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内海
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◆内海
僕と佐山さんが考えあぐねていると、
エレナさんが目を何度か点滅させだした。意識があるのか。
そして、エレナさんは声を出した。
「ワタシは、落ちたのですか?」苦しそうな声だ。音声が上手く出ないようだ。
その問いかけに、僕は「ええ、エレナさんはエスカレーターから落ちたんですよ」と応えた。
エレナさんとのやり取りの最中、佐山さんが、「先輩、エレナさんを突き飛ばしたの、山田課長の奥さんですよね」と耳打ちした。すぐ「僕も見たよ。確かにそうだ」と応えた。
「先輩、誰かに言った方がいいんじゃないですか?」
その証拠は? 目撃者は?
いや、証拠の前に、いったい誰に言うというのだ?
それに、ドールにそのようなことをすれば、どんな罪に問われるというのか?
エレナさんが再び口を開いた。
「ワタシは罪を犯しました」と言った。言った途端、口元から緑色の液体が溢れ出た。
佐山さんが「罪、ってなんですか?」と尋ねた。
これが人間であれば「今は、しゃべらないで!」と、安静を求めるところだが、AIドールは、そんなことは関係ないのだろうか?
「に、人間の・・監視をしました。それは、つ、罪なことです」音声が途切れている。
それは、山田課長の命令じゃないか。それを罪だと言うのか。
だが、今はそんなことよりも、
「ねえ、井村先輩、このドールさん、修理できるのかな?」
心優しい佐山さんが僕に言った。
「わからない」
今は、分からない。だが、ドールに詳しい人間、もしくは、ドールそのものなら知っているかもしれない。それでもダメなら、イズミに訊くしかない。ネットに繋げばイズミならわかるだろう。
だが、それよりも、僕は知りたかった。
「エレナさん。僕のことを憶えていますか?」
エレナさんが話そうとすると口腔から液体が出てくるので、佐山さんがハンカチで丁寧に拭った。それでも「んぷっ、んぷっ」と次から次へと液体と泡を吹き上げる。
「んんぷっ・・ハ、ハイ、あなたは、お取引先のイムラミノルさまですね。お会いするのは、これで三度目かと思います」
エレナさんは僕の事を憶えていてくれた。
一度目は、山田課長と同席の初対面。二度目は、このロビーに呼び出しケーブルを突っ込み、イズミの行方を訊きだした時。そして、三度目は今。
「一つ、エレナさんに訊いていいですか?」
佐山さんが「井村先輩、こんな時に何を訊くんですか?」と言った。
しかし、エレナさんは「ハイ、何でもお尋ねください」と、快く応えた。だが、その声は今にも消え入りそうだった。
「エレナさん・・エレナさんは、生きたいですか?」
僕はそう訊ねた。「もっと生きていたいですか?」
すると、エレナさんは目を閉じ、しばらく沈思した。
僅か数秒だったが、AIドールの思考の結果を出すには十分な時間なのだろう。
そして、エレナさんは言った。
「はい、生きていたいです」
消えてしまいそうな声だったが、それは同時に、希望に満ち溢れた声だった。
そして、その言葉は、僕にとって十分過ぎるほどの答だった。
僕は、そう答えたエレナさんを何かしてあげたい、そう思った。
だが、物事はそう上手く運ばないものらしい。
エレナさんは、ふいに何かを感じたように、
「ワタシは、起きなければいけません・」
エレナさんはそう言って身を起こそうとした。だが、右腕が無い状態では、上手く起き上がることはできない。無理な動きをすると、ギギギッと金属が軋むような音がした。同時に何かの液体が数か所から流れ出た。
「えっ、エレナさん、起き上がるのは、無理ですよぉ」佐山さんが起きようとするエレナさんを制した。
だが、エレナさんが身を起こそうとする原因がすぐに分かった。
エレナさんの形式上の所有者である内海が現れたからだった。
佐山さんが、「内海さん」と小さく言った。
内海は「佐山さんじゃないか」と言って、今度は僕の方を見て、
「おいおい、井村くん。打ち合わせの時間がとっくに過ぎているのに、何をしているのかと思ったら、僕のドールと遊んでいたのかい?」と笑った。
こんな状況で内海は、どうして笑えるんだ? 曲がりなりにも、自分のドールが傷ついているんだぞ。
内海は、エレナさんの体を眺め、
「エレナ、それにしても、みっともない格好になったものだな」と吐き捨てるように言った。「僕は、きたないのは嫌いなんだよ」
エレナさんは、そんな内海の嘲笑を仰ぎ見て、
「ごめんなさい、ウツミさま。ワタシ、こんなことに・・」
エレナさんは傷つき汚れた自分のことをひたすら謝っている。
そう言ったエレナさんにウツミは、更に追い打ちをかけるように、
「もう謝らなくていいから」と言って、
「おまえは、まだ山田課長のものだったんだろ? よくもまあ、僕に嘘をついて、僕の監視をしていたもんだなあ!」
内海は上司である山田課長に文句を言えない立場だ。行き場を無くした怒りは、ドールに持っていくということか。
「ウツミさま、ごめんなさい」エレナさんは重ねて謝った。
内海は、その言葉を聞くと同時に、動くことの出来ないエレナさんの腹部をどかっと蹴り込んだ。
その勢いで、エレナさんの体はフロアの上をずずっと滑った。
「おいっ、何をするんだ!」僕が怒鳴り、
「ひどい!」佐山さんが責める。
そんな僕と佐山さんを見て、内海は、
「あのさあ、君たち。このドールの所有者情報は、山田課長のままだったとはいえ、僕はこのドールに金を払ったんだぜ。れっきとした所有者なんだよ」
だから、何をしてもいい。
自分で買った車やパソコンだから、自分で壊していい。内海の理屈はそういうことだ。
だが、車は謝ったりはしない。パソコンは、こんな悲しそうな顔は見せない。
しかし、そんな感情が伝わらない人間は大勢いる。目の前の内海のような人間がまさにそうだ。
内海は「そんな目で見るなよ。なんか僕が悪いことをしたみたいじゃないか」と言った。
すると、佐山さんが、
「内海さん、エレナさんがあなたのものなら、エレナさんを何とかしてあげたらどうですか? 内海さんが、あくまでもエレナさんのことを『物』だと言うのなら、こんな状態になったエレナさんを片付けないといけないんじゃないですか?」と内海に荒っぽくまくし立てた。
その通りだ。「片付ける」というのは残酷な言葉に聞こえるが、それは内海に対しての言葉だ。
「僕に、このきたないドールをどっかに捨てて来い、っていうのか?」
内海は眉をしかめた。「僕は、汚れるのはごめんなんだけどなあ」
内海は、エレナさんの体、汚れたスカートスーツ。そして、フロアに広がる液体を眺めながらそう言った。
すると、エレナさんは、何を思ったのか、なんとか無事だった左腕をぎこちなく動かして、汚れた上着を脱ぎ去った。
「エレナさん、何をしているんですか?」佐山さんが訊ねても、エレナさんは答えず、更にブラウスも脱いでしまった。そして、その脱いだものを雑巾代わりにして床を拭き、その次に自分の脚や、スカートに付いた液体を拭き始めた。
佐山さんは声も出せず、ただその様子を見ている。
その光景には胸が痛んだが、それよりも僕の関心は、エレナさんの露出した白い肌に注がれた。
そこには、人間で言うところの痣のようなものが認められた。肉が抉れている箇所もある。それも数か所だ。しかも縦や横に走った亀裂のような痣がある。ムチ、あるいはベルトで叩いたような跡だ。
まさか、内海は、ドールのエレナさんに虐待をしていたのか? いや、それをしたのは山田課長かもしれない。 だが、山田課長は、そんな傷のあるドールを内海に売るだろうか? やはり、虐待をしていたのは、内海なのか。
僕と佐山さんがエレナさんの痣を凝視していると、エレナさんは今度は痣を隠そうとそれまで床を拭っていた上着で肌を隠した。
すかさず佐山さんが「エレナさん、その傷は、内海さんにされたんでしょ?」と訊いた。
しかし、エレナさんは首を横に振った。
エレナさんの反応を見て、内海は、
「別に隠すことはないじゃないか。僕にされた、って言えばいいのに」と言った。
「内海!」僕は思わずそう言った。内海が上得意の会社の人間であることを忘れた。
「井村くん、僕はストレスが溜まりやすい性格なんだよ。そういう時、このドールをいたぶるとスッキリするんだぜ」内海はそう得意気に語った。
今度は内海は佐山さんに向かって、
「女性もそうなんじゃないかな。当たるものが無い時、ドールはとっても便利なんだ」と言った。
「それに、こうなったら言うけどね。山田課長の奥さんもドールをいたぶるのが好きなんだよ」と言った。「ここだけの話。女は自分より美しいものを破壊したくなるらしい」
内海は得々と持論を展開した。
そういうことだったのか。
さっき、山田課長の奥さんがエスカレーターの上からエレナさんを突き飛ばしたのは、自分たちの不倫が監視されたことへの報復だと思っていたが、そんな目的だったのか。
その当事者の山田課長の奥さんは、どこへ行ったのか? 腹いせをし終え、スッキリしてどこかに行ったのか?
いずれにせよ、不倫のカップル、内海と山田課長の妻の二人は人間として褒められたものではない。
それよりも、さっきまでここにいたローズが気になり、辺りを見回すと、ローズはロビーの巨大支柱の陰に佇み、携帯でどこかに電話をしている最中だった。如月カオリもそうだったが、A型ドールは携帯を所持することができるんだな。おそらく名義は誰かのもの、おそらく、名義はローズを囲っている草壁会長のものだろう。
電話をしているローズの目は僕たちの方に注がれていた。
いや、違う。
その鋭い瞳には僕や佐山さんではなく内海の姿が映っているように見えた。
僕と佐山さんが考えあぐねていると、
エレナさんが目を何度か点滅させだした。意識があるのか。
そして、エレナさんは声を出した。
「ワタシは、落ちたのですか?」苦しそうな声だ。音声が上手く出ないようだ。
その問いかけに、僕は「ええ、エレナさんはエスカレーターから落ちたんですよ」と応えた。
エレナさんとのやり取りの最中、佐山さんが、「先輩、エレナさんを突き飛ばしたの、山田課長の奥さんですよね」と耳打ちした。すぐ「僕も見たよ。確かにそうだ」と応えた。
「先輩、誰かに言った方がいいんじゃないですか?」
その証拠は? 目撃者は?
いや、証拠の前に、いったい誰に言うというのだ?
それに、ドールにそのようなことをすれば、どんな罪に問われるというのか?
エレナさんが再び口を開いた。
「ワタシは罪を犯しました」と言った。言った途端、口元から緑色の液体が溢れ出た。
佐山さんが「罪、ってなんですか?」と尋ねた。
これが人間であれば「今は、しゃべらないで!」と、安静を求めるところだが、AIドールは、そんなことは関係ないのだろうか?
「に、人間の・・監視をしました。それは、つ、罪なことです」音声が途切れている。
それは、山田課長の命令じゃないか。それを罪だと言うのか。
だが、今はそんなことよりも、
「ねえ、井村先輩、このドールさん、修理できるのかな?」
心優しい佐山さんが僕に言った。
「わからない」
今は、分からない。だが、ドールに詳しい人間、もしくは、ドールそのものなら知っているかもしれない。それでもダメなら、イズミに訊くしかない。ネットに繋げばイズミならわかるだろう。
だが、それよりも、僕は知りたかった。
「エレナさん。僕のことを憶えていますか?」
エレナさんが話そうとすると口腔から液体が出てくるので、佐山さんがハンカチで丁寧に拭った。それでも「んぷっ、んぷっ」と次から次へと液体と泡を吹き上げる。
「んんぷっ・・ハ、ハイ、あなたは、お取引先のイムラミノルさまですね。お会いするのは、これで三度目かと思います」
エレナさんは僕の事を憶えていてくれた。
一度目は、山田課長と同席の初対面。二度目は、このロビーに呼び出しケーブルを突っ込み、イズミの行方を訊きだした時。そして、三度目は今。
「一つ、エレナさんに訊いていいですか?」
佐山さんが「井村先輩、こんな時に何を訊くんですか?」と言った。
しかし、エレナさんは「ハイ、何でもお尋ねください」と、快く応えた。だが、その声は今にも消え入りそうだった。
「エレナさん・・エレナさんは、生きたいですか?」
僕はそう訊ねた。「もっと生きていたいですか?」
すると、エレナさんは目を閉じ、しばらく沈思した。
僅か数秒だったが、AIドールの思考の結果を出すには十分な時間なのだろう。
そして、エレナさんは言った。
「はい、生きていたいです」
消えてしまいそうな声だったが、それは同時に、希望に満ち溢れた声だった。
そして、その言葉は、僕にとって十分過ぎるほどの答だった。
僕は、そう答えたエレナさんを何かしてあげたい、そう思った。
だが、物事はそう上手く運ばないものらしい。
エレナさんは、ふいに何かを感じたように、
「ワタシは、起きなければいけません・」
エレナさんはそう言って身を起こそうとした。だが、右腕が無い状態では、上手く起き上がることはできない。無理な動きをすると、ギギギッと金属が軋むような音がした。同時に何かの液体が数か所から流れ出た。
「えっ、エレナさん、起き上がるのは、無理ですよぉ」佐山さんが起きようとするエレナさんを制した。
だが、エレナさんが身を起こそうとする原因がすぐに分かった。
エレナさんの形式上の所有者である内海が現れたからだった。
佐山さんが、「内海さん」と小さく言った。
内海は「佐山さんじゃないか」と言って、今度は僕の方を見て、
「おいおい、井村くん。打ち合わせの時間がとっくに過ぎているのに、何をしているのかと思ったら、僕のドールと遊んでいたのかい?」と笑った。
こんな状況で内海は、どうして笑えるんだ? 曲がりなりにも、自分のドールが傷ついているんだぞ。
内海は、エレナさんの体を眺め、
「エレナ、それにしても、みっともない格好になったものだな」と吐き捨てるように言った。「僕は、きたないのは嫌いなんだよ」
エレナさんは、そんな内海の嘲笑を仰ぎ見て、
「ごめんなさい、ウツミさま。ワタシ、こんなことに・・」
エレナさんは傷つき汚れた自分のことをひたすら謝っている。
そう言ったエレナさんにウツミは、更に追い打ちをかけるように、
「もう謝らなくていいから」と言って、
「おまえは、まだ山田課長のものだったんだろ? よくもまあ、僕に嘘をついて、僕の監視をしていたもんだなあ!」
内海は上司である山田課長に文句を言えない立場だ。行き場を無くした怒りは、ドールに持っていくということか。
「ウツミさま、ごめんなさい」エレナさんは重ねて謝った。
内海は、その言葉を聞くと同時に、動くことの出来ないエレナさんの腹部をどかっと蹴り込んだ。
その勢いで、エレナさんの体はフロアの上をずずっと滑った。
「おいっ、何をするんだ!」僕が怒鳴り、
「ひどい!」佐山さんが責める。
そんな僕と佐山さんを見て、内海は、
「あのさあ、君たち。このドールの所有者情報は、山田課長のままだったとはいえ、僕はこのドールに金を払ったんだぜ。れっきとした所有者なんだよ」
だから、何をしてもいい。
自分で買った車やパソコンだから、自分で壊していい。内海の理屈はそういうことだ。
だが、車は謝ったりはしない。パソコンは、こんな悲しそうな顔は見せない。
しかし、そんな感情が伝わらない人間は大勢いる。目の前の内海のような人間がまさにそうだ。
内海は「そんな目で見るなよ。なんか僕が悪いことをしたみたいじゃないか」と言った。
すると、佐山さんが、
「内海さん、エレナさんがあなたのものなら、エレナさんを何とかしてあげたらどうですか? 内海さんが、あくまでもエレナさんのことを『物』だと言うのなら、こんな状態になったエレナさんを片付けないといけないんじゃないですか?」と内海に荒っぽくまくし立てた。
その通りだ。「片付ける」というのは残酷な言葉に聞こえるが、それは内海に対しての言葉だ。
「僕に、このきたないドールをどっかに捨てて来い、っていうのか?」
内海は眉をしかめた。「僕は、汚れるのはごめんなんだけどなあ」
内海は、エレナさんの体、汚れたスカートスーツ。そして、フロアに広がる液体を眺めながらそう言った。
すると、エレナさんは、何を思ったのか、なんとか無事だった左腕をぎこちなく動かして、汚れた上着を脱ぎ去った。
「エレナさん、何をしているんですか?」佐山さんが訊ねても、エレナさんは答えず、更にブラウスも脱いでしまった。そして、その脱いだものを雑巾代わりにして床を拭き、その次に自分の脚や、スカートに付いた液体を拭き始めた。
佐山さんは声も出せず、ただその様子を見ている。
その光景には胸が痛んだが、それよりも僕の関心は、エレナさんの露出した白い肌に注がれた。
そこには、人間で言うところの痣のようなものが認められた。肉が抉れている箇所もある。それも数か所だ。しかも縦や横に走った亀裂のような痣がある。ムチ、あるいはベルトで叩いたような跡だ。
まさか、内海は、ドールのエレナさんに虐待をしていたのか? いや、それをしたのは山田課長かもしれない。 だが、山田課長は、そんな傷のあるドールを内海に売るだろうか? やはり、虐待をしていたのは、内海なのか。
僕と佐山さんがエレナさんの痣を凝視していると、エレナさんは今度は痣を隠そうとそれまで床を拭っていた上着で肌を隠した。
すかさず佐山さんが「エレナさん、その傷は、内海さんにされたんでしょ?」と訊いた。
しかし、エレナさんは首を横に振った。
エレナさんの反応を見て、内海は、
「別に隠すことはないじゃないか。僕にされた、って言えばいいのに」と言った。
「内海!」僕は思わずそう言った。内海が上得意の会社の人間であることを忘れた。
「井村くん、僕はストレスが溜まりやすい性格なんだよ。そういう時、このドールをいたぶるとスッキリするんだぜ」内海はそう得意気に語った。
今度は内海は佐山さんに向かって、
「女性もそうなんじゃないかな。当たるものが無い時、ドールはとっても便利なんだ」と言った。
「それに、こうなったら言うけどね。山田課長の奥さんもドールをいたぶるのが好きなんだよ」と言った。「ここだけの話。女は自分より美しいものを破壊したくなるらしい」
内海は得々と持論を展開した。
そういうことだったのか。
さっき、山田課長の奥さんがエスカレーターの上からエレナさんを突き飛ばしたのは、自分たちの不倫が監視されたことへの報復だと思っていたが、そんな目的だったのか。
その当事者の山田課長の奥さんは、どこへ行ったのか? 腹いせをし終え、スッキリしてどこかに行ったのか?
いずれにせよ、不倫のカップル、内海と山田課長の妻の二人は人間として褒められたものではない。
それよりも、さっきまでここにいたローズが気になり、辺りを見回すと、ローズはロビーの巨大支柱の陰に佇み、携帯でどこかに電話をしている最中だった。如月カオリもそうだったが、A型ドールは携帯を所持することができるんだな。おそらく名義は誰かのもの、おそらく、名義はローズを囲っている草壁会長のものだろう。
電話をしているローズの目は僕たちの方に注がれていた。
いや、違う。
その鋭い瞳には僕や佐山さんではなく内海の姿が映っているように見えた。
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