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第4章*隣国の王女
22ユリの花と魔法
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「アンナもか?」
「ええ、また頭痛がします」
「あの香りの所為だろうか?」
「間違いないと思います」
廊下を歩きながら途中に活けてあったユリをアンナは一輪抜き取った。マリーの部屋へ行き侍女にマリーを預けるとそのままバージルの執務室へと向かいます。
三階へ移動したことにより頭痛は少し治まって来たが、先ほどの様にすっきりと消えていない。
二人は応接セットのテーブルに置いたユリの花を見つめていた。
確かにユリ自体に開花を促す魔法はかかっているのはわかった。
でもその他の魔法は見えてこない。
「おかしいな。開花調整の術式はちゃんと見えているのに」
「でも明らかに頭痛の原因はこの花ですよね」
「うむ。私もそう思う。元々持っている成分からではないしな」
「ですよね」
「ん、待てよ。アンナ、君が魔法を使う時に術式なしで行うとビオラに聞いたけど」
「ああ、そうですね。私は頭の中で考えたり言葉にすれば使えますね」
「便利だけど敵対する相手からしたら厄介だね」
とクスリと笑った。
「ちょっとビオラを呼び出します」
「うん、頼む」
私は念話をビオラに送る。
『ビオラちょっと来て貰える?』
『何かあったの?すぐ行くわ!』
ものの数秒でビオラが執務室に光りとともに現れた。
「はやっ!」
思わずバージルが口に出した。
「当たり前じゃない、それでなきゃアンナの加護は出来ないわ」
「仰る通りです」
バージルが頭を下げる。
「で、どうしたって?」
「うん、これなんだけど」
「どうしたの?ユリの花でしょう」
「そうなんだけど、元々蕾の時に開花日を指示する魔法がかけられているのは分かるの。これはみんな知ってる。でも咲き始めた途端、私とジル様に頭痛が起きて。最初は違うって思ったんだけど近づいたらまた同じことになったの」
「ふーん、ちょっと見てみるわ」
ビオラがユリに両手を翳すとユリの花の上に掛けられている魔法の術式が浮き出て来た。
でもこれは魔術が使えるバージルとアンナにも見えたものだ。
「あら?ちょっと待って」
ビオラが首を傾げる。
「ねぇ、アンタたち以外は何ともないのかしら?」
「誰からも聞いてないぞ」
「そうなのね」ビオラが息を吐いて手を戻す。
「このユリには術式を持たない魔法が掛けられているわ」
「やはりそうか」
バージルとアンナはお互いの顔を見合わせ頷く。
「この世界で術式を持たずに魔法を掛ける事が出来るのは私達精霊と聖獣そしてアンナ。小さな悪戯くらいな妖精たちも出来るけど、魔術師は絶対に式のない魔法は作れないだとすると・・・あとは・・・魔女しかいないわ」
「「魔女!」」
二人の声が被りました。
「でもこれ、他の人は何ともないって言ったでしょう?」
「うん」
「たぶん香りは誘い水でしかないわ」
???
「普通の人には微量過ぎて分からないのよ。でも吸っていると気付かない内にに魔法の掛かる準備が出来てくる。二人は魔力が強いから僅かな魔法でも知らない内にキャッチしちゃったのね」
「そんな事があるのか?」
「あるわ。ただこれが完成形なら二人にとって取るに足りない物だから不愉快さもこの場合頭痛ね、それも無かった筈。中途半端な未完成だから拒絶反応で不愉快に感じた訳よ」
面白い事があるのもだと変に感心してしまう。
「でもなぜそんな中途半端な魔法を魔女が掛けたのかしら」
「うーんと、それは。さっき誘い水と言ったでしょう?」
暫く考えていたバージルが手の平をポンと叩く。
「ああ、なるほどね!香りは誘い水で魔法が掛かりやすいようにして置いて後からタイミングを見計らいもう一つ何かを足し完成形にする」
「さすがね、バージル」
「精霊殿に褒められるとは光栄だな」
「でも何のために・・・」
「そこまでアタシにも分からないわ」
暫く沈黙が続く
「ジル様このユリは王女の花でエスメラルダから取り寄せたのよね」
「そうだよ」
「という事はエスメラルダで開花魔法も魔女の魔法も掛けられたという事になるわ」
「なるわね」ビオラも同意する。
「だったらこの国に害を及ぼす事か、もしくは国外に出た王女を狙ったかのどちらかじゃない?」
「アンナは怖い事を言うな。でも確かにそうかもしれない」
バージルは頭を掻いた。
「目的が何かも分からないし標的が誰なのかも分からないがとにかく警戒と警備を厚くしよう。ビオラありがとう」
そう言い残しバージルは急ぎ部屋を出て行った。
「魔女がどうして、、、それと完成形の魔法って何だろう?」
二人は全く予想だにしない出来事に頭を悩ませるのでした。
*****************************
魔術師は術式が無ければ何もできないのか?
そのあたりは勝手な想像の世界のお話なのでスルーして下さいませ_(._.)_
次のお話が夜の話題なのでこの後続けて投稿させて頂きます。
「ええ、また頭痛がします」
「あの香りの所為だろうか?」
「間違いないと思います」
廊下を歩きながら途中に活けてあったユリをアンナは一輪抜き取った。マリーの部屋へ行き侍女にマリーを預けるとそのままバージルの執務室へと向かいます。
三階へ移動したことにより頭痛は少し治まって来たが、先ほどの様にすっきりと消えていない。
二人は応接セットのテーブルに置いたユリの花を見つめていた。
確かにユリ自体に開花を促す魔法はかかっているのはわかった。
でもその他の魔法は見えてこない。
「おかしいな。開花調整の術式はちゃんと見えているのに」
「でも明らかに頭痛の原因はこの花ですよね」
「うむ。私もそう思う。元々持っている成分からではないしな」
「ですよね」
「ん、待てよ。アンナ、君が魔法を使う時に術式なしで行うとビオラに聞いたけど」
「ああ、そうですね。私は頭の中で考えたり言葉にすれば使えますね」
「便利だけど敵対する相手からしたら厄介だね」
とクスリと笑った。
「ちょっとビオラを呼び出します」
「うん、頼む」
私は念話をビオラに送る。
『ビオラちょっと来て貰える?』
『何かあったの?すぐ行くわ!』
ものの数秒でビオラが執務室に光りとともに現れた。
「はやっ!」
思わずバージルが口に出した。
「当たり前じゃない、それでなきゃアンナの加護は出来ないわ」
「仰る通りです」
バージルが頭を下げる。
「で、どうしたって?」
「うん、これなんだけど」
「どうしたの?ユリの花でしょう」
「そうなんだけど、元々蕾の時に開花日を指示する魔法がかけられているのは分かるの。これはみんな知ってる。でも咲き始めた途端、私とジル様に頭痛が起きて。最初は違うって思ったんだけど近づいたらまた同じことになったの」
「ふーん、ちょっと見てみるわ」
ビオラがユリに両手を翳すとユリの花の上に掛けられている魔法の術式が浮き出て来た。
でもこれは魔術が使えるバージルとアンナにも見えたものだ。
「あら?ちょっと待って」
ビオラが首を傾げる。
「ねぇ、アンタたち以外は何ともないのかしら?」
「誰からも聞いてないぞ」
「そうなのね」ビオラが息を吐いて手を戻す。
「このユリには術式を持たない魔法が掛けられているわ」
「やはりそうか」
バージルとアンナはお互いの顔を見合わせ頷く。
「この世界で術式を持たずに魔法を掛ける事が出来るのは私達精霊と聖獣そしてアンナ。小さな悪戯くらいな妖精たちも出来るけど、魔術師は絶対に式のない魔法は作れないだとすると・・・あとは・・・魔女しかいないわ」
「「魔女!」」
二人の声が被りました。
「でもこれ、他の人は何ともないって言ったでしょう?」
「うん」
「たぶん香りは誘い水でしかないわ」
???
「普通の人には微量過ぎて分からないのよ。でも吸っていると気付かない内にに魔法の掛かる準備が出来てくる。二人は魔力が強いから僅かな魔法でも知らない内にキャッチしちゃったのね」
「そんな事があるのか?」
「あるわ。ただこれが完成形なら二人にとって取るに足りない物だから不愉快さもこの場合頭痛ね、それも無かった筈。中途半端な未完成だから拒絶反応で不愉快に感じた訳よ」
面白い事があるのもだと変に感心してしまう。
「でもなぜそんな中途半端な魔法を魔女が掛けたのかしら」
「うーんと、それは。さっき誘い水と言ったでしょう?」
暫く考えていたバージルが手の平をポンと叩く。
「ああ、なるほどね!香りは誘い水で魔法が掛かりやすいようにして置いて後からタイミングを見計らいもう一つ何かを足し完成形にする」
「さすがね、バージル」
「精霊殿に褒められるとは光栄だな」
「でも何のために・・・」
「そこまでアタシにも分からないわ」
暫く沈黙が続く
「ジル様このユリは王女の花でエスメラルダから取り寄せたのよね」
「そうだよ」
「という事はエスメラルダで開花魔法も魔女の魔法も掛けられたという事になるわ」
「なるわね」ビオラも同意する。
「だったらこの国に害を及ぼす事か、もしくは国外に出た王女を狙ったかのどちらかじゃない?」
「アンナは怖い事を言うな。でも確かにそうかもしれない」
バージルは頭を掻いた。
「目的が何かも分からないし標的が誰なのかも分からないがとにかく警戒と警備を厚くしよう。ビオラありがとう」
そう言い残しバージルは急ぎ部屋を出て行った。
「魔女がどうして、、、それと完成形の魔法って何だろう?」
二人は全く予想だにしない出来事に頭を悩ませるのでした。
*****************************
魔術師は術式が無ければ何もできないのか?
そのあたりは勝手な想像の世界のお話なのでスルーして下さいませ_(._.)_
次のお話が夜の話題なのでこの後続けて投稿させて頂きます。
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