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第3章*婚約期
フォルヴァと大聖女のお話し③
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時が過ぎ彼女の行動を見ていると人の為に魔法や魔術らしきものは使うが院の中にいる者以外には分からないようしている。成長するにしたがって彼女の持つ力が我の目にも見えるようになってきた。
そして彼女が十二の頃には我の中ではすでにジュリアーナは聖女認定されていた。
彼女の傍は暖かく心地よい。ずっと傍らにいたいと思うように迄なっていたのだ。
いつものように屋根の上で昼寝をしていると何やら鶏小屋が騒がしい。修道院の屋根をつたい小屋を見下ろすと数匹の野犬が鶏を襲おうとしていた。
みな孤児院まわりとかで留守にしており院の中は耳の遠い老婆が一人で留守番をしているだけだ。
鶏が襲われたら明日から卵が採れなくなるな。
我は狼の姿のまま屋根を駆け降り野犬の前に立ちはだかった。
野犬の十匹やそこら我にとってはお遊び程度で終わる。
威嚇すると数匹は引き下がり逃げて行ったが残りの数匹は牙をむき出し攻撃態勢をとっている。
『仕方あるまい』
飛び掛かって来る野犬を前足の爪で払い、それでもまだ攻撃を辞めない奴の首元に牙をあて仕留める。
ふと気づくと建物の影にジュリアーナの姿があった。
『見られてしまったか・・・』
ジュリアーナはあの時の様に我に駆け寄って来ると
「あなたはあの時のオオカミよね。うちの鶏を助けてくれたのね、ありがとう」
と返り血を浴びている我に抱き付いてきた。
「それにしても狼さん、ずいぶん大きくなったわね」
ジュリアーナは返り血をハンカチで拭きながら下げた我の頭を撫でる。
『ああこの感じだ』
我はうっとりしながら思わず言葉を発してしまった。
「我は聖獣、名はフォルヴァ。今この時点でジュリアーナそなたを主と決めた」
ジュリアーナは我の言葉に驚きもしなかった。
それどころか「よろしくね」と頬ずりまでされ我は我を失った。。。
ジュリアーナと話が出来るようになった我は彼女の生い立ちなど色々聞いた。
気が付いたら色んな力が使えるようになっていた。
魔獣が初めて現れた時に来ないでと手を翳したら何かが出て魔獣は消え去った。
捨てられた私を娘として育ててくれた院長先生と分け隔てなく接してくれたこの村の人達が神のご加護で守られたら良いなと両手を広げたら結界の壁が出来たと云うのだ。
我は思った。
神々の間で言い伝えられる何百年に一度生まれてくると言われた大聖女なのではないかと。
五百年生きている我でさえまだ会ったことがない伝説の大聖女なのだ。
聖女の力ではどうにもならない時に陰から助けるため、世の人々は表舞台にいる聖女のお陰だと思い大聖女の存在すら知り得ないのだという。
数年前の災害時に人知れず負傷者全員を助け、恩のあるこの村全体を誰にも言わず一人で守っているジュリアーナはその大聖女に違いない。
我は主と決めたジュリアーナの傍で時を過ごした。だが、この村以外の場所では魔獣も瘴気も聖女の祈りでは消えてもまた次から次へ沸いて来ていた。
十五になったジュリアーナは旅人などから外の状況を知り心を痛め旅に出る事を決意する。
主になった者の考えは我に通じ知ることが出来る。
彼女はこの国全体を救うために立ち上がったのだと。
義母のエニスタは薄々彼女の力に気付いておりジュリアーナはここだけで留まるものではない存在であると思っていた。
旅立ちの時ジュリアーナをきつく抱きしめ「神のご加護を」と何度も呟きながらキスをし送り出した。
我らは人知れず魔獣を退治しながら結界を張り国中を回った。それは毎日壮絶な戦いであった。その合間に瘴気を薄めていく。神殿では聖女も昼夜問わず祈りを捧げ瘴気と災いを取り去ることに命を注いでいた。
長い年月大聖女の力が回復する間もなく戦い続けジュリアーナの身体はボロボロだった。
そして最後の魔獣を倒し彼女の命は終わろうとしていた。
魔獣が消滅したあと最後の力を振り絞り国全体を覆う結界を張り終える。息絶え絶えになった時、自分の魂を取り出すとその半分を我に飲めと言った。
我は大聖女ジュリアーナの願いを聞き入れその魂を飲み込み、残りの半分を神に預け息を引き取った。
我は来世かその先か分からぬジュリアーナとの再会を願い旅に出たのだった。
その後この国はジュリアーナの張った結界に守られ平和を取り戻していく。
彼女の力は徐々に薄れていくが残った聖女の祈りは強く綱渡りではあったが結界は守られ続けた。
あれから二百年我は半欠けのジュリアーナの探し彷徨っていた。
そしてとうとう見つけたのだ。我々のいた世界とは違う次元にある日本という国で生きるジュリアーナの魂を。
嬉しさのあまり飛びついてしまったせいで彼女の魂を持つ者を死なせてしまった。
神は私の中にあったジュリアーナの魂を取り出し我に罰を与えた。
罰を終えれば次にジュリアーナの魂を持つ者の傍に送ってくれると約束してくれたのだ。
それから百年近く長かった罰を終え我はここへ戻ることが出来た。
ジュリアーナの魂を持つ少女はジュリアンナと言いジュリアーナと瓜二つで可愛い娘だ。
そして我の知らない内に光りの精霊とも契約を交わしていたジュリアンナ。
だがそんな事はどうでもよい。
我はジュリアーナの魂とそれを持つ賢く愛らしいジュリアンナの傍に居るだけで幸せなのだから。
■
フォルヴァが神殿でジュリアーナとの一生を思い出に浸っているとようやく王宮馬車で聖女マリーが神殿へ到着した。
そして彼女が十二の頃には我の中ではすでにジュリアーナは聖女認定されていた。
彼女の傍は暖かく心地よい。ずっと傍らにいたいと思うように迄なっていたのだ。
いつものように屋根の上で昼寝をしていると何やら鶏小屋が騒がしい。修道院の屋根をつたい小屋を見下ろすと数匹の野犬が鶏を襲おうとしていた。
みな孤児院まわりとかで留守にしており院の中は耳の遠い老婆が一人で留守番をしているだけだ。
鶏が襲われたら明日から卵が採れなくなるな。
我は狼の姿のまま屋根を駆け降り野犬の前に立ちはだかった。
野犬の十匹やそこら我にとってはお遊び程度で終わる。
威嚇すると数匹は引き下がり逃げて行ったが残りの数匹は牙をむき出し攻撃態勢をとっている。
『仕方あるまい』
飛び掛かって来る野犬を前足の爪で払い、それでもまだ攻撃を辞めない奴の首元に牙をあて仕留める。
ふと気づくと建物の影にジュリアーナの姿があった。
『見られてしまったか・・・』
ジュリアーナはあの時の様に我に駆け寄って来ると
「あなたはあの時のオオカミよね。うちの鶏を助けてくれたのね、ありがとう」
と返り血を浴びている我に抱き付いてきた。
「それにしても狼さん、ずいぶん大きくなったわね」
ジュリアーナは返り血をハンカチで拭きながら下げた我の頭を撫でる。
『ああこの感じだ』
我はうっとりしながら思わず言葉を発してしまった。
「我は聖獣、名はフォルヴァ。今この時点でジュリアーナそなたを主と決めた」
ジュリアーナは我の言葉に驚きもしなかった。
それどころか「よろしくね」と頬ずりまでされ我は我を失った。。。
ジュリアーナと話が出来るようになった我は彼女の生い立ちなど色々聞いた。
気が付いたら色んな力が使えるようになっていた。
魔獣が初めて現れた時に来ないでと手を翳したら何かが出て魔獣は消え去った。
捨てられた私を娘として育ててくれた院長先生と分け隔てなく接してくれたこの村の人達が神のご加護で守られたら良いなと両手を広げたら結界の壁が出来たと云うのだ。
我は思った。
神々の間で言い伝えられる何百年に一度生まれてくると言われた大聖女なのではないかと。
五百年生きている我でさえまだ会ったことがない伝説の大聖女なのだ。
聖女の力ではどうにもならない時に陰から助けるため、世の人々は表舞台にいる聖女のお陰だと思い大聖女の存在すら知り得ないのだという。
数年前の災害時に人知れず負傷者全員を助け、恩のあるこの村全体を誰にも言わず一人で守っているジュリアーナはその大聖女に違いない。
我は主と決めたジュリアーナの傍で時を過ごした。だが、この村以外の場所では魔獣も瘴気も聖女の祈りでは消えてもまた次から次へ沸いて来ていた。
十五になったジュリアーナは旅人などから外の状況を知り心を痛め旅に出る事を決意する。
主になった者の考えは我に通じ知ることが出来る。
彼女はこの国全体を救うために立ち上がったのだと。
義母のエニスタは薄々彼女の力に気付いておりジュリアーナはここだけで留まるものではない存在であると思っていた。
旅立ちの時ジュリアーナをきつく抱きしめ「神のご加護を」と何度も呟きながらキスをし送り出した。
我らは人知れず魔獣を退治しながら結界を張り国中を回った。それは毎日壮絶な戦いであった。その合間に瘴気を薄めていく。神殿では聖女も昼夜問わず祈りを捧げ瘴気と災いを取り去ることに命を注いでいた。
長い年月大聖女の力が回復する間もなく戦い続けジュリアーナの身体はボロボロだった。
そして最後の魔獣を倒し彼女の命は終わろうとしていた。
魔獣が消滅したあと最後の力を振り絞り国全体を覆う結界を張り終える。息絶え絶えになった時、自分の魂を取り出すとその半分を我に飲めと言った。
我は大聖女ジュリアーナの願いを聞き入れその魂を飲み込み、残りの半分を神に預け息を引き取った。
我は来世かその先か分からぬジュリアーナとの再会を願い旅に出たのだった。
その後この国はジュリアーナの張った結界に守られ平和を取り戻していく。
彼女の力は徐々に薄れていくが残った聖女の祈りは強く綱渡りではあったが結界は守られ続けた。
あれから二百年我は半欠けのジュリアーナの探し彷徨っていた。
そしてとうとう見つけたのだ。我々のいた世界とは違う次元にある日本という国で生きるジュリアーナの魂を。
嬉しさのあまり飛びついてしまったせいで彼女の魂を持つ者を死なせてしまった。
神は私の中にあったジュリアーナの魂を取り出し我に罰を与えた。
罰を終えれば次にジュリアーナの魂を持つ者の傍に送ってくれると約束してくれたのだ。
それから百年近く長かった罰を終え我はここへ戻ることが出来た。
ジュリアーナの魂を持つ少女はジュリアンナと言いジュリアーナと瓜二つで可愛い娘だ。
そして我の知らない内に光りの精霊とも契約を交わしていたジュリアンナ。
だがそんな事はどうでもよい。
我はジュリアーナの魂とそれを持つ賢く愛らしいジュリアンナの傍に居るだけで幸せなのだから。
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フォルヴァが神殿でジュリアーナとの一生を思い出に浸っているとようやく王宮馬車で聖女マリーが神殿へ到着した。
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