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本編 第3章

嫌なのに【☆】

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 その腰の動きはゆるゆるとしたものであり、乱暴さは欠片も感じられない。それでも、ゆるゆると腰を動かされるたびにヴェルディアナの身体が露骨に跳ねる。

 気持ちいいわけがない。そう思うのに、身体は反応してしまう。感じるところに熱杭が当たるたびに、ヴェルディアナは小さく嬌声を上げてしまった。そして、リベラトーレの熱杭を無意識のうちに締め付けてしまう。

「っはぁ、ヴェルディアナ……!」

 自身に覆いかぶさり、名前を呼んでくるリベラトーレの目は、欲望を孕んでいた。狂気を裏に孕んだ欲望が怖くて、ヴェルディアナはそっと視線を逸らした。しかし、彼は止まってくれない。ヴェルディアナの身体の奥をまるで貪るかのように突いてくる。

「んんっぁ、はぁ……!」

 身体の奥を突かれるという感覚は、とても不思議なものだった。先ほどまでは確かに痛みも感じていたというのに。なのに、今ではもうすでにその感覚はなくなってしまっている。きっと、蜜壺から蜜があふれ出し、それが潤滑油となっているのだろう。

「ヴェルディアナのナカ、気持ちいい……! ヴェルディアナも、気持ちよくなって……!」

 そう言って、リベラトーレはヴェルディアナの手を握っていない方の手で、ヴェルディアナの胸の頂をつまむ。そのまま指の腹でぐりぐりと刺激されれば、ヴェルディアナの蜜壺はぎゅっと締まってしまう。その所為だろうか。リベラトーレの眉間にはしわが寄る。彼はきっと、快楽を感じているのだ。それは、ヴェルディアナにも伝わってきた。

(んんっ、いや、なのに……!)

 それと同時に、ヴェルディアナも微かにだが快楽を感じていた。小さな快楽は拾い集めればかなりの量になり、ヴェルディアナを絶頂へと押し上げていく。だけど、まだ微かに残る理性たちが、この行為をダメだと訴えてくる。それを伝えようとリベラトーレと絡めた指に爪を立てるのに、彼は止めてくれない。ただ、愛おしいとばかりにヴェルディアナのことを見下ろしてくるだけだ。

(こんなの、いや、いやぁ……!)

 心はこの行為を嫌だという。なのに、身体は貪欲にも快楽を求める。そのちぐはぐさに、ヴェルディアナは涙を零してしまいそうだった。リベラトーレの腰の動きが早くなるにつれ、ヴェルディアナの身体に与えられる快楽が強くなっていく。快楽が強くなるたびに、嫌だという気持ちも吹き飛んでしまう。ただ、もっと快楽が欲しいと身体が訴えはじめ、腰が動いてしまう。

「ははっ、ヴェルディアナ、厭らしい……!」

 それを見たためか、リベラトーレはそう言ってヴェルディアナの胸の頂を刺激していた手を移動させ、脇腹をなぞった。その手つきがとても厭らしく、ヴェルディアナは身体を震わせてしまう。その手はヴェルディアナの身体を下心をもって撫でてくる。それが嫌で、ただ静かに首を横に振る。

「もっと、もっと堕ちてください。……俺なしじゃ、生きられないようになって……!」
「な、にをっ!」

 リベラトーレの欲望は、十年前の復讐なのだろうか。自分を手ひどく抱くことで、復讐心を満たそうとしているのだろうか。一瞬だけそう思うが、彼はヴェルディアナのことを好きだという。好きで好きで仕方がないから、呪った。そして今、抱いているのだという。

「俺じゃないと、ヴェルディアナのことを気持ちよくさせられないんですよ。あぁ、気持ちいい。ナカに、出しちゃいたい……!」

 そんな言葉を告げて、リベラトーレは腰の動きをさらに激しくする。その所為で、ヴェルディアナの頭は惚けてしまいそうだった。このまま、もっと気持ちよくなりたい。身体はそう訴える。でも、頭の中ではわかっているのだ。このまま、ナカに出されることはダメだと。

「い、やぁ……! な、か、なか、だめ……!」

 首を横にぶんぶんと振りながらヴェルディアナはそう訴える。それでも、奥を突かれるたびにの言葉は脳内から吹き飛んでいく。身体の奥が熱くなり、もう何も考えたくない。そう、思ってしまうのだ。

「ほら、ヴェルディアナ。……一緒に、イキましょう?」

 甘く堕とすようにそう囁かれ、ヴェルディアナはリベラトーレの熱杭をより一層強く締め付けながら達してしまう。その締め付けに反応してか、蜜壺のナカに何やら熱いモノが放たれたような感覚に襲われた。

 それから、ヴェルディアナの蜜壺からリベラトーレの熱杭が引き抜かれる。

「あぁ、血だ。……俺が、ヴェルディアナのハジメテだ」

 うっとりとした声音で、そんな言葉が上から降ってくる。それにどうしようもないほど絶望していれば、ヴェルディアナの唇が乱暴にふさがれた。そのまま貪るように口づけられ、脳内がしびれていく。

 もう、何も考えたくない。そう思って、思考を放棄してしまいそうになった。

(掻きださなくちゃ、ダメなのに……!)

 このままだと、子供が出来てしまうから。だから、一刻も早くナカに出されたものを掻きださなくては。そう思うのに、身体が上手く動いてくれない。貪るような口づけに意識を奪われ、何も考えられなくなってしまう。

「今のヴェルディアナ……すごく、色っぽい」

 両頬を挟まれるようにつかまれ、ヴェルディアナはぼんやりとする脳内でリベラトーレの顔を見上げた。その目は、まだ欲望を孕んでいる。それが怖くて、静かに目を閉じた。

 ……目が覚めたら、これが全部夢であったならばいいのに。そんなことを、思いながら。
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