大聖女と言われ転生しましたが、大きな仕事もせずに第二王子に愛されています。

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第4章*隣国の王女

21王女の訪問とユリと花①

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  エスメラルダ国の王女の念願が叶いアデライト王国に到着する前日の夜。
 城内には王女フェリーシアの花である「白ユリ」の生花が飾られました。
 このユリの花はエスメラルダ王国より届いたもので今は蕾だが王女の到着する日には一斉に開花するように指示した魔法が掛けれらています。
 今朝蕾が一斉に開くのと同時に城内の一階と二階は百合の香りで満たされていたのでした。

 アンナは第二王子婚約者としてデオドール、バージルと共に王女を出迎える為に早朝より王城に上がり待機中です。
 二階にある控え室で着替えを済ませて王女の日程表を眺めていました。
 今夜は歓迎の晩さん会で、明日は昼は城下を視察。夜に王妃陛下と晩餐で・・・
 王女フェリーシアは十七才。
 アンナより歳上だが年が近いという事で話し相手になるよう頼まれているのでした。

 スケジュールを確認しながら先ほどから滅多に起きない頭痛に悩まされています。我慢出来ない程ではありませんが、これから王女様を迎えに出なければならないのに早く治って欲しいと思っているのですが。
「おかしいな。もしかしたらこのユリの香りに煽られちゃってるのかしら?体質に合わないかも」
 そんなことを事を考えなら王女の到着を待つアンナでした。

 昼を過ぎた頃、王女様が間もなく到着との知らせを受け、私は出迎えの為正面入口へ向かいました。既にデオドール殿下とバージルは場に居り私が遅れていくと
「アンナちゃんご苦労様」
 とデオドール殿下が声を掛けてくれました。
 お二人より遅れてしまった事をお詫びし、バージル様の横に並びます。
「アンナ、今日も可愛いよ」
 バージルの甘い誉め言葉も頭痛の所為で入って来ません。
「どうした、体調が悪いのか?」
 心配そうに効いて来るバージル。
「今朝こちらに来てからちょっと頭痛がしてまして。でもそんなに酷くは無いので大丈夫です」
 と笑顔で返しました。
「なんだ、君もか!」
「えっ、バージル様も?」

 何でしょう、二人揃って頭痛だなんて。
「ここのところ忙しかったから疲れが出いるのかも知れないな。出迎えが終われば晩餐まで時間があるから執務室で一緒に休もう」
「そうですね。ありがとうございます」
 小声で話をしていると王城の正門より馬車が数台入ってくるのが見えてきました。そして真ん中の馬車からエスメラルダ王女フェリーシアが下りてきました。
「ようこそ、アデライト王国へ。フェリーシア王女の訪問心より歓迎いたします」
 デオドール様は王女の手を取ると軽く口づけ、バージルとアンナの事を紹介しました。
「殿下にお会いしたくてはるばる来てしまいました。滞在中よろしくお願い致します」

 到着した王女フェリーシアはデオドールがマリーに話した通り、健康的で活発なそうな王女でした。
 着いて早々デオドールにべったりで積極にアピールし始める王女とそれをけん制しながら表向きは卒なく接待するデオドール。

 自分の思いに真っすぐで情熱的なのはお国柄なのかしら?ふとそんな事を思ってしまう。
 バージルとアンナも王女への挨拶を終え、三人で貴賓室の応接間へと王女を案内ます。
 驚いたことに王女が伴ってきたのは従者数名と護衛の騎士たちそれに身の回りの世話をする侍女はたったの一名でした。
 一国の王女の外遊にしては護衛の人数は別として身の回りのお世話をするものが独りなんて普通は有り得ない。
 侍女の名前はリンダと言い年はバージルより少し上の二十二、三といったところでしょうか。
 少し目つきは悪い気もしますが一人しか連れて来ないという事はよっぽど王女が信頼してすべてを任せているという事なのでしょう。

「長旅でお疲れでしょう。晩餐までどうぞゆっくりとお休みください」
 私達は挨拶をして王女の為の部屋を後にしようとすると
「デオドール殿下半年ぶりにお会いできたのですから是非お茶をご一緒して下さいませ」
 そう言われて無下にする事も出来ずデオドールは承諾しバージルとアンナは下がる事に。

「兄上の言ってた通りの姫君だな」
「ええ、積極的でいらっしゃいますね」
「王女の事は兄上にませて私たちは執務室で休もう。まだ頭が痛い、アンナはどう?」
「私もまだ続いています」
「なんだろうね、全く」
 バージルにエスコートされながら三階にある彼の執務室へ向かいました。
 不思議なことに階段の途中辺りから段々と頭痛が和らいできました。
 執務に入り一緒に来たダニエルさんに窓を大きく開けて貰い深呼吸をします。
「はぁ、なんだか少し落ち着いてきました。痛みも取れた気がします」
「これを飲めばスッキリすると思うよ。しかし本当に仲が良いんだな。同時に頭痛になるなんて」
「ほんとだな、痛みが引くのも一緒なんてな」
 バージルはそう言いながらダニエルが出してくれたレモン入りの果実水を一気に飲み干します」
「晩餐までは時間がある。俺は用事を済ませに行くから二人はゆっくり休んでいるといいよ。何かあれば呼びに来る」
「ああそうしてくれ」
「ありがとうございます、ダニエルさん」
 アンナが軽く会釈をすると
「忙しくて二人でいる時間も最近無かっただろう?お嬢不足だとバージルが荒れるからね」
「ダニエル感謝するよ」
「ごゆっくりね~」
 ダニエルは笑いながら手を振り部屋を出て行きました。

「ジル様、私思うのですけど、頭痛が始まったのは百合の花の香りがし始めてからです。香りが体質に合わないのかしら」
「言われてみれば私もそんな気がするが、王宮でもユリは普通に飾られることはあるが今までこのような事はなかった」
「そうですか・・・」
「アンナはもう大丈夫か?」
「はい・・・んっ」
 返事をしている途中で唇を奪われました。
「ジル様ァ」
 ジル様がついさっき飲んだレモンの香りと甘酸っぱさが残ります。
「何だいアンナ?」
「急にどうしたんですか⁉」
「いつも通りだけど、気分が良くなるようにね。ほら」
 もう一度唇を合わせると

「アンナ少しくちを開けて」
 と親指で顎を少し下げられ隙間から舌をねじ込ませてきました。

「ん、あっ」

 抵抗できないままバージルの舌に翻弄され頭がボーとしていると
 一度軽く離し「鼻で息をするんだよと」もう一度深く口づけられ何か分からない気持ちがゾワゾワとアンナの体中を駆け巡り力が抜けていきます。

「しまった。少しやり過ぎたかな。晩餐まで少し眠っておいで」

 力が抜けたアンナを抱き上げると執務室の続き間にある自分専用の仮眠室のベッドへ運び寝かせ「また後で」と額にキスを落としました。

 バージルは自分のほてりを抑えるため洗面台で顔を洗い鏡に映る自分の顔を見ながら・・・


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