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合同読書会②ー4
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だが、どんな場合でも作中に共感できない人間がいる。
「彼は、いつまでもその人のことを思っているわけだね」と森山が言った。
「非合理的だね」と言ったのは絶え間ない欠伸をする阿部。
もしかすると偏差値が高くなると、余分な感情は無くなってしまうのだろうか。
「非合理的って・・何だよ、その感想は!」
思わず僕は叫んでしまった。皆が一斉に僕を見るのが分かった。
「非合理的だとか、言うけど、文学の主人公なんて、皆そうじゃないのか?」
僕は堰を切ったようにしゃべりだした。感情の高ぶりを抑えられない。
「例えば、梶井基次郎の『檸檬』の主人公なんて、本屋に檸檬を置いて帰るんだ。それを非合理的だと言ったら、何のために本を読んでいるのか分からないし、それについて皆で読書会をする意味もないじゃないか!」
青山先輩が「ふむふむ」と頷いている。小清水さんと和田くんが僕を見ているのが分かる。
「読者は、主人公の心情をいかに汲み取り、共感するかどうかなんだよ!」
僕はそう言った後、
「いつまでも、消えてしまった彼女にこだわって何が悪いんだ!」と大きく言った。
ああ、話が脱線してしまった。恥ずかしい。
「冬の夢」のジュディと石山純子が被ってしまったのだ。
この場の誰もが呆気にとられている。速水部長も困った顔をしている。
しばらくの沈黙の後、
「鈴木くん・・」と声を上げたのは相手の部長の真山さんだ。
「言いたいことは分かるけれど、非合理的だと思うのも、一つの感想なのよ」
「しかし・・」僕は言葉を詰まらせた。
けれど、
「真山さん。私は、それは違うと思います」小清水さんが間に入った。
「と言うと?」真山さんが小清水さんを促す。
「非合理的・・そんな感想はないと思います」
真山さんは小清水さんの言葉に耳を傾けた。
「何を見ても、非合理的だとしか思わない人が、この本を読んで、普段感じていなかった何かの感情を揺り動かされる・・それが読書なんです」
「つまり?」真山さんは速水部長のように眼鏡のブリッジに指を添えた。
「この本を最後まで読んでも、主人公が非合理的だと言う人は、その本について語っても意味がないと思います。それこそ、あらすじを読んでいればいいと思います」
まるで欠伸男の阿部のことを指したようだ。いや、その通りだろう。
茶髪の榊原さんも「阿部には、分からない世界なんじゃないのぉ?」とだるそうに言った。
部長の真山さんも「そうだってさ、阿部くん」と冷ややかに微笑んだ。
欠伸の阿部は何も返さなかった。森山も黙っている。
「彼は、いつまでもその人のことを思っているわけだね」と森山が言った。
「非合理的だね」と言ったのは絶え間ない欠伸をする阿部。
もしかすると偏差値が高くなると、余分な感情は無くなってしまうのだろうか。
「非合理的って・・何だよ、その感想は!」
思わず僕は叫んでしまった。皆が一斉に僕を見るのが分かった。
「非合理的だとか、言うけど、文学の主人公なんて、皆そうじゃないのか?」
僕は堰を切ったようにしゃべりだした。感情の高ぶりを抑えられない。
「例えば、梶井基次郎の『檸檬』の主人公なんて、本屋に檸檬を置いて帰るんだ。それを非合理的だと言ったら、何のために本を読んでいるのか分からないし、それについて皆で読書会をする意味もないじゃないか!」
青山先輩が「ふむふむ」と頷いている。小清水さんと和田くんが僕を見ているのが分かる。
「読者は、主人公の心情をいかに汲み取り、共感するかどうかなんだよ!」
僕はそう言った後、
「いつまでも、消えてしまった彼女にこだわって何が悪いんだ!」と大きく言った。
ああ、話が脱線してしまった。恥ずかしい。
「冬の夢」のジュディと石山純子が被ってしまったのだ。
この場の誰もが呆気にとられている。速水部長も困った顔をしている。
しばらくの沈黙の後、
「鈴木くん・・」と声を上げたのは相手の部長の真山さんだ。
「言いたいことは分かるけれど、非合理的だと思うのも、一つの感想なのよ」
「しかし・・」僕は言葉を詰まらせた。
けれど、
「真山さん。私は、それは違うと思います」小清水さんが間に入った。
「と言うと?」真山さんが小清水さんを促す。
「非合理的・・そんな感想はないと思います」
真山さんは小清水さんの言葉に耳を傾けた。
「何を見ても、非合理的だとしか思わない人が、この本を読んで、普段感じていなかった何かの感情を揺り動かされる・・それが読書なんです」
「つまり?」真山さんは速水部長のように眼鏡のブリッジに指を添えた。
「この本を最後まで読んでも、主人公が非合理的だと言う人は、その本について語っても意味がないと思います。それこそ、あらすじを読んでいればいいと思います」
まるで欠伸男の阿部のことを指したようだ。いや、その通りだろう。
茶髪の榊原さんも「阿部には、分からない世界なんじゃないのぉ?」とだるそうに言った。
部長の真山さんも「そうだってさ、阿部くん」と冷ややかに微笑んだ。
欠伸の阿部は何も返さなかった。森山も黙っている。
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