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合同読書会①ー3
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横から和田くんが顔を寄せ、囁くように「匂うね」と言った。僕はすかさず、彼の脇を小突いて制した。少なくとも和田くんのタイプではないだろう。和田くんなら、その隣の大人しそうな小清水さん似の子だろうか?
和田くんの声が聞こえたのか、青山先輩が咳払いを一つした。
その青山先輩の前には、銀行員のような真面目一本に見える男が座っている。青山先輩と同じく三年生のようだ。 名前は森山と言う。
香水も気になるが、退屈なのか、さっきから欠伸を連発している髪がばさばさの阿部という男子も気になった。失礼極まりない彼を見かねてか、今度は速水部長が強い咳払いをした。
僕は咳払いはしないが、こんな催しって果たして必要なのかな? と思ったりした。
だが、それは、青山先輩が言ったように「それを言ったらお終いだよ」かもしれない。
それに加えて、小清水さんが指摘したように、
この後、神戸高校の文芸部も我が校の学祭を見学するのだろう。もしかしたらこの行事は他校に来るための都合の良い口実なのかもしれない。
目の前の現実を見ながら、僕の心はこの場に関係のない夢想に走ったりもした。
例えば、この神戸高校の部員たちと、初恋の石山純子と何がしかの繋がりがあったりするのだろうか? とか考えたりもした。彼女と一緒にいた男はさすがにこの中にはいないが、二年生であれば彼女と同じクラスだったり、友だちだったりするかもしれない。可能性は無きにしも非ずだ。
自己紹介の後、雑談することもなく、合同読書会は淡々と始まった。
読書会は、本を選んだ人が司会をすることになっているが、今回は特別に神戸高校側の部長が司会をするようだ。
「冬の夢」はゴルフのキャディをしている若い主人公が、ゴルフ場で富豪の娘ジュディに出会ったところから物語が始まる。
ジュディは美少女だ。
周囲の年嵩の男たちが、「あの少女は、将来、男たちを振り回すようになるぞ」と称えるほどの美しさだったということだ。
主人公は仕事に成功すると、人生の目標であったかのようなジュディと再会し二人の交際が始まる。
けれど社交界の花形のジュディの周りには、十人以上もの男たちが取り巻いていた。
そして、結局二人の気持ちはすれ違い、別れることになる。
主人公の男はやがて、アイリーンという女性と結婚する。
そして、何年か後、ある知人から、ジュディは結婚したが、夫と上手くいかず、まだ二十代なのに昔の輝きを失っていることを知らされる。
「彼女が綺麗じゃないって? そんなはずはない・・あのジュディが、あんなに輝いていた女性が・・」
和田くんの声が聞こえたのか、青山先輩が咳払いを一つした。
その青山先輩の前には、銀行員のような真面目一本に見える男が座っている。青山先輩と同じく三年生のようだ。 名前は森山と言う。
香水も気になるが、退屈なのか、さっきから欠伸を連発している髪がばさばさの阿部という男子も気になった。失礼極まりない彼を見かねてか、今度は速水部長が強い咳払いをした。
僕は咳払いはしないが、こんな催しって果たして必要なのかな? と思ったりした。
だが、それは、青山先輩が言ったように「それを言ったらお終いだよ」かもしれない。
それに加えて、小清水さんが指摘したように、
この後、神戸高校の文芸部も我が校の学祭を見学するのだろう。もしかしたらこの行事は他校に来るための都合の良い口実なのかもしれない。
目の前の現実を見ながら、僕の心はこの場に関係のない夢想に走ったりもした。
例えば、この神戸高校の部員たちと、初恋の石山純子と何がしかの繋がりがあったりするのだろうか? とか考えたりもした。彼女と一緒にいた男はさすがにこの中にはいないが、二年生であれば彼女と同じクラスだったり、友だちだったりするかもしれない。可能性は無きにしも非ずだ。
自己紹介の後、雑談することもなく、合同読書会は淡々と始まった。
読書会は、本を選んだ人が司会をすることになっているが、今回は特別に神戸高校側の部長が司会をするようだ。
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ジュディは美少女だ。
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けれど社交界の花形のジュディの周りには、十人以上もの男たちが取り巻いていた。
そして、結局二人の気持ちはすれ違い、別れることになる。
主人公の男はやがて、アイリーンという女性と結婚する。
そして、何年か後、ある知人から、ジュディは結婚したが、夫と上手くいかず、まだ二十代なのに昔の輝きを失っていることを知らされる。
「彼女が綺麗じゃないって? そんなはずはない・・あのジュディが、あんなに輝いていた女性が・・」
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