14 / 118
黒崎みどりと白山あかねの仲違い
しおりを挟む
◆黒崎みどりと白山あかねの仲違い
次の日、体育の大崎先生は学校に来なくなった。
いや、もう来れなくなった、と言った方が正しい。
それは先日の物置倉庫で顔が無茶苦茶になったせいでは決してなかった。
午前中、大崎は、あろうことか体育の授業中に性懲りもなく女子生徒に手を出したのだ。
保健室で、吉田先生が笑いながら言ったことが現実となった。
大崎先生は無理矢理に一人の大人しい女子生徒を体育倉庫に引っ張り込み、性的いたずらをしようとした。そこを男子生徒に取り押さえられた。
その場の生徒全員が目撃していたので、理事長もかばい切れなかったようだ。
しかし大崎は他の職員にこう言っていたらしい。
しきりに、「そんなつもりはなかったんだ」と弁解し、
「体が勝手に動いたんだ」と叫ぶように言っていたということだ。
そんな言葉に耳を貸す人は誰もいない。
被害者の女生徒の証言によると、大崎は、
「俺の顔がそんなにおかしいか」と近づいてきた。怖くて逆らえなかったらしい。
クラスの話題もそんな体育の大崎のことで持ちきりになった。
松村にデッドボールを当てた近藤も「松村が見た幻覚も本当だったんだな」と僕に言いに来た。
そんなクラスの喧噪の中、全く別の話題で騒いでいる人間がいた。
それは黒崎みどりと白山あかねの二人だ。
伊澄瑠璃子の金魚の糞みたいな二人は今度の放課後、僕たちとお化け屋敷に行くという伊澄瑠璃子に、これまた引っ付いてくるらしい。
双子のような二人。そんな二人が何やら口論をしている。
気になって僕は隣の席の女の子に、「あいつら、普段は仲がいいのに、一体どうしたんだ?」と尋ねた。
その子が説明するには、
黒崎と白山は、お互いに彼氏、あるいは男友達を作らないと契約をし合っていたらしい。ところが白山あかねの方が隣のクラスの男子に告られ、一応デートのようなものをしたそうだ。そのことを黒崎みどりが知ってご剣幕なんだそうだ。
そんな約束だか、契約だかは知らないが、おかしな契りを結ぶようなことをする二人にいいイメージは抱かない。
異常な仲に、意味不明の喧嘩。
二人のいる席の方に耳をそばだてると、黒崎みどりが、
「あかねが汚れちゃったわッ」と大仰に、かつヒステリックに言っている。
言われた白山あかねは「汚れたなんて、大袈裟よ! 木田君とはそんなんじゃないんだって」と懸命に否定している。「ただの友達なの」
まるで、小学生の女の子同士の会話みたいだ。
いつもなら、どうでもいい会話・・耳をそばだてる必要もない会話なのだが、なぜか、その時は気になった。
それは黒崎みどりが言った言葉・・「汚れちゃった」だ。
「汚れ」は「よごれ」「けがれ」・・つまりは「穢れ」だ。
その言葉は、保健室で聞いた声。
吉田先生と伊澄瑠璃子の声が重なって言った時の言葉と同じだ。
・・・「けがれている者は、どんどん穢れていく」
「もう止められない」・・
だが、そんな言葉を聞いたからといって、白山あかねがどんどん穢れていくとは思えないし、仲も悪くなるとも思えない。
やはり気になる。
その理由は、今週の金曜、伊澄瑠璃子とあのお化け屋敷に行く際、二人が付いてくるからだ。
面倒なことにならなければいいが・・
次の日、体育の大崎先生は学校に来なくなった。
いや、もう来れなくなった、と言った方が正しい。
それは先日の物置倉庫で顔が無茶苦茶になったせいでは決してなかった。
午前中、大崎は、あろうことか体育の授業中に性懲りもなく女子生徒に手を出したのだ。
保健室で、吉田先生が笑いながら言ったことが現実となった。
大崎先生は無理矢理に一人の大人しい女子生徒を体育倉庫に引っ張り込み、性的いたずらをしようとした。そこを男子生徒に取り押さえられた。
その場の生徒全員が目撃していたので、理事長もかばい切れなかったようだ。
しかし大崎は他の職員にこう言っていたらしい。
しきりに、「そんなつもりはなかったんだ」と弁解し、
「体が勝手に動いたんだ」と叫ぶように言っていたということだ。
そんな言葉に耳を貸す人は誰もいない。
被害者の女生徒の証言によると、大崎は、
「俺の顔がそんなにおかしいか」と近づいてきた。怖くて逆らえなかったらしい。
クラスの話題もそんな体育の大崎のことで持ちきりになった。
松村にデッドボールを当てた近藤も「松村が見た幻覚も本当だったんだな」と僕に言いに来た。
そんなクラスの喧噪の中、全く別の話題で騒いでいる人間がいた。
それは黒崎みどりと白山あかねの二人だ。
伊澄瑠璃子の金魚の糞みたいな二人は今度の放課後、僕たちとお化け屋敷に行くという伊澄瑠璃子に、これまた引っ付いてくるらしい。
双子のような二人。そんな二人が何やら口論をしている。
気になって僕は隣の席の女の子に、「あいつら、普段は仲がいいのに、一体どうしたんだ?」と尋ねた。
その子が説明するには、
黒崎と白山は、お互いに彼氏、あるいは男友達を作らないと契約をし合っていたらしい。ところが白山あかねの方が隣のクラスの男子に告られ、一応デートのようなものをしたそうだ。そのことを黒崎みどりが知ってご剣幕なんだそうだ。
そんな約束だか、契約だかは知らないが、おかしな契りを結ぶようなことをする二人にいいイメージは抱かない。
異常な仲に、意味不明の喧嘩。
二人のいる席の方に耳をそばだてると、黒崎みどりが、
「あかねが汚れちゃったわッ」と大仰に、かつヒステリックに言っている。
言われた白山あかねは「汚れたなんて、大袈裟よ! 木田君とはそんなんじゃないんだって」と懸命に否定している。「ただの友達なの」
まるで、小学生の女の子同士の会話みたいだ。
いつもなら、どうでもいい会話・・耳をそばだてる必要もない会話なのだが、なぜか、その時は気になった。
それは黒崎みどりが言った言葉・・「汚れちゃった」だ。
「汚れ」は「よごれ」「けがれ」・・つまりは「穢れ」だ。
その言葉は、保健室で聞いた声。
吉田先生と伊澄瑠璃子の声が重なって言った時の言葉と同じだ。
・・・「けがれている者は、どんどん穢れていく」
「もう止められない」・・
だが、そんな言葉を聞いたからといって、白山あかねがどんどん穢れていくとは思えないし、仲も悪くなるとも思えない。
やはり気になる。
その理由は、今週の金曜、伊澄瑠璃子とあのお化け屋敷に行く際、二人が付いてくるからだ。
面倒なことにならなければいいが・・
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ゾンビ発生が台風並みの扱いで報道される中、ニートの俺は普通にゾンビ倒して普通に生活する
黄札
ホラー
朝、何気なくテレビを付けると流れる天気予報。お馴染みの花粉や紫外線情報も流してくれるのはありがたいことだが……ゾンビ発生注意報?……いやいや、それも普通よ。いつものこと。
だが、お気に入りのアニメを見ようとしたところ、母親から買い物に行ってくれという電話がかかってきた。
どうする俺? 今、ゾンビ発生してるんですけど? 注意報、発令されてるんですけど??
ニートである立場上、断れずしぶしぶ重い腰を上げ外へ出る事に──
家でアニメを見ていても、同人誌を売りに行っても、バイトへ出ても、ゾンビに襲われる主人公。
何で俺ばかりこんな目に……嘆きつつもだんだん耐性ができてくる。
しまいには、サバゲーフィールドにゾンビを放って遊んだり、ゾンビ災害ボランティアにまで参加する始末。
友人はゾンビをペットにし、効率よくゾンビを倒すためエアガンを改造する。
ゾンビのいることが日常となった世界で、当たり前のようにゾンビと戦う日常的ゾンビアクション。ノベルアッププラス、ツギクル、小説家になろうでも公開中。
表紙絵は姫嶋ヤシコさんからいただきました、
©2020黄札
ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした
黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。
日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。
ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。
人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。
そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。
太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。
青春インターネットラブコメ! ここに開幕!
※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
幽子さんの謎解きレポート~しんいち君と霊感少女幽子さんの実話を元にした本格心霊ミステリー~
しんいち
キャラ文芸
オカルト好きの少年、「しんいち」は、小学生の時、彼が通う合気道の道場でお婆さんにつれられてきた不思議な少女と出会う。
のちに「幽子」と呼ばれる事になる少女との始めての出会いだった。
彼女には「霊感」と言われる、人の目には見えない物を感じ取る能力を秘めていた。しんいちはそんな彼女と友達になることを決意する。
そして高校生になった二人は、様々な怪奇でミステリアスな事件に関わっていくことになる。 事件を通じて出会う人々や経験は、彼らの成長を促し、友情を深めていく。
しかし、幽子にはしんいちにも秘密にしている一つの「想い」があった。
その想いとは一体何なのか?物語が進むにつれて、彼女の心の奥に秘められた真実が明らかになっていく。
友情と成長、そして幽子の隠された想いが交錯するミステリアスな物語。あなたも、しんいちと幽子の冒険に心を躍らせてみませんか?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる