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第5章*成人と婚姻
50/前世のお話し②
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「どういうことだ?」
「うんとね、まだ私がお母さんのお腹にいる時、ちゃんと生まれることが出来なかったみたい。要は死産になる運命だったんですって」
アンナが産まれていなかったらと思うと今こうして抱く事も出来なかったのかと思ってしまうバージル。
「でもね、神様の所に天使たちが来てこの子を助けて欲しいとお願いしにきて」
「それで神が助けたのか?」
「ううん。神様は今の運命は変えられないと思ったそうよ」
「だったら何故?」
「天使たちが余りにも願うから遠い昔アデライト王国を救った大聖女ジュリアーナの半欠けの魂をお腹の中にいる私に与えて、来世はその魂のいるべきところで生まれなさいと言ったらしいの。でも死産ではなくそのまま生まれちゃったんだって」
まるで他人事のように言うアンナにバージルは言葉を失ってしまう。
「それでね、さっきも話した通り私は男の子を助けて死んでしまったと思っていたんだけど、実は大聖女の魂を探していたフォルヴァが二ホンにいる私を見つけて男の子に憑依して飛びついてきたせいで私は死んじゃったんだって」
「なんとフォルヴァは異世界にまで大聖女の魂を探しに行ったのか!」
「うん。まぁ、そのお陰でここへ大聖女として転生して来てこの国も救われたみたいだけど」
「そうだったのか・・・私は君の純潔を守ってくれたフォルヴァに感謝しなくてはならないな」
えっ、そこですか?
大聖女の話の方が重要なのでは?
「あちらの世界では君は純潔だった。どちらの世界でも初めての男は私だという事だ」
私は至極満足そうに笑顔を浮かべるバージルの顔を見て呆れてしまいました。
「とにかく私は前世持ちで大聖女の魂を持っているジュリアンナと云う事です。嫌にならない?」
「なる訳ないだろう!こんなにも愛してるのに。話してくれて嬉しいよ」
バージルは嬉しそうにアンナを抱き締め口づけてきました。
「最初の話に戻るが、アンナが作ってくれた料理は前世の物なのかい?」
「ええ、そうよ。普通に毎日食卓に並んでいる家庭料理かな」
「おお、そうなのか。他にも色々あるんだろう?食べてみたいな」
「作りたいのはやまやまだけど今の状況ではね」
アンナはため息を吐いて俯いてしまった。バージルは一呼吸おいて
「アンナはもし子供が出来たら自分で育てたいと思うか?」
「えっ、そんなこと望んでも無理でしょう?妃教育で王家の者は乳母に預けるって」
「まぁ、形式上はそうなっているけど私は母上に育てられたんだよ」
「本当!?」
「ああ、兄は違うけれどね。母上が自分で乳を飲ませて育てたいと熱望したらしい」
王家でもそんな事が許されるんだと思った。出来ることなら私も自分の手で育てたい。
「子育てしたいです!」
「うん、私も同じく思ってる」
アンナは思わずバージルの首に手を回し抱き付いた。
「それでね、子供が出来たら王宮の空いてる場所に館を建てて私たちの住まいにしようと考えている。そしたら厨房も出入り自由になるぞ」
「素敵、バージル♪」思わずアンナからキスをしてしまう。
「あはは、楽しみだな」
二人は額を合わせこれから先の生活を夢に見ながら笑顔で微笑み合いました。
「あっ、でもせっかく直してくれたこの部屋はどうなるの?」
「そんな心配はいらないよ。兄上が妃を貰えば好きなように手直しして使うさ」
「そう、なら良かったわ」
いつか子供が出来たら自分で子育てが出来る。
そう思うと今からワクワクして来るアンナですが、自分とバージルの子はとんでもない魔力持ちになるだろうと思うと少し不安にもなるのでした。
****************************
これにて第五章婚姻編は終了です。
第六章はお気楽アンナが外へ出てちょっとファンタジーぽく大聖女のお仕事をします。
少し長くなりますがお付き合い頂けると嬉しいです。
ご感想など戴けましたらめちゃくちゃ喜びます(*^▽^*)
「うんとね、まだ私がお母さんのお腹にいる時、ちゃんと生まれることが出来なかったみたい。要は死産になる運命だったんですって」
アンナが産まれていなかったらと思うと今こうして抱く事も出来なかったのかと思ってしまうバージル。
「でもね、神様の所に天使たちが来てこの子を助けて欲しいとお願いしにきて」
「それで神が助けたのか?」
「ううん。神様は今の運命は変えられないと思ったそうよ」
「だったら何故?」
「天使たちが余りにも願うから遠い昔アデライト王国を救った大聖女ジュリアーナの半欠けの魂をお腹の中にいる私に与えて、来世はその魂のいるべきところで生まれなさいと言ったらしいの。でも死産ではなくそのまま生まれちゃったんだって」
まるで他人事のように言うアンナにバージルは言葉を失ってしまう。
「それでね、さっきも話した通り私は男の子を助けて死んでしまったと思っていたんだけど、実は大聖女の魂を探していたフォルヴァが二ホンにいる私を見つけて男の子に憑依して飛びついてきたせいで私は死んじゃったんだって」
「なんとフォルヴァは異世界にまで大聖女の魂を探しに行ったのか!」
「うん。まぁ、そのお陰でここへ大聖女として転生して来てこの国も救われたみたいだけど」
「そうだったのか・・・私は君の純潔を守ってくれたフォルヴァに感謝しなくてはならないな」
えっ、そこですか?
大聖女の話の方が重要なのでは?
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私は至極満足そうに笑顔を浮かべるバージルの顔を見て呆れてしまいました。
「とにかく私は前世持ちで大聖女の魂を持っているジュリアンナと云う事です。嫌にならない?」
「なる訳ないだろう!こんなにも愛してるのに。話してくれて嬉しいよ」
バージルは嬉しそうにアンナを抱き締め口づけてきました。
「最初の話に戻るが、アンナが作ってくれた料理は前世の物なのかい?」
「ええ、そうよ。普通に毎日食卓に並んでいる家庭料理かな」
「おお、そうなのか。他にも色々あるんだろう?食べてみたいな」
「作りたいのはやまやまだけど今の状況ではね」
アンナはため息を吐いて俯いてしまった。バージルは一呼吸おいて
「アンナはもし子供が出来たら自分で育てたいと思うか?」
「えっ、そんなこと望んでも無理でしょう?妃教育で王家の者は乳母に預けるって」
「まぁ、形式上はそうなっているけど私は母上に育てられたんだよ」
「本当!?」
「ああ、兄は違うけれどね。母上が自分で乳を飲ませて育てたいと熱望したらしい」
王家でもそんな事が許されるんだと思った。出来ることなら私も自分の手で育てたい。
「子育てしたいです!」
「うん、私も同じく思ってる」
アンナは思わずバージルの首に手を回し抱き付いた。
「それでね、子供が出来たら王宮の空いてる場所に館を建てて私たちの住まいにしようと考えている。そしたら厨房も出入り自由になるぞ」
「素敵、バージル♪」思わずアンナからキスをしてしまう。
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「あっ、でもせっかく直してくれたこの部屋はどうなるの?」
「そんな心配はいらないよ。兄上が妃を貰えば好きなように手直しして使うさ」
「そう、なら良かったわ」
いつか子供が出来たら自分で子育てが出来る。
そう思うと今からワクワクして来るアンナですが、自分とバージルの子はとんでもない魔力持ちになるだろうと思うと少し不安にもなるのでした。
****************************
これにて第五章婚姻編は終了です。
第六章はお気楽アンナが外へ出てちょっとファンタジーぽく大聖女のお仕事をします。
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