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日常編
魅惑の蜜にご用心4
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ほぼアダルトシーンです。
マニアックではない……とは言いきれない……気がし……ます!
色んな要素がふわふわしています。
「今夜は……本当にごめんね。心配かけて……」
「薄暗い廊下で、テオの姿を見た時には、息が止まったよ」
「うう……すみません……」
フレデリクは小さく笑いながら、僕を気づかわしげに見つめる。
「ふわふわするのは、酒に酔ったような感覚なのか?」
「うん……。僕は、お酒で酔ったことないけど、こんな感じだと思う」
僕は分厚い胸に頬擦りして、大好きな温もりと匂いに夢中になった。
「んん~。安心したら、いっぱいふわふわしてきた」
「大丈夫か?」
「平気。フレッドと一緒なら、こわくないよ~」
ふわふわが強くなってきた気がしたけど、フレデリクがいるので、少しの不安もなかった。
「……フレッドのにおい大好き~」
僕はフレデリクの胸もとに鼻を押しつけて、ご機嫌に足をばたつかせた。
「大好きなのは匂いだけ?」
「ふふっ。ぜんぶだよ。ぜんぶ大好き」
子供のように無邪気に抱きついていると、優しく背中を撫でられる。
心地よいスキンシップに、胸の中がほわほわしてきた。
「もっと、ぎゅっとして……」
甘えた声でねだれば、逞しい体が、強く強く僕を抱きしめてくれる。
「テオ、かわいい……」
髪や顔に何度も口づけられ、嬉しい気持ちが、むくむくと膨れ上がっていく。
「ぼくもっ、ぼくも、キスするっ……」
僕は恋人の体に伸しかかった。
仰向けになったフレデリクの上にうつ伏せに重なって、首もとに唇を滑らせる。
「フレッド……んん……っ」
ふわふわとドキドキが混ざり合って、僕は愛する人の名を呼びながら、口づけを繰り返す。
熱く抱きしめられながら、舌先で鎖骨をなぞっていると、腰の奥がむずむずしてきた。
たまらなくなって、フレデリクに股間を押しつけると、甘い快感が背筋を走る。
「あ、んんぅ……ぁっ」
……フレッドの体に擦りつけるの、気持ちいい……。
一度、快楽への扉が開いてしまえば、もう止めることはできない。
僕は、フレデリクにしがみついて、腰を揺らした。
「擦りつけてるのか?」
「はぅっ……ぁん……きもちよくて……っ」
「……いやらしい腰使いだな」
「だ、だってぇ……ん、んんぅ」
下着の中で熱くなっている性器を、恋人の体に執拗に擦りつける。
瞬く間に勃起していくそれは、淫らな摩擦に喜んでいた。
「……すごく、いいっ……っぁあん……はぁっ」
激しくお尻を揺らして、ひたすらに快感を追う僕を、フレデリクは雄の欲望に満ちた顔で抱きしめ続ける。
「アムネブの蜜は、催淫作用はなかったよな……?」
「ぁんっ……はちみつは、ふわふわするだけっ……っきもちいいのは、フレッドのせいっ……」
恋人の匂いで鼻腔を満たして、股間を押しつけ擦り上げると、強い情欲が瞬く間に理性を食い破っていく。
「……こっちは俺の作用ってことか?」
フレデリクは僕のお尻を鷲掴みにして、自分の性器を僕のそれに擦りつけてきた。
「あ、ああっ……ぼくたちの、こすれて……んぁぁっ」
布越しに互いの性器を擦り合わせると、気持ちよさがぐっと増した。
「フレッドの……どんどん大きくなってる……」
フレデリクのものが滾っているのが分かって、嬉しくなる。
「そんなにかわいい声で大胆に擦られたら、興奮するしかないだろう?」
「もっと、いっぱい……こすっていい??」
「ああ。好きなだけ……」
お尻を揉まれながら促されて、僕は欲望のままに腰をふる。
「はぁっ……ぁんっ……ごしごし、きもちいいっ……」
フレデリクのシャツを握りしめ、勃起している恋人の起立に、夢中になって股間を押しつける。
「……テオが擦るのが上手だから、俺も気持ちいい……」
「フレッド……あ、あうぅ……ぁんっ……」
「まだ、ふわふわするか?」
「うん……くものうえにいるみたい……」
「雲の上でも、こんなにいやらしいなんて、淫らな王子様だ」
「……フレッドとなら、どこでだって……きもちよくなっちゃう……ぁぁっ」
「……テオは本当に、俺を喜ばせる達人だな」
フレデリクは男の色香たっぷりに微笑むと、僕のお尻の割れ目を布越しになぞり始めた。
同時に、僕の性器を扱くように、下から起立を擦りつけてくる。
「はぁんっ……ぁぁ……それ、すきぃっ……っ」
ふわふわと浮くような高揚感の中で、濃厚な快感が確かな存在感をもって、腰の奥から全身に広がっていく。
「テオ、顔を見せて」
「んんっ……ぁっ」
夢中で恋人の匂いを嗅いでいた顔を上げる。
「気持ちよさそうに、とろけた顔をして……」
僕の顔を見つめながら、情欲に光るアクアマリンの目が、満足気に細められた。
「フレッド、フレッドぉ……あ、ああっ……んんぅ」
優しく頬を撫でられて、僕は甘い声を出しながら、尚も激しく下腹部を擦りつける。
上手く飲み込めなかった唾液が口の端から流れ落ちて、フレデリクのシャツを濡らすが、気にしている余裕はない。
深く見つめ合いながら、興奮した互いの性器をいやらしく刺激する。
「もっと……ごしごしするっ……もっとぉっ」
フレッドが、擦りつけて気持ちよくなってる僕を見てる――
ぜんぶ、ぜんぶ、見られてる――……
愛する人の温もりに、絡みつく視線に。
快感がふわふわと煽られていく。
「必死に擦って……かわいい……」
「んぁぁっ……ああ、あっ……きもちいっ……」
絶頂に向けて駆け上がっていくと共に、僕は激しく腰を揺らしてしまう。
「んんっ……ぼくっ……いくっ、いっちゃうよっ……あああっ」
「テオ、ちょっと待った」
射精の快感に身を任せようとしていたのに、フレデリクにお尻をつかまれて、動きを止められた。
「っ!? やぁっ……フレッド、なんでとめるのっ……ぅぅ」
「このままだと、俺たちは、そろって下着を盛大に汚すことになる」
「で、でもっ……こんなの……んんぅ」
絶頂直前まで快感が膨れ上がったタイミングでの制止に、僕は眉根をよせて、ぐずってしまう。
「もっと気持ちよくするから、あとは俺に任せてくれないか?」
強くお尻を揉みしだかれながら言われて、僕は甘い声を漏らすと、分厚い胸にしがみつく。
「……いっぱい……気持ちよくしてくれる?」
淫らな期待にまみれた声で問うと、白皙の美貌がいやらしく頷いた。
「じゃあ、服を脱ごうな」
「うん……」
身を起こしたフレデリクの体の上からおろされると、ズボンと下着を一緒に脱がされる。
「あ、ぁっ……」
下着を汚さないために脱いだというのに。
僕の露になった性器の先からは、先走りの蜜が糸を引き、下着へと繋がっていた。
「……テオはすぐに可愛いおもらしをするから、もう下着が濡れてるな」
フレデリクは、その糸を指ですくい取りながら、震えている性器をうっとりと見つめると、僕を一糸まとわぬ姿にして、膝の上で横抱きにした。
「テオの体は、いつも胸が苦しくなるぐらいきれいだ……ずっと抱きしめていたくなる……」
力強く抱きよせられ、顔中に何度も口づけられる。
「こんなになめらかな肌で……柔らかい体をして……」
大きな手が背中をなぞり、お尻を揉む。
「おかげで、寝ても覚めても……俺はテオを求めてばかりだ」
フレデリクは欲望のにじんだ声で囁くように言うと、噛みつくようなキスをしてきた。
「んっ……ふぁっ……ぁん」
強く唇を吸われて、口内を隅々まで舌で愛撫される。
いやらしく響く水音に、甘く交わる唾液と吐息――
ふわりふわりと身を包む高揚感と、口づけの心地よさが合わさって、得も言われぬ快感がこんこんとわいてくる。
僕は、フレデリクに正面から抱きついて、逞しい体に手足を絡めた。
「フレッド……んむっ……ぁぁ」
「テオ……」
熱烈なキスに翻弄されていると、そっと顔が離れて、二本の指が唇に触れた。
「っぁ……」
「……俺の指、舐めてくれないか?」
「ゆび……?」
濡れた唇をゆっくりとなぞる、騎士の指――
「うん……なめる……」
僕は誘われるがままに、それを口に含んだ。
「ん……ぁぁんむ……」
長く男らしい指を唇で挟んで、爪先をそっと舐める。
二本のそれは、ゆっくりと歯列をなぞり、口蓋や頬の裏を撫でてきて……。
あ……くちのなか、ぞくぞくする……。
僕は背筋を震わせながら、二本の指を、まるで赤子のように舐めしゃぶった。
強く吸って、舌を絡めて、唾液をまぶすように。
「おいしそうに舐めてるな」
「っあ、ふ……おいしいよ……」
「一生懸命、吸って……かわいい……」
フレデリクは、あやすように僕の体を抱き揺らすと、先走りの蜜を垂らしてヒクついている性器にも、手を伸ばしてきた。
「んむぅ…あぅぅ……っっ!」
温かく大きな手が僕の性器を包み、優しく扱いてくる。
鈴口を指の腹で撫でられ、カリ首のくびれを小刻みに擦られて。
気持ちいいところを全て愛撫され、僕は腰をわななかせた。
「上も下も、ぐしょぐしょだ……」
甘えるように指を吸っている唇から、とめどなく流れ落ちている唾液に。
甘く激しく扱かれている性器から、たえず溢れている愛蜜に。
愛する人の両手をはしたなく濡らしながら、僕はわき上がる濃密な快楽に身もだえる。
フレッドの手……おいしくて、きもちよくて……ぜんぶ……とまらないよ――
「……ぁあっ……んぐっ……んんぁっ」
一心に指を舐めすすって、お尻を震わせている僕を、フレデリクは淫欲に支配された瞳で、舐めるように見つめてくる。
「気持ちいい?」
分厚い胸にしがみついて、何度も頷くと、白皙の美貌がいやらしく口角を上げた。
「……テオがたっぷり舐めてくれたから、指がふやけそうだな」
そう言うと、フレデリクは、僕の口から二本の指をゆっくりと引き抜いた。
濡れた指先を擦り合わせて、嬉しそうに目を細める。
雄の欲望が全開の表情に、お尻の奥がキュンキュンと切なくなった。
「約束通り、もっと気持ちよくしような」
「フレッド……ぁんあっ……」
性器を扱く手の動きが、少しずつ速くなっていく。
その一方で、舐め濡らした指が後孔に宛がわれて、僕は期待に満ちた声をあげた。
「ここも、興奮してヒクついてる……」
慣れた手つきで、孔の縁をくすぐられると、それだけで下肢が痙攣するように震えた。
「んん……あっ、ゆびがっ……っ」
「ほら……。俺の指を、テオが上手に飲み込んでる……」
「うう……あ、ぁあっ……」
少しずつ、泥濘をかき分けるように……。
濡れた指が、ぐっと僕の体内に挿入ってきた。
「……テオの中は、触れるだけで、理性が消えていくな……」
「あ、ああっ……そんな、おくまでっ……んんぅ」
指が根本まで挿入ると、中をかき乱しはじめる。
扱く手も激しくなり、腰の奥が快楽でとろけていった。
「はぁっ……んぁ……りょうほう、はげしっ……あんんっ!」
「すごい締めつけだ……」
いつの間にか増やされた二本の指に、前立腺を容赦なく刺激されて、僕は狂ったように喘いでしまう。
「む、むりぃ……やぁぁぁあ!!」
お尻の中と性器を、これでもかと摩擦される。
身体が甘い快感に支配され、瞬く間に絶頂へと駆け上がっていく。
「フ、フレッド……きもちいいのっ……きちゃうぅ……っ」
「……じゃあ、いっぱい出そうな……」
「んああ、あぁっ」
前立腺のしこりを執拗に擦られ、追い立てるように陰茎を扱かれて。
腰の奥から性器へと、熱い欲望がせり上がっていくのが感じられる。
「……ひっあ、あああっ、でちゃう……ぁんんんっ~~~~!!!」
恋人の指をお尻で締めつけながら、僕は勢いよく白濁を放った。
「はぁっ……はぁっ……」
「濃いのがいっぱい出せたな」
「ううぅ……フレッドぉ……」
フレデリクは、指についた精液をひと舐めすると、体内から、もう一方の指を引き抜いた。
そして、絶頂後でふにゃふにゃしている僕の体を、ベッドに寝かせる。
「今度は、俺のことを気持ちよくしてくれるか?」
小さく頷くと、フレデリクは僕の両足を持ち上げた。
精液と先走りの蜜で濡れそぼった秘部が露になり、今更ながらに羞恥が体をよぎる。
「気持ちよくなったばかりなのに、もう欲しがってるな……」
「ぁぅぅ……か、体がかってに……」
恋人の視線にさらされて、お尻の孔がヒクヒクと脈動しているのが分かる。
フレデリクは、アクアマリンの瞳を淫欲で輝かせながら、自身の前面を寛げて、猛った欲望を取り出した。
「すぐに欲しい……?」
愛する人の熱く硬い欲望が、ふやけた後孔に擦りつけられる。
その感触に、強烈な欲求が身体の中で叫びだした。
「うん、うん……っ。はやく……奥まで、きて……おねがいっ」
目を潤ませながらねだると、フレデリクは小さく唸り声をあげて、僕の中に挿入ってきた。
「あ、ああっん……フレッドっ……ぁぁっ」
みちみちと中をいっぱいにされる圧迫感に、歓喜の涙がこぼれる。
「テオ……もう少しだっ」
フレデリクは軽く抜き差ししながら、奥まで欲望を突き入れてくる。
「な、なかっ……おっきいの……あついっ……んんっ」
奥の奥まで雄の欲で満たされると、圧倒的な幸福に心が震えた。
「……まだ、ふわふわするか?」
「ん、んんっ……もうしないよ……」
言われてみれば、いつの間にか酩酊感は消えていた。
「いまは……きもちいいだけっ……あんぁっ」
「俺の作用だけ?」
「うんっ……フレッドだけっ」
「かわいい、テオ……」
強く抱きしめられると、激しく前立腺を擦りながら打ち込まれて、僕は悲鳴のような喘ぎ声をあげた。
「あ、ああっ……フレッド……すごいっ、すごいのきちゃうぅ……ぁんんっ」
お尻を震わせながら、逞しい体に強くしがみつく。
鋭く濃厚な快楽に飲み込まれて、思考がとろけた僕は、泣きながら愛する人の名を何度も呼んだ。
「やぁっ……どうしよっ、き、きもちよすぎてっ……ぼく……ぼくっ……ああんっ」
続く快感に、感覚が麻痺してしまった僕の性器から、不意に白濁が飛び散る。
フレデリクは呼吸を荒くしながら、最奥まで何度も何度も貫いてきて、僕は終わらない絶頂に襲われた。
「フ、フレッ……だめっ、もう……だ、めっ……むりっ……ううぅ……むりぃっ……ぁぁぁ」
分からない。
もう何も……気持ちいいことしか分からない――
「まだだ、テオ……。一緒に、もっと気持ちよくなろう」
涙でけぶる視界の真ん中には、欲望に濡れたアクアマリンの瞳。
「そ、んなっ……」
これ以上の快楽絶頂は、本気で体がどうにかなってしまいそうだというのに、フレデリクは一層激しく、僕の体を貪ってくる。
「んあっ……ゃっ……ぅぅんっ……ぼく、とけちゃう……っ」
強くて熱くていやらしい抜き差しに、僕は限界を超えて、愛する人がもたらす快感一色となった。
「っ……二人で溶けよう……」
「うん……ぜんぶ、とけたい……フレッドといっしょに……っぁ」
「テオ……っ」
ぐぐっと奥の奥まで起立を突き刺されると、フレデリクの欲望が中で弾けた。
白濁が注がれる充足感に、本当に体が溶けてしまう気がした。
「あ、ああ……フレッド……フレッド……」
「テオドール……愛してる……俺のテオ……」
「……ぼくも、あいしてる……」
深い快楽の中で固く抱き合うと、自然に唇が重なった。
熱く繋がったまま、舌を絡ませ唾液を飲み込む。
「テオのことを……もっと愛したい……もっと……」
もう、指一本さえ動かない……はずなのに。
僕のお尻の中は、フレデリクの起立を嬉しそうに食い締めて、脈動している。
「……フレッド……ぼくも……」
かすれた声で応えると、激しい口づけと共に、再び淫らな律動が始まった。
アムネブの蜜の作用とは違った、強烈な酩酊感と心地よさが、体を覆う。
ああ……ぼく、きもちよすぎて……おかしくなっちゃった……。
身体の中を奥の奥まで愛されながら、僕の世界はフレデリクだけになっていった。
低く心地よい声で、優しく名を呼ばれて、意識が浮上する。
ゆっくりと目を開けると、白皙の美貌が優しく微笑んでいた。
「フレッド……」
「おはよう、テオ」
「おはよう……」
まだ目が覚めきらないまま、周囲を見る。
いつもの起床に思えるが、エヴァンや侍女たちはおらず、カーテンも開けられていなかった。
「気分は悪くないか?」
「うん……。ふわふわした感覚は、もうないよ」
「よかった。蜜の作用は消えているようだな」
安心したフレデリクの表情を見ていると、頭の中が少しずつ稼働してきて、昨晩のことが頭をめぐりはじめた。
「あ……っ。フレッド、あの、昨日はごめんなさい。沢山、迷惑かけて……」
フレデリクは穏やかな表情を浮かべると、僕の頬を優しく撫でた。
「いいよ。俺は、好奇心旺盛なテオを心から愛してるから。ただ、次に新たな挑戦をする時には、俺も隣にいさせてほしい」
「フレッド……」
僕の心に配慮した優しすぎる言葉に、逆に罪悪感が積もっていく。
うう……フレッドはこんなに気遣ってくれるというのに、昨日の僕ときたらっ。
一人寝の寂しさと好奇心に負けて、あやしい蜂蜜を食べたあげくに、夜の廊下を一人でふらふらして。
打ち合わせで疲れてるだろうに、あれやこれやと、その……色んな世話を……っ。
……最後の方は記憶が飛んでるし……ああああああ!!!!!
我ながら、情けなさすぎる。
「起床時間は遅らせてほしいと、ボーシャン殿に言ってあるから、ゆっくりしてるといい」
「……何から何まですみません……」
掛布を鼻先まで引きあげて、申し訳なさに縮こまる僕に、フレデリクは笑みを深めた。
「……エヴァンには、僕がアムネブの蜜を食べたことを話した?」
「いや、まだ話してない。テオが嫌なら、言わないでおくが」
「ううん。ちゃんと話さなかったら、起きるのを遅くしたことを心配させちゃうと思うし。僕の反省のためにも、エヴァンにも話しておきたい……呆れられるだろうけど……」
「呆れはしないさ。テオが蜂蜜好きなのは、ボーシャン殿もよく知っているしな。問題はあの男だ」
途端に、フレデリクの顔が険しくなる。
「表向きは伯爵の扱いでと言っておきながら、結局は自分の身分を利用して、王子殿下を惑わすような贈り物をするとは」
あ……。とうとう、バッツィーニ伯爵が、あの男呼ばわりに……。
「で、でも、アムネブの蜜ってものすごい高価っていうし、希少な贈り物だよ」
「金額の問題じゃない」
「……確かに、あやしい贈り物だったけど、食べたのは僕の意思だし……。やっぱり、僕の問題だよ」
僕は身を起こすと、眉根をよせてベッドサイドに立っているフレデリクに抱きついた。
「昨日、フレッドにたくさん心配をかけて、すごく後悔した。もう、無責任なことはしないから……」
「アムネブの蜜は、もういいのか?」
「い、いいですっ。僕には刺激の強すぎる代物でしたっ」
懲りたとばかりに語尾を荒くする僕に、フレデリクは穏やかな笑い声をあげた。
「蜜を食べて、雲の上に行くのもいいが……」
フレデリクは、僕を優しく押し倒してきた。
「俺は、ベッドの上の方が好きだな」
アクアマリンの目が楽しげに細められると、蜂蜜よりも甘い口づけが唇に降ってくる。
「ぁっ……僕もだよ……」
そう言って、更なる口づけをねだると、僕の恋人は、白皙の美貌を嬉しそうに綻ばせた。
アダルトシーンを何度か書き直していたら、かなり長くなってしまいました。
二話に分ければよかったかもしれません(今更!)
ふわふわしちゃっていたり、擦りつけたり、指を舐めたり……私の中では、そこまでマニアックではない判定ですが、皆さん的にはどうでしょうか?
テオドールは、フレデリクの過保護ぶりに困惑していることが多いのですが。
今回のような危なっかしいことをする→フレデリクの庇護欲が高まる
のループが完全にできあがっているので、王子が専属騎士の溺愛過保護から逃れることは永遠にできないですねっ。
マニアックではない……とは言いきれない……気がし……ます!
色んな要素がふわふわしています。
「今夜は……本当にごめんね。心配かけて……」
「薄暗い廊下で、テオの姿を見た時には、息が止まったよ」
「うう……すみません……」
フレデリクは小さく笑いながら、僕を気づかわしげに見つめる。
「ふわふわするのは、酒に酔ったような感覚なのか?」
「うん……。僕は、お酒で酔ったことないけど、こんな感じだと思う」
僕は分厚い胸に頬擦りして、大好きな温もりと匂いに夢中になった。
「んん~。安心したら、いっぱいふわふわしてきた」
「大丈夫か?」
「平気。フレッドと一緒なら、こわくないよ~」
ふわふわが強くなってきた気がしたけど、フレデリクがいるので、少しの不安もなかった。
「……フレッドのにおい大好き~」
僕はフレデリクの胸もとに鼻を押しつけて、ご機嫌に足をばたつかせた。
「大好きなのは匂いだけ?」
「ふふっ。ぜんぶだよ。ぜんぶ大好き」
子供のように無邪気に抱きついていると、優しく背中を撫でられる。
心地よいスキンシップに、胸の中がほわほわしてきた。
「もっと、ぎゅっとして……」
甘えた声でねだれば、逞しい体が、強く強く僕を抱きしめてくれる。
「テオ、かわいい……」
髪や顔に何度も口づけられ、嬉しい気持ちが、むくむくと膨れ上がっていく。
「ぼくもっ、ぼくも、キスするっ……」
僕は恋人の体に伸しかかった。
仰向けになったフレデリクの上にうつ伏せに重なって、首もとに唇を滑らせる。
「フレッド……んん……っ」
ふわふわとドキドキが混ざり合って、僕は愛する人の名を呼びながら、口づけを繰り返す。
熱く抱きしめられながら、舌先で鎖骨をなぞっていると、腰の奥がむずむずしてきた。
たまらなくなって、フレデリクに股間を押しつけると、甘い快感が背筋を走る。
「あ、んんぅ……ぁっ」
……フレッドの体に擦りつけるの、気持ちいい……。
一度、快楽への扉が開いてしまえば、もう止めることはできない。
僕は、フレデリクにしがみついて、腰を揺らした。
「擦りつけてるのか?」
「はぅっ……ぁん……きもちよくて……っ」
「……いやらしい腰使いだな」
「だ、だってぇ……ん、んんぅ」
下着の中で熱くなっている性器を、恋人の体に執拗に擦りつける。
瞬く間に勃起していくそれは、淫らな摩擦に喜んでいた。
「……すごく、いいっ……っぁあん……はぁっ」
激しくお尻を揺らして、ひたすらに快感を追う僕を、フレデリクは雄の欲望に満ちた顔で抱きしめ続ける。
「アムネブの蜜は、催淫作用はなかったよな……?」
「ぁんっ……はちみつは、ふわふわするだけっ……っきもちいいのは、フレッドのせいっ……」
恋人の匂いで鼻腔を満たして、股間を押しつけ擦り上げると、強い情欲が瞬く間に理性を食い破っていく。
「……こっちは俺の作用ってことか?」
フレデリクは僕のお尻を鷲掴みにして、自分の性器を僕のそれに擦りつけてきた。
「あ、ああっ……ぼくたちの、こすれて……んぁぁっ」
布越しに互いの性器を擦り合わせると、気持ちよさがぐっと増した。
「フレッドの……どんどん大きくなってる……」
フレデリクのものが滾っているのが分かって、嬉しくなる。
「そんなにかわいい声で大胆に擦られたら、興奮するしかないだろう?」
「もっと、いっぱい……こすっていい??」
「ああ。好きなだけ……」
お尻を揉まれながら促されて、僕は欲望のままに腰をふる。
「はぁっ……ぁんっ……ごしごし、きもちいいっ……」
フレデリクのシャツを握りしめ、勃起している恋人の起立に、夢中になって股間を押しつける。
「……テオが擦るのが上手だから、俺も気持ちいい……」
「フレッド……あ、あうぅ……ぁんっ……」
「まだ、ふわふわするか?」
「うん……くものうえにいるみたい……」
「雲の上でも、こんなにいやらしいなんて、淫らな王子様だ」
「……フレッドとなら、どこでだって……きもちよくなっちゃう……ぁぁっ」
「……テオは本当に、俺を喜ばせる達人だな」
フレデリクは男の色香たっぷりに微笑むと、僕のお尻の割れ目を布越しになぞり始めた。
同時に、僕の性器を扱くように、下から起立を擦りつけてくる。
「はぁんっ……ぁぁ……それ、すきぃっ……っ」
ふわふわと浮くような高揚感の中で、濃厚な快感が確かな存在感をもって、腰の奥から全身に広がっていく。
「テオ、顔を見せて」
「んんっ……ぁっ」
夢中で恋人の匂いを嗅いでいた顔を上げる。
「気持ちよさそうに、とろけた顔をして……」
僕の顔を見つめながら、情欲に光るアクアマリンの目が、満足気に細められた。
「フレッド、フレッドぉ……あ、ああっ……んんぅ」
優しく頬を撫でられて、僕は甘い声を出しながら、尚も激しく下腹部を擦りつける。
上手く飲み込めなかった唾液が口の端から流れ落ちて、フレデリクのシャツを濡らすが、気にしている余裕はない。
深く見つめ合いながら、興奮した互いの性器をいやらしく刺激する。
「もっと……ごしごしするっ……もっとぉっ」
フレッドが、擦りつけて気持ちよくなってる僕を見てる――
ぜんぶ、ぜんぶ、見られてる――……
愛する人の温もりに、絡みつく視線に。
快感がふわふわと煽られていく。
「必死に擦って……かわいい……」
「んぁぁっ……ああ、あっ……きもちいっ……」
絶頂に向けて駆け上がっていくと共に、僕は激しく腰を揺らしてしまう。
「んんっ……ぼくっ……いくっ、いっちゃうよっ……あああっ」
「テオ、ちょっと待った」
射精の快感に身を任せようとしていたのに、フレデリクにお尻をつかまれて、動きを止められた。
「っ!? やぁっ……フレッド、なんでとめるのっ……ぅぅ」
「このままだと、俺たちは、そろって下着を盛大に汚すことになる」
「で、でもっ……こんなの……んんぅ」
絶頂直前まで快感が膨れ上がったタイミングでの制止に、僕は眉根をよせて、ぐずってしまう。
「もっと気持ちよくするから、あとは俺に任せてくれないか?」
強くお尻を揉みしだかれながら言われて、僕は甘い声を漏らすと、分厚い胸にしがみつく。
「……いっぱい……気持ちよくしてくれる?」
淫らな期待にまみれた声で問うと、白皙の美貌がいやらしく頷いた。
「じゃあ、服を脱ごうな」
「うん……」
身を起こしたフレデリクの体の上からおろされると、ズボンと下着を一緒に脱がされる。
「あ、ぁっ……」
下着を汚さないために脱いだというのに。
僕の露になった性器の先からは、先走りの蜜が糸を引き、下着へと繋がっていた。
「……テオはすぐに可愛いおもらしをするから、もう下着が濡れてるな」
フレデリクは、その糸を指ですくい取りながら、震えている性器をうっとりと見つめると、僕を一糸まとわぬ姿にして、膝の上で横抱きにした。
「テオの体は、いつも胸が苦しくなるぐらいきれいだ……ずっと抱きしめていたくなる……」
力強く抱きよせられ、顔中に何度も口づけられる。
「こんなになめらかな肌で……柔らかい体をして……」
大きな手が背中をなぞり、お尻を揉む。
「おかげで、寝ても覚めても……俺はテオを求めてばかりだ」
フレデリクは欲望のにじんだ声で囁くように言うと、噛みつくようなキスをしてきた。
「んっ……ふぁっ……ぁん」
強く唇を吸われて、口内を隅々まで舌で愛撫される。
いやらしく響く水音に、甘く交わる唾液と吐息――
ふわりふわりと身を包む高揚感と、口づけの心地よさが合わさって、得も言われぬ快感がこんこんとわいてくる。
僕は、フレデリクに正面から抱きついて、逞しい体に手足を絡めた。
「フレッド……んむっ……ぁぁ」
「テオ……」
熱烈なキスに翻弄されていると、そっと顔が離れて、二本の指が唇に触れた。
「っぁ……」
「……俺の指、舐めてくれないか?」
「ゆび……?」
濡れた唇をゆっくりとなぞる、騎士の指――
「うん……なめる……」
僕は誘われるがままに、それを口に含んだ。
「ん……ぁぁんむ……」
長く男らしい指を唇で挟んで、爪先をそっと舐める。
二本のそれは、ゆっくりと歯列をなぞり、口蓋や頬の裏を撫でてきて……。
あ……くちのなか、ぞくぞくする……。
僕は背筋を震わせながら、二本の指を、まるで赤子のように舐めしゃぶった。
強く吸って、舌を絡めて、唾液をまぶすように。
「おいしそうに舐めてるな」
「っあ、ふ……おいしいよ……」
「一生懸命、吸って……かわいい……」
フレデリクは、あやすように僕の体を抱き揺らすと、先走りの蜜を垂らしてヒクついている性器にも、手を伸ばしてきた。
「んむぅ…あぅぅ……っっ!」
温かく大きな手が僕の性器を包み、優しく扱いてくる。
鈴口を指の腹で撫でられ、カリ首のくびれを小刻みに擦られて。
気持ちいいところを全て愛撫され、僕は腰をわななかせた。
「上も下も、ぐしょぐしょだ……」
甘えるように指を吸っている唇から、とめどなく流れ落ちている唾液に。
甘く激しく扱かれている性器から、たえず溢れている愛蜜に。
愛する人の両手をはしたなく濡らしながら、僕はわき上がる濃密な快楽に身もだえる。
フレッドの手……おいしくて、きもちよくて……ぜんぶ……とまらないよ――
「……ぁあっ……んぐっ……んんぁっ」
一心に指を舐めすすって、お尻を震わせている僕を、フレデリクは淫欲に支配された瞳で、舐めるように見つめてくる。
「気持ちいい?」
分厚い胸にしがみついて、何度も頷くと、白皙の美貌がいやらしく口角を上げた。
「……テオがたっぷり舐めてくれたから、指がふやけそうだな」
そう言うと、フレデリクは、僕の口から二本の指をゆっくりと引き抜いた。
濡れた指先を擦り合わせて、嬉しそうに目を細める。
雄の欲望が全開の表情に、お尻の奥がキュンキュンと切なくなった。
「約束通り、もっと気持ちよくしような」
「フレッド……ぁんあっ……」
性器を扱く手の動きが、少しずつ速くなっていく。
その一方で、舐め濡らした指が後孔に宛がわれて、僕は期待に満ちた声をあげた。
「ここも、興奮してヒクついてる……」
慣れた手つきで、孔の縁をくすぐられると、それだけで下肢が痙攣するように震えた。
「んん……あっ、ゆびがっ……っ」
「ほら……。俺の指を、テオが上手に飲み込んでる……」
「うう……あ、ぁあっ……」
少しずつ、泥濘をかき分けるように……。
濡れた指が、ぐっと僕の体内に挿入ってきた。
「……テオの中は、触れるだけで、理性が消えていくな……」
「あ、ああっ……そんな、おくまでっ……んんぅ」
指が根本まで挿入ると、中をかき乱しはじめる。
扱く手も激しくなり、腰の奥が快楽でとろけていった。
「はぁっ……んぁ……りょうほう、はげしっ……あんんっ!」
「すごい締めつけだ……」
いつの間にか増やされた二本の指に、前立腺を容赦なく刺激されて、僕は狂ったように喘いでしまう。
「む、むりぃ……やぁぁぁあ!!」
お尻の中と性器を、これでもかと摩擦される。
身体が甘い快感に支配され、瞬く間に絶頂へと駆け上がっていく。
「フ、フレッド……きもちいいのっ……きちゃうぅ……っ」
「……じゃあ、いっぱい出そうな……」
「んああ、あぁっ」
前立腺のしこりを執拗に擦られ、追い立てるように陰茎を扱かれて。
腰の奥から性器へと、熱い欲望がせり上がっていくのが感じられる。
「……ひっあ、あああっ、でちゃう……ぁんんんっ~~~~!!!」
恋人の指をお尻で締めつけながら、僕は勢いよく白濁を放った。
「はぁっ……はぁっ……」
「濃いのがいっぱい出せたな」
「ううぅ……フレッドぉ……」
フレデリクは、指についた精液をひと舐めすると、体内から、もう一方の指を引き抜いた。
そして、絶頂後でふにゃふにゃしている僕の体を、ベッドに寝かせる。
「今度は、俺のことを気持ちよくしてくれるか?」
小さく頷くと、フレデリクは僕の両足を持ち上げた。
精液と先走りの蜜で濡れそぼった秘部が露になり、今更ながらに羞恥が体をよぎる。
「気持ちよくなったばかりなのに、もう欲しがってるな……」
「ぁぅぅ……か、体がかってに……」
恋人の視線にさらされて、お尻の孔がヒクヒクと脈動しているのが分かる。
フレデリクは、アクアマリンの瞳を淫欲で輝かせながら、自身の前面を寛げて、猛った欲望を取り出した。
「すぐに欲しい……?」
愛する人の熱く硬い欲望が、ふやけた後孔に擦りつけられる。
その感触に、強烈な欲求が身体の中で叫びだした。
「うん、うん……っ。はやく……奥まで、きて……おねがいっ」
目を潤ませながらねだると、フレデリクは小さく唸り声をあげて、僕の中に挿入ってきた。
「あ、ああっん……フレッドっ……ぁぁっ」
みちみちと中をいっぱいにされる圧迫感に、歓喜の涙がこぼれる。
「テオ……もう少しだっ」
フレデリクは軽く抜き差ししながら、奥まで欲望を突き入れてくる。
「な、なかっ……おっきいの……あついっ……んんっ」
奥の奥まで雄の欲で満たされると、圧倒的な幸福に心が震えた。
「……まだ、ふわふわするか?」
「ん、んんっ……もうしないよ……」
言われてみれば、いつの間にか酩酊感は消えていた。
「いまは……きもちいいだけっ……あんぁっ」
「俺の作用だけ?」
「うんっ……フレッドだけっ」
「かわいい、テオ……」
強く抱きしめられると、激しく前立腺を擦りながら打ち込まれて、僕は悲鳴のような喘ぎ声をあげた。
「あ、ああっ……フレッド……すごいっ、すごいのきちゃうぅ……ぁんんっ」
お尻を震わせながら、逞しい体に強くしがみつく。
鋭く濃厚な快楽に飲み込まれて、思考がとろけた僕は、泣きながら愛する人の名を何度も呼んだ。
「やぁっ……どうしよっ、き、きもちよすぎてっ……ぼく……ぼくっ……ああんっ」
続く快感に、感覚が麻痺してしまった僕の性器から、不意に白濁が飛び散る。
フレデリクは呼吸を荒くしながら、最奥まで何度も何度も貫いてきて、僕は終わらない絶頂に襲われた。
「フ、フレッ……だめっ、もう……だ、めっ……むりっ……ううぅ……むりぃっ……ぁぁぁ」
分からない。
もう何も……気持ちいいことしか分からない――
「まだだ、テオ……。一緒に、もっと気持ちよくなろう」
涙でけぶる視界の真ん中には、欲望に濡れたアクアマリンの瞳。
「そ、んなっ……」
これ以上の快楽絶頂は、本気で体がどうにかなってしまいそうだというのに、フレデリクは一層激しく、僕の体を貪ってくる。
「んあっ……ゃっ……ぅぅんっ……ぼく、とけちゃう……っ」
強くて熱くていやらしい抜き差しに、僕は限界を超えて、愛する人がもたらす快感一色となった。
「っ……二人で溶けよう……」
「うん……ぜんぶ、とけたい……フレッドといっしょに……っぁ」
「テオ……っ」
ぐぐっと奥の奥まで起立を突き刺されると、フレデリクの欲望が中で弾けた。
白濁が注がれる充足感に、本当に体が溶けてしまう気がした。
「あ、ああ……フレッド……フレッド……」
「テオドール……愛してる……俺のテオ……」
「……ぼくも、あいしてる……」
深い快楽の中で固く抱き合うと、自然に唇が重なった。
熱く繋がったまま、舌を絡ませ唾液を飲み込む。
「テオのことを……もっと愛したい……もっと……」
もう、指一本さえ動かない……はずなのに。
僕のお尻の中は、フレデリクの起立を嬉しそうに食い締めて、脈動している。
「……フレッド……ぼくも……」
かすれた声で応えると、激しい口づけと共に、再び淫らな律動が始まった。
アムネブの蜜の作用とは違った、強烈な酩酊感と心地よさが、体を覆う。
ああ……ぼく、きもちよすぎて……おかしくなっちゃった……。
身体の中を奥の奥まで愛されながら、僕の世界はフレデリクだけになっていった。
低く心地よい声で、優しく名を呼ばれて、意識が浮上する。
ゆっくりと目を開けると、白皙の美貌が優しく微笑んでいた。
「フレッド……」
「おはよう、テオ」
「おはよう……」
まだ目が覚めきらないまま、周囲を見る。
いつもの起床に思えるが、エヴァンや侍女たちはおらず、カーテンも開けられていなかった。
「気分は悪くないか?」
「うん……。ふわふわした感覚は、もうないよ」
「よかった。蜜の作用は消えているようだな」
安心したフレデリクの表情を見ていると、頭の中が少しずつ稼働してきて、昨晩のことが頭をめぐりはじめた。
「あ……っ。フレッド、あの、昨日はごめんなさい。沢山、迷惑かけて……」
フレデリクは穏やかな表情を浮かべると、僕の頬を優しく撫でた。
「いいよ。俺は、好奇心旺盛なテオを心から愛してるから。ただ、次に新たな挑戦をする時には、俺も隣にいさせてほしい」
「フレッド……」
僕の心に配慮した優しすぎる言葉に、逆に罪悪感が積もっていく。
うう……フレッドはこんなに気遣ってくれるというのに、昨日の僕ときたらっ。
一人寝の寂しさと好奇心に負けて、あやしい蜂蜜を食べたあげくに、夜の廊下を一人でふらふらして。
打ち合わせで疲れてるだろうに、あれやこれやと、その……色んな世話を……っ。
……最後の方は記憶が飛んでるし……ああああああ!!!!!
我ながら、情けなさすぎる。
「起床時間は遅らせてほしいと、ボーシャン殿に言ってあるから、ゆっくりしてるといい」
「……何から何まですみません……」
掛布を鼻先まで引きあげて、申し訳なさに縮こまる僕に、フレデリクは笑みを深めた。
「……エヴァンには、僕がアムネブの蜜を食べたことを話した?」
「いや、まだ話してない。テオが嫌なら、言わないでおくが」
「ううん。ちゃんと話さなかったら、起きるのを遅くしたことを心配させちゃうと思うし。僕の反省のためにも、エヴァンにも話しておきたい……呆れられるだろうけど……」
「呆れはしないさ。テオが蜂蜜好きなのは、ボーシャン殿もよく知っているしな。問題はあの男だ」
途端に、フレデリクの顔が険しくなる。
「表向きは伯爵の扱いでと言っておきながら、結局は自分の身分を利用して、王子殿下を惑わすような贈り物をするとは」
あ……。とうとう、バッツィーニ伯爵が、あの男呼ばわりに……。
「で、でも、アムネブの蜜ってものすごい高価っていうし、希少な贈り物だよ」
「金額の問題じゃない」
「……確かに、あやしい贈り物だったけど、食べたのは僕の意思だし……。やっぱり、僕の問題だよ」
僕は身を起こすと、眉根をよせてベッドサイドに立っているフレデリクに抱きついた。
「昨日、フレッドにたくさん心配をかけて、すごく後悔した。もう、無責任なことはしないから……」
「アムネブの蜜は、もういいのか?」
「い、いいですっ。僕には刺激の強すぎる代物でしたっ」
懲りたとばかりに語尾を荒くする僕に、フレデリクは穏やかな笑い声をあげた。
「蜜を食べて、雲の上に行くのもいいが……」
フレデリクは、僕を優しく押し倒してきた。
「俺は、ベッドの上の方が好きだな」
アクアマリンの目が楽しげに細められると、蜂蜜よりも甘い口づけが唇に降ってくる。
「ぁっ……僕もだよ……」
そう言って、更なる口づけをねだると、僕の恋人は、白皙の美貌を嬉しそうに綻ばせた。
アダルトシーンを何度か書き直していたら、かなり長くなってしまいました。
二話に分ければよかったかもしれません(今更!)
ふわふわしちゃっていたり、擦りつけたり、指を舐めたり……私の中では、そこまでマニアックではない判定ですが、皆さん的にはどうでしょうか?
テオドールは、フレデリクの過保護ぶりに困惑していることが多いのですが。
今回のような危なっかしいことをする→フレデリクの庇護欲が高まる
のループが完全にできあがっているので、王子が専属騎士の溺愛過保護から逃れることは永遠にできないですねっ。
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