12 / 47
本編 第3章
迎え
しおりを挟む
リベラトーレとヴェルディアナが再会してから、早くも一週間の日が流れた。ヴェルディアナは一刻も早く自分の結論を伝えようと、リベラトーレに手紙を出した。
そして、今日。ヴェルディアナはカザーレ侯爵家の屋敷に向かうことになったのだ。もちろん、住み込みで働くことになっている。
「ヴェルディアナ、いい返事がもらえて、俺はとっても嬉しいですよ」
「……リベラトーレ様」
リベラトーレのきれいな笑みを一瞥し、ヴェルディアナは「……早く、行きましょう」と告げる。
彼が乗ってきたという馬車はとても豪奢なものであり、侯爵家の権力を存分に見せつけていた。こんな下町には到底似合わない代物である。そう思いながら、ヴェルディアナはリベラトーレにエスコートされながら馬車に乗り込む。
馬車の中はとても広く、快適だった。こんな馬車、滅多なことでは乗れないだろうなぁ。そんな悲しい気持ちを抱きながら、ヴェルディアナが馬車の椅子に腰かければ、リベラトーレもすぐそばに座る。その後、御者が扉を閉めるとゆっくりと馬車が走り始めた。
「……ヴェルディアナ」
それから数分ほど経ったとき。不意にリベラトーレの甘ったるい声が、ヴェルディアナの耳に入った。それから、重ねられる手。それに驚いてヴェルディアナが目を見開けば、彼はそのままヴェルディアナの指と自身の指を絡めた。
「……リベラトーレ様」
「好き、ヴェルディアナ。……もっと、触れたい」
しかも、彼はそんな言葉を続けた。その声は胸焼けしてしまいそうなほど甘ったるく、ヴェルディアナは逃げようと身をよじらせる。しかし、そんな抵抗は無駄なものであり、リベラトーレは「口づけ、しましょう」と言ってヴェルディアナの顎を掬うようにつかんだ。
「……嫌、です」
「拒否権なんて、ないんで」
ヴェルディアナの拒否の言葉を聞くこともなく、リベラトーレはヴェルディアナの唇に触れるだけの口づけを施してくる。数回ほど施される、触れるだけの口づけ。その感覚がこそばゆく、必死に逃げようと身体を後ろに倒せば、そのまま椅子に身体を押し倒されてしまう。
「……リベラトーレ、さま?」
その突然の行為に驚き目を瞬かせれば、彼はくすくすと声をあげて笑う。そして、彼の手はヴェルディアナの長い金色の髪を梳いてきた。その触れ方には下心がこもっているようであり、何とか逃げようともう一度身をよじるものの、その抵抗は全く意味をなさない。
「ヴェルディアナ」
馬車はとても豪奢な造りをしているためなのか、揺れは少ない。それでも、椅子に押し倒されているということもあり、些細な揺れがしっかりと身体に伝わってきた。
……どうして、リベラトーレは自分のことを押し倒しているのだろうか。
それに合わせ、その目には情欲がこもっているようであり、ヴェルディアナの心にどうしようもない感情が渦巻く。
「……ここで行為に及んでもいいんですけれど、普通にムードがないですよね。でも、ヴェルディアナに触れたいので、触れます」
それは一体どういうことだ。
そう思いヴェルディアナが口を開こうとすれば、彼はヴェルディアナの唇に自身の唇を押し付けてくる。そのまま舌でヴェルディアナの唇を割り、口内に舌を差し込む。
「んんっ! んぅ……!」
必死にヴェルディアナが抵抗しようとするものの、抵抗する力が身体に入らない。口づけに意識が集中してしまい、身体に上手く力が入らない。そう思って入れば、ヴェルディアナのワンピースの中に……リベラトーレの手が侵入してくる。
「んんっ! んんっ!」
何とかして暴れ、その手を振り払おうとするものの、リベラトーレの手は容赦なくヴェルディアナの身体をまさぐってくる。その手は器用にヴェルディアナの下着をずらし、その豊満な胸に直で触れる。その感覚が恐ろしく、ヴェルディアナは硬直してしまった。
「ヴェルディアナ。ずっと、ずっとこの胸に触れたかった。……きっと、たくさんの男がそう思ったんでしょうね」
ようやく唇を解放され、ヴェルディアナは必死に空気を吸う。しかし、その間にもリベラトーレの手はヴェルディアナの胸を撫でまわしてくる。その感覚は未知のものであり、ヴェルディアナは露骨に身体を震わせてしまった。なのに、リベラトーレの手は止まらない。
「一つだけ質問、いいですか?」
その触れ方に呼吸を乱していれば、彼は不意に真剣な面持ちでそう問いかけてくる。それに静かに頷けば、リベラトーレは唇の端を上げ「処女ですか?」なんて問いかけてきた。
「なっ!」
「ヴェルディアナは処女ですか? それとも、もうほかの男に捧げちゃいましたか?」
そう問いかけられ、ヴェルディアナはそっと視線を逸らす。
ヴェルディアナは正真正銘の処女である。が、それを素直に伝えることは出来なかった。理由など簡単だ。処女であると、バレたくなかった。
「そ、そんなの、関係ない――」
「――関係あるでしょう」
ヴェルディアナの抗議を聞き、リベラトーレは露骨に不機嫌になる。リベラトーレは少し強面なこともあり、不機嫌になるととても迫力がある。それに軽く怯えていれば、彼は「……処女ですか?」ともう一度問いかけてくる。
「……いわ、ない」
「……強情。じゃあ、身体をまさぐってあげます」
首をぶんぶんと横に振るヴェルディアナに対し、リベラトーレはそういう。その後、ヴェルディアナの胸の頂をその指でつまんだ。そして――そのまま、指の腹で刺激し始めた。
そして、今日。ヴェルディアナはカザーレ侯爵家の屋敷に向かうことになったのだ。もちろん、住み込みで働くことになっている。
「ヴェルディアナ、いい返事がもらえて、俺はとっても嬉しいですよ」
「……リベラトーレ様」
リベラトーレのきれいな笑みを一瞥し、ヴェルディアナは「……早く、行きましょう」と告げる。
彼が乗ってきたという馬車はとても豪奢なものであり、侯爵家の権力を存分に見せつけていた。こんな下町には到底似合わない代物である。そう思いながら、ヴェルディアナはリベラトーレにエスコートされながら馬車に乗り込む。
馬車の中はとても広く、快適だった。こんな馬車、滅多なことでは乗れないだろうなぁ。そんな悲しい気持ちを抱きながら、ヴェルディアナが馬車の椅子に腰かければ、リベラトーレもすぐそばに座る。その後、御者が扉を閉めるとゆっくりと馬車が走り始めた。
「……ヴェルディアナ」
それから数分ほど経ったとき。不意にリベラトーレの甘ったるい声が、ヴェルディアナの耳に入った。それから、重ねられる手。それに驚いてヴェルディアナが目を見開けば、彼はそのままヴェルディアナの指と自身の指を絡めた。
「……リベラトーレ様」
「好き、ヴェルディアナ。……もっと、触れたい」
しかも、彼はそんな言葉を続けた。その声は胸焼けしてしまいそうなほど甘ったるく、ヴェルディアナは逃げようと身をよじらせる。しかし、そんな抵抗は無駄なものであり、リベラトーレは「口づけ、しましょう」と言ってヴェルディアナの顎を掬うようにつかんだ。
「……嫌、です」
「拒否権なんて、ないんで」
ヴェルディアナの拒否の言葉を聞くこともなく、リベラトーレはヴェルディアナの唇に触れるだけの口づけを施してくる。数回ほど施される、触れるだけの口づけ。その感覚がこそばゆく、必死に逃げようと身体を後ろに倒せば、そのまま椅子に身体を押し倒されてしまう。
「……リベラトーレ、さま?」
その突然の行為に驚き目を瞬かせれば、彼はくすくすと声をあげて笑う。そして、彼の手はヴェルディアナの長い金色の髪を梳いてきた。その触れ方には下心がこもっているようであり、何とか逃げようともう一度身をよじるものの、その抵抗は全く意味をなさない。
「ヴェルディアナ」
馬車はとても豪奢な造りをしているためなのか、揺れは少ない。それでも、椅子に押し倒されているということもあり、些細な揺れがしっかりと身体に伝わってきた。
……どうして、リベラトーレは自分のことを押し倒しているのだろうか。
それに合わせ、その目には情欲がこもっているようであり、ヴェルディアナの心にどうしようもない感情が渦巻く。
「……ここで行為に及んでもいいんですけれど、普通にムードがないですよね。でも、ヴェルディアナに触れたいので、触れます」
それは一体どういうことだ。
そう思いヴェルディアナが口を開こうとすれば、彼はヴェルディアナの唇に自身の唇を押し付けてくる。そのまま舌でヴェルディアナの唇を割り、口内に舌を差し込む。
「んんっ! んぅ……!」
必死にヴェルディアナが抵抗しようとするものの、抵抗する力が身体に入らない。口づけに意識が集中してしまい、身体に上手く力が入らない。そう思って入れば、ヴェルディアナのワンピースの中に……リベラトーレの手が侵入してくる。
「んんっ! んんっ!」
何とかして暴れ、その手を振り払おうとするものの、リベラトーレの手は容赦なくヴェルディアナの身体をまさぐってくる。その手は器用にヴェルディアナの下着をずらし、その豊満な胸に直で触れる。その感覚が恐ろしく、ヴェルディアナは硬直してしまった。
「ヴェルディアナ。ずっと、ずっとこの胸に触れたかった。……きっと、たくさんの男がそう思ったんでしょうね」
ようやく唇を解放され、ヴェルディアナは必死に空気を吸う。しかし、その間にもリベラトーレの手はヴェルディアナの胸を撫でまわしてくる。その感覚は未知のものであり、ヴェルディアナは露骨に身体を震わせてしまった。なのに、リベラトーレの手は止まらない。
「一つだけ質問、いいですか?」
その触れ方に呼吸を乱していれば、彼は不意に真剣な面持ちでそう問いかけてくる。それに静かに頷けば、リベラトーレは唇の端を上げ「処女ですか?」なんて問いかけてきた。
「なっ!」
「ヴェルディアナは処女ですか? それとも、もうほかの男に捧げちゃいましたか?」
そう問いかけられ、ヴェルディアナはそっと視線を逸らす。
ヴェルディアナは正真正銘の処女である。が、それを素直に伝えることは出来なかった。理由など簡単だ。処女であると、バレたくなかった。
「そ、そんなの、関係ない――」
「――関係あるでしょう」
ヴェルディアナの抗議を聞き、リベラトーレは露骨に不機嫌になる。リベラトーレは少し強面なこともあり、不機嫌になるととても迫力がある。それに軽く怯えていれば、彼は「……処女ですか?」ともう一度問いかけてくる。
「……いわ、ない」
「……強情。じゃあ、身体をまさぐってあげます」
首をぶんぶんと横に振るヴェルディアナに対し、リベラトーレはそういう。その後、ヴェルディアナの胸の頂をその指でつまんだ。そして――そのまま、指の腹で刺激し始めた。
11
お気に入りに追加
2,061
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる