末っ子第三王女は竜王殿下に溺愛される【本編完結】

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第二章リディア

4/ リディは番に揶揄われる

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 結果……今日は水の中でキスをしても何も起こらなかった。

「昨日の今日では無理か」
「そうみたいね」
 二人は今、湯船の中である。そして広い浴槽の端と端で向かい合って、浸かっているのだ。

「ねぇ、レニー。今まで会った人達。まだほんの数人だけど、竜族の人は身体に鱗があるでしょう?」
「ああ、そうだな」
「レニーは鱗がない」
「私は特別だからな。でも、生まれた時は全身鱗で覆われていたらしいぞ」
「えっ!ホントに?」
「ああ、一才くらいまではあったらしいぞ」
「全身鱗なんて、すごいわ!」
「真っ黒な鱗だらけの赤子など可愛くはなかっただろうな」
 そう言ってレオナルドは笑った。

「何故、そこに?」
「だって……」
「いつものように、私の上に座ればよいではないか」
「だって……」
「リディ?」
「……」
 手を引かれそのままレオナルドを跨ぐように向かい合ってしまう。

「私たちは夫婦なのだよ。昨日までと何も変わらない、恥ずかしがる必要はないぞ」
「そんな事言ったて……なんか恥ずかしいだもん」
 レオナルドがリディアの額にキスをする。
「胸も少し膨らんでいるな」
 大きな手がまだ膨らみ始めたばかりの胸に宛がわれた。

「きゃっ、何するの!」
 両手で彼の手を退けようとするが阻止されてしまう。
「当たり前だがまだ触っても感じる事は無いか」
 笑いながらポツンとあるまだ小さな乳首を指の腹で撫でた。
 リディアはくすぐったいだけで、当然まだ感じる事は無い。

「レニーの意地悪!」
 バシャっと、レオナルドの顔にお湯を掛け逃げようとするも、「逃がすものか」と掴まり、いつもように後ろから抱えられてしまう。その弾みで彼が腰に巻いていたタオルが外れてしまい、直接お尻がレオナルドの肌に触れた。

「ひゃっ!」
 いつもと違う感触に思わずリディアはお尻を浮かせる。
「どうした?」
 多分後ろで笑っているだろうと思われる彼の声に「何でもない」答えるリディア。
 レオナルドはリディアの腰を引き寄せもう一度座らせる。
 もちろん勃起などしてはいないが、彼のそれはそのままの状態でも存在感が大きかった。妖精の国から戻ったリディアは、後の一年で色々な勉強もしてきたので、自分のお尻の下にあるものが何なのかは知っている。しかし、まだ実際に目にしたことは無かった。レオナルドは入浴の際、いつもタオルを巻くか、下履きを穿いていたので、直に目にする事も無かったのだ。

「リディはを見た事があるか?」
「あっ、ある訳ないです!」
「見てみるか?」
「いえ、結構です!」
 興味はあるが、「はい」などと返事が出来る筈もない。
 きっぱりと断ったが、お尻に当たる物の実体は気になる。お湯が揺れるたびにそわそわとそれがお尻に当たり、くすぐったくて、もぞもぞとお尻を動かしてしまう。
「おい、あまり動いてくれるな」
 レオナルドが笑いを堪えながら言う。
「えー、そんな事言ったって。お尻に当たるんだもん」
 もぞもぞと動く柔らかなリディアの肌に刺激され、僅かだが彼の男根がむくっと頭をもたげる。
「えっ?!」
「ほら、リディの所為だぞ」
「なになに、レニーこれー!」
 驚いて腰をずらした場所が悪かった。
 リディアが前ではなく、レオナルドの腹の方に下がったため、彼女の股の間から彼のがこんにちはと顔を出したのだった。
 レオナルドもリディアの肩越しに覗いて見る。

「あはは、これはなかなか良い光景だな」

 思わずリディアが足を閉じてしまうが、太腿の間からまだ頭だけが見えている状態だ。リディアは逃げようとするが、レオナルドが腰を抱えているので逃げる事も出来ない。
「レニーお願い引っ込めて!」
「そうは言ってもな、クククッ」
 何故か彼は楽しそうだ。リディアは思わず太腿の間から出ているを手の平で押し込もうとした。
「あまり刺激を与えるともっと大きく固くなってしまうぞ」
「えっ!」
 振り向いた彼女にレオナルドが口づける。
「うっぷ」
「リディ、やはり早く元の体にに戻って欲しいな。ふふ、そのままじっとしていろ。その内小さくなる」
「そ、そんな事言ってもー」

 お陰でのぼせてしまったリディアを、レオナルドは全裸のままベッド運び寝かせ、魔法で身体を乾かす。
「大丈夫か、リディ?」
「あっ、うん」
 目を開けた先には全裸のレオナルド。
 彫刻のような身体が目の前にあった。そして股間にはレオナルドの黒い下生えの間から先ほどのと思われる物体が!!!
 リディアは真っ赤になり、背を向けてしまう。
「レニー、早く服を着てしまって!」
「ああ、そうか」
 相変わらず笑いながら答える、レオナルドだった。

 あれから一週間。
 一日一回池に入ってキスをしてきたが、変化はなかった。
 それでも二人は焦る事なくのんびりと過ごしている。

 ―― 蜜月も半ばを過ぎた。
 どうやらリディも今の体『十才くらい』に馴れたようなので、父上にも報告せねばならないな。
 リディのドレスも作るとしよう。
 嘸かし母上も驚かれる事だろう。サミーの反応も楽しみだ。
 私にとっても……いきなり十五のリディにならなくて良かったのかもしれない。どんな姿でも私の番は可愛い。私の知らない成長期を見れるのもまた嬉しい事だ ――

 レオナルドは顎に手を当て緩む口元を押さえながら、リディアがお昼寝をしている間にリールーとミルミルを呼びつけた。昼寝から目覚めたリディアを留守の間の頼むと言い、足早に王宮へと向かったのだった。


◆◇◆


「それは真か!」
 父親である国王陛下の私室には母と弟のサミュエルが呼ばれていた。
 
「レニー本当なの!?」

 家族間では私はレニーと呼ばれる。家族以外ではどんなに親しくしていても、この呼び名を呼ぶことは許さなかった。そんな愛称を私は初対面のリディア王女に自ら名乗って、呼んで欲しいと言ったのだ。
 あれは本能からリディが家族だと認めていたからだ。

「ええ、母上。精霊が授けてくれた水のお陰でリディは十才ほどの体に戻っております」
「うわっ!信じられないけど凄いね、兄上!何、その精霊の水は飲む系?」
「違う、サミー。妖精の池に入れた精霊の水だ。最初はリディが池に呼ばれていると言い二人で入った。その時急に光に包まれた後十才のカラダになったのだ。その後は毎日そこで水浴びをしている。妖精たちの話では掛けた魔法が少しずつ解けて来たらしい」

「おお、なんと。それは凄い!精霊の加護か。それで、妖精妃は大丈夫なのか?」
「そうですよ、そんな急に戻って大丈夫なの?」
「はい、トラフィスの診断では至って健康だそうです」

「ちっ、あやつめ!知っていて、儂に内緒にしておったのだな」
 身内の自分が知らないのに他人のトラフィスが知っていた事を悔しがる竜王。

「で、兄上の妖精妃ちゃんは、どんな感じなの?」
「ああ、以前と変わらなく愛らしく、そして十才とは思えない程美しい」
 リディアの事を思い出し、口元が緩むレオナルドに、皆の期待が高まっていく。

「いつ、いつ会わせてくれるの?蜜月はもすぐ終わるわよね?レニー」
「そうだ、早く会わせろ!」
「可愛いレディになっているんだろうな~」
 興奮する三人を見てレオナルドは苦笑してしまう。普段のサザーランド王家はこの様な感じなのである。

「三人とも落ち着いてください。今ドレスを用意させています。成長したリディに、私が贈る新しいドレスを着せたいのです。蜜月が終わりそれが用意できましたら会わせて差し上げますよ」

「それじゃ、半月近く先になるじゃないの!そんなに待てないわ。そうね、私のお針子に申し付けて、早急に仕上げるように言うわ」
「おお、頼むぞアメリア」
「楽しみだな。早速オディーヌにも教えてあげよう」

「皆に知らせるのはもう少し待ってくれないか。もしかすると、実年齢の体に戻るかも知れないのです。それからお披露目した方がいと思う。オディーヌに話すなら口留めして置いてくれ」

「ああ、うん。分かったよ兄上。それにしても本当に嬉しそうだね」
「ええ、レニーのこの様な顔は子供の頃以来だわ」
「ああ、儂も嬉しく思うぞ。美味い酒がある。一緒に飲もう!」

「ありがとうございます。でも蜜月の間は番と一時も離れていたくはないので、私は妖精宮に戻ります」

 そう言い残し、レオナルドはそそくさと王の私室を後にした。

「楽しみですわね、あなた」
「ああ、あのような子供の姿も可愛くて捨てがたいが、あっ、まだ十才ぐらいと申しておったか。それでもやはりレニーの事を考えるとあのままではな。いや良かった、本当に良かった」
「早く会いたいですよね。妖精宮に籠ってもう半月以上ですから」
「私も番ちゃんとお話がしたいわ」
「しかし、アイツの事だ。父と同じように囲って、我々にも会わせなくなる可能性もあるぞ」
「お義父様は徹底していましたからね」
「お爺様が番のお婆様を見つけたのは四十を過ぎていたのでしょう?」
「ああ、そうだ。側室はおったが、子は出来てなかった。やっと見つけた番だ。儂は父が五十の時の子だ。母は年上だったから五十五だったかな」
「それからの溺愛ですもの。やはり、竜の血の濃いものは我々とは違いますね」
「母上も黒竜ゆえ父上に付き合えたが、リディアは人族だからな。黒竜の秘薬を飲めば、寿命は延びるが、レニーの溺愛に長い時年月耐えきれるか心配だ」

「あっ、それ。一応オーレア王国にいた時、リディア王女が番ってわかった時点で、兄上には言いましたよ。お婆様みたいに束縛されたら人族の王女に嫌われちゃうよってね」
「そうか、当然だ。しかし……それでも心配だな」
「ええ」

 竜王家三人組はこれから始まると思われる、レオナルドの番に対する今以上の溺愛に、不安を拭えないでいた。



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