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本編
第11話 『ビエナート侯爵家での夜会』 ②
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そして、その日はやってきました。
本日はビエナート侯爵家で開かれる夜会の日。ビエナート侯爵家は普段は辺境侯としての役割も担っており、普段は他国との国境を守っております。ですが、時折こうやって王都にある別邸にて夜会を開いていました。それは、当主が帰ってきたことを大々的に知らせるためのものです。
煌びやかな装飾品たちで彩られたホール内。そこで、私は注目を集めてしまっていました。次期王妃であり、家柄も良い私に取り入ろうとする方々も多いのです。会場に入れば、私は即座にたくさんの人々に囲まれてしまいます。その一人一人に、笑顔で対応するのは幼い頃からしていることだったので慣れていました。
「……モニカ。では、私は少し離れるな」
「はい、お父様」
今回の夜会にアイザイア様は遅れて参加することになっていました。そのため、私のエスコートを役をしてくださっているのはお父様です。そんな中、お父様は一度私の側を離れていかれました。お父様もお父様で挨拶回りがありますので、仕方がないのです。
本当は、アイザイア様も初めから夜会に参加するつもりだったそうです。ですが、どうしても外せない会議というものがあったそうで、参加が危うくなってしまったそう。しかし、どうしても夜会に参加したいということから会議を途中で抜けてこちらにやってこられるということになっていました。
私が一人一人に笑顔で対応している中、一人悔しそうな表情を浮かべているお方がいました。その方は、私の視界の端にちらちらと入ってきます。金色の髪をしっかりと巻き、鋭く見える青色の瞳は、気の強そうな印象を与えてきます。
そんな彼女は、私が苦手としているご令嬢の一人であるレノーレ・ビエナート様でした。本日の主役はレノーレ様のお家であるビエナート侯爵家です。ですが、いつも通り私に人が集まってきてしまっている。それが、気に食わないのでしょう。
「……私が、本当ならばあの場にいるはずだったのに……!」
そんなつぶやきは、しっかりと私の元にまで届いてきました。
彼女はどうやら幼い頃から両親に「貴女は未来の王妃になるはずだった」と言い聞かせられ、存分に甘やかされて育ったそうです。そのため、傲慢で高飛車なご令嬢に育ってしまった。しかも、です。レノーレ様は成長されるにつれ、美しいアイザイア様に恋心を抱いてしまったのです。
――あの場所に、本当ならば私が立つはずだったのよ!
そんな文句を、何度も私に向かってレノーレ様はぶつけてこられました。レノーレ様の気持ちは、徐々に大きな嫉妬心になりました。そして、次第に私に嫌がらせをされるようにもなりました。悪口や陰口は当たり前。時にはわざとぶつかり、ドレスを汚したりもしてきました。でも、きっと彼女も分かっていたのだと思います。……こんなことをしても、アイザイア様のお気持ちがご自分に向くことはない、と。ですが、鬱憤をどこかで晴らしたい、ということなのでしょう。私は、とてつもない迷惑なのですが。
「……レノーレ様?」
そんな時、レノーレ様にとある青年が話しかけておられました。おっとりとしたように見える容姿を持つ彼は、レノーレ様の様子を窺っているようです。ですが、レノーレ様は「心配は無用だ」とばかりにプイッと横を向かれてしまいます。
「何でもないわ」
それだけ大きな声でおっしゃると、レノーレ様はどこかに立ち去って行かれました。そして、彼女の瞳には憎々しいとばかりの感情と……私が、映っていた。
そして、その日はやってきました。
本日はビエナート侯爵家で開かれる夜会の日。ビエナート侯爵家は普段は辺境侯としての役割も担っており、普段は他国との国境を守っております。ですが、時折こうやって王都にある別邸にて夜会を開いていました。それは、当主が帰ってきたことを大々的に知らせるためのものです。
煌びやかな装飾品たちで彩られたホール内。そこで、私は注目を集めてしまっていました。次期王妃であり、家柄も良い私に取り入ろうとする方々も多いのです。会場に入れば、私は即座にたくさんの人々に囲まれてしまいます。その一人一人に、笑顔で対応するのは幼い頃からしていることだったので慣れていました。
「……モニカ。では、私は少し離れるな」
「はい、お父様」
今回の夜会にアイザイア様は遅れて参加することになっていました。そのため、私のエスコートを役をしてくださっているのはお父様です。そんな中、お父様は一度私の側を離れていかれました。お父様もお父様で挨拶回りがありますので、仕方がないのです。
本当は、アイザイア様も初めから夜会に参加するつもりだったそうです。ですが、どうしても外せない会議というものがあったそうで、参加が危うくなってしまったそう。しかし、どうしても夜会に参加したいということから会議を途中で抜けてこちらにやってこられるということになっていました。
私が一人一人に笑顔で対応している中、一人悔しそうな表情を浮かべているお方がいました。その方は、私の視界の端にちらちらと入ってきます。金色の髪をしっかりと巻き、鋭く見える青色の瞳は、気の強そうな印象を与えてきます。
そんな彼女は、私が苦手としているご令嬢の一人であるレノーレ・ビエナート様でした。本日の主役はレノーレ様のお家であるビエナート侯爵家です。ですが、いつも通り私に人が集まってきてしまっている。それが、気に食わないのでしょう。
「……私が、本当ならばあの場にいるはずだったのに……!」
そんなつぶやきは、しっかりと私の元にまで届いてきました。
彼女はどうやら幼い頃から両親に「貴女は未来の王妃になるはずだった」と言い聞かせられ、存分に甘やかされて育ったそうです。そのため、傲慢で高飛車なご令嬢に育ってしまった。しかも、です。レノーレ様は成長されるにつれ、美しいアイザイア様に恋心を抱いてしまったのです。
――あの場所に、本当ならば私が立つはずだったのよ!
そんな文句を、何度も私に向かってレノーレ様はぶつけてこられました。レノーレ様の気持ちは、徐々に大きな嫉妬心になりました。そして、次第に私に嫌がらせをされるようにもなりました。悪口や陰口は当たり前。時にはわざとぶつかり、ドレスを汚したりもしてきました。でも、きっと彼女も分かっていたのだと思います。……こんなことをしても、アイザイア様のお気持ちがご自分に向くことはない、と。ですが、鬱憤をどこかで晴らしたい、ということなのでしょう。私は、とてつもない迷惑なのですが。
「……レノーレ様?」
そんな時、レノーレ様にとある青年が話しかけておられました。おっとりとしたように見える容姿を持つ彼は、レノーレ様の様子を窺っているようです。ですが、レノーレ様は「心配は無用だ」とばかりにプイッと横を向かれてしまいます。
「何でもないわ」
それだけ大きな声でおっしゃると、レノーレ様はどこかに立ち去って行かれました。そして、彼女の瞳には憎々しいとばかりの感情と……私が、映っていた。
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