大聖女と言われ転生しましたが、大きな仕事もせずに第二王子に愛されています。

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第1章*アンナの前世

妖精さんとお友達

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 私の記憶に間違いが無ければ今日、私に新たな生を与えると言って変なものを飲みこませたあの人が会いに来る筈。

 ふと気づくと目の前にちかちかと光が舞い始め眩しくて目を細めながら光を追っていたら突然蝶のような羽をパタパタさせた妖精が現れました。

『みーつけた』とニコニコしながら寝ている私の鼻の頭に止まったのです。

『えっ?妖精?』

『ん~。少し違うけど似たようなもんかしら。この容姿はアンタにウケるかなって思って選んだから』

『あれ?声も出していないのに会話してる』

 そう、私は頭の中で呟いただけなのだ。

『それはね、アタシの姿を見ることが出来るアンタとは言葉が念話として通じるの。テレパシーみたいなものね』
『そうなんだ、不思議』

 妖精さんは満足気にニコニコ嬉しそうです。

『妖精さんはどうしてここに来たの?あの人の代わり?』

『あの人?。。。やったー!一番乗りなのね。むふふ、やっとアンタを見つける事が出来たわ』

『私の事を探してた?』

『そう、ずーと、ずーとね。アンタはアタシの愛し子だから』

『???』

『あっそうそう。アンタの名前はジュリアンナよね。これからはアンナと呼ばせてもらうわ。だからアタシにも名前を付けて』

『良いけど。。。妖精さんは名前が無いの?』

『まぁ、総称みたいなものは・・・いいの、アンナの好きな名前で良いから。早く、早くぅ!』

 何だか不思議な感じで良く判らないけどせっかく遊びに来てくれたんだからお礼のつもりでいいかな。

 私は妖精さんの事をじっと見つめます。
 髪と瞳は透明感がある綺麗な菫色。パープル、バイオレット・・・んーん。

『ビオラ!』

『ビオラ?良い名前だわ。ありがとうアンナ』

 妖精さんは嬉しそうにクルクル踊るように飛んでいます。

『ビオラは私とお友達になってくれるの?』

『もちろんよ。これからはずっと一緒よ』

 そう言って私の額にキスをしてくれました。
 不思議なことに妖精ビオラからキスをされた途端額から暖かいものが体中に広がりとっても心地よい何かを感じたのです。

 私がその心地よい余韻に浸っていたその時でした。
 白い靄が部屋中に広がりあの時と同じようにその靄の中から人影がスーと近づいて来ました。

『やー杏、今はジュリアンナだね。久しぶり』

 やはりあの時の人です。
 記憶に残っている通り中性的で嘘みたいに美しい。
 でもなんかフレンドリーでチャラい気もしないではありません。

『久しぶりってさっき会ったばかりですよね?それに転生ってどういう事ですか?』
『その言い方、何か七才児とは思えないな』
 私が怪訝そうに言うとその美しい人は苦笑いをした。
『仕方ないじゃない。中身は二十歳なんだから』
『それはそうだが』

『あの時の云った通り来てくれたみたいですが貴方は神様なんですか?』

『うん、神だな』

 やはり神様だったんだ。
 神様は私の周りを飛び回るビオラを見ています。

『それでこちらの妖精はジュリアンナのお友達かな?』
『はい、目覚めてから初めて出来たお友達です』
 妖精とお友達になった事が嬉しくてめい一杯の笑顔をで答えました。

『ふーん、私よりも先にジュリアンナに逢いに来るなんては目敏いですね』
 神様はちょっとふて腐れ気味に呟きました。

 ん?二人は知り合いないのかしら。

って言わないでよ。アタシにはビオラって名前があるんだから!』
 ビオラは腕組みをしながら自慢げにツンと顔を背けます。

『えっ、名前って、、、もしかしてジュリアンナ、アナタが付けちゃったの?』
 神様が何でそんなに驚いているのか分かません。

『そうですけど。お礼にキスして貰っちゃいましたぁ』

『あーーーー。そうですか、名前を与えてキスの加護も貰っちゃったてことか。はぁーそんな事になっていたとは。。。』
 額に手を充て天井を仰ぐ神様。

『だって、アンナはアタシの愛し子ですもん』
 そんな神様をあざ笑うかのようにドヤ顔をするビオラ。
 私には全く意味が分かりません。



『違うっ。ビオラって言ってるでしょ!』
 ビオラは両手を腰に手を充てて神様の目の前でパタパタと飛びながら怒っています。

『はい、はい。判りました。
 ビオラよ。ジュリアンナ、あっ、私もアンナと呼ばせてもうね。アンナが目覚める前に生まれた赤子が居たでしょう。何故アナタはそちらに行かなかったのかな』
 神様の問いかけにビオラはあらぬ方向を見ながら

『もちろん行ったわよ。アタシはアデライト王国が何年も淀んでいて気持ち悪いから違う王国に行っていたの。今朝、聖女の誕生を知らせる光を感じ、凄い力で瘴気の淀みが浄化されて行くのを感じた。
『これはきっと』と思ってこの王国に来てみたわ。あれだけの浄化をしたのなら生まれたばかりでもアタシのことが判る筈なのにあの子はアタシの事をはっきりと認識も出来なかった。器も違ってたというか。。。それ以前にアタシが愛し子と感じなかったのよ。不思議でしょうがなかったしガッカリしたわ』
 
『そうだね。あの子は聖女には違いないけど、は持っていませんからね』

『うん。でもどうしても腑に落ちないのよね。
 あの子にがないのなら国中の浄化なんて無理だわ。
 アタシはそれでも気になって離れたところから暫くの間あの子を観察し続けたの。
 そしたら突然の気配を感じた。驚いたわ。最初はあの子の中で目覚めたのかもと喜び勇んで神殿にいるあの子の元へ向かった。けれど気配は違うところからだったんだもん』

『それで私よりも先にアンナの元へ来たと云う事か』

『うん、導かれるようにここへ来て初めてアンナの存在を知ったのよ。アンナで間違いなかった。でもの【力】が存在してない。これはどう云う事なの?』

 何だかビオラがヒートアップして神様に詰め寄ってます。

『あのう。お話中すいません。ってなんですか?』
 私は頭上で交わされている会話が理解出来ず神様に聞いてみた。

『あっ、ちょっとま待っててね、アンナ。順序を追って説明をするから』
 神様にポリポリこめかみ辺りを指で掻きながら言われムッとする私の頭を撫でながらビオラに説明し始めました。

『ビオラそれには事情があってね。
 まずは私がアンナをここへ転生させる前、つまり前世、否そのもっと前の話から話さなくてはならい。そこから話さないとアンナも理解できないだろうからね』

『えっ、私の前世。その前って?』
 余計に頭が混乱してきたんですですけど。。。


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