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人間そっくり②

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 だが、如月カオリは、
「本来ならイムラの言う通りだ。人間はそこまで愚かではない」と前置きのように言って、
「だが、イズミのような思念作成型のドールなら、可能だ」と断言した。
「思念作成型のドール?」
「正確には、思念作成型のフィギュアプリンターだ。プリンターで、ターゲットとなる人間の思念を読み込む。その思念で、恋愛対象のドールを創る。舞い上がった心は、少々の違いでも気づかない場合もある。そういうことだ」
「そんなことが・・」
 だが、不可能ではない。
 フィギュアプリンターは、近くにいるだけでも思念を読み取ることが出来る。現に隣の部屋の島本さんの思考も読み取り娘のミチルの想いを読み取った。
 自分の思念で創られた理想のドール・・しかも人間そっくりのドールが目の前に現れたら、正確な判断が失われるのかもしれない。
 これが個人的な趣味の段階なら、まだいい。だが、悪用する人間が現れるとなると、話は別だ。
 悪人の思念を送ることも可能だし、そうでなくても、誰かの理想にかなったドールを送りつけて悪事に利用することもできる。
 国の機関が、イズミのような思念作成型のドールの販売中止、そして、創られたドールの回収を行おうとするのも分かる気がする、
 ・・だが、そこにドールの意思は介在しないのか?
 これまで僕は様々なドールを見てきた。
 皆、様々な感情や確固たる意志を持っていた。

「この動きを防ごうとしているのが、イムラの初恋の女性・・浅丘泉美なのだよ」
 浅丘泉美のやろうとしていることは、ドールを使った犯罪を防ぐ動きだ。それはとがめられることではない。
 だが、自分の創ったドールに愛着を持つ人間たちからは反発をくらうだろう。
 僕もその一人だ。

「ミノルさん、お気をつけください」
 突然、ペタン座りのイズミが可愛い声を上げた。
「イズミ、何に気をつけろ、と言うんだ?」
 僕が訊ねると、イズミはこう言った。
「ミノルさんそっくりのミノルさんがお家に来ても、ワタシ、分からないです」
 僕そっくりのドールが家に来たら、という仮定の話か? 
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