土人形のコリンズ男爵は愛しの大魔導師様を幸せにしたいのだけれど。

梅村香子

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1話

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体が重い。
そして、内臓が石になったかと思うぐらい、息が苦しかった。

「おい、どういうことだよ……」

誰かの声がする。
少年と青年の間のような、若い男だ。

「何で、かくが影なのに、動こうとしてるんだ?」
「僕に聞かれても……」

どうやら、若い男は二人いるようだ。
どちらも、聞き覚えのない声。
話の内容も、よく分からない。
目を開けたいのに、瞼はほとんど持ち上がらず、声も全く出せなかった。

「あ、の……体を生成したばかりなので、しばらくは動けないと思います……」

ためらいがちな声が、耳に届く。
体を……生成?
こちらに言っているのだろうか。
意味不明だったが、体が動かないのは事実だ。

「もう少ししたら、体が馴染んで、自由に動いて話せるようになります……たぶん」

……たぶん?
自信が欠けている説明に、どうにも不安を感じる。
大丈夫なのだろうか。

「レイ……。影に戻した方がいいんじゃないか? 自我を持ってるなんて異常だ。こんな土人形を作ったってバレたら、俺たちは終わりだ」
「そうだけど……。影を本人に戻すのが目的なんだ。話せるようになったら、色々と聞いてみよう。判断するのは、それからでも遅くないよ」
「……動けるようになったら、暴走するかもしれないじゃないか。俺たちに危害を加えないとも限らない」

何故だか、自分が得体の知れない化け物扱いされている。
いよいよ、訳が分からなくなってきた。
どこかに寝かせられているようだが、全く覚えがない。

――僕は……アーニーと一緒に家にいたはずで……それで――……

あいまいになっている記憶を手繰りよせようとしていると、レイと呼ばれた男が口を開く。

「こんなに細身できれいな人が、暴れるとは思えないよ」
「見た目で判断するなよ。ずっと隠れてた影なんだろ? それだけでも怪しいのに、自我を持って動こうとしてるんだ……異形かもしれない」
「ち、ちがっ……」

ひどい言われように、頑張って声帯を震わせる。
どうにか、かすれた声が喉から漏れた。
わずかだが、瞼も動くようになったので目を開くと、横になっている自身を見下ろすようにして、制服を着た二人の男子学生が側に立っていた。
この制服は知っている。
親友のスティーヴンが通っていた名門校、アップルビー魔法学園のものだ。

「こ、こは……?」

戸惑いの目を向けてきている学生二人に、質問を投げかける。

「……アップルビー魔法学園の自習室です」

声からして、答えてくれたのはレイだろう。

「おいっ。まともに答えるなよっ」
「だって……」

……ものすごく警戒されている。
自分が何をしたというのだろう。
そもそも、どうしてアップルビー魔法学園にいるのか。
まだ体は重いが、時間をかければ動けそうだ。
ゆっくりと上半身を起こして、部屋の中に視線を巡らせる。
本棚があるだけの簡素な部屋。
そして、自身は木製の作業台のようなものに寝かされていた。
全くもって、状況が分からない。

「……お名前を聞いていいですか?」

レイが、おずおずと声をかけてくる。

「エリオット・コリンズ……」

名を口にすると、学生二人は驚きに目を見開いた。
何を、そんなに驚くことがあるのか。

「コリンズって……あの館の――」
「ヘンリーっ。待って!」

もう一人の学生は、ヘンリーというようだ。
彼の言葉が、レイによってさえぎられた。

「僕はレイ・バンフィールドといいます。そして、彼はヘンリー・メリアム。アップルビー魔法学園の最終学年に属しています」
「バンフィールド……。じゃあ、スティーヴンの――」
「はい。僕は彼の従兄弟です」

従兄弟と聞いて、バンフィールド家で影遊びをしたことを思い出す。
そういえば、レイという名前の三歳の男の子がいたか。
親戚同士で同じ名前なのだろうか。

「僕たちは土魔法使いで、二人で組んで自由研究の題材を探していました。どうせなら、クラスメイトと一味違う研究にしたい。そう意気込んで、色々と話し合っていた時に、僕が住まわせてもらっているバンフィールド家の本邸で、隠れている影を見つけたんです」

覚えのある話に、心臓が不穏に高鳴った。
自分のものかと思ったが、エリオットがバンフィールド家に影を忘れてしまったのは、今朝の話だ。
レイが、すぐに見つけたのか?
しかし、どうも違和感がある。
バンフィールド家には頻繁ひんぱんに顔を出しているが、レイが住んでいるとは全く知らなかった。
会ったことはないし、スティーヴンから聞かされた覚えもない。
そんなこと、ありえるのか。

「影だけが放置されていたのを不思議に思って、バンフィールド家の人たちに聞いたんです。でも、誰の影か分かる人はいませんでした。かつて本邸に住んでいた先祖のものかとも考えたんですが、亡くなった人の影のみが残るのはありえないと言われて……」

つまり、今もどこかで影のないまま生活している人がいるということ。
そこで、レイは、謎の影を持ち主に返そうと考えて、ヘンリーを誘ったのだという。

「これを自由研究にしてしまおうと考えたんです。影の持ち主を見つけるなんて、今までにない題材だと思って、僕たちは喜びました」
「クラスメイトもびっくりしそうな研究だけど……魔法で、影の持ち主を見つけることはできるの?」

風魔法の家系に生まれているが、エリオット自身に魔法の知識はほとんどなかった。
通ったのも、魔法学校ではなく、一般の学校だ。
魔力が少なすぎて、魔法を学ぶ必要がなかったのだ。

「魔法で見つけるのは難しいです。でも、土魔法を応用すれば、影の姿を確認できます。影を核にして、土人形を生成するんです。すると、人形が影の持ち主の姿になります」
「すごいね……!」

二人共、高い魔力の持ち主なのだろう。
魔力量が多いほど、様々なことに応用できるようになる。
前髪をわずかに揺らすだけのエリオットとは大違いだ。

「それで、土人形は上手くいったのかな?」

エリオットの問いに、レイが気まずそうに頷く。
ヘンリーも表情を強張らせていた。
まずい質問をしてしまったか。

「……今日、この自習室で、生成を実行したんです」
「ここで?」
「はい……。それで生成されたのが――」

レイは一度視線を下げると、ためらいがちに続けた。

「コリンズ男爵です……」
「え……??」

エリオットは、目を丸くして固まった。
今日、この部屋で行われた生成。
全く身に覚えのない、この状況。
そして、バンフィールド家に忘れていた影。

つまり――

「僕が……土人形ってこと……?」
「はい……」

そう言われても、全く実感がわかない。
エリオットは、静かに自分の体を見下ろした。
着古した、いつもの服。少し重くだるいだけで、何の違和感もない身体。
土人形だと言われても、にわかには信じられない。
しかし、それが本当だとすると、新たに気になることが出てくる。

「影が核の人形ってことは……僕には、本体が別にいるんだよね……?」
「それは――」

どんどん硬くなる二人の表情を見ていると、言いようのない不安が胸を重くしていく。
自分自身に、何かとんでもない出来事が起きているのではないか。
頭がぐらぐらして、話の続きを聞くのが怖くなってくる。

「男爵は……ここで目覚める前の記憶はありますか?」
「記憶……」

あいまいになっている記憶をはっきりさせようと、エリオットは眉根をよせて視線を下げた。
今日は、朝一番でバンフィールド家に行った後、社交場に少しだけ顔を出した。
夕方には、学校から帰ってきたアーノルドを家で出迎えて、夕食を一緒に食べて……。
そこまで思い出すと、強烈な恐怖心が身を襲った。
心が、続きを思い出すことを拒絶している。

「……大丈夫ですか?」

顔色をなくして震える男爵に、レイは気遣わしげに問う。
エリオットは、胸元を押さえながら頷くと、再び記憶をたどり始めた。
寝る前に、少しだけ仕事をした。
書斎で書類を確認している間に、アーノルドは隣で読書をしていて。
それから、そろって寝室へ向かったが、寝る直前、書斎にぬいぐるみを忘れたことに気づいた。

――そうだ……。アーニーと一緒に、ティムを取りに行って――……。

記憶がはっきりすればするほど、胸が苦しくなって、恐怖心が増していく。

「夜遅く……家に侵入者がいて、とっさに兄弟で隠れたんだ。そうしたら――」

夜の玄関ロビーが、まざまざと瞼の裏に浮かんだ。
怖い……。
この先を明確にするのが。
でも、きちんと向き合わないと。
きっと、自分がここにいるのは、この先の出来事が原因だ。

「侵入者の一人が呪文を唱えはじめて……。逃げようとした瞬間に、苦しそうにうずくまった弟の体が光って――」

恐怖に体が震え、心臓が全力疾走したように激しく脈打つ。
エリオットはかすれた声で、その先に広がった記憶を口にした。

「驚く暇もなく、家が凍りついていったんだ。何が何だか分からないまま、急いで弟を逃がして……そのまま僕は――」

震える手で顔を覆う。

「凍ったんだ……」
「……覚えていらっしゃるのですね」

エリオットは、色をなくした顔をわずかに上げた。

「……弟は無事?」
「はい。無傷だったそうです」
「よかった……。僕は、あのまま氷の中で……死んだんだよね……」
「いいえ。男爵は、氷の中で生きていらっしゃいます。影が消滅していなかったのが、そのあかしです」

そういえば、亡くなった人の影は残らないと言っていたか。

「……これから話すことは、男爵にとって、お辛い内容になると思いますが――」
「レイっ。全部話して、それからどうする気なんだ?」

レイの言葉にかぶせるように、ヘンリーが硬い声で言う。

「今の男爵は、自我を持った土人形なんだ。それが、どういうことか分かってるだろ?」
「ヘンリー……。分かってるけど……」

レイが、困ったように口ごもる。

「メリアム君……。僕の存在が、二人にとって想定外なのは、何となく理解してるよ。迷惑はかけたくない。でも……僕は、自分の置かれている状況を知りたいんだ」
「それは……」

今度は、ヘンリーが口ごもる。

「男爵と、こうしてお話できるのは、とても奇跡的なことだと思うんです。だから……僕は、全てをお伝えしたい」

レイの強い声音に、ヘンリーは無言で視線を下げた。
納得はしていないようだが、レイの意見を尊重してくれたようだ。
それから、レイは、エリオットが凍りついた後のことを語ってくれた。
あの時に凍ったのは、玄関ホールだけではなく、コリンズ家そのものだった。
異常な出来事を前に、魔法省が調査をになったらしく、ほどなくして原因が公表された。
それは、魔力共鳴による力の暴走だった。
魔力共鳴とは、世界中で起こっている原因不明の超常現象だ。
二人以上の魔力が突然共鳴して、その場で爆発的な大暴走を引き起こす。
その現象は様々で、山が丸ごと燃え続けたり、街が暴風に包まれ続けたり。
共鳴した魔力の持ち主の意思や生死に関係なく、起きた現象は半永久的に継続していく。
天変地異のごとく、無慈悲に人々の生活や命を奪うので、世界中で恐れられているのだが、人々の長年の研究も空しく、原因は謎のままだった。

「共鳴した魔力の一つは、侵入者による、時止めの魔法だったようです」
「時止め? 僕の家で、そんな高度な魔法を……」

侵入者が唱えていたのは、時止めの呪文だったのか。
そこまでの上位魔法を使える者は、非常に限られてくる。
コリンズ家の時を止めてまで、何がしたかったのだろうか。

「侵入者ごと凍ったので、動機は分かっていません。その魔法と、もう一方の水魔法が共鳴して、館が時を止めたと同時に、凍りついてしまったと聞いています。時が止まっているので、男爵は凍った館の中で、生きていらっしゃるのです」
「なるほど……。そうなんだね……」

襲ってきた氷に飲み込まれた瞬間に、自身の時が止まったのか。
エリオットは、おそろしい速さで凍りついていく玄関ホールを脳裏によぎらせた。
氷は、上位の水魔法だ。
共鳴した、もう一方の水魔法。

それは――

エリオットは、一つの可能性を口にした。

「水魔法は、アーノルドの……?」

あの時、呪文を唱えていた男に反応したのは、弟だった。

「……そうです」

レイは、ゆっくりと頷いた。
あの時、アーノルド本人も知らない形で、魔力が発現したのだという。
魔力は血に宿るといわれていて、完全な遺伝だ。
アーノルドは、魔力のある血筋ではない。
しかし、まれに全く無縁の血筋から、魔力を持った人間が生まれることがあり、そういった者は突然変異と呼ばれている。
アーノルドは、世にも珍しい突然変異の水魔法使いだった。

――アーニーに、魔力があったなんて――……

エリオットは、ズボンの布を強くにぎった。
あんな状況で、突如として魔力に目覚めた上に、共鳴まで巻き起こって。
幼い心が、どれだけ苦しんだだろうか。

「……弟は、どうしてるか知ってる?」

一番重要なことを聞くと、レイは言葉を詰まらせた。

「……バンフィールド君?」
「あの……落ち着いて聞いてくださいね」

レイの声が、緊張からか、わずかに震えている。
聞くのが怖くなってくるが、アーノルドのことは、絶対に聞いておかねばならない。
不安を必死に抑え込みながら、エリオットは静かに頷いた。

「魔力共鳴による事故が起こってから、今は十五年経ってるんです」
「え……」

エリオットは、言葉をなくして呆然とした。

「信じられないと思いますが……」

受け止める余裕もないまま告げられる数々の事実に、エリオットは意識が遠のきそうになった。

「そんな……。じ、十五年……?」

兄弟で手をつないで家の中を歩いていたのは、つい先ほどのこと。
アーノルドを窓から放り投げてから、まだいくらも経っていないというのに。
信じられない。信じたくはないが、こんな状況で嘘をつかれるわけがない。
エリオットは、レイの茶色の目を力なく見つめた。
今朝、バンフィールド家で一緒に遊んだ男の子と同じ色の瞳。
そうか。親戚同士で名前が同じなのではない。
記憶にある三歳のレイと、目の前にいる学生のレイは、同一人物なのだ。

――どうして……どうして、こんなことに――……



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