86 / 104
第4章 ケラウノスパイデス・オラージュ
第79話 木星人が何様ってのよ!!
しおりを挟む
「これは、ケラウノス!?」
同時に、ギムエルとファウナの方にも衝撃が走った。
「バカな! ケラウノスを放てるのは南の領主ツァニス・ダイクリアだけ! しかし、ツァニスは出ている! あの海賊船に放てるはずが!?」
『ありえませんね……! 一体どうやって海賊船から……!』
二人の動揺を他所に、海賊船から神の雷は放たれ、マシンノイドや防衛軍のヒトが撃ち抜かれていく。
「ツァニス以外にケラウノスを放てる存在……まさか西の領主アルマン・ジェマリヌフか!?」
ギムエルは声を上げる。
『いえ』
それをディバルドが否定する。
『西軍と海賊達の接触は一切確認されていない。それらしい繋がりも』
『ではアルマン・ジェマリヌフ以外の皇族が、あの海賊船に乗っているということになりますね』
「しかし、一体誰が……!?」
狼狽するギムエルに対して、ディバルドはどっしりとしていて厳かなものであった。
『重要なのは、誰がケラウノスを放っているかではなく、海賊船がケラウノスを放っているという事実だけだ』
「――!」
『そうですね、あの映像越しですがこのケラウノスは強力過ぎます。東西南北どの領主よりも』
『あるいは、あなた以上の威力を』
『………………』
ファウナは否定しなかった。
それだけディバルドの戦力分析には絶対の信頼があり、また海賊船でケラウノスで次々と防衛軍が撃ち落されて様を見て、その強力さを認めない程、愚かではなかった。
『ギムエル長官』
「はい!」
ファウナが呼ぶと、ギムエルは即座に応じる。
『あれはそう簡単には止まりません。アルシャール司令にも協力を要請しましょうか?』
「あ、アルシャール司令!?」
『彼ならばこの難局を突破してくれるでしょう』
軍事司令を担うアルシャールならば、たとえケラウノスを放つ皇族が海賊船に乗っていたとしても十分に対抗できる。それが彼らの周知の事実だった。
「ですが、司令には西軍の警戒にあたっていただいているはず……!」
『止むをえません。収容所を明け渡すことに比べれば西軍の警戒は取るに足らない些事です』
(そこまで仰いますか……!)
ギムエルは心中でぼやく。
しかし、海賊船、南軍、レジスタンスが一斉に押し寄せそうなこの戦況ならば、そのとおりかもしれない、とも思えた。
「報告! 報告です、ギムエル長官!!」
一人の兵士が必死の形相で司令部にやってくる。
「今は緊急事態だぞ! 口を慎め!!」
ギムエルは激昂し、兵士は恐縮する。
『恐縮することはありません、申しなさい』
「ふぁ、ファウナ様!?」
『いいから申しなさい!』
「――!」
ファウナからの圧力に、ビクつくが兵士は勇気を捻りだして答える。
「収容所の火星人達の抵抗が激しく、エリアがまた一つ制圧されました」
「なんだと!?」
『そちらも看過できる状況ではないですね、仕方ありません』
「ふぁ、ファウナ様?」
ファウナは厳かな口調で告げる。
「ギムエル長官、あなたは火星人の鎮圧にあたりなさい。海賊の迎撃にはアルシャール司令を向かわせます!」
「アルシャール司令に迎撃を……!」
改めて告げられると耐えがたい屈辱に見舞われた。
何しろ、この戦いに防衛長官としての威信にかかっているのだ。その本分を発揮することなく、他の者に防衛を任せるなどあってはならない。
そのプライドからギムエルはファウナの指令に了承できなかった。
『ギムエル長官、鎮圧にあたって……』
『なりません!』
ファウナの指令を遮って、新しい通話ウィンドウから声が挟まれる。
その声の主は、収容所の壇上に上がった髭が濃い巨漢であった。
『ギムエル長官こそ収容所の防衛に相応しい人物! 火星人の鎮圧は私の管轄です! 私にお任せください!』
『あなたは……?』
『収容所所長ゴロン・ロンデウスです!!』
『あぁ……』
ファウナは名前を今初めて知った。
『ファウナ様! ここは所長の意地と誇りにかけて火星人は鎮圧してみせます!!』
『ですが、現状制圧され続けているそうではありませんか』
『うぅ……!』
ファウナから言い返しのようない現状を突きつけられる。
『確かに、今不甲斐ないことにエリアを制圧され続けていますが、我々も意地があるのです!
どうか! 何卒! 我々収容所所員一同にお任せを!!』
ゴロン所長は懇願するように申し立てる。
『………………』
ファウナはしばし黙考する。
『――いいでしょう、任せます』
その返答に、ゴロン所長は喜色満面となる。
『はは! ありがたき幸せ! 必ずやご期待に沿えるよう全身全霊を尽くします!!』
耳を塞ぎたくなるような大声で、そう宣言し通話ウィンドウを切る。
「ファウナ様、よろしいのでしょうか?」
ギムエルが不安を口にすると、ファウナはギィと睨みつける。
『長官、あなたは自分の役割を果たしてください』
「は、はい!」
ギムエルは狼狽して敬礼する。
『それでは、よろしくお願いします』
ファウナはそう言って通話ウィンドウを切る。
「……恐ろしい方だ」
ギムエルはそう言わずにはいれらなかった。
「ファウナ様の期待に応えなければ、我々に明日は無い。心してかかるぞ」
司令部にいる幹部達にそう呼びかけた。
外套を羽織り、フードで顔を隠した謎の女性の手引きによって、エリスとミリアは医務室を出た。
まだケラウノスを受けて回復しきっていない為、特にミリアの足取りはおぼつかなかった。
「いざとなったら、私を……」
ミリアはそんなことを口走っていたが、エリスはそれ以上聞かないようにした。
(いざとなったら、抱きかかればいいじゃない)
そのぐらいの体力は回復している。
(それより――!)
エリスは女性の方に注意を向けていた。
いきなり部屋に現れた気配消し、様子見とはいえ、エリスの拳をいなした体捌き、医務室の出入り口のロックを解除したハッキング技術。どれをとっても油断できない要素であった。
それに何よりこの女性から醸し出される妖しげな雰囲気がエリスの警戒レベルを最大にまで引き上げさせられる。
「右の通路から二人やってくるわ」
女性がいきなり口走った。
言われた通り、右の通路から二人やってくる。
衛兵だ。
エリスはその二人を視界にとらえるやいなや拳を繰り出して、続いて蹴りを見ます。
「ギャッ!?」「グエッ!?」
そこに逃げ出した火星人がいると思わず油断していた衛兵二人はあっさりと倒れた。
「お見事」
女性はフフッと笑って称賛する。
「あんたは戦わないの?」
「戦うわよ、自分の身に危険が及んだらね」
「………………」
何を考えているのかわからない得体の知れなさといざとなったら戦って切り抜けられる自信が伺えた。
「ほら、次が来るわよ。戦うの? 逃げるの?」
女性はそう言って煽り立ててくる。
タタタタタタ!!
それを助長するかのようにこちらにやってくる足音が聞こえてくる。
しかも、数は一人や二人ではない。
「――!」
エリスは歯ぎしりをする。
出来るなら全部戦って倒していきたいが、身体の状態とミリアがいるので無理は出来ない。
「……逃げるわよ」
悔しさを滲ませて答える。
ニヤリと女性から粘りつくような笑みを向けられた気がした。
「エリス、」
「行くわよ! グズグズしないで!!」
エリスは苛立ちをミリアへぶつけるように呼び掛ける。
「……はい」
ミリアはそれだけ答える。
収容所の長い廊下を走る。途中、何度も衛兵と遭遇し、その度に一撃で倒しては逃げるを繰り返した。
(いける! 身体の調子は悪くない!)
まだ痺れはあるものの、十分戦えることを実感する。
それに一発敵へ打ち込む度に、身体の調子が上がってくる。、
これなら脱出も十分に可能だ。と、そう思った矢先であった。
「ここから先は通さんぞ!!」
部隊長らしき男の怒声と同時に二十人もの衛兵が隊列を組んで現れた。
典型的な待ち伏せであり、まんまとはめられたとエリスは思った。
「あんた!」
エリスが怒りを露にすると、女性はいきなり後ろに回った。
「これぐらい、自分で切り抜けてみせて」
「なんですって!」
そうこうしているうちに衛兵達は銃を構える。
「大人しく部屋に戻れ! そうすれば処刑まで生かしておいてやる!」
部隊長の物言いに、エリスはカッとなる。
「処刑まで生かしてやるって何よ!?」
まるで囚人か家畜のような扱いがエリスの気に障った。当然、ミリアも。
「木星人が何様ってのよ!!」
エリスは一足飛びで衛兵達へと距離を詰め寄る。
拳と蹴りを見舞う。
「こいつ!」
「抵抗するな!!」
良かった衛兵が銃を差し向ける。
「遅い!」
エリスは銃を蹴り飛ばして、掌底を叩き込む。
「ガハッ!」
「どいてろ!」
衛兵達をかきわけ、部隊長がやってくる。
「お前、ファウナ様に楯突いた愚かな火星人だな?」
「そういうあんたは誰よ?」
「俺はこのエリアの守衛を任されている部隊長カーツ・トドールだ!」
「あっそ、部隊長ね。だったら出口まで案内してもらうわよ」
「なめやがって。地獄に案内してやる!」
部隊長は銃を構える。
バァン!
即座に発射する。
「遅い!」
エリスはあっさりと銃弾をかわす。
「どっちが!」
カーツはさらに連射する。
「あんたよ!!」
エリスはさらにそれをかいくぐる。
カーツの狙いは正確だ。
エリスの腕や足を確実に狙ってくる。それだけに弾道が読みやすい。
「チィ、ちょこまかと!!」
カーツは舌打ちする。
焦ってはいるものの、狙いは正確であった。
「バカバカと馬鹿みたいに!!」
とうとうエリスは距離を詰めて、蹴りを見舞う。
ダァン!!
カーツは咄嗟に銃を盾代わりに前に出す。
「ガハッ!」
しかし、それでもカーツの身体を衝撃で浮き上がらせた。
そのまま天井にぶつかったが、そこから体勢を立て直し、着地する。
エリスは追撃をかける。
その間にカーツは銃からナイフに持ち変えて、格闘戦に切り替える。
「――!」
ナイフを避けたエリスに痺れが走る。
(ただのナイフじゃない……!)
エリスがそう思った瞬間、カーツは得意満面の笑みで
「ボルトナイフだ。身体に痺れるだろ?」
電撃と斬撃が同時に行える武器だ。
「それがどうしたっていうの?」
エリスは怯まず、むしろ嬉々として拳を構える。
「なにおう!?」
カーツはもう一本、ボルトナイフを出して襲い掛かる。
「フン!」
エリスはナイフをかわす。
ビリ!
斬撃をかわしたが、放電した電撃は届いた。
「ぐ!」
少し痺れたが、構わず殴りかかる。
キィィィィン!!
エリスはそれをボルトナイフで受ける。
「うあッ!?」
電撃が全身を掛け巡る。
「どうだ、痺れるだろう!?」
カーツは嗜虐の笑みを浮かべて、追撃をかける。
「く!」
エリスはそれをかわそうとするが、電撃は届いてしまう。
「があッ!?」
その痺れと痛みに、嫌な記憶が呼び起こされる。
「痛いか!? 痺れるか!? ファウナ様にやられた痛みをまた味わう気分はどうだ!?」
「ファウナ……!」
嫌な奴の名前だ。
名前を聞くたびに、怒りと悔しさがこみあげてくる。
「様だ! お前ごときが呼び捨てにしていい御方ではない!!」
「……どこまでも上から目線ね!」
カーツの言葉に、エリスはさらに熱を上げる。
「火星より木星の方が上だからな!」
「だからって、あんたが上とは限らないわよ!」
エリスは突進する。
「フン!」
カーツはボルトナイフをカウンターで振るう。
「――!」
エリスはそのナイフを義手で受ける。
ビリビリビリビリ!
かすっただけでも痺れたというのに、まともに受けたのであっては全身が痺れる程の電撃となった。
「こ、んなの……! 痺れるかぁッ!!」
「何!?」
エリスは構わず突撃する。
ドゴォ!
エリスの拳がカーツの顔面へめり込む。
「ゴホッ!?」
カーツは部下の衛兵達の方に吹っ飛ばされる。
「く、くそ!
何している!? 部隊長がやられたんだぞ、突っ立ってんじゃねえ!」
部下達に喚き散らして、銃口をエリスへ向ける。
「かかれ! かかれ!」
命令ともいえないような号令だった。
「見苦しいものね」
冷徹な声が聞こえる。
同時に、外套の女性が衛兵達の中心に現れた。
(あの女、また!?)
エリスは医務室に現れた時のことを思い出す。銃弾よりも速い速度で動いた、としか考えられないが、それはヒートアップを使用したエリス以上の速度であった。
それでもまだ本気を出しているような感じがしない。
得体が知れないと同時に実力の底も見えない女性であった。
「な!?」「んだ!?」「おまッ!?」
突然の出現に衛兵達は戸惑ったが、即座に拳、蹴りを連続で放ち、十人以上の衛兵を一瞬で吹っ飛ばす。
(――強い!)
その様を見て、エリスはそう実感する。
「な、なな、なんだ、お前はッ!?」
カーツは大いに狼狽する。
「戦って勝てないとわかれば、数という力に頼る。
まったくもって見苦しいわね。木星人には美学はないのかしら?」
「び、びび、美学? 何を言ってるんだ!?」
「無いのなら、生きてる価値は無いわ」
女性はそう言って、カーツの首をはねとばす。
拳によるものなのか、蹴りによるものなのか、それはエリスの目にもわからなかった。それほど女性の動きは速かった。
「……殺す必要、あったの?」
エリスは女性に訊く。
「無かったかもね、フフフ」
女性は喜劇でもみたかのように愉快気に笑う。
エリスにとって、それはたまらなく不快であった。
カタカタカタカタカタ
しかし、状況は悠長に二人が事を構えている猶予を与えてはくれなかった。
すぐに追撃の衛兵がやってくる。
「ほら、逃げるわよ。死にたくないでしょ」
「………………」
エリスは女性に促されるまま、足音が聞こえたのと逆の方向へ走る。
「こっちよ」
女性は落ち着いた声色と足音で誘導する。それでも、疾走するエリスとミリアにしっかり併走していた。
(本当、あいつ何者なの?)
疑問はますます深まるばかりであった。
ドガーン!!
バババババババン!!
やがて、爆音や銃声が轟いてくる。
戦場に近づいている、と、エリス達は直感する。
広間に出て、突撃をかける衛兵の小隊の姿が見えた。
避けては通れない、と即座に判断したエリスは衛兵一人に飛び蹴りを掛ける。
それでようやく他の衛兵はエリス達の存在に気づく。
「貴様らも脱走を仕掛けた火星人か!」
「だったら、どうだっていうのよ!?」
エリスは蹴りを放って、黙らせる。
「この野郎!」
衛兵達は銃を構える。
「殺せぇッ!」
バババババババババン!!
銃弾が乱射される。
「――!」
エリスは自分に目掛けて飛んでくる銃弾だけを見分けて、それだけに注視してかわす。
「エリスの動きが速くなっている……!」
ミリアはその動きに驚嘆する。
外套の女性は表情が見えない為、わからない。
バババババババババン!!
衛兵はかわされているのも構わず、撃ち続ける。
(……見える! だんだんはっきりと!!)
銃弾が撃ち込まれる度、集中力が高まり、反応速度が高まっている。
能力を使っていないにも関わらず、身体が熱くなっていき、痺れがとれていく。
一人殴り飛ばし、一人蹴り飛ばし、次々と葬っていく。
「なんとまあ、荒々しい」
外套の女性は言う。
それは嘲笑とも羨望ともとれる発言であった。
そうこうしているうちにエリスは小隊の最後の一人を倒してしまう。
「ふう……」
エリスは一息つく。
「凄かったですね」
ミリアは素直に褒める。
「……まだまだよ」
自分の手を見つめる。拳を握る力はまだ十分すぎるほどに残っている。
「さすがだぜ」
そう言って、ウィルが仲間数人を引き連れてやってくる。
「もう大丈夫なんですか?」
仲間の青年が心配そうに訊く。
「ええ」
「それはよかったです。あなたが加わってくれれば百人力です」
「何、あんた?」
エリスは眉をひそめる。
「俺、なんとしてでもここを抜け出したいんです! どうか力を貸してください!!」
妙に力の入った顔で迫る。
「ハイアンはついこないだ婚約したばかりだからな」
もう一人の青年がからかうように言う。
「ちょ、何言ってるんだ!?」
「婚約……?」
「……近所に住んでいる火星人の子、です……」
ハイアンは観念したように言う。
「俺達は戦争のいざこざの後に入植したんだ。火星人ばかりで肩身が狭いよ」
もう一人の青年マテオが自己紹介がてら身の上を話す。
「入植したということは家族ぐるみなんですか?」
ミリアが訊く。
「ああ、俺の両親は病気でもういないが、こいつの親は……」
「あいつと一緒に助け出します!」
ハイアンはグッと気合を入れる。
「応援します」
「ありがとうございます!」
「おせっかいね」
ミリアへ呆れたようにエリスは言う。
「我々はこのままエリアを制圧する。是非協力して欲しい」
ウィルはそう言って、衛兵から奪い取ったであろうマップを広げる。
それを見ただけでこの収容所は広大で四五のエリアがあり、それだけでもう一つの都市であった。
「エリアを制圧してそのあとは……?」
エリスは訊く。
それは、一応協力するという意思表示でもあった。
同時に、ギムエルとファウナの方にも衝撃が走った。
「バカな! ケラウノスを放てるのは南の領主ツァニス・ダイクリアだけ! しかし、ツァニスは出ている! あの海賊船に放てるはずが!?」
『ありえませんね……! 一体どうやって海賊船から……!』
二人の動揺を他所に、海賊船から神の雷は放たれ、マシンノイドや防衛軍のヒトが撃ち抜かれていく。
「ツァニス以外にケラウノスを放てる存在……まさか西の領主アルマン・ジェマリヌフか!?」
ギムエルは声を上げる。
『いえ』
それをディバルドが否定する。
『西軍と海賊達の接触は一切確認されていない。それらしい繋がりも』
『ではアルマン・ジェマリヌフ以外の皇族が、あの海賊船に乗っているということになりますね』
「しかし、一体誰が……!?」
狼狽するギムエルに対して、ディバルドはどっしりとしていて厳かなものであった。
『重要なのは、誰がケラウノスを放っているかではなく、海賊船がケラウノスを放っているという事実だけだ』
「――!」
『そうですね、あの映像越しですがこのケラウノスは強力過ぎます。東西南北どの領主よりも』
『あるいは、あなた以上の威力を』
『………………』
ファウナは否定しなかった。
それだけディバルドの戦力分析には絶対の信頼があり、また海賊船でケラウノスで次々と防衛軍が撃ち落されて様を見て、その強力さを認めない程、愚かではなかった。
『ギムエル長官』
「はい!」
ファウナが呼ぶと、ギムエルは即座に応じる。
『あれはそう簡単には止まりません。アルシャール司令にも協力を要請しましょうか?』
「あ、アルシャール司令!?」
『彼ならばこの難局を突破してくれるでしょう』
軍事司令を担うアルシャールならば、たとえケラウノスを放つ皇族が海賊船に乗っていたとしても十分に対抗できる。それが彼らの周知の事実だった。
「ですが、司令には西軍の警戒にあたっていただいているはず……!」
『止むをえません。収容所を明け渡すことに比べれば西軍の警戒は取るに足らない些事です』
(そこまで仰いますか……!)
ギムエルは心中でぼやく。
しかし、海賊船、南軍、レジスタンスが一斉に押し寄せそうなこの戦況ならば、そのとおりかもしれない、とも思えた。
「報告! 報告です、ギムエル長官!!」
一人の兵士が必死の形相で司令部にやってくる。
「今は緊急事態だぞ! 口を慎め!!」
ギムエルは激昂し、兵士は恐縮する。
『恐縮することはありません、申しなさい』
「ふぁ、ファウナ様!?」
『いいから申しなさい!』
「――!」
ファウナからの圧力に、ビクつくが兵士は勇気を捻りだして答える。
「収容所の火星人達の抵抗が激しく、エリアがまた一つ制圧されました」
「なんだと!?」
『そちらも看過できる状況ではないですね、仕方ありません』
「ふぁ、ファウナ様?」
ファウナは厳かな口調で告げる。
「ギムエル長官、あなたは火星人の鎮圧にあたりなさい。海賊の迎撃にはアルシャール司令を向かわせます!」
「アルシャール司令に迎撃を……!」
改めて告げられると耐えがたい屈辱に見舞われた。
何しろ、この戦いに防衛長官としての威信にかかっているのだ。その本分を発揮することなく、他の者に防衛を任せるなどあってはならない。
そのプライドからギムエルはファウナの指令に了承できなかった。
『ギムエル長官、鎮圧にあたって……』
『なりません!』
ファウナの指令を遮って、新しい通話ウィンドウから声が挟まれる。
その声の主は、収容所の壇上に上がった髭が濃い巨漢であった。
『ギムエル長官こそ収容所の防衛に相応しい人物! 火星人の鎮圧は私の管轄です! 私にお任せください!』
『あなたは……?』
『収容所所長ゴロン・ロンデウスです!!』
『あぁ……』
ファウナは名前を今初めて知った。
『ファウナ様! ここは所長の意地と誇りにかけて火星人は鎮圧してみせます!!』
『ですが、現状制圧され続けているそうではありませんか』
『うぅ……!』
ファウナから言い返しのようない現状を突きつけられる。
『確かに、今不甲斐ないことにエリアを制圧され続けていますが、我々も意地があるのです!
どうか! 何卒! 我々収容所所員一同にお任せを!!』
ゴロン所長は懇願するように申し立てる。
『………………』
ファウナはしばし黙考する。
『――いいでしょう、任せます』
その返答に、ゴロン所長は喜色満面となる。
『はは! ありがたき幸せ! 必ずやご期待に沿えるよう全身全霊を尽くします!!』
耳を塞ぎたくなるような大声で、そう宣言し通話ウィンドウを切る。
「ファウナ様、よろしいのでしょうか?」
ギムエルが不安を口にすると、ファウナはギィと睨みつける。
『長官、あなたは自分の役割を果たしてください』
「は、はい!」
ギムエルは狼狽して敬礼する。
『それでは、よろしくお願いします』
ファウナはそう言って通話ウィンドウを切る。
「……恐ろしい方だ」
ギムエルはそう言わずにはいれらなかった。
「ファウナ様の期待に応えなければ、我々に明日は無い。心してかかるぞ」
司令部にいる幹部達にそう呼びかけた。
外套を羽織り、フードで顔を隠した謎の女性の手引きによって、エリスとミリアは医務室を出た。
まだケラウノスを受けて回復しきっていない為、特にミリアの足取りはおぼつかなかった。
「いざとなったら、私を……」
ミリアはそんなことを口走っていたが、エリスはそれ以上聞かないようにした。
(いざとなったら、抱きかかればいいじゃない)
そのぐらいの体力は回復している。
(それより――!)
エリスは女性の方に注意を向けていた。
いきなり部屋に現れた気配消し、様子見とはいえ、エリスの拳をいなした体捌き、医務室の出入り口のロックを解除したハッキング技術。どれをとっても油断できない要素であった。
それに何よりこの女性から醸し出される妖しげな雰囲気がエリスの警戒レベルを最大にまで引き上げさせられる。
「右の通路から二人やってくるわ」
女性がいきなり口走った。
言われた通り、右の通路から二人やってくる。
衛兵だ。
エリスはその二人を視界にとらえるやいなや拳を繰り出して、続いて蹴りを見ます。
「ギャッ!?」「グエッ!?」
そこに逃げ出した火星人がいると思わず油断していた衛兵二人はあっさりと倒れた。
「お見事」
女性はフフッと笑って称賛する。
「あんたは戦わないの?」
「戦うわよ、自分の身に危険が及んだらね」
「………………」
何を考えているのかわからない得体の知れなさといざとなったら戦って切り抜けられる自信が伺えた。
「ほら、次が来るわよ。戦うの? 逃げるの?」
女性はそう言って煽り立ててくる。
タタタタタタ!!
それを助長するかのようにこちらにやってくる足音が聞こえてくる。
しかも、数は一人や二人ではない。
「――!」
エリスは歯ぎしりをする。
出来るなら全部戦って倒していきたいが、身体の状態とミリアがいるので無理は出来ない。
「……逃げるわよ」
悔しさを滲ませて答える。
ニヤリと女性から粘りつくような笑みを向けられた気がした。
「エリス、」
「行くわよ! グズグズしないで!!」
エリスは苛立ちをミリアへぶつけるように呼び掛ける。
「……はい」
ミリアはそれだけ答える。
収容所の長い廊下を走る。途中、何度も衛兵と遭遇し、その度に一撃で倒しては逃げるを繰り返した。
(いける! 身体の調子は悪くない!)
まだ痺れはあるものの、十分戦えることを実感する。
それに一発敵へ打ち込む度に、身体の調子が上がってくる。、
これなら脱出も十分に可能だ。と、そう思った矢先であった。
「ここから先は通さんぞ!!」
部隊長らしき男の怒声と同時に二十人もの衛兵が隊列を組んで現れた。
典型的な待ち伏せであり、まんまとはめられたとエリスは思った。
「あんた!」
エリスが怒りを露にすると、女性はいきなり後ろに回った。
「これぐらい、自分で切り抜けてみせて」
「なんですって!」
そうこうしているうちに衛兵達は銃を構える。
「大人しく部屋に戻れ! そうすれば処刑まで生かしておいてやる!」
部隊長の物言いに、エリスはカッとなる。
「処刑まで生かしてやるって何よ!?」
まるで囚人か家畜のような扱いがエリスの気に障った。当然、ミリアも。
「木星人が何様ってのよ!!」
エリスは一足飛びで衛兵達へと距離を詰め寄る。
拳と蹴りを見舞う。
「こいつ!」
「抵抗するな!!」
良かった衛兵が銃を差し向ける。
「遅い!」
エリスは銃を蹴り飛ばして、掌底を叩き込む。
「ガハッ!」
「どいてろ!」
衛兵達をかきわけ、部隊長がやってくる。
「お前、ファウナ様に楯突いた愚かな火星人だな?」
「そういうあんたは誰よ?」
「俺はこのエリアの守衛を任されている部隊長カーツ・トドールだ!」
「あっそ、部隊長ね。だったら出口まで案内してもらうわよ」
「なめやがって。地獄に案内してやる!」
部隊長は銃を構える。
バァン!
即座に発射する。
「遅い!」
エリスはあっさりと銃弾をかわす。
「どっちが!」
カーツはさらに連射する。
「あんたよ!!」
エリスはさらにそれをかいくぐる。
カーツの狙いは正確だ。
エリスの腕や足を確実に狙ってくる。それだけに弾道が読みやすい。
「チィ、ちょこまかと!!」
カーツは舌打ちする。
焦ってはいるものの、狙いは正確であった。
「バカバカと馬鹿みたいに!!」
とうとうエリスは距離を詰めて、蹴りを見舞う。
ダァン!!
カーツは咄嗟に銃を盾代わりに前に出す。
「ガハッ!」
しかし、それでもカーツの身体を衝撃で浮き上がらせた。
そのまま天井にぶつかったが、そこから体勢を立て直し、着地する。
エリスは追撃をかける。
その間にカーツは銃からナイフに持ち変えて、格闘戦に切り替える。
「――!」
ナイフを避けたエリスに痺れが走る。
(ただのナイフじゃない……!)
エリスがそう思った瞬間、カーツは得意満面の笑みで
「ボルトナイフだ。身体に痺れるだろ?」
電撃と斬撃が同時に行える武器だ。
「それがどうしたっていうの?」
エリスは怯まず、むしろ嬉々として拳を構える。
「なにおう!?」
カーツはもう一本、ボルトナイフを出して襲い掛かる。
「フン!」
エリスはナイフをかわす。
ビリ!
斬撃をかわしたが、放電した電撃は届いた。
「ぐ!」
少し痺れたが、構わず殴りかかる。
キィィィィン!!
エリスはそれをボルトナイフで受ける。
「うあッ!?」
電撃が全身を掛け巡る。
「どうだ、痺れるだろう!?」
カーツは嗜虐の笑みを浮かべて、追撃をかける。
「く!」
エリスはそれをかわそうとするが、電撃は届いてしまう。
「があッ!?」
その痺れと痛みに、嫌な記憶が呼び起こされる。
「痛いか!? 痺れるか!? ファウナ様にやられた痛みをまた味わう気分はどうだ!?」
「ファウナ……!」
嫌な奴の名前だ。
名前を聞くたびに、怒りと悔しさがこみあげてくる。
「様だ! お前ごときが呼び捨てにしていい御方ではない!!」
「……どこまでも上から目線ね!」
カーツの言葉に、エリスはさらに熱を上げる。
「火星より木星の方が上だからな!」
「だからって、あんたが上とは限らないわよ!」
エリスは突進する。
「フン!」
カーツはボルトナイフをカウンターで振るう。
「――!」
エリスはそのナイフを義手で受ける。
ビリビリビリビリ!
かすっただけでも痺れたというのに、まともに受けたのであっては全身が痺れる程の電撃となった。
「こ、んなの……! 痺れるかぁッ!!」
「何!?」
エリスは構わず突撃する。
ドゴォ!
エリスの拳がカーツの顔面へめり込む。
「ゴホッ!?」
カーツは部下の衛兵達の方に吹っ飛ばされる。
「く、くそ!
何している!? 部隊長がやられたんだぞ、突っ立ってんじゃねえ!」
部下達に喚き散らして、銃口をエリスへ向ける。
「かかれ! かかれ!」
命令ともいえないような号令だった。
「見苦しいものね」
冷徹な声が聞こえる。
同時に、外套の女性が衛兵達の中心に現れた。
(あの女、また!?)
エリスは医務室に現れた時のことを思い出す。銃弾よりも速い速度で動いた、としか考えられないが、それはヒートアップを使用したエリス以上の速度であった。
それでもまだ本気を出しているような感じがしない。
得体が知れないと同時に実力の底も見えない女性であった。
「な!?」「んだ!?」「おまッ!?」
突然の出現に衛兵達は戸惑ったが、即座に拳、蹴りを連続で放ち、十人以上の衛兵を一瞬で吹っ飛ばす。
(――強い!)
その様を見て、エリスはそう実感する。
「な、なな、なんだ、お前はッ!?」
カーツは大いに狼狽する。
「戦って勝てないとわかれば、数という力に頼る。
まったくもって見苦しいわね。木星人には美学はないのかしら?」
「び、びび、美学? 何を言ってるんだ!?」
「無いのなら、生きてる価値は無いわ」
女性はそう言って、カーツの首をはねとばす。
拳によるものなのか、蹴りによるものなのか、それはエリスの目にもわからなかった。それほど女性の動きは速かった。
「……殺す必要、あったの?」
エリスは女性に訊く。
「無かったかもね、フフフ」
女性は喜劇でもみたかのように愉快気に笑う。
エリスにとって、それはたまらなく不快であった。
カタカタカタカタカタ
しかし、状況は悠長に二人が事を構えている猶予を与えてはくれなかった。
すぐに追撃の衛兵がやってくる。
「ほら、逃げるわよ。死にたくないでしょ」
「………………」
エリスは女性に促されるまま、足音が聞こえたのと逆の方向へ走る。
「こっちよ」
女性は落ち着いた声色と足音で誘導する。それでも、疾走するエリスとミリアにしっかり併走していた。
(本当、あいつ何者なの?)
疑問はますます深まるばかりであった。
ドガーン!!
バババババババン!!
やがて、爆音や銃声が轟いてくる。
戦場に近づいている、と、エリス達は直感する。
広間に出て、突撃をかける衛兵の小隊の姿が見えた。
避けては通れない、と即座に判断したエリスは衛兵一人に飛び蹴りを掛ける。
それでようやく他の衛兵はエリス達の存在に気づく。
「貴様らも脱走を仕掛けた火星人か!」
「だったら、どうだっていうのよ!?」
エリスは蹴りを放って、黙らせる。
「この野郎!」
衛兵達は銃を構える。
「殺せぇッ!」
バババババババババン!!
銃弾が乱射される。
「――!」
エリスは自分に目掛けて飛んでくる銃弾だけを見分けて、それだけに注視してかわす。
「エリスの動きが速くなっている……!」
ミリアはその動きに驚嘆する。
外套の女性は表情が見えない為、わからない。
バババババババババン!!
衛兵はかわされているのも構わず、撃ち続ける。
(……見える! だんだんはっきりと!!)
銃弾が撃ち込まれる度、集中力が高まり、反応速度が高まっている。
能力を使っていないにも関わらず、身体が熱くなっていき、痺れがとれていく。
一人殴り飛ばし、一人蹴り飛ばし、次々と葬っていく。
「なんとまあ、荒々しい」
外套の女性は言う。
それは嘲笑とも羨望ともとれる発言であった。
そうこうしているうちにエリスは小隊の最後の一人を倒してしまう。
「ふう……」
エリスは一息つく。
「凄かったですね」
ミリアは素直に褒める。
「……まだまだよ」
自分の手を見つめる。拳を握る力はまだ十分すぎるほどに残っている。
「さすがだぜ」
そう言って、ウィルが仲間数人を引き連れてやってくる。
「もう大丈夫なんですか?」
仲間の青年が心配そうに訊く。
「ええ」
「それはよかったです。あなたが加わってくれれば百人力です」
「何、あんた?」
エリスは眉をひそめる。
「俺、なんとしてでもここを抜け出したいんです! どうか力を貸してください!!」
妙に力の入った顔で迫る。
「ハイアンはついこないだ婚約したばかりだからな」
もう一人の青年がからかうように言う。
「ちょ、何言ってるんだ!?」
「婚約……?」
「……近所に住んでいる火星人の子、です……」
ハイアンは観念したように言う。
「俺達は戦争のいざこざの後に入植したんだ。火星人ばかりで肩身が狭いよ」
もう一人の青年マテオが自己紹介がてら身の上を話す。
「入植したということは家族ぐるみなんですか?」
ミリアが訊く。
「ああ、俺の両親は病気でもういないが、こいつの親は……」
「あいつと一緒に助け出します!」
ハイアンはグッと気合を入れる。
「応援します」
「ありがとうございます!」
「おせっかいね」
ミリアへ呆れたようにエリスは言う。
「我々はこのままエリアを制圧する。是非協力して欲しい」
ウィルはそう言って、衛兵から奪い取ったであろうマップを広げる。
それを見ただけでこの収容所は広大で四五のエリアがあり、それだけでもう一つの都市であった。
「エリアを制圧してそのあとは……?」
エリスは訊く。
それは、一応協力するという意思表示でもあった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バグった俺と、依存的な引きこもり少女。 ~幼馴染は俺以外のセカイを知りたがらない~
山須ぶじん
SF
異性に関心はありながらも初恋がまだという高校二年生の少年、赤土正人(あかつちまさと)。
彼は毎日放課後に、一つ年下の引きこもりな幼馴染、伊武翠華(いぶすいか)という名の少女の家に通っていた。毎日訪れた正人のニオイを、密着し顔を埋めてくんくん嗅ぐという変わったクセのある女の子である。
そんな彼女は中学時代イジメを受けて引きこもりになり、さらには両親にも見捨てられて、今や正人だけが世界のすべて。彼に見捨てられないためなら、「なんでもする」と言ってしまうほどだった。
ある日、正人は来栖(くるす)という名のクラスメイトの女子に、愛の告白をされる。しかし告白するだけして彼女は逃げるように去ってしまい、正人は仕方なく返事を明日にしようと思うのだった。
だが翌日――。来栖は姿を消してしまう。しかも誰も彼女のことを覚えていないのだ。
それはまるで、最初から存在しなかったかのように――。
※第18回講談社ラノベ文庫新人賞の第2次選考通過、最終選考落選作品。
※『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【なろう440万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる