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番外編
テオとフレッドの昼下がり(前編)
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本編終了後の話で、三編に分けて公開します!
アダルトメインの話となりまして、特に中・後編が大人向けです。
R18シーンの鍛錬をしようと決意したので、今作はいつもより淫らな感じになっている……はず!(本人比)
今作の舞台は外です……始終ずっと外でイチャついています。よろしいですか?
よろしければ、最後まで読んでいただけると嬉しいです!
「今日の昼食は池の側でとろうか」
午前中の剣術の鍛錬を終えて、これから昼の休みに入ろうかという時。
剣の師であるフレデリクが、微笑みながら提案してきた。
「池? 川じゃなくて?」
「川とは別に、湧水でできた池が森の中にあるんだ。澄んだ水色がきれいで目を引くから、テオも気に入ると思う」
城の裏手に広がる森は存外に大きい。
謹慎中は、この森に住んでいるといっても過言ではないのだが、まだまだ知らないことが多かった。
「かなり散策してるのに、知らなかったよ」
「あまり人が近づかない西側にあるからな。池の存在自体、知る人は少ないと思う」
「そういえば、西側にはそんなに行かなかったかも」
菫の館から見て、騎士団や兵団の施設は東側になる。
思えば、そちらの方面ばかりに足を向けていたか。
「湧水の池って素敵だね。行ってみたい!」
「なら、午後は池の側でゆっくり過ごそうか」
「え? 午後の鍛錬は?」
今日は一日中、ロングソードやダガーの鍛錬を行う予定になっている。
問いかけると、フレデリクの碧い目がいたずらっぽく細められた。
「一緒にさぼろう。たまにはいいだろ?」
恋人の提案に、心が喜びにわき立つ。
「先生と二人でさぼるなんて、何だか大胆でドキドキするね!」
テオドールは、こぼれそうな笑みを浮かべながら、フレデリクに抱きついた。
森の中は、養豚のために解放されている区域もあるが、基本的に一般市民は立ち入り禁止である。
騎士や兵士は、自分たちの施設がある一帯でしか活動しないので、少し離れてしまえば静かなもので。
何もない森の西側は、特に人の気配がなかった。
「池の存在はすっかり忘れていたんだ。もう少し早く思い出していれば、マリウスも喜んだだろうな」
湧水の池に向かいながら、フレデリクが苦笑する。
マリウスは先日、騎士を目指してラフォング辺境伯領の第二の都市ボネリーへと旅立った。
当分、王都に戻ってくることはないだろう。
「じゃあ、マリウスが騎士になって戻ってきた時に、また皆で行こうよ」
「そうだな」
「楽しみが増えるっていいね!」
大切な人と未来の約束をする度に、心が温かくなる。
マリウスのボネリーでの日々はすごく辛いものになるだろうけど……その分、帰ってきた時には楽しいことをいっぱいしたいな……!
テオドールは美しいエメラルドの瞳を穏やかに細めた。
「池はもう少し先になる。この辺りから足場が悪くなるから気をつけてくれ」
道の先に視線を向けると、石や木の根が露出して、確かに歩きづらくなっていた。
森の中も、場所によって整備の度合いが違うようだ。
「あ、荷物。僕も持つよ!」
フレデリクの手にある多くの荷を見て、テオドールは慌てて言った。
しまった。何も考えずに甘えちゃってた……!
敷物から食べ物まで、フレデリクに全て持たせていた。
王子としては当然だとしても、対等な恋人としては気が引ける。
手を伸ばそうとすると、フレデリクは片手でまとめている荷物をテオドールから遠ざけた。
「テオにはこれとは別に、一番重いものを持ってもらおうかな」
「え……?」
そう言って、フレデリクは空いている方の手をテオドールに差し出してくる。
わああぁぁぁぁっ!!!!!
何!? このドキドキするテクニックっ!
こんな高度な手のつなぎ方なんて知らないよっ!?
……これだからイケメン騎士は!
「……こう見えて、僕だって多少は鍛えてるんだ。重くても平気だよ」
そう言って、テオドールは頬を染めながら騎士の手をにぎった。
そのまま、ぶんと子供のように重ねた手を振りあげると、フレデリクは頬を緩ませる。
「……これから、どれだけ重くなっても……手を離さないでくれるか?」
フレデリクの言う『重さ』とは愛の比喩だろう。
「離さないよ……絶対に。知ってた? 僕、重い方が好きなんだよ」
手をにぎる力を強くして、テオドールは騎士の広い肩に頭を擦りつけた。
この温かくて大きな手を離す日なんて、来るわけないよ――
「俺も……絶対に離したくない」
「うん……」
絡めた指に幸せを感じながら、恋人たちは深くなっていく緑の中を行く。
「この繁みの先が目的地だ」
木々の群れが少しずつ背後に消えていく。
むき出しになった木の根に足を取られないように歩を進めていると、二人の前にきらめく池が現れた。
「わぁ……!」
テオドールは、前方に広がった美しい光景に目を奪われた。
ほぼ真円を描く池の直径は、十メートルぐらいだろうか。
底まで見えるほど澄みきった湧水をたっぷりと湛えており、端の方は翠色に輝いて、中心部の底にいくほどに碧く色を変えている。
鮮やかなグラデーションに彩られた水面が、太陽光をこれでもかと反射していた。
「きれい……! 何だか、フレッドと僕の瞳の色を溶かしたみたいだね。こんなに素敵な池の存在を、ずっと忘れてたの?」
「……一回しか来たことがなかったしな」
王都内でトップクラスの絶景を前に、あいまいな顔をするフレデリク。
どこか冴えない表情を前に、テオドールは思わず笑った。
「フレッドは興味のないことに対して、とことん淡泊だよね」
「そういう自覚はある」
フレデリクの根は非常に一本気だ。
職人気質とでも言おうか。
興味関心の幅が狭く深い。
脇目もふらずに剣の道を突き進んできたフレデリクらしいとも言えた。
「あの辺りで昼食をとろうか」
二人で冷水に手をひたして遊んでいると、フレデリクが上手い具合に木々が陰を作っている場所を指し示した。
じゃあ、ここで一緒に準備を……なんて言う暇もなく、騎士様がさくっと場を整えてくれる。
ぐうぅっ! この至れり尽くせりを当たり前にしてしまってはだめだっ!!!
白銀のイケメン騎士に尽くされる日々に慣れてしまったら、僕は前とは違った意味でダメ王子になってしまう!!
「フレッド……二人きりの時には恋人として対等に接してね。過度な甘やかしは、僕の心身の腐敗に繋がるからっ」
テオドールの極端な言葉に、フレデリクはおかしそうに笑った。
「今だって対等だろ?」
「全然対等じゃないよっ。昼食の準備だって、フレッドが全部してくれたし。荷物を持つのだって――」
「それは俺がしたいからで」
「そういうのが甘やかしっていうの! 普段の主従関係とは違うんだからね!」
必死に主張しているというのに、フレデリクはどこ吹く風とばかりに静かに微笑んでいる。
ぜんっぜん聞く気ないじゃんかっ!!
「その点は諦めてくれないか?」
そう言って、騎士は王子の柔らかな頬を両手で包む。
大きな手にむにむにと頬を揉まれて、テオドールは小さくうめいた。
「テオを甘やかすのが好きなんだ。誰にも譲れない俺だけの特権であり、幸福でもある」
「……そんな風に言われたら、何も言えなくなるよ……。僕が前よりひどいダメ王子になっても知らないからね」
「俺のテオは強い心の持ち主だから、どれだけ甘やかしてもダメ王子にはなりそうにないな」
「……かいかぶりすぎだよ」
テオドールはそっと視線を落とした。
フレデリクの恋人して、そして主君として。
いつかは強い心を持った男になりたいと思っているが、相変わらず、劣等感をはじめとする嫌な感情は胸の中にこびりついたままで。
まだまだ弱い心と戦う日々だ。
「テオは自分に厳しいな」
フレデリクに優しく抱きよせられ、テオドールは碧い目と見つめ合った。
「テオドール殿下は魅力的な王子だ」
そう言って、騎士は王子の額に口づける。
「努力を重ねることの辛さと大切さを知っていて」
次は右頬に。
「自分がどれだけ苦しくても、周囲を思いやれる深い優しさを持っていて」
次は左頬に。
「勉強も剣術も皆が驚くぐらい、どんどん吸収していく聡明さがあって」
そして鼻先に。
次々に降ってくる温かな言葉と口づけに、テオドールは顔を真っ赤にして狼狽えた。
心臓の鼓動がとんでもないことになっている。
「わ、わかったよっ、わかったから!」
嬉しくて、恥ずかしくて。
とりあえず、フレデリクから体を離して心身を落ち着かせようと思ったのだが、逞しい腕は全くテオドールを解放してくれる気配はない。
「まだ重要なことが残ってる」
「な、に……?」
フレデリクは艶っぽく微笑んだ。
「俺のことを何より大事にして愛してくれる」
流れるような仕草でおとがいを持ちあげられると、息つく暇もなく唇が重なった。
啄むような口づけから、すぐに歯列を割られて舌が絡む。
「っあ……ん、ふぁ……っ」
角度を変えて熱い唇が擦り合わされ、口腔内を余すところなく暴かれて。
心も体もとろけてきて、テオドールは上手く力が入らない手でフレデリクにしがみつく。
混ざり合った互いの唾液を飲み込めば、体の芯がじぃんと熱くなった。
恋人の体液を飲んで興奮するなんて変態だろうか。
そう思っても止めることができなくて、フレデリクの舌を甘く吸って、唾液を求めてしまう。
「フレッド……すき……だいすき……っぁん」
深い口づけの隙間に愛を囁けば、強く強く抱きしめられて、濡れた唇を舐めすすられる。
いやらしい水音が二人の間を満たし、どんどん興奮が高まっていく。
もっと、もっと――
ぎゅっと分厚い胸に抱きついて、キスに溺れる王子は騎士の唇を激しく求める。
「ぁ……っ、フレッド……」
大胆に交わる舌から口の端に唾液が流れ、テオドールの白い顎を伝っていく。
きもちいい――
飽きることなく淫らな口づけに夢中になって、互いの唇を貪り合う。
熱い吐息と唾液が混ざり、唇の感覚が溶けて、頭の中が淫靡な霧に覆われた。
「テオ……」
時を忘れていやらしい交わりを堪能して、ゆっくりと顔を離すと、二人の唇が透明な糸で繋がった。
それを舌先で舐め切ると、フレデリクは口づけの余韻にひたるエメラルドの瞳を慕わしげに見つめた。
「俺はいつだって、ありのままのテオを愛してる。それを忘れないでくれ」
フレデリクの深い愛情が、テオドールの心を温かく包み込む。
「……じゃあ、僕はフレッド専属のダメ王子になるからね」
「望むところだ」
そう言って微笑むと、フレデリクはテオドールの体を横抱きにかかえあげて、木陰に敷かれた布の上に運んでいく。
そのまま、ゆっくりと体を下ろされて、フレデリクは隣に座るかと思いきや。
え……!?
テオドールは、靴を脱いで胡坐をかいた騎士の腕の中に着地した。
背中から抱きしめられる形になって、王子は慌てる。
「フ、フレッド!? もしかして、この体勢でお昼ご飯食べるの?」
驚くテオドールの靴を脱がせながら、フレデリクは涼しい顔で答える。
「テオは俺の専属なんだろ? だったら定位置はここだ」
「いや、専属とは言ったけどっ! こんなにくっついてたら、落ち着いて食べられないって」
どうにも恥ずかしくて騒いでいると、優しく抱きよせられる。
フレデリクの腕の中にすっぽりと体がおさまって、全く抵抗できなくなった。
「……二人きりでゆっくり過ごす時には、ずっとテオの温もりを感じていたいんだ」
うなじに熱い吐息を感じて、テオドールはぶるりと身を震わせる。
「そ、それは、僕だって同じだよ……」
「なら、離れなくてもいいな」
「そうだけど、そうじゃなくって――」
言質はとったとばかりに、フレデリクは嬉々としてテオドールを抱いたまま、籠から中身を取り出していく。
「今日もテオの好物ばかりだな」
もうっ!! 完全にフレッドのペースじゃんっ!
フレデリクは木製のフォークで、一口大に切られた豚肉のバターソテーをすくい上げる。
「ほら、口開けて」
「えっ!? ち、ちょっと、さすがにそれはっ……!」
『あ~ん』されて食べるなんて、色々な意味で耐えられないからっ!
拒もうとしても、逞しい体に優しく拘束されていて動けない。
「……は、恥ずかしいよ……」
「俺しか見てないから」
「うぅ……」
だからっ! そうだけど、そうじゃないんだってば!!
「別に気にする必要ないだろ?」
「…………」
おいしそうな豚肉が口もとに差し出されて、テオドールはおずおずと口を開ける。
舌の上に香ばしい豚肉を乗せられて、バターの風味が口腔内を満たした。
いつもの好きな味が……する気がする。
体を包むフレデリクの温もりにドキドキして、味がよく分からない。
「おいしい?」
「お、おいしいけど……っ」
豚肉を飲み込めば、完璧なタイミングで今度はオムレツが運ばれてくる。
「今日の昼食はずっとこれ……?」
「もちろん」
ぎゅっと抱きしめられて、テオドールは顔を熱くしながらオムレツを口にする。
フレデリクは、もぐもぐと動く紅色に染まった頬に口づけると、とろけた微笑みを浮かべた。
「テオ、かわいい……」
騎士は王子の耳や首筋に唇をすべらせ、蜂蜜色の髪に頬擦りをする。
「フ、フレッド……っ」
「次は何を食べようか」
「ちょっと……!」
「品数が多いと迷うよな」
くうぅっ! フレッドめ!
まったくもって、こちらの言い分を聞く気がないな……!
こうなったら……開きなおってやる!!
「じゃあ、ハム!」
逞しい胸にどっかりと背を預けて、テオドールは雛鳥のように唇を開けた。
すぐにハムが目の前に提供されたので、ぱくりと勢いよく口に含む。
「次はパンにジャムを塗って。たっぷりね」
「かしこまりました」
わざとらしく尊大に注文を繰り返しても、フレデリクは嬉しそうに世話をしてくる。
時折、うなじや頬に口づけられて、その度に体が熱くなった。
ああっ、もう!!!
こんなに落ち着かない食事ってある!?
「フレッドも食べてよっ」
「俺は見てるだけで満足かな」
フレデリクはアクアマリンの目を優しく細める。
「テオがおいしそうに食べる姿が好きなんだ。目を輝かせて、夢中になって味わってるのが可愛くて、いつまでも見ていられる」
「……僕を小動物か何かと思ってるでしょ?」
「まさか。世界で一番美しくて賢い王子様だと思ってる」
「すぐそうやって!」
テオドールは恥ずかしそうに拗ねると、フレデリクの肩に甘えるように後頭部を擦りつけた。
皆さま、お久しぶりでございます!
随分とご無沙汰しておりまして、忘れたころの番外編です。
次作の予告です!
↓↓↓
「僕が……クロード兄上のいらっしゃるラオネスにですか……?」
リーフェの騒動の余韻がいまだにさめない中で、僕の長かった謹慎が終わりを告げた。
久しぶりに城での生活が始まるかと思いきや、父から今度はラオネスでの社会勉強を命じられた。
国内随一の規模をほこる湾岸都市ラオネス。
一大商業都市でもあるその地は、次兄のクロードが治めている。
王都アミンから遠く離れた地での僕の新しい生活。
そして、久しぶりに会うクロード兄上……!
色々不安もあるけれど、広い海と沢山の海の幸に出会えるかと思うと、心がはずむよねっ!
恋人で専属騎士のフレデリクと侍従のエヴァンと一緒に、僕はラオネスに行ってきます!!
↑↑↑
ということで、テオドール王子の第二弾!
「転生先の第三王子はただいま出張中につき各位ご確認ねがいます!」
上記のタイトルで第二弾の連載を開始したいと思います!!
いやぁ~。非常にお待たせいたしました。
続編を希望してくださった方が何人もいらっしゃったのに、こんなに年月が過ぎて……。
昨年に公開するのがベストだったと思うのですが、リーフェ編終了直後からちょっと忙しくなりまして。
去年はほとんど執筆ができない冬の一年となっていました(言い訳!)
今年こそはと思いつつ、もう9月。月日の流れが早すぎる!
遅すぎる続編ですが、是非ともテオドールと一緒にラオネスを楽しんでいただきたく……!
ただいま連載中です!!
どうぞよろしくお願いいたします!!
アダルトメインの話となりまして、特に中・後編が大人向けです。
R18シーンの鍛錬をしようと決意したので、今作はいつもより淫らな感じになっている……はず!(本人比)
今作の舞台は外です……始終ずっと外でイチャついています。よろしいですか?
よろしければ、最後まで読んでいただけると嬉しいです!
「今日の昼食は池の側でとろうか」
午前中の剣術の鍛錬を終えて、これから昼の休みに入ろうかという時。
剣の師であるフレデリクが、微笑みながら提案してきた。
「池? 川じゃなくて?」
「川とは別に、湧水でできた池が森の中にあるんだ。澄んだ水色がきれいで目を引くから、テオも気に入ると思う」
城の裏手に広がる森は存外に大きい。
謹慎中は、この森に住んでいるといっても過言ではないのだが、まだまだ知らないことが多かった。
「かなり散策してるのに、知らなかったよ」
「あまり人が近づかない西側にあるからな。池の存在自体、知る人は少ないと思う」
「そういえば、西側にはそんなに行かなかったかも」
菫の館から見て、騎士団や兵団の施設は東側になる。
思えば、そちらの方面ばかりに足を向けていたか。
「湧水の池って素敵だね。行ってみたい!」
「なら、午後は池の側でゆっくり過ごそうか」
「え? 午後の鍛錬は?」
今日は一日中、ロングソードやダガーの鍛錬を行う予定になっている。
問いかけると、フレデリクの碧い目がいたずらっぽく細められた。
「一緒にさぼろう。たまにはいいだろ?」
恋人の提案に、心が喜びにわき立つ。
「先生と二人でさぼるなんて、何だか大胆でドキドキするね!」
テオドールは、こぼれそうな笑みを浮かべながら、フレデリクに抱きついた。
森の中は、養豚のために解放されている区域もあるが、基本的に一般市民は立ち入り禁止である。
騎士や兵士は、自分たちの施設がある一帯でしか活動しないので、少し離れてしまえば静かなもので。
何もない森の西側は、特に人の気配がなかった。
「池の存在はすっかり忘れていたんだ。もう少し早く思い出していれば、マリウスも喜んだだろうな」
湧水の池に向かいながら、フレデリクが苦笑する。
マリウスは先日、騎士を目指してラフォング辺境伯領の第二の都市ボネリーへと旅立った。
当分、王都に戻ってくることはないだろう。
「じゃあ、マリウスが騎士になって戻ってきた時に、また皆で行こうよ」
「そうだな」
「楽しみが増えるっていいね!」
大切な人と未来の約束をする度に、心が温かくなる。
マリウスのボネリーでの日々はすごく辛いものになるだろうけど……その分、帰ってきた時には楽しいことをいっぱいしたいな……!
テオドールは美しいエメラルドの瞳を穏やかに細めた。
「池はもう少し先になる。この辺りから足場が悪くなるから気をつけてくれ」
道の先に視線を向けると、石や木の根が露出して、確かに歩きづらくなっていた。
森の中も、場所によって整備の度合いが違うようだ。
「あ、荷物。僕も持つよ!」
フレデリクの手にある多くの荷を見て、テオドールは慌てて言った。
しまった。何も考えずに甘えちゃってた……!
敷物から食べ物まで、フレデリクに全て持たせていた。
王子としては当然だとしても、対等な恋人としては気が引ける。
手を伸ばそうとすると、フレデリクは片手でまとめている荷物をテオドールから遠ざけた。
「テオにはこれとは別に、一番重いものを持ってもらおうかな」
「え……?」
そう言って、フレデリクは空いている方の手をテオドールに差し出してくる。
わああぁぁぁぁっ!!!!!
何!? このドキドキするテクニックっ!
こんな高度な手のつなぎ方なんて知らないよっ!?
……これだからイケメン騎士は!
「……こう見えて、僕だって多少は鍛えてるんだ。重くても平気だよ」
そう言って、テオドールは頬を染めながら騎士の手をにぎった。
そのまま、ぶんと子供のように重ねた手を振りあげると、フレデリクは頬を緩ませる。
「……これから、どれだけ重くなっても……手を離さないでくれるか?」
フレデリクの言う『重さ』とは愛の比喩だろう。
「離さないよ……絶対に。知ってた? 僕、重い方が好きなんだよ」
手をにぎる力を強くして、テオドールは騎士の広い肩に頭を擦りつけた。
この温かくて大きな手を離す日なんて、来るわけないよ――
「俺も……絶対に離したくない」
「うん……」
絡めた指に幸せを感じながら、恋人たちは深くなっていく緑の中を行く。
「この繁みの先が目的地だ」
木々の群れが少しずつ背後に消えていく。
むき出しになった木の根に足を取られないように歩を進めていると、二人の前にきらめく池が現れた。
「わぁ……!」
テオドールは、前方に広がった美しい光景に目を奪われた。
ほぼ真円を描く池の直径は、十メートルぐらいだろうか。
底まで見えるほど澄みきった湧水をたっぷりと湛えており、端の方は翠色に輝いて、中心部の底にいくほどに碧く色を変えている。
鮮やかなグラデーションに彩られた水面が、太陽光をこれでもかと反射していた。
「きれい……! 何だか、フレッドと僕の瞳の色を溶かしたみたいだね。こんなに素敵な池の存在を、ずっと忘れてたの?」
「……一回しか来たことがなかったしな」
王都内でトップクラスの絶景を前に、あいまいな顔をするフレデリク。
どこか冴えない表情を前に、テオドールは思わず笑った。
「フレッドは興味のないことに対して、とことん淡泊だよね」
「そういう自覚はある」
フレデリクの根は非常に一本気だ。
職人気質とでも言おうか。
興味関心の幅が狭く深い。
脇目もふらずに剣の道を突き進んできたフレデリクらしいとも言えた。
「あの辺りで昼食をとろうか」
二人で冷水に手をひたして遊んでいると、フレデリクが上手い具合に木々が陰を作っている場所を指し示した。
じゃあ、ここで一緒に準備を……なんて言う暇もなく、騎士様がさくっと場を整えてくれる。
ぐうぅっ! この至れり尽くせりを当たり前にしてしまってはだめだっ!!!
白銀のイケメン騎士に尽くされる日々に慣れてしまったら、僕は前とは違った意味でダメ王子になってしまう!!
「フレッド……二人きりの時には恋人として対等に接してね。過度な甘やかしは、僕の心身の腐敗に繋がるからっ」
テオドールの極端な言葉に、フレデリクはおかしそうに笑った。
「今だって対等だろ?」
「全然対等じゃないよっ。昼食の準備だって、フレッドが全部してくれたし。荷物を持つのだって――」
「それは俺がしたいからで」
「そういうのが甘やかしっていうの! 普段の主従関係とは違うんだからね!」
必死に主張しているというのに、フレデリクはどこ吹く風とばかりに静かに微笑んでいる。
ぜんっぜん聞く気ないじゃんかっ!!
「その点は諦めてくれないか?」
そう言って、騎士は王子の柔らかな頬を両手で包む。
大きな手にむにむにと頬を揉まれて、テオドールは小さくうめいた。
「テオを甘やかすのが好きなんだ。誰にも譲れない俺だけの特権であり、幸福でもある」
「……そんな風に言われたら、何も言えなくなるよ……。僕が前よりひどいダメ王子になっても知らないからね」
「俺のテオは強い心の持ち主だから、どれだけ甘やかしてもダメ王子にはなりそうにないな」
「……かいかぶりすぎだよ」
テオドールはそっと視線を落とした。
フレデリクの恋人して、そして主君として。
いつかは強い心を持った男になりたいと思っているが、相変わらず、劣等感をはじめとする嫌な感情は胸の中にこびりついたままで。
まだまだ弱い心と戦う日々だ。
「テオは自分に厳しいな」
フレデリクに優しく抱きよせられ、テオドールは碧い目と見つめ合った。
「テオドール殿下は魅力的な王子だ」
そう言って、騎士は王子の額に口づける。
「努力を重ねることの辛さと大切さを知っていて」
次は右頬に。
「自分がどれだけ苦しくても、周囲を思いやれる深い優しさを持っていて」
次は左頬に。
「勉強も剣術も皆が驚くぐらい、どんどん吸収していく聡明さがあって」
そして鼻先に。
次々に降ってくる温かな言葉と口づけに、テオドールは顔を真っ赤にして狼狽えた。
心臓の鼓動がとんでもないことになっている。
「わ、わかったよっ、わかったから!」
嬉しくて、恥ずかしくて。
とりあえず、フレデリクから体を離して心身を落ち着かせようと思ったのだが、逞しい腕は全くテオドールを解放してくれる気配はない。
「まだ重要なことが残ってる」
「な、に……?」
フレデリクは艶っぽく微笑んだ。
「俺のことを何より大事にして愛してくれる」
流れるような仕草でおとがいを持ちあげられると、息つく暇もなく唇が重なった。
啄むような口づけから、すぐに歯列を割られて舌が絡む。
「っあ……ん、ふぁ……っ」
角度を変えて熱い唇が擦り合わされ、口腔内を余すところなく暴かれて。
心も体もとろけてきて、テオドールは上手く力が入らない手でフレデリクにしがみつく。
混ざり合った互いの唾液を飲み込めば、体の芯がじぃんと熱くなった。
恋人の体液を飲んで興奮するなんて変態だろうか。
そう思っても止めることができなくて、フレデリクの舌を甘く吸って、唾液を求めてしまう。
「フレッド……すき……だいすき……っぁん」
深い口づけの隙間に愛を囁けば、強く強く抱きしめられて、濡れた唇を舐めすすられる。
いやらしい水音が二人の間を満たし、どんどん興奮が高まっていく。
もっと、もっと――
ぎゅっと分厚い胸に抱きついて、キスに溺れる王子は騎士の唇を激しく求める。
「ぁ……っ、フレッド……」
大胆に交わる舌から口の端に唾液が流れ、テオドールの白い顎を伝っていく。
きもちいい――
飽きることなく淫らな口づけに夢中になって、互いの唇を貪り合う。
熱い吐息と唾液が混ざり、唇の感覚が溶けて、頭の中が淫靡な霧に覆われた。
「テオ……」
時を忘れていやらしい交わりを堪能して、ゆっくりと顔を離すと、二人の唇が透明な糸で繋がった。
それを舌先で舐め切ると、フレデリクは口づけの余韻にひたるエメラルドの瞳を慕わしげに見つめた。
「俺はいつだって、ありのままのテオを愛してる。それを忘れないでくれ」
フレデリクの深い愛情が、テオドールの心を温かく包み込む。
「……じゃあ、僕はフレッド専属のダメ王子になるからね」
「望むところだ」
そう言って微笑むと、フレデリクはテオドールの体を横抱きにかかえあげて、木陰に敷かれた布の上に運んでいく。
そのまま、ゆっくりと体を下ろされて、フレデリクは隣に座るかと思いきや。
え……!?
テオドールは、靴を脱いで胡坐をかいた騎士の腕の中に着地した。
背中から抱きしめられる形になって、王子は慌てる。
「フ、フレッド!? もしかして、この体勢でお昼ご飯食べるの?」
驚くテオドールの靴を脱がせながら、フレデリクは涼しい顔で答える。
「テオは俺の専属なんだろ? だったら定位置はここだ」
「いや、専属とは言ったけどっ! こんなにくっついてたら、落ち着いて食べられないって」
どうにも恥ずかしくて騒いでいると、優しく抱きよせられる。
フレデリクの腕の中にすっぽりと体がおさまって、全く抵抗できなくなった。
「……二人きりでゆっくり過ごす時には、ずっとテオの温もりを感じていたいんだ」
うなじに熱い吐息を感じて、テオドールはぶるりと身を震わせる。
「そ、それは、僕だって同じだよ……」
「なら、離れなくてもいいな」
「そうだけど、そうじゃなくって――」
言質はとったとばかりに、フレデリクは嬉々としてテオドールを抱いたまま、籠から中身を取り出していく。
「今日もテオの好物ばかりだな」
もうっ!! 完全にフレッドのペースじゃんっ!
フレデリクは木製のフォークで、一口大に切られた豚肉のバターソテーをすくい上げる。
「ほら、口開けて」
「えっ!? ち、ちょっと、さすがにそれはっ……!」
『あ~ん』されて食べるなんて、色々な意味で耐えられないからっ!
拒もうとしても、逞しい体に優しく拘束されていて動けない。
「……は、恥ずかしいよ……」
「俺しか見てないから」
「うぅ……」
だからっ! そうだけど、そうじゃないんだってば!!
「別に気にする必要ないだろ?」
「…………」
おいしそうな豚肉が口もとに差し出されて、テオドールはおずおずと口を開ける。
舌の上に香ばしい豚肉を乗せられて、バターの風味が口腔内を満たした。
いつもの好きな味が……する気がする。
体を包むフレデリクの温もりにドキドキして、味がよく分からない。
「おいしい?」
「お、おいしいけど……っ」
豚肉を飲み込めば、完璧なタイミングで今度はオムレツが運ばれてくる。
「今日の昼食はずっとこれ……?」
「もちろん」
ぎゅっと抱きしめられて、テオドールは顔を熱くしながらオムレツを口にする。
フレデリクは、もぐもぐと動く紅色に染まった頬に口づけると、とろけた微笑みを浮かべた。
「テオ、かわいい……」
騎士は王子の耳や首筋に唇をすべらせ、蜂蜜色の髪に頬擦りをする。
「フ、フレッド……っ」
「次は何を食べようか」
「ちょっと……!」
「品数が多いと迷うよな」
くうぅっ! フレッドめ!
まったくもって、こちらの言い分を聞く気がないな……!
こうなったら……開きなおってやる!!
「じゃあ、ハム!」
逞しい胸にどっかりと背を預けて、テオドールは雛鳥のように唇を開けた。
すぐにハムが目の前に提供されたので、ぱくりと勢いよく口に含む。
「次はパンにジャムを塗って。たっぷりね」
「かしこまりました」
わざとらしく尊大に注文を繰り返しても、フレデリクは嬉しそうに世話をしてくる。
時折、うなじや頬に口づけられて、その度に体が熱くなった。
ああっ、もう!!!
こんなに落ち着かない食事ってある!?
「フレッドも食べてよっ」
「俺は見てるだけで満足かな」
フレデリクはアクアマリンの目を優しく細める。
「テオがおいしそうに食べる姿が好きなんだ。目を輝かせて、夢中になって味わってるのが可愛くて、いつまでも見ていられる」
「……僕を小動物か何かと思ってるでしょ?」
「まさか。世界で一番美しくて賢い王子様だと思ってる」
「すぐそうやって!」
テオドールは恥ずかしそうに拗ねると、フレデリクの肩に甘えるように後頭部を擦りつけた。
皆さま、お久しぶりでございます!
随分とご無沙汰しておりまして、忘れたころの番外編です。
次作の予告です!
↓↓↓
「僕が……クロード兄上のいらっしゃるラオネスにですか……?」
リーフェの騒動の余韻がいまだにさめない中で、僕の長かった謹慎が終わりを告げた。
久しぶりに城での生活が始まるかと思いきや、父から今度はラオネスでの社会勉強を命じられた。
国内随一の規模をほこる湾岸都市ラオネス。
一大商業都市でもあるその地は、次兄のクロードが治めている。
王都アミンから遠く離れた地での僕の新しい生活。
そして、久しぶりに会うクロード兄上……!
色々不安もあるけれど、広い海と沢山の海の幸に出会えるかと思うと、心がはずむよねっ!
恋人で専属騎士のフレデリクと侍従のエヴァンと一緒に、僕はラオネスに行ってきます!!
↑↑↑
ということで、テオドール王子の第二弾!
「転生先の第三王子はただいま出張中につき各位ご確認ねがいます!」
上記のタイトルで第二弾の連載を開始したいと思います!!
いやぁ~。非常にお待たせいたしました。
続編を希望してくださった方が何人もいらっしゃったのに、こんなに年月が過ぎて……。
昨年に公開するのがベストだったと思うのですが、リーフェ編終了直後からちょっと忙しくなりまして。
去年はほとんど執筆ができない冬の一年となっていました(言い訳!)
今年こそはと思いつつ、もう9月。月日の流れが早すぎる!
遅すぎる続編ですが、是非ともテオドールと一緒にラオネスを楽しんでいただきたく……!
ただいま連載中です!!
どうぞよろしくお願いいたします!!
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