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幽霊が怖い③
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青山先輩は安堵の表情を浮かべ「君にこの話をして、なんだかスッキリしたわ」と言った。
「今した話は沙織には言わないでね」
何かの秘密のを打ち明けた後のように青山先輩はそう言った。
「どうしてですか?」
「だって、いい年をして、幽霊を怖がるなんて恥ずかしいわ」
「いい歳って・・まだ高校三年生じゃないですか」
「もういい齢よ・・」
そう言って青山先輩はぷいと横を向き、遠くの景色を見つめた。
なんだか、青山先輩のイメージが大きく変わった。最初は人を跳ね返すオーラを放っていると思っていたけれど、けっこう親しみやすい。
けれど、人は見た目で判断するんだろうな。
だけど、これで話は終わらしてはいけない。
青山先輩の勧誘をしないと、
「それで、青山先輩は文芸サークルにはどうしても来られないのですか?」
「だから、さっき言ったように部室には幽霊がいるのよ」
そう青山先輩は繰り返し言った。
そんな青山先輩に、僕は、
「だったら、合宿だけでも来て頂けませんか?」と言った。
「合宿?」
「今の文芸サークルは、部への昇格よりも、合宿を敢行するための人数が不足してるんです。合宿だったら、部室は関係ないですよね?」
けど、合宿で速水さんが透明になったら、どうするんだ?
「そういうことだったの」
青山先輩は話を理解したようだ。
「みんな、合宿を楽しみにしてるんです」
一番楽しみにしているのは、学校のマドンナの池永先生だけどな。
「それに、青山先輩は本が好きなんでしょう?」
僕の問いかけに青山先輩は「ええ、それはそうだけど」と小さく言った。
だったら・・
「だったら、青山先輩も合宿で読書会に参加しませんか?」
僕の説得に青山先輩は「ふっ」と笑みを浮かべ、「仕方ないわね」
「そうね、私も幽霊を克服しないといけないことだしね」
そう青山先輩は自分に言い聞かせるように言った後、
「わかったわ」と強く言った。
青山先輩の説得、合宿への参加・・大成功だ。
そう思っていると、青山先輩は、
「・・それと、君は教室では・・」と言いかけ「まあ、いい・・」と口をつぐんだ。
「何ですか? 青山先輩」と問う。
言いかけて途中でやめられると気になる。
「君は、教室では存在感がない方なの?」
分かってはいるが、あえて青山先輩のような上級生に言われると改めて傷つく。
「やっぱり・・そう見えますか?」と僕がしょげると、
「いや・・二組の生徒に鈴木くんを呼び出して欲しいと言ったら『鈴木って誰?』って思い出すような顔をしていたから」
「僕、あんまりみんなに覚えられていないんですよ」そう僕は答えた。あえて影が薄いという言葉を使わず。
そう言った僕に、青山先輩はこう言った。
「気にしなくていいよ。君・・そんなことは」
「そんなことって言っても・・」
気にするものは気にする。
そう思っていると青山先輩はこう言った。
「私なんて、君より存在感がないわ・・私、本当に影が薄いわよ」
「青山先輩が? そんなことは・・」
正反対だと思う。
「だって、その証拠に・・」
「証拠?」
「みんなには私の姿が見えないのか、誰も私に近寄ってこないわ」
そう青山先輩はなぜか自嘲的に・・いや楽しげに言った。
それは多分、青山先輩のオーラが強すぎて、話しかけてこないだけなのだと思う。
それに気づいていないのは青山先輩だけだ。
僕はあえて言葉を返さなかった。そう勘違いしている青山先輩の現在の心を大事にしたい・・そう思った。
「今した話は沙織には言わないでね」
何かの秘密のを打ち明けた後のように青山先輩はそう言った。
「どうしてですか?」
「だって、いい年をして、幽霊を怖がるなんて恥ずかしいわ」
「いい歳って・・まだ高校三年生じゃないですか」
「もういい齢よ・・」
そう言って青山先輩はぷいと横を向き、遠くの景色を見つめた。
なんだか、青山先輩のイメージが大きく変わった。最初は人を跳ね返すオーラを放っていると思っていたけれど、けっこう親しみやすい。
けれど、人は見た目で判断するんだろうな。
だけど、これで話は終わらしてはいけない。
青山先輩の勧誘をしないと、
「それで、青山先輩は文芸サークルにはどうしても来られないのですか?」
「だから、さっき言ったように部室には幽霊がいるのよ」
そう青山先輩は繰り返し言った。
そんな青山先輩に、僕は、
「だったら、合宿だけでも来て頂けませんか?」と言った。
「合宿?」
「今の文芸サークルは、部への昇格よりも、合宿を敢行するための人数が不足してるんです。合宿だったら、部室は関係ないですよね?」
けど、合宿で速水さんが透明になったら、どうするんだ?
「そういうことだったの」
青山先輩は話を理解したようだ。
「みんな、合宿を楽しみにしてるんです」
一番楽しみにしているのは、学校のマドンナの池永先生だけどな。
「それに、青山先輩は本が好きなんでしょう?」
僕の問いかけに青山先輩は「ええ、それはそうだけど」と小さく言った。
だったら・・
「だったら、青山先輩も合宿で読書会に参加しませんか?」
僕の説得に青山先輩は「ふっ」と笑みを浮かべ、「仕方ないわね」
「そうね、私も幽霊を克服しないといけないことだしね」
そう青山先輩は自分に言い聞かせるように言った後、
「わかったわ」と強く言った。
青山先輩の説得、合宿への参加・・大成功だ。
そう思っていると、青山先輩は、
「・・それと、君は教室では・・」と言いかけ「まあ、いい・・」と口をつぐんだ。
「何ですか? 青山先輩」と問う。
言いかけて途中でやめられると気になる。
「君は、教室では存在感がない方なの?」
分かってはいるが、あえて青山先輩のような上級生に言われると改めて傷つく。
「やっぱり・・そう見えますか?」と僕がしょげると、
「いや・・二組の生徒に鈴木くんを呼び出して欲しいと言ったら『鈴木って誰?』って思い出すような顔をしていたから」
「僕、あんまりみんなに覚えられていないんですよ」そう僕は答えた。あえて影が薄いという言葉を使わず。
そう言った僕に、青山先輩はこう言った。
「気にしなくていいよ。君・・そんなことは」
「そんなことって言っても・・」
気にするものは気にする。
そう思っていると青山先輩はこう言った。
「私なんて、君より存在感がないわ・・私、本当に影が薄いわよ」
「青山先輩が? そんなことは・・」
正反対だと思う。
「だって、その証拠に・・」
「証拠?」
「みんなには私の姿が見えないのか、誰も私に近寄ってこないわ」
そう青山先輩はなぜか自嘲的に・・いや楽しげに言った。
それは多分、青山先輩のオーラが強すぎて、話しかけてこないだけなのだと思う。
それに気づいていないのは青山先輩だけだ。
僕はあえて言葉を返さなかった。そう勘違いしている青山先輩の現在の心を大事にしたい・・そう思った。
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