91 / 111
最終章
76*オレガノ家にて
しおりを挟む
おはようございます。諸事情により更新が遅れます。夜中作業の朝投稿で1日1回投稿になってしまいますがよろしくお願い致します。 あと数話で完結です。
****************************
馬車に揺られながら幾つもの村と町を抜けもう少しで王都に着くというところでアンナが突然実家のオレガノ家へ寄っても良いだろうかと聞いて来た。
結婚式以来家族には会っていないのだからその位の願いは聞いてあげたい。
城にいたら例え親子であろうとも面会の申し込仕込みを書面で出しスケージュールの調整やら何やら面倒な手続きをせねばならない。
こう云う機会でないとこちらからもそう易々とは出掛けていけないもの事実だ。
突然の訪問にも関わらず大歓迎と迎えてくれたオレガノ夫妻と義姉のマリエッタに囲まれ幸せそうなアンナを見ていると自分も幸せな気持ちになって来る。
「義父上、義母上、義姉上、只今帝国より戻りました」
私も王子ではなくアンナの夫としてきっちりと挨拶はさせて貰う。
「殿下も長旅ご苦労様でございました。さっ、どうぞ中でお茶をお召し上がりください」
まだまだ他人行儀なオレガノ男爵にすこしもやっとしてしまう。
「義父上、私も貴方の義理の息子です。どうかもっと軽口でイーサンに言うように接して貰えると嬉しいのですが」
「殿下、それは・・・」
「私の父上である陛下と二人の時はそれ程敬語もお使いにならないではないですか」
「陛下とは・・・幼馴染でもあるので」
「私はその幼なじみの息子ですよ。
アンナの家族とも王家という垣根を取り払って娘の夫として受けて入れて貰いたいのです」
以前から心にあった気持ちを素直に義父アドルフに伝えた。
「殿下、否バージル殿そこまで思って頂けて私は・・・感無量です。さっ、部屋でお茶を飲みながら土産話でも聞かせて下さい。何ならお茶でなくワインでもウィスキーでも一緒に」
義父は嬉しそうに応えてくれた。
アンナが繋いでいた私の手をぎゅっと握り返し
「ありがとう、バ-ジル」
と嬉しそうに微笑んだ。
応接室でワインを飲みながらダニエルも一緒のテーブルにつき帝国でのアンナの活躍を話すと他国でなんてお転婆な事をしてるのだと父親に窘められるアンナ。そして娘の魔力の強さにも改めて驚く家族たち。
ダニエルが帝国の人々がアンナの事を女神だと絶賛し強さは勇者の様だと褒め称えていた事を話す。
「当たり前ですわ。アンナ程賢くて美しい娘(妹)は居りませんもの」
「さすが、私の娘ですわ」
マリエッタとマリアンヌ婦人。
相変わらず娘への推しは健在だった(笑)
いつか自分たちもこんな暖かい家庭をアンナと共に築いていけたらと思う。
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
メイド仲間と久しぶりに再会しそちらでお茶を飲んでいたビオラも戻って来た。
別れ際にアンナが義姉に言う。
「姉さま、まだ意中の方はいないのですか?」
「わたしは理想が高いのよ」
澄ましていうマリエッタに
「デオドール殿下なんて如何ですか?」
とビオラが冗談めかして言うと
「勘弁してくれ、娘二人も王家に嫁がせるなんて私の身が持たん」
「冗談ですよ旦那様。女たらしの殿下にマリエッタ様が嫁ぐわけが御座いません」
慌てる義父に冷めた目で言うビオラ。
精霊とは結構辛辣だなと思ったが、ビオラには内緒にしておこうと思う。
オレガノ邸を後にして王城へ向かう馬車の中でアンナが何か考え事をしている。
「アンナ?」
「デオドールお義兄様っておいくつになられるんでしたっけ?」
「兄上か?私より五つ上だから今年二十七だな」
「本当にどなたか居ないんですかね?」
「ん-、成人前に実は婚約者がいたんだ」
「そうなんですか!えっ、何か事情があって破棄されてしまったのですか?」
****************************
馬車に揺られながら幾つもの村と町を抜けもう少しで王都に着くというところでアンナが突然実家のオレガノ家へ寄っても良いだろうかと聞いて来た。
結婚式以来家族には会っていないのだからその位の願いは聞いてあげたい。
城にいたら例え親子であろうとも面会の申し込仕込みを書面で出しスケージュールの調整やら何やら面倒な手続きをせねばならない。
こう云う機会でないとこちらからもそう易々とは出掛けていけないもの事実だ。
突然の訪問にも関わらず大歓迎と迎えてくれたオレガノ夫妻と義姉のマリエッタに囲まれ幸せそうなアンナを見ていると自分も幸せな気持ちになって来る。
「義父上、義母上、義姉上、只今帝国より戻りました」
私も王子ではなくアンナの夫としてきっちりと挨拶はさせて貰う。
「殿下も長旅ご苦労様でございました。さっ、どうぞ中でお茶をお召し上がりください」
まだまだ他人行儀なオレガノ男爵にすこしもやっとしてしまう。
「義父上、私も貴方の義理の息子です。どうかもっと軽口でイーサンに言うように接して貰えると嬉しいのですが」
「殿下、それは・・・」
「私の父上である陛下と二人の時はそれ程敬語もお使いにならないではないですか」
「陛下とは・・・幼馴染でもあるので」
「私はその幼なじみの息子ですよ。
アンナの家族とも王家という垣根を取り払って娘の夫として受けて入れて貰いたいのです」
以前から心にあった気持ちを素直に義父アドルフに伝えた。
「殿下、否バージル殿そこまで思って頂けて私は・・・感無量です。さっ、部屋でお茶を飲みながら土産話でも聞かせて下さい。何ならお茶でなくワインでもウィスキーでも一緒に」
義父は嬉しそうに応えてくれた。
アンナが繋いでいた私の手をぎゅっと握り返し
「ありがとう、バ-ジル」
と嬉しそうに微笑んだ。
応接室でワインを飲みながらダニエルも一緒のテーブルにつき帝国でのアンナの活躍を話すと他国でなんてお転婆な事をしてるのだと父親に窘められるアンナ。そして娘の魔力の強さにも改めて驚く家族たち。
ダニエルが帝国の人々がアンナの事を女神だと絶賛し強さは勇者の様だと褒め称えていた事を話す。
「当たり前ですわ。アンナ程賢くて美しい娘(妹)は居りませんもの」
「さすが、私の娘ですわ」
マリエッタとマリアンヌ婦人。
相変わらず娘への推しは健在だった(笑)
いつか自分たちもこんな暖かい家庭をアンナと共に築いていけたらと思う。
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
メイド仲間と久しぶりに再会しそちらでお茶を飲んでいたビオラも戻って来た。
別れ際にアンナが義姉に言う。
「姉さま、まだ意中の方はいないのですか?」
「わたしは理想が高いのよ」
澄ましていうマリエッタに
「デオドール殿下なんて如何ですか?」
とビオラが冗談めかして言うと
「勘弁してくれ、娘二人も王家に嫁がせるなんて私の身が持たん」
「冗談ですよ旦那様。女たらしの殿下にマリエッタ様が嫁ぐわけが御座いません」
慌てる義父に冷めた目で言うビオラ。
精霊とは結構辛辣だなと思ったが、ビオラには内緒にしておこうと思う。
オレガノ邸を後にして王城へ向かう馬車の中でアンナが何か考え事をしている。
「アンナ?」
「デオドールお義兄様っておいくつになられるんでしたっけ?」
「兄上か?私より五つ上だから今年二十七だな」
「本当にどなたか居ないんですかね?」
「ん-、成人前に実は婚約者がいたんだ」
「そうなんですか!えっ、何か事情があって破棄されてしまったのですか?」
0
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる