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第3章*婚約期
◆バージル◆
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婚約したと言えアンナはまだ成人前。
初心な彼女は手を繋ぐだけでも頬を染める。
触れたくてもそこは自重しなくていけないと自分に言い聞かせる。
くーっ!可愛くて仕方ない。
馬車で移動の際は自分に膝の上にアンナを乗せる。
それだけでも彼女から自然と心地よい魔力が流れて癒される。激務のストレスから起こる魔力暴走を抑えてくれるのだ。
それを知ったダニエルは激務が続くとちゃんとスケジュールを空けてアンナ補給をさせてくれる出来た側近だ。
本人からすれば自分に八つ当たりされないで済むならといったところなんだろうけれどね。
で、やっと出会ってから十カ月近く経ちチャンスは訪れたのだ。
マリーとのランチの約束の件で図書館にアンナを探しに行く。
といっても内緒で彼女の行動には陰の監視を付けているので居場所は随時報告済みなんだけどね。
そのあとバラの庭園に散歩に出かけた。ここは王家の庭園だから許可なく人は入ってこない。
なんにしろアンナ不足だったから立ち止まり抱き締めてから肩に額を乗せた。たまたまアンナの首筋が目に入ったので軽く唇をあてる。(本当に)たまたまだからな。
軽く唇で触れただけなのに「ひゃっ」とか可愛い声を上げてくるものだから我慢できず少し先へ進もうと唇にキスをしてみる。初めてだったらしく彼女は目を見開いたままだった。
あーーー!もうプラチナピンクの瞳が可愛くて堪らない。
「アンナ、キスするときは目は閉じるんだよ」
というと
「な、慣れていないもので」
と返って来る。
私は思わず笑みを浮かべもう一度顔を寄せると彼女は慌てて瞼をぎゅっと閉じる。さっきより少し長く唇を奪った。
静かに離れ彼女を見るととろんとした瞳で私の事を見つめていた。
「良い子だ」
言った後で『良い子だってなんだよ』と自分でツッコミを入れてしまう。
口づけを交わしている最中アンナから魔力が流れ身体中に心地よさが広がって行き不思議な感覚に襲われていた。
これは病みつきになりそうだ。
婚約をしてから十カ月だ。この体質になる前の私だったらその日の内に唇ぐらい奪っていただろう。長かった十カ月、そしてもうすぐアンナも成人を迎える。
私も限界が近い。これからはこうして少しずつ私の物だと伝えて行こうと思う。少し攻めの姿勢で行くつもりだが約束通り婚姻までは彼女の全部を奪う事はしない。
彼女を見送りニヤけ下がった顔をしていたのかダニエルが意味深げに私の顔を見ている。
「なんだ?」
「いや、幸せそうな顔をしているなと思って。口づけでも出来たのか?」
ダニエルの口づけという言葉にさっきの甘い魔力の流れを思い出し思わず口元を隠してしまった。
「二十歳にもなって口づけ位で照れるなよ」
「いや、お前には分からないだろうけど、魔力の交流がな・・・」
「ふーん、下が疼いたんじゃなくて魔力交流で気持ち良くなってんだ」
「うるさい、ほっといてくれ!」
ダニエルに揶揄われ妙に恥ずかしくなる。
お陰でその夜はアンナに口づけしその先に進む夢まで見てしまったではないか。
悶々とした夜はまだ続きそうだ。
それ以降彼女も私の事を意識してくれるようになって来たのが分かる。少しずつ距離を縮めていっている中、聖女マリーの素行についてアンナから話がしたいと言われる。
ただの我儘にしては度を越している事を知り愕然とした。
執務室で聖堂でのマリーの様子を魔道具で見せられる。
その行動は見るに耐えられないものだったがそれ以上に驚かされたのはその魔道具だった。
四角い薄い箱の中でマリーの祈りの様子が映し出され動いているのだ。
初めて見る魔道具はアンナが作ったのだという。
こんなものが作れるってどういうことだ?
否そんな事は二の次だ。
それを撮ったのは彼女の親しい友人で・・・それも添い寝するほど親しい男だと⁉
陰からは親しくしている男がいるなんて報告は聞いてないぞ。
どういう事なんだアンナ・・・私だって我慢をしていると云うのに。
その上暖かくて気持ちいいだと?
落ち込むのと同時にやり場のない気持ちを必死に抑えた。
ダニエルは私の魔力が暴走するのではとハラハラしているようだ。だがビオラが肩を震わせて笑っている。
何がそんなにおかしいのだ。笑うところ頃なのかビオラ・・・
「アンナそのくらいで勘弁してあげないとバージルの魔力が暴走するわよ」
アンナは上目づかいで私を見るとちょろっと舌を出した。
「ジル様、フォルヴァを呼んでも良いでしょうか?」
「直ぐに呼べるなら私も恋敵の顔が見たい呼んでくれ」
やけくそ気味に答える。
「フォルヴァ」
アンナが立ち上がりその親しいという友人の名前を呼ぶと突然窓の外から一筋の光が差し込みガラスを通り抜け彼女の横にその形を現していく。
熊ほどある真っ白な狼が出現しアンナに頬ずりをしているのを見て腰が抜ける程驚いた。
そしてなんと現れたのは聖獣だという。
平然と言う彼女に私とダニエルは只唖然とするばかりだった。
なんだ一体!精霊と契約を交わすことが出来、とてつもない魔力を持ち、癒しの力を使い、聖獣まで従えるアンナはいったい、、、
「うふ、アンナは私の愛し子であり聖女よ」
ビオラが嬉しそうに言った。
いやいや、これだけの条件が揃えば聖女と言われても疑う余地はないけれど。
アンナが聖女。。。
私はとんでもない娘に求婚をしていたのだと改めて思う。
その後も令嬢とは思えない行動を起こし周囲を驚かせる。
今度は料理をするだと?!
クッキーを焼くくらいならともかく彼女の作るものは独創的で始めて見る料理だった。
エビフライにカラアゲ?そしてハンバーガー?
不思議なものばかりだったが、美味かった。
うん、本当に美味かったのだよ。
胃袋をガッツリ掴まれてしまった。
ハンバーガーとやらを食べた時に口元に付いたソースを可愛い舌でぺろりと舐めた。
心臓がドキリと跳ね見とれてしまう。
少女の仕草に色気を感じ色々な想像が頭の中を駆け巡り下半身に集中してしまうのを必死に堪えた。
隣のダニエルにわき腹を突っつかれ我に返った。
長い付き合いのダニエルには何でもお見通しなんだな。
恥ずかしいぞ俺。
++++++++++++++++++++++++++++
バージルは最後に「俺」と子供時以来今は使わなくなった一人称がポロリと出た瞬間でした。
次の章から新た展開となりますのでバージルの心情にダニエルの心情も続けてアップさせて頂きます_(._.)_
初心な彼女は手を繋ぐだけでも頬を染める。
触れたくてもそこは自重しなくていけないと自分に言い聞かせる。
くーっ!可愛くて仕方ない。
馬車で移動の際は自分に膝の上にアンナを乗せる。
それだけでも彼女から自然と心地よい魔力が流れて癒される。激務のストレスから起こる魔力暴走を抑えてくれるのだ。
それを知ったダニエルは激務が続くとちゃんとスケジュールを空けてアンナ補給をさせてくれる出来た側近だ。
本人からすれば自分に八つ当たりされないで済むならといったところなんだろうけれどね。
で、やっと出会ってから十カ月近く経ちチャンスは訪れたのだ。
マリーとのランチの約束の件で図書館にアンナを探しに行く。
といっても内緒で彼女の行動には陰の監視を付けているので居場所は随時報告済みなんだけどね。
そのあとバラの庭園に散歩に出かけた。ここは王家の庭園だから許可なく人は入ってこない。
なんにしろアンナ不足だったから立ち止まり抱き締めてから肩に額を乗せた。たまたまアンナの首筋が目に入ったので軽く唇をあてる。(本当に)たまたまだからな。
軽く唇で触れただけなのに「ひゃっ」とか可愛い声を上げてくるものだから我慢できず少し先へ進もうと唇にキスをしてみる。初めてだったらしく彼女は目を見開いたままだった。
あーーー!もうプラチナピンクの瞳が可愛くて堪らない。
「アンナ、キスするときは目は閉じるんだよ」
というと
「な、慣れていないもので」
と返って来る。
私は思わず笑みを浮かべもう一度顔を寄せると彼女は慌てて瞼をぎゅっと閉じる。さっきより少し長く唇を奪った。
静かに離れ彼女を見るととろんとした瞳で私の事を見つめていた。
「良い子だ」
言った後で『良い子だってなんだよ』と自分でツッコミを入れてしまう。
口づけを交わしている最中アンナから魔力が流れ身体中に心地よさが広がって行き不思議な感覚に襲われていた。
これは病みつきになりそうだ。
婚約をしてから十カ月だ。この体質になる前の私だったらその日の内に唇ぐらい奪っていただろう。長かった十カ月、そしてもうすぐアンナも成人を迎える。
私も限界が近い。これからはこうして少しずつ私の物だと伝えて行こうと思う。少し攻めの姿勢で行くつもりだが約束通り婚姻までは彼女の全部を奪う事はしない。
彼女を見送りニヤけ下がった顔をしていたのかダニエルが意味深げに私の顔を見ている。
「なんだ?」
「いや、幸せそうな顔をしているなと思って。口づけでも出来たのか?」
ダニエルの口づけという言葉にさっきの甘い魔力の流れを思い出し思わず口元を隠してしまった。
「二十歳にもなって口づけ位で照れるなよ」
「いや、お前には分からないだろうけど、魔力の交流がな・・・」
「ふーん、下が疼いたんじゃなくて魔力交流で気持ち良くなってんだ」
「うるさい、ほっといてくれ!」
ダニエルに揶揄われ妙に恥ずかしくなる。
お陰でその夜はアンナに口づけしその先に進む夢まで見てしまったではないか。
悶々とした夜はまだ続きそうだ。
それ以降彼女も私の事を意識してくれるようになって来たのが分かる。少しずつ距離を縮めていっている中、聖女マリーの素行についてアンナから話がしたいと言われる。
ただの我儘にしては度を越している事を知り愕然とした。
執務室で聖堂でのマリーの様子を魔道具で見せられる。
その行動は見るに耐えられないものだったがそれ以上に驚かされたのはその魔道具だった。
四角い薄い箱の中でマリーの祈りの様子が映し出され動いているのだ。
初めて見る魔道具はアンナが作ったのだという。
こんなものが作れるってどういうことだ?
否そんな事は二の次だ。
それを撮ったのは彼女の親しい友人で・・・それも添い寝するほど親しい男だと⁉
陰からは親しくしている男がいるなんて報告は聞いてないぞ。
どういう事なんだアンナ・・・私だって我慢をしていると云うのに。
その上暖かくて気持ちいいだと?
落ち込むのと同時にやり場のない気持ちを必死に抑えた。
ダニエルは私の魔力が暴走するのではとハラハラしているようだ。だがビオラが肩を震わせて笑っている。
何がそんなにおかしいのだ。笑うところ頃なのかビオラ・・・
「アンナそのくらいで勘弁してあげないとバージルの魔力が暴走するわよ」
アンナは上目づかいで私を見るとちょろっと舌を出した。
「ジル様、フォルヴァを呼んでも良いでしょうか?」
「直ぐに呼べるなら私も恋敵の顔が見たい呼んでくれ」
やけくそ気味に答える。
「フォルヴァ」
アンナが立ち上がりその親しいという友人の名前を呼ぶと突然窓の外から一筋の光が差し込みガラスを通り抜け彼女の横にその形を現していく。
熊ほどある真っ白な狼が出現しアンナに頬ずりをしているのを見て腰が抜ける程驚いた。
そしてなんと現れたのは聖獣だという。
平然と言う彼女に私とダニエルは只唖然とするばかりだった。
なんだ一体!精霊と契約を交わすことが出来、とてつもない魔力を持ち、癒しの力を使い、聖獣まで従えるアンナはいったい、、、
「うふ、アンナは私の愛し子であり聖女よ」
ビオラが嬉しそうに言った。
いやいや、これだけの条件が揃えば聖女と言われても疑う余地はないけれど。
アンナが聖女。。。
私はとんでもない娘に求婚をしていたのだと改めて思う。
その後も令嬢とは思えない行動を起こし周囲を驚かせる。
今度は料理をするだと?!
クッキーを焼くくらいならともかく彼女の作るものは独創的で始めて見る料理だった。
エビフライにカラアゲ?そしてハンバーガー?
不思議なものばかりだったが、美味かった。
うん、本当に美味かったのだよ。
胃袋をガッツリ掴まれてしまった。
ハンバーガーとやらを食べた時に口元に付いたソースを可愛い舌でぺろりと舐めた。
心臓がドキリと跳ね見とれてしまう。
少女の仕草に色気を感じ色々な想像が頭の中を駆け巡り下半身に集中してしまうのを必死に堪えた。
隣のダニエルにわき腹を突っつかれ我に返った。
長い付き合いのダニエルには何でもお見通しなんだな。
恥ずかしいぞ俺。
++++++++++++++++++++++++++++
バージルは最後に「俺」と子供時以来今は使わなくなった一人称がポロリと出た瞬間でした。
次の章から新た展開となりますのでバージルの心情にダニエルの心情も続けてアップさせて頂きます_(._.)_
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