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人間そっくり③
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「おいっ、ずいぶんと薄情だな」
そもそも、誰が僕そっくりのドールを創るというんだよ!
僕が言うと、イズミはすりすりと僕の傍に寄って来て、僕の顔を見上げ、まじまじと僕を見つめた。
おい、そんなに見られると、いくらドールでも恥ずかしいだろ、と思った。
「イズミ、何をそんなに見ているんだ」
僕が訊ねると、
「ミノルさんのお顏のヒフの情報を収集しています」と答えた。
「皮膚の情報?」
「ハイ、偽物のミノルさんが来ても、間違えないようにするためです」
「気持ち悪い・・というか、皮膚の情報って一体なんだよ! そんなことまでしないと本物と偽物の区別がつかないのかよ」
少々手荒に抗議すると、
「ハイ、怒っているミノルさんのお顔の情報も、取り込み中です」と淡々と言った。
そう言ったイズミの大きな瞳が青く点滅している。
「おい、まさか、今、僕の顔を何かのデータベースにダウンロードしているのか?」
僕が訊ねると、
「ハイ、そうです。お顔のコピーの邪魔をしないでください」
コピーかよ!
イズミとのやり取りを聞いていたサツキさんが、「イズミさん、面白いですね」と微笑んだ。
同じように優しく微笑む如月カオリに僕は訊ねた。
「山田瞳子は、ドールを何体所有しているんだ?」
これまで山田瞳子の所有するドールは、何度か目にしている。
一度は、街のど真ん中でB型ードールを回収し、車中に入れ込んでいた男ドール。音楽ホールで山田瞳子に出くわした際に、付き添っていた男ドール。
そして、植村を突き飛ばした男型ドールを目撃している。
僕の疑問に如月カオリは答えた。
「数えきれない・・」
如月カオリはその言葉を最後に「そろそろ失礼するよ」と言った。
僕が「また来てくれ」と言うと、如月カオリはニコリと微笑み、「ああ、そうするよ」と言って、「ここなら、水も飲めるし、美味しい紅茶もあるしな」と言った。
如月カオリが玄関まで行くと、イズミがパタパタと追いかけ、ペタリと張り付くようにすがった。
如月カオリは、イズミの頭を撫で「イズミはいい子だな」と言った。
そもそも、誰が僕そっくりのドールを創るというんだよ!
僕が言うと、イズミはすりすりと僕の傍に寄って来て、僕の顔を見上げ、まじまじと僕を見つめた。
おい、そんなに見られると、いくらドールでも恥ずかしいだろ、と思った。
「イズミ、何をそんなに見ているんだ」
僕が訊ねると、
「ミノルさんのお顏のヒフの情報を収集しています」と答えた。
「皮膚の情報?」
「ハイ、偽物のミノルさんが来ても、間違えないようにするためです」
「気持ち悪い・・というか、皮膚の情報って一体なんだよ! そんなことまでしないと本物と偽物の区別がつかないのかよ」
少々手荒に抗議すると、
「ハイ、怒っているミノルさんのお顔の情報も、取り込み中です」と淡々と言った。
そう言ったイズミの大きな瞳が青く点滅している。
「おい、まさか、今、僕の顔を何かのデータベースにダウンロードしているのか?」
僕が訊ねると、
「ハイ、そうです。お顔のコピーの邪魔をしないでください」
コピーかよ!
イズミとのやり取りを聞いていたサツキさんが、「イズミさん、面白いですね」と微笑んだ。
同じように優しく微笑む如月カオリに僕は訊ねた。
「山田瞳子は、ドールを何体所有しているんだ?」
これまで山田瞳子の所有するドールは、何度か目にしている。
一度は、街のど真ん中でB型ードールを回収し、車中に入れ込んでいた男ドール。音楽ホールで山田瞳子に出くわした際に、付き添っていた男ドール。
そして、植村を突き飛ばした男型ドールを目撃している。
僕の疑問に如月カオリは答えた。
「数えきれない・・」
如月カオリはその言葉を最後に「そろそろ失礼するよ」と言った。
僕が「また来てくれ」と言うと、如月カオリはニコリと微笑み、「ああ、そうするよ」と言って、「ここなら、水も飲めるし、美味しい紅茶もあるしな」と言った。
如月カオリが玄関まで行くと、イズミがパタパタと追いかけ、ペタリと張り付くようにすがった。
如月カオリは、イズミの頭を撫で「イズミはいい子だな」と言った。
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