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不老不死②
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強い好奇心に駆られて訊きました。二人の役割分担が知りたかったのです。
同じ三日月の目をしていても、中身は全然違うかもしれません。
僕が訊ねると藤田さんはこう説明しました。
「姉のザミが主に、暴力担当やな。実際に武道の達人らしいし、脅かしや拷問も得意中の得意らしいで」
暴力や脅かしは何となく分かりましたが、拷問って・・一体どんなことをするのでしょうか。想像するのも怖いです。ムチを使ったりするのでしょうか。
そう思っていると藤田さんはこっちが訊いてもいないのに、
「拷問の針は特に怖いらしいで」と言って、「なんでも人間の体には、そこに針を刺されると、黙っとかなあかんことでもべらべらしゃべるようにもなるらしいし。ある部分を刺すと、どんな男でも絶叫する痛みを感じるらしい」と説明した出したので、
「もう拷問の話はイヤや!」思わず僕は話を遮りました、
「それで、妹のキリエさんの方は何が担当なん?」
拷問の話から逃れたくて話を変えると、
「妹のキリエは、薬が担当や」
そう藤田さんは言いました。
「さっき言っていた不老不死とか?」
「それもあるけど、姉の拷問の補助的な役割の薬もあるらしいな。さっき言った自白の薬も作っているらしいし、針を刺す場所も研究していると聞いたで」
拷問の補助的な薬を作っている・・それも気味が悪いです。姉のザミの話も妹のキリエの話も聞けば聞くほど怖くなります。
それにしても・・
「おじさんは、なんでそんなに知ってるん?」
いくら藤田のおじさんが物知りでも知り過ぎだと思います。
するとおじさんは、
「逃げ出してきた奴がおるからや」と言いました。
「集落から逃げたん?」
「いや、あの教団の仏塔からや。つまり教団を抜け出したということや」藤田さんはそう言って、「そいつから色んな話を聞いたんや」と続けました。
続けて藤田さんは、僕の顔を覗き込むように、「陽一くんは、あの双子の女の顔を見たんやったな?」と訊きました。
僕が「うん」と頷くと、
「二人とも美人やったやろ?」
子供の僕から見ると、あの二人が美人の範疇に入るのか分かりません。少なくとも商店街で買い物をしているおばちゃんよりは数段若いし綺麗だと思います。
けれど、そういう問題でもありません。心が壊れているのなら、それは顔が整っているだけだと思います。
「あの二人の顔・・ザミとキリエの顔・・何かおかしいと思わなんだか?」藤田さんが訊きました。
「二人とも、目が三日月みたいやった。江戸川乱歩の小説に出てくる『黄金仮面』の顔みたいに笑っているみたいやった」
「他におかしいところは・・何か気づかなかったか?」
「そう言われても・・」双子の顔を見たのは数分もなかったのです。美人だけど、目が常に笑っているみたいで不気味だったのだけは憶えています。けれど、改めて訊かれると他に何かあったような気もします。
僕が言い淀んでいると、
「目も気持ち悪いけど、顔全体が不気味らしい」と言って、藤田さんはこう続けました。
「教団を抜けた奴が言うには、ザミとキリエの顔は、『左右対称』らしい」
顔が左右対称?
顔の右と左が全く同じということです。父から聞いたことがあります。人間の顔は、右と左では微妙に違うらしいです。目の形も大きさも違うし、口の歪みも違う。当然、鼻の穴の大きさも違うそうです。
藤田さんはその話を踏まえた上で、
「整形してそ左右対称にしたのか、生まれつきそんな顔なのかは分らんが、生まれつき左右対称の顔はないと聞くからな。もしそうならちょっと怖いものを感じるな」と言いました。
拷問担当のザミ、薬を開発するキリエ。
双子の顔が二人とも左右対称・・
けれど、僕は双子の顔なんかどうでもいいのです。左右対称であっても右と左が違ってもそんなことには関心がありません。
「檻の中の女の子が気になるねん!」
僕は叫ぶように言いました。
藤田さんは目を丸くして驚きの表情を浮かべていました。僕が言った言葉が意外だったようです。
しばらくの沈黙の後、藤田さんはニコリと微笑み、
「その子、可愛い子やったんか?」と訊きました。
可愛い子・・そんなつもりで言ったのではありませんが、
おじさんは、「陽一くんも男の子やなあ」と言いました。
ですが、おじさんの笑みはすぐに消えて、
「でもなあ、陽一くん。あの集落の人らとは関わらん方がええで。たとえ、その子が可愛い子であってもな」と制するように言いました、
おじさんも大概です。
これだけ集落や教団の話を聞かせておいて、「関わるな」と言い捨てるのはあんまりです。
そもそも僕が藤田さんの話を聞こうと思ったのは、アケミちゃんを助けたかったからです。
おじさんの最後の言葉は、僕に「アケミちゃんのことは諦めろ」と言っているようなものです。
更に藤田さんは気になることを言い残しました。
「『檻』があるのは、何もあの集落の中だけやないで」
「えっ、他に檻がどこにあるん?」
「教団の中にもあるらしい」
山の教団の中に、集落と同じような場所が?
藤田さんは、話の続きをしたそうでしたが、夕方からの勤務があるらしく、「ほな、陽一くん。またな」と言い残しバイクに跨って商店街に向かいました。
同じ三日月の目をしていても、中身は全然違うかもしれません。
僕が訊ねると藤田さんはこう説明しました。
「姉のザミが主に、暴力担当やな。実際に武道の達人らしいし、脅かしや拷問も得意中の得意らしいで」
暴力や脅かしは何となく分かりましたが、拷問って・・一体どんなことをするのでしょうか。想像するのも怖いです。ムチを使ったりするのでしょうか。
そう思っていると藤田さんはこっちが訊いてもいないのに、
「拷問の針は特に怖いらしいで」と言って、「なんでも人間の体には、そこに針を刺されると、黙っとかなあかんことでもべらべらしゃべるようにもなるらしいし。ある部分を刺すと、どんな男でも絶叫する痛みを感じるらしい」と説明した出したので、
「もう拷問の話はイヤや!」思わず僕は話を遮りました、
「それで、妹のキリエさんの方は何が担当なん?」
拷問の話から逃れたくて話を変えると、
「妹のキリエは、薬が担当や」
そう藤田さんは言いました。
「さっき言っていた不老不死とか?」
「それもあるけど、姉の拷問の補助的な役割の薬もあるらしいな。さっき言った自白の薬も作っているらしいし、針を刺す場所も研究していると聞いたで」
拷問の補助的な薬を作っている・・それも気味が悪いです。姉のザミの話も妹のキリエの話も聞けば聞くほど怖くなります。
それにしても・・
「おじさんは、なんでそんなに知ってるん?」
いくら藤田のおじさんが物知りでも知り過ぎだと思います。
するとおじさんは、
「逃げ出してきた奴がおるからや」と言いました。
「集落から逃げたん?」
「いや、あの教団の仏塔からや。つまり教団を抜け出したということや」藤田さんはそう言って、「そいつから色んな話を聞いたんや」と続けました。
続けて藤田さんは、僕の顔を覗き込むように、「陽一くんは、あの双子の女の顔を見たんやったな?」と訊きました。
僕が「うん」と頷くと、
「二人とも美人やったやろ?」
子供の僕から見ると、あの二人が美人の範疇に入るのか分かりません。少なくとも商店街で買い物をしているおばちゃんよりは数段若いし綺麗だと思います。
けれど、そういう問題でもありません。心が壊れているのなら、それは顔が整っているだけだと思います。
「あの二人の顔・・ザミとキリエの顔・・何かおかしいと思わなんだか?」藤田さんが訊きました。
「二人とも、目が三日月みたいやった。江戸川乱歩の小説に出てくる『黄金仮面』の顔みたいに笑っているみたいやった」
「他におかしいところは・・何か気づかなかったか?」
「そう言われても・・」双子の顔を見たのは数分もなかったのです。美人だけど、目が常に笑っているみたいで不気味だったのだけは憶えています。けれど、改めて訊かれると他に何かあったような気もします。
僕が言い淀んでいると、
「目も気持ち悪いけど、顔全体が不気味らしい」と言って、藤田さんはこう続けました。
「教団を抜けた奴が言うには、ザミとキリエの顔は、『左右対称』らしい」
顔が左右対称?
顔の右と左が全く同じということです。父から聞いたことがあります。人間の顔は、右と左では微妙に違うらしいです。目の形も大きさも違うし、口の歪みも違う。当然、鼻の穴の大きさも違うそうです。
藤田さんはその話を踏まえた上で、
「整形してそ左右対称にしたのか、生まれつきそんな顔なのかは分らんが、生まれつき左右対称の顔はないと聞くからな。もしそうならちょっと怖いものを感じるな」と言いました。
拷問担当のザミ、薬を開発するキリエ。
双子の顔が二人とも左右対称・・
けれど、僕は双子の顔なんかどうでもいいのです。左右対称であっても右と左が違ってもそんなことには関心がありません。
「檻の中の女の子が気になるねん!」
僕は叫ぶように言いました。
藤田さんは目を丸くして驚きの表情を浮かべていました。僕が言った言葉が意外だったようです。
しばらくの沈黙の後、藤田さんはニコリと微笑み、
「その子、可愛い子やったんか?」と訊きました。
可愛い子・・そんなつもりで言ったのではありませんが、
おじさんは、「陽一くんも男の子やなあ」と言いました。
ですが、おじさんの笑みはすぐに消えて、
「でもなあ、陽一くん。あの集落の人らとは関わらん方がええで。たとえ、その子が可愛い子であってもな」と制するように言いました、
おじさんも大概です。
これだけ集落や教団の話を聞かせておいて、「関わるな」と言い捨てるのはあんまりです。
そもそも僕が藤田さんの話を聞こうと思ったのは、アケミちゃんを助けたかったからです。
おじさんの最後の言葉は、僕に「アケミちゃんのことは諦めろ」と言っているようなものです。
更に藤田さんは気になることを言い残しました。
「『檻』があるのは、何もあの集落の中だけやないで」
「えっ、他に檻がどこにあるん?」
「教団の中にもあるらしい」
山の教団の中に、集落と同じような場所が?
藤田さんは、話の続きをしたそうでしたが、夕方からの勤務があるらしく、「ほな、陽一くん。またな」と言い残しバイクに跨って商店街に向かいました。
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