11 / 60
9話
しおりを挟む
「ううっ!おいしそうな魚介がこんなにっ……!」
「また新しい料理が運ばれてくるようですし、ゆっくりと楽しみましょう」
「うんうんっ!」
僕は心を躍らせながら両手を合わせると、フォークを手にとった。
食前の礼が日本式になっていたが、そんなことを意識している暇はない。
ああっ! 最初の一口は何にしよう!?
悩んだ末に、僕は蒸し焼きにされたマグロの身をフォークですくいあげた。
まだ充分に温かいそれを口に迎え入れた瞬間に、僕の食欲は暴走を始めた。
んんんんんんんんんっ!!!!!
マグロ最高っ!
噛むごとにたっぷりの脂がっ!!
あ、サケもいいっ!!!
ドラントの香草焼き……すぐ胃の中に消えちゃうっ!!!!
わぁっ、エビがぷりぷり!!!!!
カキの風味も幸せ!!!!!!
魚介の出汁がもう、もう……!!!!!!!
僕はすっかり魚介の旨味の虜となった。
フォークを動かす手が止まらず、夢中になって食べていたのだけれど、目の前のフレデリクは何も口にすることなく、楽しそうに僕を見つめていた。
「フレデリクも食べてよっ。どれもおいしいよ!」
フレデリクは、僕が食べているところを見るのが好きらしい。
別に嫌ではないけど、ばくばくと勢いよく食べているのを静かに見守られるのは、ひたすらに気まずい。
それに、おいしいものは一緒に食べて、喜びを共有したいではないか。
「魚介料理は好き?」
「ええ。自分で初めて釣った魚を焼いて食べた時の味は、今でも忘れられませんね」
「いいなぁ~! 僕もみんなで釣りをしてみたい! 隊長はものすごく釣りが上手そうだし」
僕の言葉に、フレデリクが懐かしそうに口もとを緩めた。
「彼は釣りが苦手なんですよ。シャトワでは全く釣れなくて、貝やエビばかりを採っていて。私が釣れたものをよく分けていました」
「そうなの? 勝手な印象で得意そうって思っちゃった」
「泳ぎはとても速くて、誰も追いつけませんでしたね」
「ふふ。すごいね。泳ぎが得意な近衛隊長だなんて、きっとロベルティアで初めてだよ」
鍛え抜かれた褐色の体で海をかき分ける姿が、まるで僕も見てきたかのように脳裏に思い浮かんだ。
「それなら、隊長も久しぶりに海を見たかっただろうね。一緒に来られないの、すごく残念がってたから」
「海が見たいというより、テオドール様に随行したいという欲望しか感じられませんでしたが……。近衛隊長が王都を離れるわけにはいきませんからね」
「もしかしたら、フレデリクと久しぶりに遠出をしたかったのかもしれないよ?」
「ありえません」
「あははっ。即答なんだね」
二人で海の幸を楽しみながら、シャトワでの思い出話やラオネスの社交界についてなど、沢山の話題で盛りあがる。
たらふく食べて語ってまったりしていると、食事が終わるのを待っていたかのように、従者を介して貴族に話しかけられた。
挨拶かと思って二人で立ちあがると、是非とも私の娘とダンスを……ということだった。
ダンスか……。
流れる舞曲に合わせて優雅に踊っている人たちを見ると、その中に兄がいた。
華やかな女性とフロアの上で舞う様子は、まるで映画の美麗なワンシーンのようだった。
目が離せなくなるほど素敵な姿だ。
僕もあの中に……笑顔で女性をエスコートして――
だめだ……嫌だ。踊りたくない。
僕の心は完全にダンスを拒絶していた。
この二十日間で出席した夜会でも、ダンスは避けていた。
でも、もう避けるわけにはいかないよな……謹慎は終わってるし。
わがままなんて言ってないで踊らないと。
そう思って、誘いに乗ろうとした瞬間、背後に立つフレデリクが口を開いた。
「失礼いたします」
白銀の貴公子が穏やかな笑みを貴族に向ける。
「テオドール様は、長旅で疲労が重なっていらっしゃいますので……」
「これは失礼いたしました。浅慮なお誘いをお許しください」
やんわりとした断りの言葉に、貴族は申し訳なさそうな顔をして下がっていった。
「勝手にお断りして申し訳ありません」
フレデリクには何も言っていないが、僕がダンスを嫌がっていることには気づいているのだろう。
断ってくれてよかったと、お礼を言おうとすると、再び従者に声をかけられた。
目を向けると、僕に挨拶を希望している貴族が、数人ほど立っている。
許可をすると、仲介役の貴族がすぐに話しはじめた。
どうやら、連れているレナルレ王国の貴族と僕を、お目通りさせることが目的のようだ。
ダニロ・バッツィーニ伯爵と紹介された、三十歳前後とおぼしき長身の男性が、僕を見て穏やかに微笑んだ。
彼は、肩より少し長い赤茶色の髪を、緩く一つに結っている。
ロベルティアの王侯貴族の男性には、髪を結えるほどに長く伸ばす習慣はないので、それだけで他国の貴族と分かる。
濃い眉に、少し垂れ気味の深い鳶色の目。
高く存在感のある鼻梁に、厚めの唇。
かもし出される男の色気がとてつもない。
少し対面するだけで、その濃厚な色香にあてられてしまいそうだ。
「お初にお目にかかります。第三王子殿下。こうして、殿下の美しい瞳と見つめ合える喜びに、胸が打ち震えております」
「ありがとうございます……」
バッツィーニ伯爵は、滔々と挨拶を述べると、笑みを深くした。
「そして、先程の殿下のお言葉には、心の底から感嘆いたしました。ラオネス公のご挨拶にお応えして、御自身と貴国の成長を願う強いお気持ち……。広間にいる一人一人としっかり視線を合わせようとなさる誠実さ……。一瞬のお振る舞いにも聡明さが感じられて。大国ロベルティアの王子殿下は、どなたも唯一無二の魅力を持つ御方ばかりですね」
この人……他の貴族と違う……!
王都でもそうだが、初めて挨拶をしてくる人のほとんどが、痩せたことに注目して容姿を褒めそやしてくる。
それだけだと言っていい。
この伯爵はそこにきて、初見で僕のスピーチ力と周囲への気配りを褒めてきたのだ。
その上、僕も兄たち同様に素敵な王子だと持ちあげてきている。
きっと、こういった言葉が他の人との差別化になると、僕の印象に残ると分かっているのだ。
なかなかの人心掌握術だ。
そして、後ろを見なくても分かる。
フレデリクの機嫌が、めちゃくちゃ悪くなっていることが。
ああ……この手の人が僕に声をかけてくると、フレッドの嫉妬が発動しちゃうんだよなぁ。
僕に色目を使ってるように見えるみたい。ちょっと大げさだと思うけど。
「僕は社交界での経験を全く積んできていない、噂通りのわがまま王子ですから……。兄上たちと並び立つことなど、とても――」
「経験は望めば自然と重なっていくものですよ。殿下の内面から放たれる美しさを前にすれば、双子の女神たちも、あなた様の奪い合いになることでしょう」
「いえ、そんな……」
後ろに控えていたフレデリクが、すっと横にくる。
どうやら、早々に我慢の限界を迎えたようだ。
「テオドール様、そろそろ――」
控えめに促されるが、意訳すると『テオ、早く部屋に戻れ』だ。
もう。フレッドったら、仕方ないなぁ。
僕は伯爵に微笑みかけた。
「申し訳ありません、伯爵。もっとお話をお伺いしたいのですが、そろそろ体を休めようかと」
伯爵が微笑みを返してくる。
うっ……色気の圧がすごいっ!
「大変失礼いたしました。長旅でお疲れの殿下にご無理を」
「気にされないでください。次にお会いした時には、レナルレ王国のことを色々お聞かせくだされば嬉しいです」
「もちろんです。楽しみにしておりますよ」
そう言って頭をさげた伯爵や他の貴族に背を向けると、光速で僕の背中にフレデリクの手がそえられた。
フレッド……本当、そういうとこだからねっ!
「また新しい料理が運ばれてくるようですし、ゆっくりと楽しみましょう」
「うんうんっ!」
僕は心を躍らせながら両手を合わせると、フォークを手にとった。
食前の礼が日本式になっていたが、そんなことを意識している暇はない。
ああっ! 最初の一口は何にしよう!?
悩んだ末に、僕は蒸し焼きにされたマグロの身をフォークですくいあげた。
まだ充分に温かいそれを口に迎え入れた瞬間に、僕の食欲は暴走を始めた。
んんんんんんんんんっ!!!!!
マグロ最高っ!
噛むごとにたっぷりの脂がっ!!
あ、サケもいいっ!!!
ドラントの香草焼き……すぐ胃の中に消えちゃうっ!!!!
わぁっ、エビがぷりぷり!!!!!
カキの風味も幸せ!!!!!!
魚介の出汁がもう、もう……!!!!!!!
僕はすっかり魚介の旨味の虜となった。
フォークを動かす手が止まらず、夢中になって食べていたのだけれど、目の前のフレデリクは何も口にすることなく、楽しそうに僕を見つめていた。
「フレデリクも食べてよっ。どれもおいしいよ!」
フレデリクは、僕が食べているところを見るのが好きらしい。
別に嫌ではないけど、ばくばくと勢いよく食べているのを静かに見守られるのは、ひたすらに気まずい。
それに、おいしいものは一緒に食べて、喜びを共有したいではないか。
「魚介料理は好き?」
「ええ。自分で初めて釣った魚を焼いて食べた時の味は、今でも忘れられませんね」
「いいなぁ~! 僕もみんなで釣りをしてみたい! 隊長はものすごく釣りが上手そうだし」
僕の言葉に、フレデリクが懐かしそうに口もとを緩めた。
「彼は釣りが苦手なんですよ。シャトワでは全く釣れなくて、貝やエビばかりを採っていて。私が釣れたものをよく分けていました」
「そうなの? 勝手な印象で得意そうって思っちゃった」
「泳ぎはとても速くて、誰も追いつけませんでしたね」
「ふふ。すごいね。泳ぎが得意な近衛隊長だなんて、きっとロベルティアで初めてだよ」
鍛え抜かれた褐色の体で海をかき分ける姿が、まるで僕も見てきたかのように脳裏に思い浮かんだ。
「それなら、隊長も久しぶりに海を見たかっただろうね。一緒に来られないの、すごく残念がってたから」
「海が見たいというより、テオドール様に随行したいという欲望しか感じられませんでしたが……。近衛隊長が王都を離れるわけにはいきませんからね」
「もしかしたら、フレデリクと久しぶりに遠出をしたかったのかもしれないよ?」
「ありえません」
「あははっ。即答なんだね」
二人で海の幸を楽しみながら、シャトワでの思い出話やラオネスの社交界についてなど、沢山の話題で盛りあがる。
たらふく食べて語ってまったりしていると、食事が終わるのを待っていたかのように、従者を介して貴族に話しかけられた。
挨拶かと思って二人で立ちあがると、是非とも私の娘とダンスを……ということだった。
ダンスか……。
流れる舞曲に合わせて優雅に踊っている人たちを見ると、その中に兄がいた。
華やかな女性とフロアの上で舞う様子は、まるで映画の美麗なワンシーンのようだった。
目が離せなくなるほど素敵な姿だ。
僕もあの中に……笑顔で女性をエスコートして――
だめだ……嫌だ。踊りたくない。
僕の心は完全にダンスを拒絶していた。
この二十日間で出席した夜会でも、ダンスは避けていた。
でも、もう避けるわけにはいかないよな……謹慎は終わってるし。
わがままなんて言ってないで踊らないと。
そう思って、誘いに乗ろうとした瞬間、背後に立つフレデリクが口を開いた。
「失礼いたします」
白銀の貴公子が穏やかな笑みを貴族に向ける。
「テオドール様は、長旅で疲労が重なっていらっしゃいますので……」
「これは失礼いたしました。浅慮なお誘いをお許しください」
やんわりとした断りの言葉に、貴族は申し訳なさそうな顔をして下がっていった。
「勝手にお断りして申し訳ありません」
フレデリクには何も言っていないが、僕がダンスを嫌がっていることには気づいているのだろう。
断ってくれてよかったと、お礼を言おうとすると、再び従者に声をかけられた。
目を向けると、僕に挨拶を希望している貴族が、数人ほど立っている。
許可をすると、仲介役の貴族がすぐに話しはじめた。
どうやら、連れているレナルレ王国の貴族と僕を、お目通りさせることが目的のようだ。
ダニロ・バッツィーニ伯爵と紹介された、三十歳前後とおぼしき長身の男性が、僕を見て穏やかに微笑んだ。
彼は、肩より少し長い赤茶色の髪を、緩く一つに結っている。
ロベルティアの王侯貴族の男性には、髪を結えるほどに長く伸ばす習慣はないので、それだけで他国の貴族と分かる。
濃い眉に、少し垂れ気味の深い鳶色の目。
高く存在感のある鼻梁に、厚めの唇。
かもし出される男の色気がとてつもない。
少し対面するだけで、その濃厚な色香にあてられてしまいそうだ。
「お初にお目にかかります。第三王子殿下。こうして、殿下の美しい瞳と見つめ合える喜びに、胸が打ち震えております」
「ありがとうございます……」
バッツィーニ伯爵は、滔々と挨拶を述べると、笑みを深くした。
「そして、先程の殿下のお言葉には、心の底から感嘆いたしました。ラオネス公のご挨拶にお応えして、御自身と貴国の成長を願う強いお気持ち……。広間にいる一人一人としっかり視線を合わせようとなさる誠実さ……。一瞬のお振る舞いにも聡明さが感じられて。大国ロベルティアの王子殿下は、どなたも唯一無二の魅力を持つ御方ばかりですね」
この人……他の貴族と違う……!
王都でもそうだが、初めて挨拶をしてくる人のほとんどが、痩せたことに注目して容姿を褒めそやしてくる。
それだけだと言っていい。
この伯爵はそこにきて、初見で僕のスピーチ力と周囲への気配りを褒めてきたのだ。
その上、僕も兄たち同様に素敵な王子だと持ちあげてきている。
きっと、こういった言葉が他の人との差別化になると、僕の印象に残ると分かっているのだ。
なかなかの人心掌握術だ。
そして、後ろを見なくても分かる。
フレデリクの機嫌が、めちゃくちゃ悪くなっていることが。
ああ……この手の人が僕に声をかけてくると、フレッドの嫉妬が発動しちゃうんだよなぁ。
僕に色目を使ってるように見えるみたい。ちょっと大げさだと思うけど。
「僕は社交界での経験を全く積んできていない、噂通りのわがまま王子ですから……。兄上たちと並び立つことなど、とても――」
「経験は望めば自然と重なっていくものですよ。殿下の内面から放たれる美しさを前にすれば、双子の女神たちも、あなた様の奪い合いになることでしょう」
「いえ、そんな……」
後ろに控えていたフレデリクが、すっと横にくる。
どうやら、早々に我慢の限界を迎えたようだ。
「テオドール様、そろそろ――」
控えめに促されるが、意訳すると『テオ、早く部屋に戻れ』だ。
もう。フレッドったら、仕方ないなぁ。
僕は伯爵に微笑みかけた。
「申し訳ありません、伯爵。もっとお話をお伺いしたいのですが、そろそろ体を休めようかと」
伯爵が微笑みを返してくる。
うっ……色気の圧がすごいっ!
「大変失礼いたしました。長旅でお疲れの殿下にご無理を」
「気にされないでください。次にお会いした時には、レナルレ王国のことを色々お聞かせくだされば嬉しいです」
「もちろんです。楽しみにしておりますよ」
そう言って頭をさげた伯爵や他の貴族に背を向けると、光速で僕の背中にフレデリクの手がそえられた。
フレッド……本当、そういうとこだからねっ!
33
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れているのを見たニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆明けましておめでとうございます。昨年度は色々ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。あまりめでたくない暗い話を書いていますがそのうち明るくなる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる