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第6章*聖女の派遣と新婚旅行
56*歓迎の晩餐会
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夜は歓迎の晩餐会が催され各領の四人の大公達も参加した。
帝国としてドルチェ以外の四つの国を支配下に置きそれぞれを領ととしたが各領は以前の国家を引き継ぎ締め付ける事はしていない。呼び名は「国王」から「大公」へと変えさせた。通常と大公なるのは国王の親戚筋だが皇帝は四国の元王を領主とは呼ばず親愛を込めたつもりだったのだが。
今まで「国王」と呼ばれていたのを「大公」と呼ばれることを不満とする者もいた。
「何と愛らしい聖女様なのだ」
「我が帝国にも神からの思し召しが欲しい物よの」
「それにしてもアデライト王国の王子殿下はお二人共何て美しいのでしょう」
「これも何百年も聖女の加護により恩恵なのか?」
「あら、イヤだ。元々の作りが違うのですわよ」
そんな会話をしながらも皆の目は最後に第二王子妃のジュリアンナに釘付けになる。
「本当に女神のような美しさですわね」
「例えようも御座いませんわ」
「あの愛らしい髪色と瞳のお色。第二王子殿下はそれはもう溺愛されていてジュリアンナ様の成人を待ってすぐに妃に迎い入れられたとお聞きししましたわ」
「お気持ちわかりますわ。ちょっと遅れたら何方かに取られてしまうかも知れませんものね」
ご婦人たちの噂話は何処までも続きます。
食事が終わり広間に移動し寛ぎながら歓談とダンスを楽しみます。
各領のご令嬢たちがデオドールに自らダンスを申し込み場慣れしている彼はにこやかに応えお相手をしていた。
アンナはというとバージルから離れ各領の大公妃らとシャンパンを片手に話をしています。
「あのう、ジュリアンナ妃様、殿下と一曲だけでも踊りたいのですが、お許しを頂けますか?」
アンナよりほんの少し年上と思われる声の主は見るからに美しく他を寄せ付けない自信に満ちた振る舞いでアンナに声を掛けてきました。
「ええ、私は構いませんけれど・・・」
「お父様。妃にお許しを頂きましたわ!、殿下の所へ行って参ります」
「こっ、これ、ナターシャ(汗)
大変失礼いたしました。私はアリア領のジョセフ・モルトに御座います。妃殿下には御機嫌麗しく存じます」
胸に手を当て首を垂れるアリア領主は王女である娘の不躾な行動に額の汗を必死に拭っていた。
元アリア王国と云えばオレガノのすぐ隣の領で交易もお互いに盛んに行っている。
大公と云っても元国王ですよね。そんな方に頭を下げらるなんて邪険にしてはいけないわ。
アンナは笑顔で
「アリア領の大公様には貿易面においては我が国も大変お世話になっていると聞いております。これからもどうぞ宜しくお願い致します」
「あ、ありがとう存じます」
愛くるしい笑顔で微笑まれジョセフ・モルト大公は年甲斐もなく顔を赤らめました。
「ただ、デオドール殿下と違ってバージル殿下はあまりほかの女性と踊ろうとはなされないのです。姫様をお断りして傷つけてしまうのではと心配しておりますの」
チラリとバージルの方へ目をやると姫にしつこくされながらも断っている様子が伺えた。
「いや、左様な事はお気になさらないで頂きたい。ナターシャは我儘に育ててしまいましたので、多少世間の厳しさなど知った方が良いと日頃から思っておりますゆえ」
そう言ってる間にナターシャが膨れっ面で戻って来ました。
「殿下ったら私は自分の妃以外とは踊らない主義だからと仰って簡単にお断りされてしまいましたわ」
「ナターシャ様ごめんなさい。殿下はダンスが苦手なんですの」
「そんなこと仰って。本当は妃が殿下に誰とも踊らないでってお願いしているのではありませんか?」
そう言い放つと踵を返し出口に方へと早足で向かって行ってしまう。
「「「「「えっ!?」」」」」
その場にいた人達も一瞬言葉を失った。
「重ね重ね申し訳ない。改めて詫びを出しますのでお許しを」
と大公は娘の後を追うように則近に指示し自らもその場を去りました。
本当は誰と踊って貰っても構わない。
ただし相手が魔力酔いで倒れなければね。
と、アンナは心の中で思っていたのでした。
それにしてもアリアの大公様って腰が低くて人の良さそうなお方だわ。
「相変わらずでございますね。ナターシャ姫は」
「どうか、ジュリアン妃殿下様にはお気を悪くなさいませんように」
居合わせたご婦人方に慰められて何だか心苦しくなってきました。
「ありがとうございます。私は気にいたしませんので」
アンナが笑顔で答えると今度は後ろからいきなり覆い被されるように抱かれ驚き振り向きます。
「ここにいたのか」
「バ、バージル様、皆様の前ですわよ」
ご婦人方は驚いたように扇で口元を隠しその後思わせぶりに微笑んでいます。
「君が隣にいてくれないから次々に令嬢にダンスを誘われて困惑している。早く私の元へ戻っておいで」
・.:*:°☆。(〃∇〃)ゞ°★。:*:.・
いま一瞬二人の周りに花が舞いましたよ!
いえ、実際はそんなことあり得ませんが周りからはそんな光景が見えた筈です。絶対に!!!
「お噂通り殿下はジュリアンナ妃を溺愛されているのですわね」
「何と羨ましい」
「これでは側室をと願うのも難しいかもしれませんね」
バージルはにこやかにご婦人たちに王子スマイルを向け
「私はこの通り妃一筋ですので。お知り合いでそういうお話が出ましたらアデライトの第二王子は側室を持たないと断言していたとお伝えください。
では、そろそろ私の大事な妃を返して頂いて宜しいかな?」
後ろからアンナの美しい髪に口づけをしていう王子殿下の色気にご婦人方も矢を射抜かれてしまったようです。
「ど、どうぞ。殿下の仰せのままに」
一番年上で格上であろう夫人がスカートを摘み礼を取ると他のご婦人たちも同じく礼を取ります。
「では失礼」
バージルはアンナの腰を抱き何かを耳元で何かを囁きながら皇帝の方へとエスコートしていきます。
「はぁー。殿下のオーラは凄いですわね」
「もうクラクラ致しましたわ」
「わたくしもです」
「これではうちの娘を側室に何て絶対勧められませんわ」
「籠妃や側室なんて絶対に作りませんわね殿下は」
「何とも誠実で男らしい。うちの主人に聞かせてやりたいものですわ」
一行が帰国した後ドルチェ帝国ではアデライト王国第二王子の妃に対する溺愛が帝国新聞に報じられていたとか・・・
そんな話を旅人から聞いたのはずっと後のおはなし。
アンナを連れ皇帝の元へ戻って来たバージルは自分たちは下がり皇妃の元へ行くことを告げます。
サミュエルはアンナの手の甲に挨拶のキスをして「よろしく頼みます」と二人を見送りました。
帝国としてドルチェ以外の四つの国を支配下に置きそれぞれを領ととしたが各領は以前の国家を引き継ぎ締め付ける事はしていない。呼び名は「国王」から「大公」へと変えさせた。通常と大公なるのは国王の親戚筋だが皇帝は四国の元王を領主とは呼ばず親愛を込めたつもりだったのだが。
今まで「国王」と呼ばれていたのを「大公」と呼ばれることを不満とする者もいた。
「何と愛らしい聖女様なのだ」
「我が帝国にも神からの思し召しが欲しい物よの」
「それにしてもアデライト王国の王子殿下はお二人共何て美しいのでしょう」
「これも何百年も聖女の加護により恩恵なのか?」
「あら、イヤだ。元々の作りが違うのですわよ」
そんな会話をしながらも皆の目は最後に第二王子妃のジュリアンナに釘付けになる。
「本当に女神のような美しさですわね」
「例えようも御座いませんわ」
「あの愛らしい髪色と瞳のお色。第二王子殿下はそれはもう溺愛されていてジュリアンナ様の成人を待ってすぐに妃に迎い入れられたとお聞きししましたわ」
「お気持ちわかりますわ。ちょっと遅れたら何方かに取られてしまうかも知れませんものね」
ご婦人たちの噂話は何処までも続きます。
食事が終わり広間に移動し寛ぎながら歓談とダンスを楽しみます。
各領のご令嬢たちがデオドールに自らダンスを申し込み場慣れしている彼はにこやかに応えお相手をしていた。
アンナはというとバージルから離れ各領の大公妃らとシャンパンを片手に話をしています。
「あのう、ジュリアンナ妃様、殿下と一曲だけでも踊りたいのですが、お許しを頂けますか?」
アンナよりほんの少し年上と思われる声の主は見るからに美しく他を寄せ付けない自信に満ちた振る舞いでアンナに声を掛けてきました。
「ええ、私は構いませんけれど・・・」
「お父様。妃にお許しを頂きましたわ!、殿下の所へ行って参ります」
「こっ、これ、ナターシャ(汗)
大変失礼いたしました。私はアリア領のジョセフ・モルトに御座います。妃殿下には御機嫌麗しく存じます」
胸に手を当て首を垂れるアリア領主は王女である娘の不躾な行動に額の汗を必死に拭っていた。
元アリア王国と云えばオレガノのすぐ隣の領で交易もお互いに盛んに行っている。
大公と云っても元国王ですよね。そんな方に頭を下げらるなんて邪険にしてはいけないわ。
アンナは笑顔で
「アリア領の大公様には貿易面においては我が国も大変お世話になっていると聞いております。これからもどうぞ宜しくお願い致します」
「あ、ありがとう存じます」
愛くるしい笑顔で微笑まれジョセフ・モルト大公は年甲斐もなく顔を赤らめました。
「ただ、デオドール殿下と違ってバージル殿下はあまりほかの女性と踊ろうとはなされないのです。姫様をお断りして傷つけてしまうのではと心配しておりますの」
チラリとバージルの方へ目をやると姫にしつこくされながらも断っている様子が伺えた。
「いや、左様な事はお気になさらないで頂きたい。ナターシャは我儘に育ててしまいましたので、多少世間の厳しさなど知った方が良いと日頃から思っておりますゆえ」
そう言ってる間にナターシャが膨れっ面で戻って来ました。
「殿下ったら私は自分の妃以外とは踊らない主義だからと仰って簡単にお断りされてしまいましたわ」
「ナターシャ様ごめんなさい。殿下はダンスが苦手なんですの」
「そんなこと仰って。本当は妃が殿下に誰とも踊らないでってお願いしているのではありませんか?」
そう言い放つと踵を返し出口に方へと早足で向かって行ってしまう。
「「「「「えっ!?」」」」」
その場にいた人達も一瞬言葉を失った。
「重ね重ね申し訳ない。改めて詫びを出しますのでお許しを」
と大公は娘の後を追うように則近に指示し自らもその場を去りました。
本当は誰と踊って貰っても構わない。
ただし相手が魔力酔いで倒れなければね。
と、アンナは心の中で思っていたのでした。
それにしてもアリアの大公様って腰が低くて人の良さそうなお方だわ。
「相変わらずでございますね。ナターシャ姫は」
「どうか、ジュリアン妃殿下様にはお気を悪くなさいませんように」
居合わせたご婦人方に慰められて何だか心苦しくなってきました。
「ありがとうございます。私は気にいたしませんので」
アンナが笑顔で答えると今度は後ろからいきなり覆い被されるように抱かれ驚き振り向きます。
「ここにいたのか」
「バ、バージル様、皆様の前ですわよ」
ご婦人方は驚いたように扇で口元を隠しその後思わせぶりに微笑んでいます。
「君が隣にいてくれないから次々に令嬢にダンスを誘われて困惑している。早く私の元へ戻っておいで」
・.:*:°☆。(〃∇〃)ゞ°★。:*:.・
いま一瞬二人の周りに花が舞いましたよ!
いえ、実際はそんなことあり得ませんが周りからはそんな光景が見えた筈です。絶対に!!!
「お噂通り殿下はジュリアンナ妃を溺愛されているのですわね」
「何と羨ましい」
「これでは側室をと願うのも難しいかもしれませんね」
バージルはにこやかにご婦人たちに王子スマイルを向け
「私はこの通り妃一筋ですので。お知り合いでそういうお話が出ましたらアデライトの第二王子は側室を持たないと断言していたとお伝えください。
では、そろそろ私の大事な妃を返して頂いて宜しいかな?」
後ろからアンナの美しい髪に口づけをしていう王子殿下の色気にご婦人方も矢を射抜かれてしまったようです。
「ど、どうぞ。殿下の仰せのままに」
一番年上で格上であろう夫人がスカートを摘み礼を取ると他のご婦人たちも同じく礼を取ります。
「では失礼」
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「はぁー。殿下のオーラは凄いですわね」
「もうクラクラ致しましたわ」
「わたくしもです」
「これではうちの娘を側室に何て絶対勧められませんわ」
「籠妃や側室なんて絶対に作りませんわね殿下は」
「何とも誠実で男らしい。うちの主人に聞かせてやりたいものですわ」
一行が帰国した後ドルチェ帝国ではアデライト王国第二王子の妃に対する溺愛が帝国新聞に報じられていたとか・・・
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