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僕には関係ない②
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ナミとくだらない会話をした後、僕は勉強部屋に戻った。
英和辞典を出し、英文解釈の問題集を開くと、部屋を大きくノックする音が聞こえた。
ナミか? 母か?
・・誰も入ってこない。
僕が「誰?」と尋ねると、
「ナミだよ」と返ってきた。僕が「入れ」と声をかけると、ドアを勢いよく開け入ってきた。
「ノックと同時に入ってきたら意味がない、って前に兄貴に言われたから、ずらしたんだよ」とナミが説明した。
「それで、改めて何の用だ?」
僕が問うと、
「そうそう、兄貴に言い忘れてたよ」と再び話を切り出した。
ナミはいつも肝心な話が抜ける。
僕が「何だよ。言い忘れてた話って」と尋ねると、
「加藤さん・・足を引き摺りながら歩いていたけど、足が悪いの?」と言った。
足を引き摺る?
「登校日に会った時、海で怪我をしたって言ってたけど、そんなに大した感じじゃなかったけどな」
加藤は右足に包帯を巻いていた。特に歩くところを見てはいなかったから、歩き方とかは注視していなかった。
ナミは「言い忘れてたことはそれだけだよ」と言って部屋を出た。
加藤ゆかりが本屋? 足を引き摺るように歩いていた?
・・だが、いずれにせよ、僕には関係がない。
加藤はクラスメイトだが、クラブが一緒でもないし、関係があるとするなら、今度の花火大会・・水沢さんと三人で行くことくらいだ。
僕の心は水沢さんに向かっている。
時々、人の心が読める水沢純子に会える日に焦点が合わさっている。
それでも、加藤に何かの関係があるとするなら、加藤が文芸サークルの部室に来て、水沢さんのことを語っていた際に、「読書会に興味があるから、私も参加しようかな」と言っていたことだ。
それに対して、速水部長が、「難しいから、加藤さんには無理よ」と嫌味を言っていたっけ。
どうして、加藤は読書会に興味を示したのだろう?
そんなことを考えていても運命の歯車というものは、ゴロゴロと音を立てながら回転するものだ。
それは数日後、僕が問題集を数冊買ったせいで、文庫本を買うお金が無くなったことに気づいた日のことだった。
お金がない。けれど本が読みたい。
そんな時に行く場所は決まっている。それは図書館だ。
アンチークな旧館と現代的な新館をジョイントさせた大きな図書館。緑に囲まれた厳かな図書館は結構好きだし、ここのカフェのオープンテラスには水沢さんと来たことがある。
その時に水沢さんに言われた言葉はずっと心に重たく乗っかったままだ。
「鈴木くんだけが、私を好きじゃない」
心を読む水沢さんは、僕の心を読み、そう言った。
「鈴木くんは、ずっと遠くの人を見ている」
英和辞典を出し、英文解釈の問題集を開くと、部屋を大きくノックする音が聞こえた。
ナミか? 母か?
・・誰も入ってこない。
僕が「誰?」と尋ねると、
「ナミだよ」と返ってきた。僕が「入れ」と声をかけると、ドアを勢いよく開け入ってきた。
「ノックと同時に入ってきたら意味がない、って前に兄貴に言われたから、ずらしたんだよ」とナミが説明した。
「それで、改めて何の用だ?」
僕が問うと、
「そうそう、兄貴に言い忘れてたよ」と再び話を切り出した。
ナミはいつも肝心な話が抜ける。
僕が「何だよ。言い忘れてた話って」と尋ねると、
「加藤さん・・足を引き摺りながら歩いていたけど、足が悪いの?」と言った。
足を引き摺る?
「登校日に会った時、海で怪我をしたって言ってたけど、そんなに大した感じじゃなかったけどな」
加藤は右足に包帯を巻いていた。特に歩くところを見てはいなかったから、歩き方とかは注視していなかった。
ナミは「言い忘れてたことはそれだけだよ」と言って部屋を出た。
加藤ゆかりが本屋? 足を引き摺るように歩いていた?
・・だが、いずれにせよ、僕には関係がない。
加藤はクラスメイトだが、クラブが一緒でもないし、関係があるとするなら、今度の花火大会・・水沢さんと三人で行くことくらいだ。
僕の心は水沢さんに向かっている。
時々、人の心が読める水沢純子に会える日に焦点が合わさっている。
それでも、加藤に何かの関係があるとするなら、加藤が文芸サークルの部室に来て、水沢さんのことを語っていた際に、「読書会に興味があるから、私も参加しようかな」と言っていたことだ。
それに対して、速水部長が、「難しいから、加藤さんには無理よ」と嫌味を言っていたっけ。
どうして、加藤は読書会に興味を示したのだろう?
そんなことを考えていても運命の歯車というものは、ゴロゴロと音を立てながら回転するものだ。
それは数日後、僕が問題集を数冊買ったせいで、文庫本を買うお金が無くなったことに気づいた日のことだった。
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その時に水沢さんに言われた言葉はずっと心に重たく乗っかったままだ。
「鈴木くんだけが、私を好きじゃない」
心を読む水沢さんは、僕の心を読み、そう言った。
「鈴木くんは、ずっと遠くの人を見ている」
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