77 / 111
第6章*聖女の派遣と新婚旅行
62*解術まであと一歩
しおりを挟む
「残りの二つは一晩一つが限界ね」
「かなり巧妙に作られているからな」
「その内一つは呪い迄入れてあるんだもん、時間が掛かるわ。それにナリスにの身体にも負担が掛かるだろうし」
ビオラの顔が曇ります。
「出来るまで頑張りましょう、何としてもナリス様と陛下を救ってあげたいもの」
「そうね」
「うむ」
皇妃ナリスの解術を始めて三晩目。
三人は彼女を一番苦しめてきた術二つに対峙しているところでした。
そこへサミュエルが姿を現しました。
「今宵は私もいていいだろうか?」
三人は顔を見合わせて頷きます。
「ここでこれから見る事は口外しないと約束して下されば。今回解く術は難しい物なのでもしかしたらナリス様に少し苦しい思いをさせてしまうかも知れません。どうぞお傍についていて差し上げて下さい」
「分かった」
ナリスの足元にビオラが立ち、左右にサミュエルとアンナが座る。そして頭上にバージルが立ち四人がナリスを四方から囲む形となった。
「それでは始めますね」
アンナが彼女の手を握り力を注いでゆくと数秒もしない内にナリスは意識を飛ばし眠りについた。
次にビオラが両手を翳すと光の粒がナリスを包んでいく。
サミュエルは驚き声を出しそうになるのを必死で堪えた。
段々とナリスの上に術式が浮かんできました。
「やはり厄介ね」
「どっちから行くか?」
「そうねぇ、先に厄介な呪いの付いている右のどす黒い赤の方からやりましょう」
「分かった、やってみよう」
ビオラとバージルの会話を聞きながら癒しの力を調整し流していくアンナ。
バージルはいつものように空中で手を動かしながら術式を入れ替えていきます。その作業はかなりの時間続けられどす黒い術式が歪み始めると突然ナリスが顔をしかめ苦しそうに眉間に皺を寄せました。
「ナリス大丈夫か!」
サミュエルは彼女の手を握り心配そうに顔を色をうがいます。
「ナリス様も戦っておられるのです。心中で頑張れと声を掛けてあげて下さい」
アンナの言葉に頷きナリスを見つめるサミュエル。
バージルも額に汗を掻き始めかなり体力を消耗しているように見える。
アンナは片方の手をナリスから離しバージルに差し出すと手の平を彼に向けました。
するとその手からビオラとは違うオレンジ色の光が出てバージルを包み込みます。
・・・何が起きているのだ・・・
サミュエルは目の前で起きている光景を見て息を呑んだ。
「アンナありがとう、もう大丈夫だ」
アンナの力で体力を回復させたバージルがアンナに微笑みます。
「はい、バージル」
「術式はもう少しで解けそうだが、呪いの方が」
バージルは苦戦している。
「この呪い術師のモノではないわね。誰かが術と一緒に掛けるように術師に頼んで入れたんだわ。なんて事をしてくれちゃってるのよ!」
ビオラも怒りをあらわにする。
「術の中に靄っているのはそれか」
とバージルは頭を悩ませます。
もう解術を始めてから三時間は超えている。
「バージル何とか術式を解いて。後は私が呪いを祓い浄化するわ」
「心得た」
アンナの言葉にバージルが解術に集中する。
バージルが必死に解いている間ビオラからの光の粒は部屋全体を包むまでに広がりアンナが送っている癒しの力はアンナの手からナリスの身体中を巡りその一部がナリスのもう片方の手を握るサミュエルの身体にも流れている。
・・・この三人は何者なのだ?
サミュエルは困惑しながらも成り行きを見守るしかなかった。
「解けた!《汝の術は我が開放し解き放つ》」
バージルが唱えるとその歪んだ術式はパリンと音を立て粉々になり後にはモヤモヤと渦巻く物がナリスの胸の上でうごめいている。
「大丈夫なのか?」
サミュエルがアンナの顔を見る。
「大丈夫です。これから呪いを祓い浄化するので陛下も離れて下さい」
アンナが椅子から立ち上がった。
それと同時にビオラからの光の粒も消え、バージルがサミュエルを促し寝台から離れて行きます。
アンナは立ち上がると深呼吸をして呼吸を整え、両手を寝ているナリスに向けて差し出します。
アンナの身体が金色の光に包まれその光がナリスの身体全体を覆いました。
数分すると苦しんでいたナリスの表情が穏やかにな表情に変わっていき薄っすらと目を開けました。それと同時に金色の光が消え、アンナがよろめきそれをバージルが駆け寄り支えます。
「ありがとうバージル、私は平気。
陛下、ナリス様のところへ行っても大丈夫ですよ」
サミュエルもナリスに駆け寄り抱き締めます。
「あなた」
「大丈夫かい、身体は痛くないか?気分は?」
「ええ、悪夢から覚めたみたいでスッキリとしています」
「そうか・・・」
「あっ、足に少し力が・・・」
そう言うとナリスは起こした上半身の向きを変え両足を寝台から床に降ろしサミュエルの肩に掴まりながら自力で立ち上がります。
「ナリス。。。なんて事だ!自分で立てるのか・・・」
サミュエルも立ち上がり彼女の事を抱き締め涙します。
「ええ、自分でも信じられません」
一年の間自力で立つことも出来なかった足に今は力が入りしっかりと自分の体重を支えている事に感情が高ぶり涙がこみ上げてきます。
「良かった。でもまだ完全に修復されていませんので無理なさらないでください」
バージルの腕の中らアンナがナリスに微笑みながら忠告します。
「はい、わかりました。有難うございます「有難うございます」」
涙を滲ませ何度も礼を言うサミュエルとナリス。
「まだ身体の内側の組織を蝕んでいる術が残っているけど今日の程難しくはないわ。それが解術されればもう心配はないわよ」
ビオラも微笑みながら二人を見て言いました。
「流石に今夜は無理だけどね」
バージルがウィンクします。
「聖女様から頂いている力と同じ力を毎夜ジュリアンナ妃の手から感じておりました。でも聖女様と比べ物ならないくらいもっと強くそして穏やかで」
「ナリス様、それ以上は」
と、アンナが口に人差し指を当てて制しました。
「こんなことが出来るなんて本当に貴方達は何者なのだ?そしてジュリアンナ妃の力は・・・」
「隣国の王子とその妃、そして妃の大事な侍女ですよ」
バージルがアンナとビオラを見て笑います。
「そ、そうか、そうなのだな、うん」
「なんですの、あなた?えっ、もしかして」
「いいんだ、うん。」
サミュエルは今夜最初に言われたことを思い出し自分を納得させたのでした。
気付けば深夜をとうに超えています。
「今夜は疲れたでしょう。ナリスもこれだけ元気になった。明日一日皆ゆっくりと休んで欲しい。残りは明後日にお願いしたいと思う」
「宜しいのですか?」
「ああ、勿論だ。明日は例の魔術大会についてデオドール殿と話を詰めようと思っている」
そうよね、それもあったわ。こちらも作戦会議をしなくちゃ。
「では明日はゆっくりさせて頂きます」
バージルが頭を下げます。
退出しようとする三人の後ろ姿に
「ジュリアンナ妃」
とナリスが声を掛けサミュエルに支えられながらアンナの所まで自力で歩みを進めアンナの手を両手で包み込みました。
「ありがとう聖女ジュリアンナ様」
小さな声で微笑みを浮かべアンナに感謝の言葉を伝えるナリスに否定する事もなく微笑み返し頷くアンナでした。
「かなり巧妙に作られているからな」
「その内一つは呪い迄入れてあるんだもん、時間が掛かるわ。それにナリスにの身体にも負担が掛かるだろうし」
ビオラの顔が曇ります。
「出来るまで頑張りましょう、何としてもナリス様と陛下を救ってあげたいもの」
「そうね」
「うむ」
皇妃ナリスの解術を始めて三晩目。
三人は彼女を一番苦しめてきた術二つに対峙しているところでした。
そこへサミュエルが姿を現しました。
「今宵は私もいていいだろうか?」
三人は顔を見合わせて頷きます。
「ここでこれから見る事は口外しないと約束して下されば。今回解く術は難しい物なのでもしかしたらナリス様に少し苦しい思いをさせてしまうかも知れません。どうぞお傍についていて差し上げて下さい」
「分かった」
ナリスの足元にビオラが立ち、左右にサミュエルとアンナが座る。そして頭上にバージルが立ち四人がナリスを四方から囲む形となった。
「それでは始めますね」
アンナが彼女の手を握り力を注いでゆくと数秒もしない内にナリスは意識を飛ばし眠りについた。
次にビオラが両手を翳すと光の粒がナリスを包んでいく。
サミュエルは驚き声を出しそうになるのを必死で堪えた。
段々とナリスの上に術式が浮かんできました。
「やはり厄介ね」
「どっちから行くか?」
「そうねぇ、先に厄介な呪いの付いている右のどす黒い赤の方からやりましょう」
「分かった、やってみよう」
ビオラとバージルの会話を聞きながら癒しの力を調整し流していくアンナ。
バージルはいつものように空中で手を動かしながら術式を入れ替えていきます。その作業はかなりの時間続けられどす黒い術式が歪み始めると突然ナリスが顔をしかめ苦しそうに眉間に皺を寄せました。
「ナリス大丈夫か!」
サミュエルは彼女の手を握り心配そうに顔を色をうがいます。
「ナリス様も戦っておられるのです。心中で頑張れと声を掛けてあげて下さい」
アンナの言葉に頷きナリスを見つめるサミュエル。
バージルも額に汗を掻き始めかなり体力を消耗しているように見える。
アンナは片方の手をナリスから離しバージルに差し出すと手の平を彼に向けました。
するとその手からビオラとは違うオレンジ色の光が出てバージルを包み込みます。
・・・何が起きているのだ・・・
サミュエルは目の前で起きている光景を見て息を呑んだ。
「アンナありがとう、もう大丈夫だ」
アンナの力で体力を回復させたバージルがアンナに微笑みます。
「はい、バージル」
「術式はもう少しで解けそうだが、呪いの方が」
バージルは苦戦している。
「この呪い術師のモノではないわね。誰かが術と一緒に掛けるように術師に頼んで入れたんだわ。なんて事をしてくれちゃってるのよ!」
ビオラも怒りをあらわにする。
「術の中に靄っているのはそれか」
とバージルは頭を悩ませます。
もう解術を始めてから三時間は超えている。
「バージル何とか術式を解いて。後は私が呪いを祓い浄化するわ」
「心得た」
アンナの言葉にバージルが解術に集中する。
バージルが必死に解いている間ビオラからの光の粒は部屋全体を包むまでに広がりアンナが送っている癒しの力はアンナの手からナリスの身体中を巡りその一部がナリスのもう片方の手を握るサミュエルの身体にも流れている。
・・・この三人は何者なのだ?
サミュエルは困惑しながらも成り行きを見守るしかなかった。
「解けた!《汝の術は我が開放し解き放つ》」
バージルが唱えるとその歪んだ術式はパリンと音を立て粉々になり後にはモヤモヤと渦巻く物がナリスの胸の上でうごめいている。
「大丈夫なのか?」
サミュエルがアンナの顔を見る。
「大丈夫です。これから呪いを祓い浄化するので陛下も離れて下さい」
アンナが椅子から立ち上がった。
それと同時にビオラからの光の粒も消え、バージルがサミュエルを促し寝台から離れて行きます。
アンナは立ち上がると深呼吸をして呼吸を整え、両手を寝ているナリスに向けて差し出します。
アンナの身体が金色の光に包まれその光がナリスの身体全体を覆いました。
数分すると苦しんでいたナリスの表情が穏やかにな表情に変わっていき薄っすらと目を開けました。それと同時に金色の光が消え、アンナがよろめきそれをバージルが駆け寄り支えます。
「ありがとうバージル、私は平気。
陛下、ナリス様のところへ行っても大丈夫ですよ」
サミュエルもナリスに駆け寄り抱き締めます。
「あなた」
「大丈夫かい、身体は痛くないか?気分は?」
「ええ、悪夢から覚めたみたいでスッキリとしています」
「そうか・・・」
「あっ、足に少し力が・・・」
そう言うとナリスは起こした上半身の向きを変え両足を寝台から床に降ろしサミュエルの肩に掴まりながら自力で立ち上がります。
「ナリス。。。なんて事だ!自分で立てるのか・・・」
サミュエルも立ち上がり彼女の事を抱き締め涙します。
「ええ、自分でも信じられません」
一年の間自力で立つことも出来なかった足に今は力が入りしっかりと自分の体重を支えている事に感情が高ぶり涙がこみ上げてきます。
「良かった。でもまだ完全に修復されていませんので無理なさらないでください」
バージルの腕の中らアンナがナリスに微笑みながら忠告します。
「はい、わかりました。有難うございます「有難うございます」」
涙を滲ませ何度も礼を言うサミュエルとナリス。
「まだ身体の内側の組織を蝕んでいる術が残っているけど今日の程難しくはないわ。それが解術されればもう心配はないわよ」
ビオラも微笑みながら二人を見て言いました。
「流石に今夜は無理だけどね」
バージルがウィンクします。
「聖女様から頂いている力と同じ力を毎夜ジュリアンナ妃の手から感じておりました。でも聖女様と比べ物ならないくらいもっと強くそして穏やかで」
「ナリス様、それ以上は」
と、アンナが口に人差し指を当てて制しました。
「こんなことが出来るなんて本当に貴方達は何者なのだ?そしてジュリアンナ妃の力は・・・」
「隣国の王子とその妃、そして妃の大事な侍女ですよ」
バージルがアンナとビオラを見て笑います。
「そ、そうか、そうなのだな、うん」
「なんですの、あなた?えっ、もしかして」
「いいんだ、うん。」
サミュエルは今夜最初に言われたことを思い出し自分を納得させたのでした。
気付けば深夜をとうに超えています。
「今夜は疲れたでしょう。ナリスもこれだけ元気になった。明日一日皆ゆっくりと休んで欲しい。残りは明後日にお願いしたいと思う」
「宜しいのですか?」
「ああ、勿論だ。明日は例の魔術大会についてデオドール殿と話を詰めようと思っている」
そうよね、それもあったわ。こちらも作戦会議をしなくちゃ。
「では明日はゆっくりさせて頂きます」
バージルが頭を下げます。
退出しようとする三人の後ろ姿に
「ジュリアンナ妃」
とナリスが声を掛けサミュエルに支えられながらアンナの所まで自力で歩みを進めアンナの手を両手で包み込みました。
「ありがとう聖女ジュリアンナ様」
小さな声で微笑みを浮かべアンナに感謝の言葉を伝えるナリスに否定する事もなく微笑み返し頷くアンナでした。
0
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる