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日常編
明け方のうらぎり
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ラオネスでの、二人のナイトルーティン的な話です。
毎晩、テオたちはこんな感じで夜を過ごしています。
今回はキス程度で、それ以上のアダルト描写はありません。
軽くいちゃいちゃしながら寝る二人です。
「ん~。ここにアンメンドラ侯爵の名前があるってことは、三都市同盟を結んだのは、この人ってこと?」
うっすらと波の音が聞こえる穏やかな夜。
僕はベッドにうつ伏せになって、枕元に広げた分厚いラオネスの歴史書とにらめっこしていた。
複雑な歴史が分かりづらく説明されていて、少し読んだだけで頭が重くなってくる。
入眠用にはぴったりの一冊だった。
「そうだな。この時にラオネスを治めていたのは、アンメンドラ侯爵だしな」
僕の問いかけに答えてくれたのは、恋人のフレデリク。
彼は、僕の隣で同じように歴史書をのぞき込んでいる。
ベッドサイドに置いている蝋燭の淡い光に照らされた白皙の美貌は、いつまでも見つめていたいほどカッコよくて。
先ほどから、歴史書に目を集中させるのに苦心していた。
「でも、この後の貿易条約を結んでるのは、ゴセック伯爵になってるよ」
「この歴史書には書いてないが、三都市同盟を結んだ直後に、アンメンドラ侯爵家は、当時の帝国に機密情報を売った罪で取り潰しになっているんだ」
「え……」
そんな裏事情は、注釈でも入れておいてほしいところだ。
「その後、ラオネスを含むアンメンドラ侯爵領は王国の直轄地になって、地方長官として王都から派遣されたのが、ゴセック伯爵とユレ伯爵で」
うわ。あ、頭が……。
「ラオネスと、西南部のいくつかの都市を任されたゴセック伯爵が――」
頭がぁぁぁぁぁっ!!!!!
僕は広げている歴史書から顔をそむけると、ぴたりとくっついているフレデリクに抱きついた。
「もうだめっ。これ以上の情報は、頭が受けつけないよっ」
ラオネスの濃厚な歴史が脳内に押しよせてきて、僕の頭はパンクしそうになった。
ぐらぐらする頭を逞しい体にすりつけて、沸騰直前の脳みそを落ち着かせる。
うう……フレッド、いい匂いっ。
ぎゅっと強くしがみつきながら、恋人の温もりと匂いを貪欲に味わっていると、フレデリクは僕を抱き返して小さく笑った。
「こんなに細かく頭に入れる必要はないんじゃないか? 大体の流れを把握していたら充分だろう」
「そうなんだけど……。みんな、結構詳しいんだよね。夜会とかで話してても、深い歴史の知識を下敷きにした冗談が交わされててさぁ。兄上だって、ちゃんと理解してる感じだし」
「内輪受けの会話は、聞き流せばいいと思うけどな」
「なんて言って、フレッドも歴史に詳しいじゃない。今だって、すんなりと知識が出てくるしさ」
「子供の頃に、これでもかと詰め込まれたからな」
フレデリクは剣の道を突き進んでいるが、侯爵令息としての教養もしっかりと身につけている。
騎士として超一流な上に、テュレンヌ侯爵家の子息としても、とてつもなく立派で、申し分のない人だ。
見習い騎士の修業と、貴族の高位教育を両立するのは、どれだけ大変だっただろうか。
……どっかのおバカな第三王子とは大違いですねっ!!
僕は激しく自虐的な気持ちになって、恋人にぐりぐりと体を押しつけ、理不尽な八つ当たりをしてしまう。
「どうした? 何で拗ねてるんだ?」
「フレッドからしたら、僕は、あんぽんたんなおバカ王子なんだろうなって」
フレデリクは僕の体を優しく撫でながら、声を出して笑った。
「そんな風に思ったことはないよ」
「嘘だ! フレッドは記憶力だってすごいし……」
自慢の恋人は、物覚えも非常にいい。
社交界で沢山の人と言葉を交わすと、誰が何やら訳が分からなくなるのだけど、フレデリクはきちんと内容を覚えている。
そして、次に顔を合わせた時に、しっかりと話を合わせていけるのだ。
僕は、人物も話の内容もすっぽ抜けていることがよくあるので、フレデリクに社交の場でフォローされることが多い。
実に不甲斐ない主君だ。
「まぁ、暗記には困ったことはないかな」
「でしょ~? 僕なんか、すぐに忘れちゃって、フレッドに助けてもらってばかりだし。僕も、少しでいいから物覚えがよかったらなぁ。フレッドが羨ましいよ」
「そうか? 俺はテオを羨ましいと思うが」
「フレッドが!? 僕を!?!?」
僕は目を丸くした。
「……寝ぼけてるの?」
本気で問うと、フレデリクが吹き出すように笑った。
「まだ、眠くないな」
「じゃあ、お世辞?」
「違う」
蝋燭の淡い光の中。アクアマリンの美しい目が、僕の顔をのぞき込んでくる。
それと同時に、大きな手で両頬を包まれて、派手に揉みしだかれた。
「ひゃぅ……フレッド、そんなに揉まないでぇ」
「テオは、すぐ自分のことを低く見積もるなぁ~」
むにむにと頬をもみくしゃにされて、僕は小さく呻いてしまう。
「だ、だって、何でもできるフレッドが、僕を羨ましがるなんて、ありえないと思って……」
「俺は別に万能じゃない。確かに、記憶するのは得意な方だが、ただそれだけだしな。でも、テオは違うだろ?」
フレデリクは、僕の頬を両手でしっかりと包んだまま、優しい表情を浮かべる。
「テオには、誰にも真似できない発想力がある。自分の知識や経験を最大限に生かして、窮地を脱したり、周囲の人を助けたり。リーフェの時も、今回の騒動も、テオが解決に導いたんだ。巾着袋や塩漬けの船上加工の件だって、テオの発案だ。ただ覚えることしかできない俺とは大違いだ」
「そんなすごいものじゃ……ひゃあっ!」
再び頬がもみくしゃにされる。
「俺にとってはすごいものだ。テオだって、もっと誇るべきだ。ベッドの上で謙遜なんて無粋だしな」
「わ、分かったよっ。ちゃんと自己評価するからぁっ。頬がなくなっちゃうぅ」
フレデリクは僕の頬を気のすむまで弄ぶと、強く体を抱きしめてきた。
「テオはもう、魅力的で尊敬できる第三王子になっているんだ。誰が見たって、あんぽんたんでもおバカでもない」
自分の言葉を応酬されて、今度は僕が笑った。
「それに、全部記憶しようとする必要はないからな。いつも傍にいるんだ、テオが覚えきれなくても、俺が覚えていればいいだけだ」
「……僕たちは一心同体だもんね」
「ああ。永遠に二人で一つだ……」
分厚い胸から顔を上げると、目前には優しく輝くアクアリマンの瞳。
うっとりと見つめていれば、幸福感で胸がいっぱいになっていく。
「……前までは覚えがよくても何も感じなかったが、今は得意でよかったと思ってる」
「どうして、気持ちが変わったの?」
「テオのことは何一つ忘れたくない。小さなことでも覚えておきたい。だから、覚えがいいと都合がいいんだ」
微笑みながら言うと、フレデリクは散々もみくしゃにした頬に、ちゅっと口づけてきた。
「う、嬉しいけど……僕は、フレッドに忘れてほしいことばかりだよ……」
黒歴史だらけの己の過去を振り返って、僕は複雑な気持ちになった。
「特に、前世の記憶がよみがえる前のことは……」
「それは難しいな。俺はテオと初めて会った日も、しっかり覚えてるしな」
「ええっ? それって十年以上前だよね!? うう……。僕はよく覚えてないよ」
「当時は、俺のことなんて、眼中になかっただろう?」
「えっ、いや、その……っ、今はフレッドしか見えてないからっ。フレッドで視界がいっぱいっていうか!」
僕の下手なごまかしに、フレデリクがおかしそうに笑い声をあげた。
「俺もテオしか見てない」
僕の髪を撫でながら愛おしげな表情を浮かべると、フレデリクは枕元に広げている歴史書を閉じて、ベッドサイドのチェストの上に置いた。
「だから、もう勉強は終わりにしよう。早くテオの寝顔が見たい」
「……ここで寝たら、いつもみたいに手間をかけちゃうから、部屋に戻るよ」
そう言って、僕は身を起こそうとした。
実は……ここは自室ではなくて、フレデリクの部屋だ。
フレデリクは侯爵家の子息であり高官であるため、ラオネスでは僕に次ぐ貴賓となる。
なので、この領主館では格の高い客間が用意されていて……。
つまり、僕とフレデリクの部屋は隣同士なのだ。
フレッドがお隣さんだなんて、王都では絶対に無理だもんなぁ。
王子と専属騎士という関係上、フレデリクは、僕の暮らしを支える形で日々を過ごしている。
とんでもなく忠誠心が高いので、滅私奉公と言える勢いだ。
そのため、いつも傍にいるのにも関わらず、フレデリクの私生活というのは、僕には見えにくい。
だから、そんな彼の生活の場がすぐ隣にあるなんて、僕にとっては、すごく新鮮で嬉しいことだった。
「だめだ。寝顔が見たいって言っただろ?」
起き上がろうとした僕を、フレデリクは阻止してくる。
「でも、フレッドに運んでもらうのは申し訳なくて……」
最近、僕たちは毎晩一緒に寝ている。
僕がフレデリクの部屋を好むので、夜を過ごすのは、もっぱらこの部屋だ。
しかし、このまま寝てしまうと、朝に王子が自室にいなくて、エヴァンと侍女が慌ててしまう。
だから、フレデリクが明け方に、寝ている僕を隣の部屋へと運んでくれるのだ。
……さすがに、毎日そんなご迷惑をおかけするのは、良心が痛んでくる。
抱っこされて部屋を移動してるのに、起きない僕もどうかと思いますけどっ!!
「別に何の手間も感じてないから、テオはぐっすり眠っていればいい」
「……そう言われても、やっぱり悪い気がするから……。明け方に僕を起こしてくれない? そうしたら、自分で戻るから」
「わざわざ起きなくてもよくないか?」
「わざわざ運ばなくてもいいんだって! いい? 絶対に起こしてよ? 絶対だからねっ!」
強い語気で頼むと、フレデリクはどこか納得していない表情のまま頷いた。
どうにもあやしいが、僕はここで寝ることにして、フレデリクの逞しい胸に抱きついた。
正直に言うと、自分の部屋に戻って寝るのは嫌だった。
フレデリクの部屋の、フレデリクがいつも寝ているベッドの上で、フレデリクの温もりと匂いを全身で感じながら、フレデリクの腕の中で眠る。
最高の幸せだ。
この幸福を味わってしまえば、自分のベッドで一人寝などできなくなる。
「じゃあ……おやすみのキスしよ」
体をくっつけて恋人に口づけをねだると、アクアマリンの目が嬉しそうに細められる。
フレデリクは、蝋燭の火を消すと、僕にそっと顔を寄せてきた。
「暗くて、唇の場所が分からないな。ここか?」
こめかみの辺りに優しく口づけられる。
「もっと下だよ」
フレデリクは小さく笑うと、今度は鼻の横に唇を落としてくる。
「もうちょっと下かな」
愛する人との無邪気な戯れに、胸の中がくすぐったくなって、僕も声をあげて笑ってしまう。
「テオの唇まで、道のりが遠いな」
次は、唇の端に口づけてきた。
「ふふっ。惜しいね」
暗闇に目が慣れてきて、いたずらっぽく僕を見つめる端正な美貌が、目の前に現れる。
「これで、やっと到着だ……」
大きな手が髪を撫でると、静かに唇が重なった。
「ぁ……ん」
逞しい体に抱きしめられながら、温かい唇がゆっくりと擦れ合う。
角度を変えて何度も啄まれて、優しいキスにうっとりと身を投じたところで、唇がわずかに離れた。
「ね……フレッド、もう一回……」
甘えた声でねだると、すぐに唇を奪われる。
熱い舌で口内をあやされて、たっぷりと唇を舐め吸われて――
「……もう一回?」
「うん……」
二人の体温で温もったベッドの中で、終わらないおやすみのキスに夢中になる。
「……このままだと、おはようのキスになっちゃうね」
鼻先を擦り合わせながら言うと、フレデリクが穏やかに微笑んだ。
「テオが寝不足になったら大変だ。これで、終わりにしような」
最後に甘くとろけるような口づけをすると、温かな手が僕の体をゆっくりと撫でる。
「明日も、朝食前の紅茶を一緒に飲もうね」
「ああ」
朝のお茶を一緒にするのも、僕たちの日課になりつつある。
僕は、フレデリクの唇の端に頬ずりすると、そっと瞼を閉じた。
分厚い胸に顔を埋めて、恋人の温もりと匂いに没頭する。
んんぅ~安心する……好き、好き……。
幼い子供みたいにぎゅっと強くしがみつくと、フレデリクは優しく抱き返してくれる。
「おやすみ、テオ」
「……おやすみ、フレッド……夢の中でも会おうね……」
「じゃあ、一緒に船に乗ろうか」
「うん……大きな船がいいなぁ……」
愛する人の腕の中で、だんだんと意識が遠くなっていく。
頬を撫でる手にすり寄りながら恋人の名を呼んだところで、僕はフレデリクと船に乗るべく、夢の世界へと旅立っていった。
「テオドール様。おはようございます」
低く理知的な声が鼓膜を揺らして、意識が浮上する。
部屋中のカーテンが侍女によって開かれて、明るい太陽の光が、閉じた瞼の隙間から入ってきた。
「おはよう、エヴァン……」
僕はもぞもぞと寝返りを打ちながら挨拶を返した。
自室での、いつもと変わらない朝。
ん……?
徐々に覚醒していく頭の中で、僕はハッと気がついた。
ああっ! 僕の部屋ってことは、またフレッドに運ばれたんだ!
明け方に起こしてって、あれだけ念を押したのにっ!!!
「どうかされましたか?」
起きて早々、眉根を寄せている僕に、エヴァンが不思議そうに聞いてくる。
「……フレデリクに裏切られた……」
拗ねた顔をして答えると、侍従はクスクスと笑った。
「それは朝から一大事ですね。今朝はお茶をご一緒されるのですか?」
「うん。約束してる」
「では、その時に、主君への裏切りについて、しっかりと問いたださねばなりませんね」
冗談めいたエヴァンの言葉に、僕は笑顔を返した。
「そうだね。じっくりと!」
僕は勢いよく身を起こすと、元気よく朝の準備を始めた。
話し合う前に……おはようのキスをいっぱいねだってやるっ!!
わりと高い確率で、枕の色が瞳の色に影響されてしまいます。
緑の枕……安眠できそうですね!
ラオネスの日常編ということで、二人の夜から始めてみました。
自分は変わったんだ!と思っていても、しっかりと自信を持つのは、なかなか難しいですよね。
劣等感にとらわれてしまいがちなテオですが、フレッドがしっかりと受け止めてあげています。
お互いの部屋が隣同士という設定は本編で出したかったのですが、上手く入れられなかったので、日常編でたっぷりと書いていきたいと思います!
日常編では大きく話が動くことはなく、色んなキャラクターをちょっとずつ掘り下げながら、ラオネスでのテオの生活をのんびり書いていく予定です。
更新の頻度はぼちぼちになりますが、引き続き読んでくだされば嬉しいです!
蛇足ですが、テオが寝るときに「おやすみ、フレッド。いい夢を」ではなくて「おやすみ、フレッド。夢でも会おうね」って言う辺りが、ものすごく魅惑の王子感があって好きですね。
沼らせ王子は、こういう一言で相手を夢中にさせるのだなと……!
フレッドがメロメロになるのも分かりますね~!
毎晩、テオたちはこんな感じで夜を過ごしています。
今回はキス程度で、それ以上のアダルト描写はありません。
軽くいちゃいちゃしながら寝る二人です。
「ん~。ここにアンメンドラ侯爵の名前があるってことは、三都市同盟を結んだのは、この人ってこと?」
うっすらと波の音が聞こえる穏やかな夜。
僕はベッドにうつ伏せになって、枕元に広げた分厚いラオネスの歴史書とにらめっこしていた。
複雑な歴史が分かりづらく説明されていて、少し読んだだけで頭が重くなってくる。
入眠用にはぴったりの一冊だった。
「そうだな。この時にラオネスを治めていたのは、アンメンドラ侯爵だしな」
僕の問いかけに答えてくれたのは、恋人のフレデリク。
彼は、僕の隣で同じように歴史書をのぞき込んでいる。
ベッドサイドに置いている蝋燭の淡い光に照らされた白皙の美貌は、いつまでも見つめていたいほどカッコよくて。
先ほどから、歴史書に目を集中させるのに苦心していた。
「でも、この後の貿易条約を結んでるのは、ゴセック伯爵になってるよ」
「この歴史書には書いてないが、三都市同盟を結んだ直後に、アンメンドラ侯爵家は、当時の帝国に機密情報を売った罪で取り潰しになっているんだ」
「え……」
そんな裏事情は、注釈でも入れておいてほしいところだ。
「その後、ラオネスを含むアンメンドラ侯爵領は王国の直轄地になって、地方長官として王都から派遣されたのが、ゴセック伯爵とユレ伯爵で」
うわ。あ、頭が……。
「ラオネスと、西南部のいくつかの都市を任されたゴセック伯爵が――」
頭がぁぁぁぁぁっ!!!!!
僕は広げている歴史書から顔をそむけると、ぴたりとくっついているフレデリクに抱きついた。
「もうだめっ。これ以上の情報は、頭が受けつけないよっ」
ラオネスの濃厚な歴史が脳内に押しよせてきて、僕の頭はパンクしそうになった。
ぐらぐらする頭を逞しい体にすりつけて、沸騰直前の脳みそを落ち着かせる。
うう……フレッド、いい匂いっ。
ぎゅっと強くしがみつきながら、恋人の温もりと匂いを貪欲に味わっていると、フレデリクは僕を抱き返して小さく笑った。
「こんなに細かく頭に入れる必要はないんじゃないか? 大体の流れを把握していたら充分だろう」
「そうなんだけど……。みんな、結構詳しいんだよね。夜会とかで話してても、深い歴史の知識を下敷きにした冗談が交わされててさぁ。兄上だって、ちゃんと理解してる感じだし」
「内輪受けの会話は、聞き流せばいいと思うけどな」
「なんて言って、フレッドも歴史に詳しいじゃない。今だって、すんなりと知識が出てくるしさ」
「子供の頃に、これでもかと詰め込まれたからな」
フレデリクは剣の道を突き進んでいるが、侯爵令息としての教養もしっかりと身につけている。
騎士として超一流な上に、テュレンヌ侯爵家の子息としても、とてつもなく立派で、申し分のない人だ。
見習い騎士の修業と、貴族の高位教育を両立するのは、どれだけ大変だっただろうか。
……どっかのおバカな第三王子とは大違いですねっ!!
僕は激しく自虐的な気持ちになって、恋人にぐりぐりと体を押しつけ、理不尽な八つ当たりをしてしまう。
「どうした? 何で拗ねてるんだ?」
「フレッドからしたら、僕は、あんぽんたんなおバカ王子なんだろうなって」
フレデリクは僕の体を優しく撫でながら、声を出して笑った。
「そんな風に思ったことはないよ」
「嘘だ! フレッドは記憶力だってすごいし……」
自慢の恋人は、物覚えも非常にいい。
社交界で沢山の人と言葉を交わすと、誰が何やら訳が分からなくなるのだけど、フレデリクはきちんと内容を覚えている。
そして、次に顔を合わせた時に、しっかりと話を合わせていけるのだ。
僕は、人物も話の内容もすっぽ抜けていることがよくあるので、フレデリクに社交の場でフォローされることが多い。
実に不甲斐ない主君だ。
「まぁ、暗記には困ったことはないかな」
「でしょ~? 僕なんか、すぐに忘れちゃって、フレッドに助けてもらってばかりだし。僕も、少しでいいから物覚えがよかったらなぁ。フレッドが羨ましいよ」
「そうか? 俺はテオを羨ましいと思うが」
「フレッドが!? 僕を!?!?」
僕は目を丸くした。
「……寝ぼけてるの?」
本気で問うと、フレデリクが吹き出すように笑った。
「まだ、眠くないな」
「じゃあ、お世辞?」
「違う」
蝋燭の淡い光の中。アクアマリンの美しい目が、僕の顔をのぞき込んでくる。
それと同時に、大きな手で両頬を包まれて、派手に揉みしだかれた。
「ひゃぅ……フレッド、そんなに揉まないでぇ」
「テオは、すぐ自分のことを低く見積もるなぁ~」
むにむにと頬をもみくしゃにされて、僕は小さく呻いてしまう。
「だ、だって、何でもできるフレッドが、僕を羨ましがるなんて、ありえないと思って……」
「俺は別に万能じゃない。確かに、記憶するのは得意な方だが、ただそれだけだしな。でも、テオは違うだろ?」
フレデリクは、僕の頬を両手でしっかりと包んだまま、優しい表情を浮かべる。
「テオには、誰にも真似できない発想力がある。自分の知識や経験を最大限に生かして、窮地を脱したり、周囲の人を助けたり。リーフェの時も、今回の騒動も、テオが解決に導いたんだ。巾着袋や塩漬けの船上加工の件だって、テオの発案だ。ただ覚えることしかできない俺とは大違いだ」
「そんなすごいものじゃ……ひゃあっ!」
再び頬がもみくしゃにされる。
「俺にとってはすごいものだ。テオだって、もっと誇るべきだ。ベッドの上で謙遜なんて無粋だしな」
「わ、分かったよっ。ちゃんと自己評価するからぁっ。頬がなくなっちゃうぅ」
フレデリクは僕の頬を気のすむまで弄ぶと、強く体を抱きしめてきた。
「テオはもう、魅力的で尊敬できる第三王子になっているんだ。誰が見たって、あんぽんたんでもおバカでもない」
自分の言葉を応酬されて、今度は僕が笑った。
「それに、全部記憶しようとする必要はないからな。いつも傍にいるんだ、テオが覚えきれなくても、俺が覚えていればいいだけだ」
「……僕たちは一心同体だもんね」
「ああ。永遠に二人で一つだ……」
分厚い胸から顔を上げると、目前には優しく輝くアクアリマンの瞳。
うっとりと見つめていれば、幸福感で胸がいっぱいになっていく。
「……前までは覚えがよくても何も感じなかったが、今は得意でよかったと思ってる」
「どうして、気持ちが変わったの?」
「テオのことは何一つ忘れたくない。小さなことでも覚えておきたい。だから、覚えがいいと都合がいいんだ」
微笑みながら言うと、フレデリクは散々もみくしゃにした頬に、ちゅっと口づけてきた。
「う、嬉しいけど……僕は、フレッドに忘れてほしいことばかりだよ……」
黒歴史だらけの己の過去を振り返って、僕は複雑な気持ちになった。
「特に、前世の記憶がよみがえる前のことは……」
「それは難しいな。俺はテオと初めて会った日も、しっかり覚えてるしな」
「ええっ? それって十年以上前だよね!? うう……。僕はよく覚えてないよ」
「当時は、俺のことなんて、眼中になかっただろう?」
「えっ、いや、その……っ、今はフレッドしか見えてないからっ。フレッドで視界がいっぱいっていうか!」
僕の下手なごまかしに、フレデリクがおかしそうに笑い声をあげた。
「俺もテオしか見てない」
僕の髪を撫でながら愛おしげな表情を浮かべると、フレデリクは枕元に広げている歴史書を閉じて、ベッドサイドのチェストの上に置いた。
「だから、もう勉強は終わりにしよう。早くテオの寝顔が見たい」
「……ここで寝たら、いつもみたいに手間をかけちゃうから、部屋に戻るよ」
そう言って、僕は身を起こそうとした。
実は……ここは自室ではなくて、フレデリクの部屋だ。
フレデリクは侯爵家の子息であり高官であるため、ラオネスでは僕に次ぐ貴賓となる。
なので、この領主館では格の高い客間が用意されていて……。
つまり、僕とフレデリクの部屋は隣同士なのだ。
フレッドがお隣さんだなんて、王都では絶対に無理だもんなぁ。
王子と専属騎士という関係上、フレデリクは、僕の暮らしを支える形で日々を過ごしている。
とんでもなく忠誠心が高いので、滅私奉公と言える勢いだ。
そのため、いつも傍にいるのにも関わらず、フレデリクの私生活というのは、僕には見えにくい。
だから、そんな彼の生活の場がすぐ隣にあるなんて、僕にとっては、すごく新鮮で嬉しいことだった。
「だめだ。寝顔が見たいって言っただろ?」
起き上がろうとした僕を、フレデリクは阻止してくる。
「でも、フレッドに運んでもらうのは申し訳なくて……」
最近、僕たちは毎晩一緒に寝ている。
僕がフレデリクの部屋を好むので、夜を過ごすのは、もっぱらこの部屋だ。
しかし、このまま寝てしまうと、朝に王子が自室にいなくて、エヴァンと侍女が慌ててしまう。
だから、フレデリクが明け方に、寝ている僕を隣の部屋へと運んでくれるのだ。
……さすがに、毎日そんなご迷惑をおかけするのは、良心が痛んでくる。
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「別に何の手間も感じてないから、テオはぐっすり眠っていればいい」
「……そう言われても、やっぱり悪い気がするから……。明け方に僕を起こしてくれない? そうしたら、自分で戻るから」
「わざわざ起きなくてもよくないか?」
「わざわざ運ばなくてもいいんだって! いい? 絶対に起こしてよ? 絶対だからねっ!」
強い語気で頼むと、フレデリクはどこか納得していない表情のまま頷いた。
どうにもあやしいが、僕はここで寝ることにして、フレデリクの逞しい胸に抱きついた。
正直に言うと、自分の部屋に戻って寝るのは嫌だった。
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最高の幸せだ。
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「じゃあ……おやすみのキスしよ」
体をくっつけて恋人に口づけをねだると、アクアマリンの目が嬉しそうに細められる。
フレデリクは、蝋燭の火を消すと、僕にそっと顔を寄せてきた。
「暗くて、唇の場所が分からないな。ここか?」
こめかみの辺りに優しく口づけられる。
「もっと下だよ」
フレデリクは小さく笑うと、今度は鼻の横に唇を落としてくる。
「もうちょっと下かな」
愛する人との無邪気な戯れに、胸の中がくすぐったくなって、僕も声をあげて笑ってしまう。
「テオの唇まで、道のりが遠いな」
次は、唇の端に口づけてきた。
「ふふっ。惜しいね」
暗闇に目が慣れてきて、いたずらっぽく僕を見つめる端正な美貌が、目の前に現れる。
「これで、やっと到着だ……」
大きな手が髪を撫でると、静かに唇が重なった。
「ぁ……ん」
逞しい体に抱きしめられながら、温かい唇がゆっくりと擦れ合う。
角度を変えて何度も啄まれて、優しいキスにうっとりと身を投じたところで、唇がわずかに離れた。
「ね……フレッド、もう一回……」
甘えた声でねだると、すぐに唇を奪われる。
熱い舌で口内をあやされて、たっぷりと唇を舐め吸われて――
「……もう一回?」
「うん……」
二人の体温で温もったベッドの中で、終わらないおやすみのキスに夢中になる。
「……このままだと、おはようのキスになっちゃうね」
鼻先を擦り合わせながら言うと、フレデリクが穏やかに微笑んだ。
「テオが寝不足になったら大変だ。これで、終わりにしような」
最後に甘くとろけるような口づけをすると、温かな手が僕の体をゆっくりと撫でる。
「明日も、朝食前の紅茶を一緒に飲もうね」
「ああ」
朝のお茶を一緒にするのも、僕たちの日課になりつつある。
僕は、フレデリクの唇の端に頬ずりすると、そっと瞼を閉じた。
分厚い胸に顔を埋めて、恋人の温もりと匂いに没頭する。
んんぅ~安心する……好き、好き……。
幼い子供みたいにぎゅっと強くしがみつくと、フレデリクは優しく抱き返してくれる。
「おやすみ、テオ」
「……おやすみ、フレッド……夢の中でも会おうね……」
「じゃあ、一緒に船に乗ろうか」
「うん……大きな船がいいなぁ……」
愛する人の腕の中で、だんだんと意識が遠くなっていく。
頬を撫でる手にすり寄りながら恋人の名を呼んだところで、僕はフレデリクと船に乗るべく、夢の世界へと旅立っていった。
「テオドール様。おはようございます」
低く理知的な声が鼓膜を揺らして、意識が浮上する。
部屋中のカーテンが侍女によって開かれて、明るい太陽の光が、閉じた瞼の隙間から入ってきた。
「おはよう、エヴァン……」
僕はもぞもぞと寝返りを打ちながら挨拶を返した。
自室での、いつもと変わらない朝。
ん……?
徐々に覚醒していく頭の中で、僕はハッと気がついた。
ああっ! 僕の部屋ってことは、またフレッドに運ばれたんだ!
明け方に起こしてって、あれだけ念を押したのにっ!!!
「どうかされましたか?」
起きて早々、眉根を寄せている僕に、エヴァンが不思議そうに聞いてくる。
「……フレデリクに裏切られた……」
拗ねた顔をして答えると、侍従はクスクスと笑った。
「それは朝から一大事ですね。今朝はお茶をご一緒されるのですか?」
「うん。約束してる」
「では、その時に、主君への裏切りについて、しっかりと問いたださねばなりませんね」
冗談めいたエヴァンの言葉に、僕は笑顔を返した。
「そうだね。じっくりと!」
僕は勢いよく身を起こすと、元気よく朝の準備を始めた。
話し合う前に……おはようのキスをいっぱいねだってやるっ!!
わりと高い確率で、枕の色が瞳の色に影響されてしまいます。
緑の枕……安眠できそうですね!
ラオネスの日常編ということで、二人の夜から始めてみました。
自分は変わったんだ!と思っていても、しっかりと自信を持つのは、なかなか難しいですよね。
劣等感にとらわれてしまいがちなテオですが、フレッドがしっかりと受け止めてあげています。
お互いの部屋が隣同士という設定は本編で出したかったのですが、上手く入れられなかったので、日常編でたっぷりと書いていきたいと思います!
日常編では大きく話が動くことはなく、色んなキャラクターをちょっとずつ掘り下げながら、ラオネスでのテオの生活をのんびり書いていく予定です。
更新の頻度はぼちぼちになりますが、引き続き読んでくだされば嬉しいです!
蛇足ですが、テオが寝るときに「おやすみ、フレッド。いい夢を」ではなくて「おやすみ、フレッド。夢でも会おうね」って言う辺りが、ものすごく魅惑の王子感があって好きですね。
沼らせ王子は、こういう一言で相手を夢中にさせるのだなと……!
フレッドがメロメロになるのも分かりますね~!
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エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
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