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第1章*アンナの前世
聖獣フォルガ
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「私は最後のプレゼントを拒否します」
『「へっ?」』
神様とビオラが同時に変な声を発しポカンと口を開けて驚いています。
こんな間抜けなお顔をした神様は初めてで思わず吹き出してしまいました。
『アンナ、もう一度聞きます。今なぜ君がここにいるかという理由を覚えてますか?』
八年前の記憶を遡ってみる。
「国を救う為・・・」
『そうです。その使命を果たすために聖獣フォルヴァは必要なのですよ』
「聖獣が必要な使命って何だか怖いですよ。聖女にならないって言ったじゃないですか。聖女にならくても魔獣とかと戦ったりするんですか?」
『魔獣は・・・二百年前に出現した最後の魔獣を命に代えてジュリアーナが討伐してから発生はしてない。でも万が一出てきたら戦う事になっちゃうけど。瘴気はまた必ず現れるよ。あれは人間の黒い気持ちが増幅しても現れるし、災害や疫病、戦争まで引き起こすからね。
君は大聖女ジュリアーナの魂を持つが杏という前世も持っている。だからジュリアーナと同じではないんだ。ジュリアーナの魂を持つ全く別の人格。そしてその力を最大限に引き出してくれる者にこの先出逢う。その者と力を合わせ聖女のフォローをし国を守って欲しいのさ。』
「・・・」
『さっきも話した通りアンナは聖女にはならない。表立ってはね。この世界にはもう聖女が存在してるからって言ったでしょう』
「ならその力の弱い聖女さんに聖獣を付けてあげたら良いんじゃないんですか?」
『フォルヴァはアンナでないと駄目なんだよ。あの聖女には就かない』
神様は困った顔をしている。
どうやら聖獣フォルヴァは拒否しても私の元へやって来るようなので諦めるしかないようです。
しかたがないな。
「分かりました。聖獣頂きます」
『良かった。それではさっそく』
ホッとした顔をして神様は立ち上がり私もベッドから出るように言いました。
『さぁ、アンナ。聖獣の名前を呼んであげなさい』
私は神様に言われた通り聖獣の名前を呼んだ。
「フォルヴァ・・・」
その名を口にしたと同時に窓の外に輝く月から一筋の光が差し込み光と共に聖獣フォルヴァがその姿を現した。
うわっ、デカ!!!
目の前の聖獣は熊ほどの大きさで姿は真っ白な狼でした。
唖然とする私を見て聖獣は「くぅーん」と甘えた声を出し飛びつきそのままベッドに押し倒すと顔中を大きな舌で舐めまわして鼻っ面を私にこすりつけて来た。
「ちょっと待って!私を押し倒してまた殺す気?離れなさいってば!」
思わず叫んでしまった。階段落ちの次は窒息死させれるなんて勘弁して欲しい。
聖獣は耳を垂れてしゅーんとすると渋々私から離れていきます。
「あはは、フォルちゃん可愛い♪」
ビオラがフォルヴァの大きな頭に乗り撫でています。
「くぅーん、すまない大聖女ジュリアーナ。そなたに会えたのが嬉しくてつい・・・」
「あたしは大聖女ジュリアーナじゃないわ。ジュリアンナよ」
「ああ、そうであったな。申し訳ない」
寂しそうな小さな声で鳴く聖獣を見ていたらジュリアーナの記憶が僅かに蘇って来た。
いつも私の傍に居て片時も離れず私の事を守ってくれていた気がする。
そして蘇った記憶は私が死を迎える瞬間でした。
■■
私は最後の魔獣との戦いを終え永久の眠りつこうとしていた。
その傍らで傷だらけになり血まみれのフォルヴァが悲しい目をして私の事を見ている。
多分このまま私の命は果てる。せめてこの子だけでも生きていて欲しい。
私は自分の中に存在する大聖女の光の魂を取り出しそれを半分に分けるとフォルヴァに差し出した。
けれどフォルヴァは飲もうとしない。
「フォルヴァお願い。最後のお願いよ。もし私の魂がもう一度生まれ変わったらまた傍に居て欲しいの」
涙ながらに願う私を見てフォルヴァも決意した。
「分かった。そなたにまた会えるのであるならば望む通りにしよう。どうか安らかに眠って欲しい。私の愛する主よ」
フォルヴァが泣きながら私の魂の半分を飲み込むのを確認するともう半分の魂を天に向かって差し出し
「神よいつか私が新しい命を授かるまで預かっていて下さい。」
と願う。
《大聖女ジュリアーナ、今まで国の為、人々の為によく働いてくれた。貴方の魂は私が預かりましょう》
神の声が聞こえ私は瞼を閉じた。
■■
私はフォルヴァの顔を見つめる。
愛しいフォルヴァ。
ちょっと間違ってしまったけれどあなたは私との約束を守ってくれたのね。
「フォルヴァ、フォルヴァ」
私は彼に抱き付き泣き崩れた。
「ジュリアーナ、今はジュリアンナだったな。そなたを誤って死なせてしまった。ジュリアーナが死んでからは二百年いや三百年近く待ったのだ。また会えて我は心底嬉しいぞ」
フォルヴァのモフモフの毛の中に顔を埋め再会を喜ぶ。
『よろしいかなアンナ』
神様の呼びかけで我に返る。
「はい」
『それと今更だけどアンナはビオラの事分かってる?』
「えっ、ビオラの何を?」
『八年も一緒にいたというのにやっぱりビオラは君に何も伝えていないみたいだな』
ビオラはバツ悪そうにフォルヴァのモフモフの毛の中に隠れてしまった。
『アンナはビオラを妖精だと思っているみたいけど、ビオラは光の精霊だからね』
「精霊・・・?うそっ!」
『ふっ。。。その反応お約束通りって感じだな。君は精霊に名前を付けてしまった。そして精霊からキスの加護を受けとった。それは精霊と契約したという事でビオラはアンナを加護する存在なっているんだよ』
「えー。マジですか!」
私は思わずフォルヴァのモフモフの毛の中をわしゃわしゃと探りビオラを両手で捕まえる。
「えへへ、アンナの為なら何でもしちゃうわよ」
精霊と契約だなんて信じられない。。。
『そいう事だから。それと生まれた時に光の加護を一度使い果たした聖女マリーはこの八年間で取り合えず聖女の器に力が溜まっている状態だ。
しかしやはり資質と器がなー(汗)
少しは期待してんだけどちょっと懸念していた通りなのだよ。でも君と出会う事により彼女も変わって行けると思う。だからアンナは陰の大聖女して何か起きた時は今の聖女を助けてあげてね』
「はあ、そういうことですか。陰からで良いんですね」
『うん、前に言ったあ・る・者・としっかり協力をしてな。頼みましたよアンナ。くれぐれも君が真の大聖女であることは知られないように。ただ力と加護を持つ者と認識される程度、それも信頼できるごく限られた人のみね。後は自由に生きて良いんだよ。それと近々聖女とそのあ・る・者・ものにも逢う事にもなるだろうから頑張って』
この時はビオラとフォルヴァもいてくれるし何とかなるだろうと安易に考えていた私でした。
『光の精霊ビオラよ、説明もせず勝手な事をしてアンナに就いたのだからしっかり精霊としての仕事をしなさい』
ビオラは《でへへ》と笑いながら
『アイアイサー』
と神様に敬礼をしました。
神様は口を押え笑いを堪えながらひらひらと片手を振り最後に
『アンナ、国を救うなんて大そうな事を言ったけど、それが起こるとは限らない。今の生を杏として前世で出来なかった事、例えば恋とか・・・恋とか・・・とにかく二度目の人生を謳歌してね』
と言い残し靄の中に消えていきました。
ポカンと口を開けている私にビオラが薄紫色の瞳を細め
『安心してアンナ。アタシがいつでも守ってあげる。フォルちゃんもいるし、これからの人生楽しみましょう」
「おう、我も居るしな」
そう言って二人?は微笑んでくれたのでした。
『「へっ?」』
神様とビオラが同時に変な声を発しポカンと口を開けて驚いています。
こんな間抜けなお顔をした神様は初めてで思わず吹き出してしまいました。
『アンナ、もう一度聞きます。今なぜ君がここにいるかという理由を覚えてますか?』
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『そうです。その使命を果たすために聖獣フォルヴァは必要なのですよ』
「聖獣が必要な使命って何だか怖いですよ。聖女にならないって言ったじゃないですか。聖女にならくても魔獣とかと戦ったりするんですか?」
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君は大聖女ジュリアーナの魂を持つが杏という前世も持っている。だからジュリアーナと同じではないんだ。ジュリアーナの魂を持つ全く別の人格。そしてその力を最大限に引き出してくれる者にこの先出逢う。その者と力を合わせ聖女のフォローをし国を守って欲しいのさ。』
「・・・」
『さっきも話した通りアンナは聖女にはならない。表立ってはね。この世界にはもう聖女が存在してるからって言ったでしょう』
「ならその力の弱い聖女さんに聖獣を付けてあげたら良いんじゃないんですか?」
『フォルヴァはアンナでないと駄目なんだよ。あの聖女には就かない』
神様は困った顔をしている。
どうやら聖獣フォルヴァは拒否しても私の元へやって来るようなので諦めるしかないようです。
しかたがないな。
「分かりました。聖獣頂きます」
『良かった。それではさっそく』
ホッとした顔をして神様は立ち上がり私もベッドから出るように言いました。
『さぁ、アンナ。聖獣の名前を呼んであげなさい』
私は神様に言われた通り聖獣の名前を呼んだ。
「フォルヴァ・・・」
その名を口にしたと同時に窓の外に輝く月から一筋の光が差し込み光と共に聖獣フォルヴァがその姿を現した。
うわっ、デカ!!!
目の前の聖獣は熊ほどの大きさで姿は真っ白な狼でした。
唖然とする私を見て聖獣は「くぅーん」と甘えた声を出し飛びつきそのままベッドに押し倒すと顔中を大きな舌で舐めまわして鼻っ面を私にこすりつけて来た。
「ちょっと待って!私を押し倒してまた殺す気?離れなさいってば!」
思わず叫んでしまった。階段落ちの次は窒息死させれるなんて勘弁して欲しい。
聖獣は耳を垂れてしゅーんとすると渋々私から離れていきます。
「あはは、フォルちゃん可愛い♪」
ビオラがフォルヴァの大きな頭に乗り撫でています。
「くぅーん、すまない大聖女ジュリアーナ。そなたに会えたのが嬉しくてつい・・・」
「あたしは大聖女ジュリアーナじゃないわ。ジュリアンナよ」
「ああ、そうであったな。申し訳ない」
寂しそうな小さな声で鳴く聖獣を見ていたらジュリアーナの記憶が僅かに蘇って来た。
いつも私の傍に居て片時も離れず私の事を守ってくれていた気がする。
そして蘇った記憶は私が死を迎える瞬間でした。
■■
私は最後の魔獣との戦いを終え永久の眠りつこうとしていた。
その傍らで傷だらけになり血まみれのフォルヴァが悲しい目をして私の事を見ている。
多分このまま私の命は果てる。せめてこの子だけでも生きていて欲しい。
私は自分の中に存在する大聖女の光の魂を取り出しそれを半分に分けるとフォルヴァに差し出した。
けれどフォルヴァは飲もうとしない。
「フォルヴァお願い。最後のお願いよ。もし私の魂がもう一度生まれ変わったらまた傍に居て欲しいの」
涙ながらに願う私を見てフォルヴァも決意した。
「分かった。そなたにまた会えるのであるならば望む通りにしよう。どうか安らかに眠って欲しい。私の愛する主よ」
フォルヴァが泣きながら私の魂の半分を飲み込むのを確認するともう半分の魂を天に向かって差し出し
「神よいつか私が新しい命を授かるまで預かっていて下さい。」
と願う。
《大聖女ジュリアーナ、今まで国の為、人々の為によく働いてくれた。貴方の魂は私が預かりましょう》
神の声が聞こえ私は瞼を閉じた。
■■
私はフォルヴァの顔を見つめる。
愛しいフォルヴァ。
ちょっと間違ってしまったけれどあなたは私との約束を守ってくれたのね。
「フォルヴァ、フォルヴァ」
私は彼に抱き付き泣き崩れた。
「ジュリアーナ、今はジュリアンナだったな。そなたを誤って死なせてしまった。ジュリアーナが死んでからは二百年いや三百年近く待ったのだ。また会えて我は心底嬉しいぞ」
フォルヴァのモフモフの毛の中に顔を埋め再会を喜ぶ。
『よろしいかなアンナ』
神様の呼びかけで我に返る。
「はい」
『それと今更だけどアンナはビオラの事分かってる?』
「えっ、ビオラの何を?」
『八年も一緒にいたというのにやっぱりビオラは君に何も伝えていないみたいだな』
ビオラはバツ悪そうにフォルヴァのモフモフの毛の中に隠れてしまった。
『アンナはビオラを妖精だと思っているみたいけど、ビオラは光の精霊だからね』
「精霊・・・?うそっ!」
『ふっ。。。その反応お約束通りって感じだな。君は精霊に名前を付けてしまった。そして精霊からキスの加護を受けとった。それは精霊と契約したという事でビオラはアンナを加護する存在なっているんだよ』
「えー。マジですか!」
私は思わずフォルヴァのモフモフの毛の中をわしゃわしゃと探りビオラを両手で捕まえる。
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精霊と契約だなんて信じられない。。。
『そいう事だから。それと生まれた時に光の加護を一度使い果たした聖女マリーはこの八年間で取り合えず聖女の器に力が溜まっている状態だ。
しかしやはり資質と器がなー(汗)
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「はあ、そういうことですか。陰からで良いんですね」
『うん、前に言ったあ・る・者・としっかり協力をしてな。頼みましたよアンナ。くれぐれも君が真の大聖女であることは知られないように。ただ力と加護を持つ者と認識される程度、それも信頼できるごく限られた人のみね。後は自由に生きて良いんだよ。それと近々聖女とそのあ・る・者・ものにも逢う事にもなるだろうから頑張って』
この時はビオラとフォルヴァもいてくれるし何とかなるだろうと安易に考えていた私でした。
『光の精霊ビオラよ、説明もせず勝手な事をしてアンナに就いたのだからしっかり精霊としての仕事をしなさい』
ビオラは《でへへ》と笑いながら
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と神様に敬礼をしました。
神様は口を押え笑いを堪えながらひらひらと片手を振り最後に
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と言い残し靄の中に消えていきました。
ポカンと口を開けている私にビオラが薄紫色の瞳を細め
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