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第3章*婚約期
お忍びデート②
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「アンナは何処から見て回りたい?」
「そうですねーとりあえず順番に行ってみましょう?」
「よし分かった」
バージル様はわたしの手を繋いだままどんどん人込みを進んでいきます。
後ろを振り返るとダニエルさんとビオラが行ってらっしゃいとばかりに笑いながら手を振って・・・えっ、一緒に来ないの?
「案ずるな、ビオラはアンナが何処にいようと分かっているだろう?私だって本当は護衛が居なくとも全く問題無い。体裁上ダニエルが付いてくるだけだからね」
「そうですか、バージル様はお強いですものね」
「アンナ、呼び方元に戻ってる」
「えっ、ジ、ジル様ですか?」
「様もいらないけどまあいいか。私たちは恋人同士だろう?」
【恋人】
その響きに思わず赤面してしまう。
「赤くなって。本当にアンナは可愛いな」
目を細めて笑いながら突然額にキスされました!
「ひゃぁー、バージル様っ」
ここ公道ですよ!
いっぱい人がいますよ!
何しちゃってるんですか!
「アンナ、ジルだよ」
「・・・」
「おっ、仲が良いね~。どうだい兄さん、彼女に髪飾りなんて」
突然露天商のおじさんに声を掛けれらました。
「ん、どれ?見せて貰おうかな」
バージル様はわたしの手を引き並べられた髪飾りを手にとっては私の髪に充てて品定めを始めました。
「しっかし、お嬢ちゃんの髪色は綺麗だな~」
「私のお気に入りだからね」
「そうだろうよ、あっ、こんなのはどうだい?付けてごらん」
おじさんが差し出したのはカチューシャに黒のレースで編んだ小花モチーフを並べて付けたものでした。
バージルはそれをアンナの髪に挿し込むと
「うん、良いね似合ってる。それとこれも一緒に貰うよ」
と、私の髪色よりもずっと濃い色のパールのビーズがびっちりと付いた髪留めをおじさんに渡しました。
「バー、、、ジル様。一つで十分です」
「いいんだよ、私がアンナにプレゼントしたいんだから」
あーーもう。そんなお優しいお顔で言わないで下さい。ドキドキが止まらなくなります。
「お嬢ちゃん、彼氏が良いって言うんだから遠慮しないで貰っとけって」
「おじさんは商品がいっぱい売れればいいと思ってるから・・・」
「あはは、図星だな(笑)よし、これはサービスだ」
笑ながらおじさんが出したのはカチューシャとお揃いのチョーカーでした。
シルバーのサテンのリボンにカチューシャと同じレースの小花が三つ。
「可愛い」
思わずに声に出てしまいました。
「どれ、付けてあげるから髪を上げてアンナ」
「えっ、今ですか?(汗)大丈夫です!後でビオラにやって貰うので」
「せっかくの店主のサービスだよ。付けてみなくちゃ」
そういうと私の髪を一纏めに掴みくるりと捻って上に持ち上げて
「はい、ここを持っていて」
と言いチョーカーのリボンを首の後ろで結び始めました。
ダメだ。ダメだ恥ずかし過ぎる。うなじをみられてますよー。
「どう、苦しくない?うん大丈夫みたいだね。髪降ろしてみて」
手を離しはらりと落ちた腰まである髪をバージルは手で撫で整えます。
「おっ、やっぱり俺の見立てた通りだ。お嬢ちゃんにピッタリだと思わないかい、兄さん?」
「ああ、よく似合ってる」
おじさんとバージルは満足そうに頷きました。
バージルがポケットから紙幣を出し店主に渡すと釣りはとって置いてとさり気なく言います。
「とんでもねぇ。釣りで同じものがあと五つ買えるじゃねえか」
慌てるおじさん。
「いいんだよ。私のフィアンセを可愛くしてくれたお礼だ」
「フィアンセですかい。ホントに良いんですかい?何かすまねえな」
「気にするな」
「それじゃ遠慮なく。お嬢ちゃんもありがとうな」
「こちらこそ」
私も笑顔で答えます。
ペコペコ頭を下げるおじさんを後に私達は次の場所へと向かいました。
昼になり落ち合ったダニエルさんとビオラと四人で昼食をとる事にしました。
広場にあるテーブルに屋台の串焼きが並びます。
「わぁ、美味しそう。もうお腹がペコペコ」
ビオラの言葉にダニエルさんが不思議そうな顔をしています。
「あのう、つかぬ事をお聞きしますが、ビオラさんは精霊殿なんですよね。食事は普通にとられるのですか?」
「はぁ?当たり前でしょう。仙人じゃないんだから霞を食べてるワケじゃないわよ!まぁ食べなくてもどうってことは無いけど・・・」
「そ、それは失礼いたした」
ダニエルさんは頭を掻きながらぺこりと頭を下げました。
「この串焼き美味いな」
バージル様が豪快に串焼きにかぶりつきます。
「殿下、いや、バージル様。こちらのエビもシンプルで旨いですよ」
ダニエルさんの勧めでみんなが海老に手を伸ばす。
「うん、香ばしくてよいな」
そうなんですよ。手を掛け過ぎるより塩コショウで炭火で焼いたらそれだけでご馳走になるんですから。
串焼きを食べながら王宮の中庭でバーベキューなんて良いかもと思ったり。
あとマヨネーズがあればエビマヨも食べたいわ。
マヨネーズ・・・恋しいわ。
そういえばグリル料理はあるけど揚げ物ってあまりないわよね。
あーーー唐揚げも食べたくなってきた。
日本での料理を思い出し急に味が恋しくなる。
「どうしたアンナ?」
ちょっと遠い目をしていた私をバージル様が心配そうに覗き込みます。
「あっ、いえ何でもありません。ちょっと何か自分で作れないかなって」
「なんだ、料理をか?」
「ええ、食べたいものがありまして」
「料理なんてダメだ、火傷でもしたら大変だろう!食べたいものがあったら料理長に言って作って貰ったらいい」
そんなに声を荒げなくてもいいのに・・・
「火傷くらい治癒魔法で直ぐに治ります」
「そういう問題ではない」
バージルの剣幕にアンナは少し落ち込みました。
「でも、多分私が食べたいものは料理長に言っても分からないと思います」
「ん?異国の料理なのか?」
「異国と言えば異国ですかね」
私の言葉にビオラだけは察するところがあり
「いいですね、お嬢さま今度私と作りましょう」
と優しく微笑みながら言ってくれたのでした。
「しかし、貴族の令嬢が料理とは・・・」
ダニエルさんも渋い顔をされています。
私は意を決して二人に向かって言いました。
「近い内にお二人に私の料理をご馳走いたしますわ!」
立ち上がり言い切るアンナににバージルとダニエルは目を見開き、ビオラは拍手を送りました。
「そうですねーとりあえず順番に行ってみましょう?」
「よし分かった」
バージル様はわたしの手を繋いだままどんどん人込みを進んでいきます。
後ろを振り返るとダニエルさんとビオラが行ってらっしゃいとばかりに笑いながら手を振って・・・えっ、一緒に来ないの?
「案ずるな、ビオラはアンナが何処にいようと分かっているだろう?私だって本当は護衛が居なくとも全く問題無い。体裁上ダニエルが付いてくるだけだからね」
「そうですか、バージル様はお強いですものね」
「アンナ、呼び方元に戻ってる」
「えっ、ジ、ジル様ですか?」
「様もいらないけどまあいいか。私たちは恋人同士だろう?」
【恋人】
その響きに思わず赤面してしまう。
「赤くなって。本当にアンナは可愛いな」
目を細めて笑いながら突然額にキスされました!
「ひゃぁー、バージル様っ」
ここ公道ですよ!
いっぱい人がいますよ!
何しちゃってるんですか!
「アンナ、ジルだよ」
「・・・」
「おっ、仲が良いね~。どうだい兄さん、彼女に髪飾りなんて」
突然露天商のおじさんに声を掛けれらました。
「ん、どれ?見せて貰おうかな」
バージル様はわたしの手を引き並べられた髪飾りを手にとっては私の髪に充てて品定めを始めました。
「しっかし、お嬢ちゃんの髪色は綺麗だな~」
「私のお気に入りだからね」
「そうだろうよ、あっ、こんなのはどうだい?付けてごらん」
おじさんが差し出したのはカチューシャに黒のレースで編んだ小花モチーフを並べて付けたものでした。
バージルはそれをアンナの髪に挿し込むと
「うん、良いね似合ってる。それとこれも一緒に貰うよ」
と、私の髪色よりもずっと濃い色のパールのビーズがびっちりと付いた髪留めをおじさんに渡しました。
「バー、、、ジル様。一つで十分です」
「いいんだよ、私がアンナにプレゼントしたいんだから」
あーーもう。そんなお優しいお顔で言わないで下さい。ドキドキが止まらなくなります。
「お嬢ちゃん、彼氏が良いって言うんだから遠慮しないで貰っとけって」
「おじさんは商品がいっぱい売れればいいと思ってるから・・・」
「あはは、図星だな(笑)よし、これはサービスだ」
笑ながらおじさんが出したのはカチューシャとお揃いのチョーカーでした。
シルバーのサテンのリボンにカチューシャと同じレースの小花が三つ。
「可愛い」
思わずに声に出てしまいました。
「どれ、付けてあげるから髪を上げてアンナ」
「えっ、今ですか?(汗)大丈夫です!後でビオラにやって貰うので」
「せっかくの店主のサービスだよ。付けてみなくちゃ」
そういうと私の髪を一纏めに掴みくるりと捻って上に持ち上げて
「はい、ここを持っていて」
と言いチョーカーのリボンを首の後ろで結び始めました。
ダメだ。ダメだ恥ずかし過ぎる。うなじをみられてますよー。
「どう、苦しくない?うん大丈夫みたいだね。髪降ろしてみて」
手を離しはらりと落ちた腰まである髪をバージルは手で撫で整えます。
「おっ、やっぱり俺の見立てた通りだ。お嬢ちゃんにピッタリだと思わないかい、兄さん?」
「ああ、よく似合ってる」
おじさんとバージルは満足そうに頷きました。
バージルがポケットから紙幣を出し店主に渡すと釣りはとって置いてとさり気なく言います。
「とんでもねぇ。釣りで同じものがあと五つ買えるじゃねえか」
慌てるおじさん。
「いいんだよ。私のフィアンセを可愛くしてくれたお礼だ」
「フィアンセですかい。ホントに良いんですかい?何かすまねえな」
「気にするな」
「それじゃ遠慮なく。お嬢ちゃんもありがとうな」
「こちらこそ」
私も笑顔で答えます。
ペコペコ頭を下げるおじさんを後に私達は次の場所へと向かいました。
昼になり落ち合ったダニエルさんとビオラと四人で昼食をとる事にしました。
広場にあるテーブルに屋台の串焼きが並びます。
「わぁ、美味しそう。もうお腹がペコペコ」
ビオラの言葉にダニエルさんが不思議そうな顔をしています。
「あのう、つかぬ事をお聞きしますが、ビオラさんは精霊殿なんですよね。食事は普通にとられるのですか?」
「はぁ?当たり前でしょう。仙人じゃないんだから霞を食べてるワケじゃないわよ!まぁ食べなくてもどうってことは無いけど・・・」
「そ、それは失礼いたした」
ダニエルさんは頭を掻きながらぺこりと頭を下げました。
「この串焼き美味いな」
バージル様が豪快に串焼きにかぶりつきます。
「殿下、いや、バージル様。こちらのエビもシンプルで旨いですよ」
ダニエルさんの勧めでみんなが海老に手を伸ばす。
「うん、香ばしくてよいな」
そうなんですよ。手を掛け過ぎるより塩コショウで炭火で焼いたらそれだけでご馳走になるんですから。
串焼きを食べながら王宮の中庭でバーベキューなんて良いかもと思ったり。
あとマヨネーズがあればエビマヨも食べたいわ。
マヨネーズ・・・恋しいわ。
そういえばグリル料理はあるけど揚げ物ってあまりないわよね。
あーーー唐揚げも食べたくなってきた。
日本での料理を思い出し急に味が恋しくなる。
「どうしたアンナ?」
ちょっと遠い目をしていた私をバージル様が心配そうに覗き込みます。
「あっ、いえ何でもありません。ちょっと何か自分で作れないかなって」
「なんだ、料理をか?」
「ええ、食べたいものがありまして」
「料理なんてダメだ、火傷でもしたら大変だろう!食べたいものがあったら料理長に言って作って貰ったらいい」
そんなに声を荒げなくてもいいのに・・・
「火傷くらい治癒魔法で直ぐに治ります」
「そういう問題ではない」
バージルの剣幕にアンナは少し落ち込みました。
「でも、多分私が食べたいものは料理長に言っても分からないと思います」
「ん?異国の料理なのか?」
「異国と言えば異国ですかね」
私の言葉にビオラだけは察するところがあり
「いいですね、お嬢さま今度私と作りましょう」
と優しく微笑みながら言ってくれたのでした。
「しかし、貴族の令嬢が料理とは・・・」
ダニエルさんも渋い顔をされています。
私は意を決して二人に向かって言いました。
「近い内にお二人に私の料理をご馳走いたしますわ!」
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