、正体がわかるといいのですが」

 ミリアは苦言を呈する。

「………………」
「エリス、どうかしたのか?」

 エリスが神妙な面持ちで考え事をしていたものだから、ダイチは心配になって訊く。

「ううん。ただ、あいつはなんで私の前に現れたのかと思ってね」
「俺はそんな奴見てないから何とも言えないけど」
「あんたには期待してないわよ」
「な、なんだと?」
「ダイチ、エリスが期待しとらんでも童が期待しておるぞ」
「あ、ああ、ありがとな」

 ダイチは苦笑する。

「………………」

 しかし、不満は消えるわけでもなくエリスは見つめる。

(なんだって、俺が……こんな女に……?)

――惚れた女は自分で助け出せ

 ザイアスの言葉が脳裏をよぎる。

(惚れた、女……)

 そう言って、エリスの顔を見てみる。

「ん?」

 その視線に気づいて、エリスはこちらを見る。

「どうしたの? 私の顔に何かついてる?」
「あ、いや、なんでもない!」

 ダイチは慌てて視線を逸らす。

「ふうん、変なの……」

 エリスは怪訝な顔をし、ミリアはくすくすと笑う。

ピコン

 イクミが通話ウィンドウが開く。

『首尾はどんなもんや』
「ええ、順調よ。所長が倒されたからって、みんな大人しいものよ」
『そっか、それはよかった。こっちももうすぐ着艦予定や。キャプテンが向こうのリーダーを倒してくれたからな』
「ああ、それは俺達も見てた」

 あの戦いで防衛戦力も総崩れとなり、ブランフェール収容所は海賊船の着艦を認めた。
 しかも、火星人の脱走を阻止する素振りも無い。
 おかげで今はウィル達が次々と火星人達を助け出して集めている。

「あの……」

 そんな中、助け出された火星人の中の一人の女性がおずおずと尋ねてくる。

「何?」
「火星人の男の人を探してるんですが」
「ここには火星人の男はいっぱいいるんだけど」
「あ、はい……そうですね……」

 女性の方は尻すぼみになる。

「名前を教えていただけませんか? 特徴があると助かりますが」

 ミリアが訊くと

「はい。ええっと、名前はハイアンと言いまして、ええっと、特徴は……」
「ハイアン……?」

 エリスはその名前に反応し、ミリアは戸惑う。
「ハイアンを知ってるんですか!?」

 女性はものすごい剣幕で捲し立てて、さすがのエリスも圧される。

「えぇっと、それは……」
「し、失礼ながら、そのハイアンという方とあなたはどういう関係なのでしょうか?」
「……え、どういう関係と言われましても……」

 女性は頬を赤らめつつ、思い切って言う。

「婚約者、なんです……」
「――!」

 エリスは絶句する。

『ハイアンはついこないだ婚約したばかりだからな』

 エリスはそんな声を思い出す。

『……近所に住んでいる火星人の子、です……』

 ハイアンの顔が思い浮かぶ。

『あいつと一緒に助け出します!』

 そんな気合の声まで思い出してしまう。

『あ、あぁ……レイ、ア……』

 そして、最期の瞬間も。

「ハイアンを知ってるんですか?」

 間違いなくこの女性は、ハイアンが最期に口にしたレイアだろう。

「………………」
「ハイアンは無事なんですか? 別々にされたので心配だったんですが!」
「……死んだわ」

 エリスは沈痛な面持ちで告げる。

「え?」

 レイアは何を言われたのか理解できない顔立ちで固まる。

「とても言いづらいのですが、ハイアンさんは死んでしまいました……」

 ミリアが代わって言う。

「死んで、しまい、ました……?」

 レイアは確かめるように口にする。

「死んだ……嘘……? 嘘でしょ!?」
「あ……!」

 レイアはエリスにしがみつく。

「ハイアンが死んだなんて、嘘ですよね!? ずっと一緒だったんです!! これからもずっと一緒だって言ってくれたのに! なのに、なのに、どうして!?」
「……………………」

 エリスは沈痛な表情のまま、何も言えず、ただレイアが泣き縋ってくるのを見守るしか出来なかった。

「うく……くうぅ……!」

 やがて、泣き崩れてしまう。

「エリス?」

 ダイチは心配になって声を掛ける。
「……何?」

 普段の彼女から考えらえない、弱々しい声であった。

「いや、大丈夫か?」
「大丈夫に、決まってるでしょ」

 顔を背けてそう答える。
 その後、レイアはマテオと合流して、泣きながら海賊船が留まるであろうドックへ向かっていった。

「……悔しいわね」

 エリスはそんなことを呟いたのを、ダイチやミリアは聞き逃さなかった。





 海賊船はあっさりブランフェール収容所の入港を許可された。

「拍子抜けだな」

 ザイアスは肩をすくめてそう言った。
 陽動で散開していたレジスタンスや南軍もまもなくやってくる。
 ブランフェール収容所のドックで合流した後、レジスタンスは捕らえられていた火星人数百人を収容し、一旦安全な場所まで退避させる。

「これで俺達はお役御免だ」

 リピートはそんなことを言う。
 リィータも同意するように緊張から解放されて緩みきった顔で一息ついている。

『新領主ファウナによって捕らえれた数百人の火星人を救出する』

 それが宇宙海賊の目的だとザイアスは言っていた。
 ひとまずこのブランフェール収容所の所長が倒れ、制圧できた今、あとはレジスタンスに引き渡せば目的は果たされたといっていい。
 とはいっても、いくら所長が倒れたからといってあれだけ大規模な収容所があっさり降伏するなんて、ザイアスが拍子抜けだと言いたくなるのもわかる気がする。

「さて、うちもダイチはん達と合流しようかな?」
「おう、あいつらはどうなったんだ?」

 リピートがイクミに訊く。

「ん、ああ、無事に助け出せたそうやで」
「助け出して、それだけか?」
「あ、うーん、なんかそのまま勢いで所長をぶっとばした、ぐらいしかきいてへんけど」

 イクミはそれだけ言うと、期待している答えが来なくてリピートはがっかりする。

「いや、そうじゃなくて……あれだろ、男の子が女の子を助け出したんだから、やることといったらあれじゃねえのか?」
「ああ、それがダイチはんとエリスはあんたが期待してるような男の子と女の子やなかったちゅうわけや」

 イクミは苦笑して答える。

「なんだよ、それ」

 リピートは肩を落とす。
 イクミは席を立ってさっさとブリッジを出る。

「……レジスタンスと南軍はまだか?」

 退屈に耐えかねたザイアスは問う。

「まだもう少し時間がかかるそうです」

 リィータは二つの軍の動向を確認しつつ答える。

「そうかあ……」





『少し遊びが過ぎるのではありませんか?』

 通話ウィンドウを開くなり、女性は諫めるように言ってきた。

「元々私は遊びに来ているようなものだからね」

 外套の女性は楽し気に答える。

『仕方ありませんね。それでどうでしたか?』
「順当に育っていたわよ。
……ただ、彼が満足するまでには至っていないと思うけど」
『中途半端ですね。まあ我が愚妹に負けるようではその程度といったところでしょうか』
「……あまりバカにしてくれないでね。あの子もあなたの妹も」

 外套の女性に諫められて、通話越しの女性はフンと鼻を鳴らす。

『あなたがそうヒトをかばうなんて珍しいですね。ヒトをおもちゃか実験台にしか見えてないと思っていたのですが』
「否定はしないわ。さしずめ、あなたは愛玩具といったところね」
『不快ですね。この場にいたのなら八つ裂きしていたところです』

 女性の周囲にバチンと火花が鳴った。

「フフ、直情で分かりやすいわね。そういうあなたが好きよ」
『私はあなたが大嫌いです。彼の――フォトライドの提案でなければ行動を共にすることなど……!』
「フフ、悔しさをにじませる、そんな顔がたまらなく好きよ」
『……事が終わったら、すぐさま処刑します』
「処刑、ね、フフ……言い回しはそっくりね。さすがに姉妹といったところかしら」
 もう一度バチンと火花が散る。

『このような屈辱、貴女の生命をもって贖っていただきたいものですね』
「事が終わったらね、フフ」
『………………』

 女性は重く口を閉ざす。

『……あなたの力が必要です、早く合流してください』

 そして、紡がれるのは重く冷たい声。
 私情を押し殺しつつも、怒りを帯びた。聞く者に寒気を与える、そんな声であった。

「了解です、エウナーデ」
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