オービタルエリス

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第3章 リッター・デア・ヴェーヌス

第48話 境界先からの侵略者

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 試合が終わった後、ダイチ達はすぐにデランの控室に駆けつけた。

「おめでとう、デラン!」

 ダイチは祝いの言葉をかけるとデランは笑顔で応じる。

「ああ、サンキューな。だが、まだ一回戦だぜ」
「だけど、相手は聖騎士だったんだぜ」
「聖騎士でも、この大会じゃまだ通過点だぜ」
「ハハ、そうだったな」

 デランは浮かれた様子もないことに、ダイチはさすがだと思った。
 あんな凄い敵に勝ったのだから、もっと誇らしく自慢してもいいはずなのに。
 通過点。あんな戦いでさえ、ワルキューレ・リッターを目指すデランにとってはまだ本当に序の口なのだろう。

「傷は大丈夫ですか?」

 ミリアは傷薬や包帯を入れた保険箱を取り出す。

「ああ、これぐらい大したことねえよ」
「ダメですよ、まだ大会は始まったばかりなんですから手当は重要です」
「ああ、頼むわ」
「それでは脱いでください」
「は、はあ!?」

 ミリアはしれっととんでもない事を言う。

「これは塗り薬なので肌に直接塗らないと効果がないんです」
「そういうことなら……って、自分でやるからいいって!」
「のう、ダイチ……何故、デランは怒っておるのじゃ?」
「それぐらい察しろ、俺より長生きしてるんだろ」
「長く生きていてもわからんことはいくらでもある!」

 威張って言うことではなかった。

『次の試合、エドラ・カシス対アングレス・バウハート』

「――!」

 エドラの名前がアナウンスされる。
 しかし、驚かされたのはエドラよりもその対戦相手の名前だ。

「バウハート……どっかで聞いたような」
「……木星大使と同じファミリーネームでしたね」
「大使の名前はたしかアングレス・バウハートじゃったな」

 フルートが言ってくれたことでダイチは思い出す。
 食堂の立体テレビで報じられた木星大使ディバゼル・バウハートの紳士然とした顔、グラールに出場する代表生徒をまるで自分の所有物のように従える面の皮の厚さを感じた。
 そんな木星大使と同じ名前。何か関係があるのだろうか。

「よくある名前ってわけでもないのか?」
「さあ、どうでしょう。そのあたりのローカルなことまでは調べていませんが」
「ともかく、そいつがエドラの対戦相手だってことだけは確かだぜ。見てみようぜ!」

 デランはそう言って、立体テレビをつける。
 今から走れば、試合が始まる前に観客席で見れるかもしれしない。しかし、こんなよくわからない状況で少しでも目が離せなかった。



「ヴィーナス様、これはどういうことですか!?」

 天覧席で、ステファーが取り乱す。

「どういうことも何も見ての通りです」

 しかし、ヴィーナスは普段の落ち着き払った笑顔で答える。

「ステファー、取り乱すでない」

 デメトリアが諌める。

「しかし、卿! 歴史あるワルキューレ・グラールに木星人が出場するなど! しかも、あの者は木星大使の!」
「木星大使ディバゼル・バウハートの子アングレス・バウハートです」
「ですから、何故そんな人がワルキューレ・グラールに出場を!?」
「とりあえず、試合を見守りましょう」

 ヴィーナスはそう言って、どこ吹く風かのように髪を撫でて、試合の方へ視線を移す。



「今回の対戦は二人とも男か」「珍しいわね」「いや、それよりバウハートって、どこかで」「ああ、木星大使と同じ名前!?」「ってことは、あいつは木星人なのか!?」「いや、そんなわけねえだろ!」「ワルキューレ・グラールに木星人が参加するわけねえだろ!」「そうだそうだ!」「だけど、あいつの名前は!」

 観客席は混乱に陥っていた。
 今武舞台に立っているエドラとアングレスという男。男というだけでも珍しいというのに、その一方の男が木星人なのかもしれない。となると、歴史を揺るがす前代未聞の大事件なのではないか、と。
 その混乱の中、アングレス・バウハートは落ち着き払っていた。
 揺れるブラウン色の髪と精悍な顔つきの中に気品が垣間見え、貴族並の育ちの良さを感じさせる。しかし、その身体つきはたくましく、落ち着きようから一目見て騎士と遜色無い実力を持ったヒトだと判断できる。

「随分と落ち着いていますね。この歓声の中で」

 意を決してエドラは話しかけた。

「ああ、俺からしてみればこの歓声など虫の羽音にも等しい」

 ムッとなる言い方であった。それこそ木星人に虐げられる金星人の神経を逆撫でするものだ。

「そして、お前も虫にすぎない」
「そうですか……! では、その虫の一針を甘く見ないことですね」
「甘くはみませんよ。ただ全力で潰すだけですから」

 アングレスは長剣を引き抜く。
 大きくて長く、アングレスの身長よりも長い長剣を片手で軽々と振り回す。
 一目見て、やはり強敵だとエドラは確信する。
 エドラは双短剣を引き抜く。

――カウントスタート! 3(ドライ)! 2(ツヴァイ)! 1(アインス)! ファイッ!

 試合開始のアナウンスと同時にエドラは飛び出す。
 エドラは双短剣を用いての連撃であった。ダイチは授業の模擬戦で何度も戦ったが、手も足も出せずやられた。
 最近になってようやく目が慣れてきて瞬殺は免れるようになってきたところだ。彼はそれでも本気になっていないと言っていた。
 つまり、今こそが本気の速度であった。そのあまりの速さに観客は消えてしまったのかのように見えた。

「ふむ、早いな」
「――!」

 しかし、アングレスはその速度を目で捉えていた。

フンッ!

 そして、大剣を振るう。

バシュゥゥゥゥゥッ!!

 武舞台に亀裂が入るほどの斬撃が走る。

「クッ!?」

 思った以上の威力にエドラは後退する。

「なんて、一撃ですか……!」

 これまでどんな激しい戦いが行なわれても割れることがなかった武舞台を一撃で割った。これだけでもアングレスの一撃が如何に強大だったかを物語っていた。

「「「………………」」」

 観客達も沈黙する。

「凄いですね、あれだけの観客を黙らせるなんて」
「だから、虫の羽音だと言っただろう」
「だからといってボクは簡単に潰されないけどね」
「一手間ぐらいはかけるさ」

 アングレスはそう言って、剣を振り上げ、斬撃を放つ。

バシュゥゥゥゥゥッ!!

 斬撃というより、むしろ衝撃の洪水であった。
 斬撃から放たれる衝撃の波が武舞台を飲み込み、それだけでは飽き足らず観客席にまで衝撃が飛ぶ。
 観客席から悲鳴が響く。

「くッ!」

 吹き飛ばされたエドラは空中で体勢を立て直す。
 しかし、アングレスは容赦なく第二撃を放つ。

バシュゥゥゥゥゥッ!!

 エドラは武舞台の端まで飛ばされ、叩きつけられる。

「もう終わりか?」

 アングレスは見下しきった顔で問いかける。

「この程度じゃ、終わりませんよ!」

 エドラは立ち上がる。
 はっきり言って相性は悪い。速度を生かしてかわした先から根こそぎ薙ぎ払ってくるのだ。

「だけど、これで終わりだ」

 アングレスはあっさり言って、剣を振るう。

バシュゥゥゥゥゥッ!!

 再び衝撃の洪水が走る。
 しかし、二度も吹き飛ばされたことで、エドラは対策を瞬時にこうじることができた。
 吹き飛んでくる瓦礫を防風避け代わりにして前へと進んだ。

「ほう!」

 アングレスは感心したが、それも虫の悪あがきとしてしか受け取らず、第二撃を放つ。

バシュゥゥゥゥゥッ!!

 これで勝負は決まった。
 と観客達も思ったが、エドラの姿が消えた。

「何?」

 これにはアングレスも驚いた。

「あれもかわした。それも俺の目でも追いきれない速度か」

 しかし、それでもアングレスを余裕の表情を崩さない。

「さて、どこからくるか」

 アングレスの周囲に砂煙が舞う。
 目にも留まらぬ速度でアングレスが飛び回っているのだ。

「たしか、このグラールでは殺してしまっても失格にはならない。死力を尽くして戦うからこそ選抜する意義があるということだが……俺はさぞ憎いだろうな」

 アングレスがそう言うと、エドラからの斬撃が飛んでくる。

ザシュッ!

 アングレスは反応できず、右腹を斬られる。

「「「オオォォォォォォッ!!」」」

 観客の金星人達は歓声を上げる。

「一撃入れたわ!」「いいぞ! そのまま斬り刻め!」「名誉あるグラールを踏みにじった木星人を許すな!」「やっちゃえぇぇッ!!」

 思い思いの歓声に答えるようにエドラは斬撃を飛ばす。
 反応しきれないアングレスは斬られる。急所や致命傷は避けているものの、足元に血は滴り落ちる。

「グラールとはいえ、一回戦でダメージを負うとは想定外だった。少し甘く見すぎたか」

 アングレスは反省し、剣を握る手に力を込める。

「だから、少し本気を出すか」

 そう言って、飛び上がる。

「――!」

 エドラは止まって、飛び上がったアングレスを見上げる。

(何が来る!? いいや、どんな攻撃が来たとしても、即座にかわせるように身構えて……――!?)

 エドラの心の声が思考停止する。
 見上げると巨大な剣が落ちてきたのだ。

「ティターンブロンテ!」

 木星人特有の質量を巨大化させる能力によってただでさえヒトの身体より大きい大剣がまるで小惑星のように降ってきたのだ。
 そして、隕石が降ってできるものといったらクレーターだけであった。

ゴォォォォォォォン!!

 武舞台が完全に砕け散って、観客席にまで飛び散る。
 歓声を上げていた観客達もこれには絶句するしか無かった。
 武舞台があったそこに立っていたのはアングレスだけであった。

――勝者、アングレス・バウハート!

 アナウンスされても、これまでのように歓声は上がらなかった。

「………………」

 立体テレビで試合の模様を観戦していたダイチ達は思っ苦しい雰囲気の中、沈黙していた。
 エドラが負けた。ということが何よりもその原因だった。
 グラールに木星人が出場したことだとか。そのアングレスがあまりにも強大であったこと。それらも含まれているが何よりもエドラが負けたことがショックだった。

「……エドラが負けた」

 最初に口を開いたのはダイチだった。
 何だっていいから、この重苦しい雰囲気を破りたくて出たのがそれだ。

「……ああ」

 デランは頷く。

「まさか、あいつが一回戦で負けやがるなんてな」
「私もなんて言っていいかわかりません」

 さすがにミリアも今回ばかりは余計なことを言えなかった。

「……なんなんだよ、あいつは?」

 デランは悔しそうに言う。

「木星人? なんだって木星人がワルキューレ・グラールに出てるんだよ……?」

 疑問から湧き出てきた怒りを一気に吐き出すように叫ぶ。

「これはワルキューレ・リッターを選抜する大会だ! 俺達金星人の戦いなんだ! なのに、なんで木星人が出てくるんだよ!? あいつら、国境とか作って侵略してきやがってきておいて!! なんで、こんな、こんなことまで…………ちくしょう!!」

 椅子を蹴り上げる。

「……こうしちゃいられねえ、アグライアにどういうことか聞き出さねえと!」

 デランはそう言って、控室から飛び出す。

「お、おい!」

 ダイチ達は慌てて追いかける。



「デメトリア……あなたから説明をお願いします」

 ヴィーナスはあくまで落ち着いた面持ちでデメトリアに要請する。

「承知致しました」

 デメトリアは一礼し、ステファーをはじめとした納得のいかないワルキューレ・リッターの面々に対して説明する。
「境界先の騎士養成学園アルヴヘイムから一報があったのです。アングレス・バウハートをワルキューレ・グラールに出場させて欲しい、と」
「なッ!?」

 驚くステファーを尻目に、デメトリアは話を続ける。

「それで、ヴィーナス様はどういうことかとアルヴヘイムに問いただしたところ、アングレス・バウハートはアルヴヘイムの代表生徒として選抜した、とだけ答えたそうだ」
「奴が、アルヴヘイムの代表生徒、だと……」
「アルヴヘイムの教官達が選抜したのなら、この決定を覆す権限はヴィーナス様にはない」
「そんな、バカなことがありますか!」

 アグライアは抗議の声を上げる。

「ワルキューレ・グラールはワルキューレ・リッターを選抜するための大会。その騎士を選ぶのはヴィーナス様、あなた様です。あなたがこの大会に相応しくないヒトと判断すれば、即刻アングレス・バウハートの出場は取り消せたはずです!」
「それが出来なかったのですよ、アグライア」
「何故!?」
「形式上では、アルヴヘイムの留学生ということになっていますが、彼は木星大使の一族ですからね。無下に拒否することができませんよ」
「……しかし、それでは木星のいいなりではないですか!」

 ステファーが抗議し、ヴィーナスは目を伏せる。

「返す言葉もありません」
「アグライア、ステファー、控えなさい」

 デメトリアが諌める。

「ヴィーナス様は金星を想っての決定だったのだ」
「しかし、それでは民衆は納得しませんよ」
「覚悟の上です。最悪の場合、退位も想定します」
「ヴィーナス様!」
「あくまで最悪の場合ですよ。そうならないと私は信じています」
「それは一体何を根拠に?」

 アグライアが訊くと、ヴィーナスはおもむろに答える。

「それは――」
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